第6回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年4月22日(火曜日)18時48分~19時26分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階講堂

1.発言要旨

第4回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議、そして第6回の経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。御報告をいたします。
一つ目の議題といたしまして、諮問会議と競争力会議の合同会議として、労働力と働き方についての議論を行いました。
まず、諮問会議の高橋議員から、資料1に基づき、付加価値生産性の向上に向けた労働市場改革やルール等の再構築についての説明がありました。次に、産業競争力会議の長谷川議員から、資料2に基づきまして、新たな労働時間制度、予見可能性の高い紛争解決システムの構築、多様な正社員の普及・拡大等について御提言がありました。その後、田村大臣から、資料3に基づき、これらの点についての厚生労働省の現時点の考え方についての説明がありました。
その後、意見交換を行いました。議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「長谷川議員の提案は、通常の労働時間になじまない人、フレックスタイム制度や裁量労働制などでは対応できない人に関する企業と労働者のニーズに合致した制度提案である。国際業務での時差の対応、技術開発や顧客対応などでは、集中的・波状的対応が必要となる。フレックス制度では対応できない。提案された制度は、自らのニーズに合わせて働く場所や時間を選択し、成果に基づく報酬を得るものである。介護や子育てを行う女性のキャリアにとっても有効である。」
同じく民間議員から、「規制改革会議では、特に労働時間規制について、労働時間上限規制、休日取得、一律の労働時間管理がなじまない新しい働き方に適した制度創設の三位一体での改革を提案。経団連からは賛意の表明があり、連合とも、長時間労働の是正では一致をし、多様な働き方に合った制度の必要性自体は否定をされていない。働き手と企業双方にメリットがある選択肢を増やすのが目的である。国が目安を示して、対象・手法については、労使自治に任せることが基本である。関係省庁におかれては、具体的な制度設計に着手をいただきたい。」
田村大臣から、「Bタイプ─これは高度なスキル、それから高収入のタイプの方ですね─Bタイプという御提案をいただいたが、どのような職種の方を想定するのか、Aタイプ─それ以外の労働時間上限タイプですね─Aタイプについては、いまだよく把握できていないので、今後検討していきたい。」
民間議員から、「対象者の範囲は、労使自治で決める。活用するかしないかは本人の希望で決める。職種を決めて属する人を全て対象にするという考え方ではない。」
田村大臣から、「労使では、当然立場は使用者側の方が強い。組合がある場合には力があるかもしれない。ブラック企業は組合がない場合もあり、そこをどう考えるか。働き過ぎの解消やワークライフバランスを考えていく中で、どういう制度設計をするか考えていきたい。」
民間議員から、「働き方は多様になっており、そのために今日の提案がある。また、日本では紛争解決の金額はケースによって大きな格差がある。金銭救済制度が整備されていないのは日本と韓国ぐらいだ。グローバルスタンダードと離れている。そういう観点からの提案と考えていただきたい。」
紛争が起きたときの支払われた金額を調べてみますと、諸外国に比べて日本は非常に低く、中小企業はほとんど払われていないという場合もあるし、斡旋調停や裁判で行うのと、それ以外とで大きく金額が違う、大企業の場合には相当な金額が払われていて、中堅・中小ではスズメの涙という例も散見される、等々実例を引き合いに出して説明がありました。
民間議員から、「製造、建設、介護福祉で現場技能者は不足している。製造業の海外移転は、若年労働者の不足も影響している。外国人活用を実現してほしい。改正高年齢者雇用安定法改正後の5年間で増えた非正規労働者の9割以上が高齢者。高齢者の賃金を年功ではなく職能賃金にしていかなければならない。」
企業によって定年以降の働き方が異なる。正規雇用でやっている会社もありますが、定年以降65歳まで雇用するという法律が通って以降、定年から先が、もちろん本人の希望もありますけれども、非正規雇用になっている部分が多いということで、この改正高年齢者雇用安定法改正後の5年間での非正規労働者の増のうち、高齢者の比率が高いというのはそういう事情だという話のようです。
民間議員から、「ブラック企業、悪い企業にあわせた制度にして、生産性の高い企業のチャレンジの足かせにならないように検討いただきたい。こうしたブラック企業は、監督強化で対応すべきもの。フレックス制度では不十分であり、女性の管理職比率を3割に引き上げるためにも、時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい新しい制度が必要である。紛争解決について、紛争事例を整理分析、開示することから始め、前向きに御検討いただきたい。」
田村大臣から、「事後的な紛争解決については、いろいろ研究していきたい。Bタイプはこのような形がそぐうものもあると思う。自由な働き方の中で能力を発揮できるやり方を考えたい。Aタイプは、どうやって業務量を測るかなど理解できていないため、ワークライフバランスを崩すものにならないように、よく研究をしていきたい。」
稲田大臣から、「労働時間については、三位一体の提案をしている。関係府省におかれても検討を進めていただきたい。」
茂木大臣から、「企業のグローバル化の中で、労働環境もグローバル化が必要である。仕事や働き方についても、生産性をいかに上げるかという仕組みを制度の中に組み込むことが必要だ。」
安倍総理から、「60歳から65歳までに雇用義務を引き上げて非正規労働者が増えたということだが、高齢化社会で、会社で経験を生かしながら長く働く方がよい。高齢者の活用について政策を検討する上でも大いに参考にすべき。」
民間議員から、「そのためにも、この制度を柔軟にしておかなければならない。多様性を認めるというのが今日の提案ではないか。」
民間議員から、「多様性を残すということが労使双方にとって必要だ。」
合同会議の最後に、総理から発言がありましたので、御紹介いたします。
「賃上げの風を持続的なものとするために、成長戦略による生産性向上を賃金・所得の継続的な上昇に結びつけていく必要がある。労使双方がそうした認識を共有し、互いに努力をして好循環を実現してほしい。政府は環境整備を全力で進める。人口減少社会において、持続的成長を実現するため、老若男女を問わず、全ての国民が能力を最大限発揮できるような、柔軟な働き方を実現したい。このためには、まず働き過ぎ防止を強化することが前提となる。その前提の上で、子育てや介護など多様なニーズに合わせて、労働時間規制の多様化を図る必要がある。健康管理を図りながら創造性を発揮できるように、時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組みを検討してもらいたい。また、国民が中小・小規模企業を含めて、安心して職場を選び、また、事業者も安心して雇用創出ができるように、労働紛争の解決を促す客観的で透明性の高い仕組みについて検討を進めてもらいたい。」
その後、私から、「対日直接投資に関する有識者懇談会」の報告書を紹介し、「前々回の会議で総理から御指示があった対日直接投資推進会議を4月25日に立ち上げ、本懇談会の報告書を踏まえた対応方針を検討し、必要な制度改革の実現に向けて、関係大臣や関係会議における取組を促してまいりたい。」と発言をいたしました。
続きまして、経済財政諮問会議を開催し、社会保障の重点化・効率化についての議論を行いました。
まず、伊藤議員から、資料4に基づき説明があり、その後、田村大臣、麻生大臣から、資料5及び6についてそれぞれ説明がありました。
その後、意見交換を行いました。議員の方々からいただいた主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「薬価の適正化をする際には、創薬インセンティブを損なわないように、エビデンスに基づく適切な評価により進める必要がある。」
同じく民間議員から、「医療の適正化を進める上で、例えば対GDP比でほぼ同じ医療費のスウェーデンと比べ、ベッド数が数倍あるといった点を是正していく必要がある。薬剤費については、ジェネリックがあまり普及しない一因は、同じ効能があるといっても、医師の方に抵抗感があり、また、ジェネリックの種類が多過ぎて、どれがいいかわからないという点にある。また、院内処方よりも院外処方の方が種々の経費がかかるため、かえって高くなる場合もあることに注意が必要。」
民間議員から、「ジェネリックの利用率が1割以下のところもあるが、8割のところもある。よいベンチマークのところに合わせる取組や、支出の多い自治体で数値目標をつくる取組などの推進について、厚生労働省の検討を求めたい。」
新藤大臣から、「ICT化で重要なのは、フォーマットの統一である。石巻市、和光市など優れた取組が行われている自治体はあるが、フォーマットが統一されていない。統一化の方向性を示すことが重要である。」
麻生大臣から、「膨大なレセプトデータを利活用する鍵は、それを整理するソフトを提供できる人材が確保できるかどうかということ。本日、民間議員から提案のあった薬価について、毎年、市場実勢価格を予算に反映させることについてはよく検討していかなければならない。また、特別養護老人ホームの収支が黒字である一方、常勤の介護職員の賃金が低いとの指摘などもある。こうした点について、27年度予算編成の重要課題として取り組んでいくことが必要。」
特別養護老人ホームの収支は平均して9.3%の黒字である。配当するわけにはいかないので、それが蓄積されている。施設の更新のための費用等の蓄積もあるのでしょうが、それにしても介護現場の職員の賃金が低い。収益が1割近く上がっているのに賃金が低いという状況を踏まえると、収益を賃金に還元すべきではないか、という提言だと思います。
田村大臣から、「ジェネリックを使用すると点数が加算されることになる。今年度からジェネリックの使用率を60%まで上げないと減算される仕組みを入れた。これから使用率が上がってくると思う。」
現状では日本は約40%でありまして、各国平均は約60%、高いところは約90%というのがありますが、各国平均に照準を合わせて、そこまで上げないと減算される仕組みということであります。
田村大臣から、「民間議員から指摘のあった病床数の見直し、在宅医療の充実、レセプトデータの活用等にも取り組んでいきたい。活用のノウハウがある企業の話も聞いて研究をしたい。」
私から、「レセプトデータの活用は、マイナンバー制度導入でやりやすくなるのか。」
田村大臣から、「なくてもできるが、もっとできることは増えるであろう。」
最後に総理から発言がございました。ポイントを御紹介いたします。
「本日の民間議員からの提言を踏まえ、引き続き、諮問会議で議論を深め、社会保障を安定させ次世代にしっかり引き継ぐための骨太な方針を掲げてほしい。ICTによる地域横断的な医療・介護情報の活用については、国や都道府県ごとの医療費の水準のあり方を含め、社会保障・税一体改革担当大臣において、その具体化に向けた検討を進めていただきたい。」
以上を踏まえ、私から、「次回の諮問会議では、引き続き主要な歳出分野の重点化・効率化について議論を進めてまいりたい。」と発言しました。
以上です。

2.質疑応答

(問)総理から、今日、労働時間の新たな制度について検討する姿勢が出たと思うのですが、こういったことを導入、変えることによるメリットと、これがどう経済成長に結びついていくのか、大臣のイメージを聞かせていただけますでしょうか。
(答)いわゆるBタイプというのは、例えば金融のディーラーみたいな、およそ時間と賃金が全くリンクしていないというか、時間管理でやると迷惑な話だと働く方が言われているようなところであります。これは、コストパフォーマンス、効率性を高めていくために本人の働き方を重視する成果型に極めて合っているのではないかというふうに思います。Aタイプにつきましては、現状でフレックスタイム制等はありますけれども、使い勝手を良くしても、その限界があるのではないか。キャリアパスの中でフレックスタイムが定着し得るかどうかということもあろうかと思いますし、まず組合ときちんと了解がとれる本人の意思、それから、自分で時間管理ができない新入社員は外すとか、それから、その大前提としてブラック企業の退治をする、ということの下に、働く側の利便性を高める、それがすなわち働いてもらう方にとっても優位に反映される、そういう働く方の選択肢という点から模索をするという民間議員からの提案だというふうに思っております。厚生労働大臣にこれを検討してもらいますが、まだ今日初めての提案でありますので、少し承って検討してみたいとのことでした。
それから、フレックスタイム制の拡充でできるのか、できないのか、フレックスタイム制とどこが違うのか等々ですね。あるいは従来言われたホワイトカラー・エグゼンプション、悪名高くなってしまいましたけれども、それとどう違うのかをしっかり示して、そういう中で新しい働き方の選択肢というものを検討してもらいたいということでありました。これはもちろん働く方にとっても、働いてもらう方にとっても効率的な働き方ができるということであるならば、生産性向上にも当然資するものというふうに思っております。
(問)少しお話の中であったのですけれども、労働時間制について、新しい仕組みを導入しようとされている職種とか業種とか業態について、今の時点でイメージがあれば教えていただけますか。
(答)Bタイプというのは当然高いスキル、それから自由な働き方、時間と賃金がリンクしていないということで想像していただくのがよいかと思います。Aタイプというのは、特に業種指定ということではなくて、業種横断でこういう働き方をしたいと、子育てあるいは親の介護によって時間と仕事という関係をきちんとリンクできないような人は、それによってキャリアパスも失われてしまう。要は、そういう働き方が現状ではどうしても非正規化への道をたどってしまうことになってしまうとか、正規社員で通したとしても、キャリアパスがしっかり得られないで、将来幹部職員になっていくという道が劣後してしまうというようなことがあってはならないということだと思います。
(問)そうすると、通常の、例えば営業職であるとか、そういった方が使うような可能性というのはあるのですか。
(答)民間議員の提案は、従来のこういう職種限定ということではなくて、従来よりは横断型という発想だと思います。その中で、全ての大前提にブラック企業の退治ということがあります。その上で、本人が希望すると、その前段に組合とのきちんとした合意がある等々ですね。それから、自分で時間管理というのがなかなかできない新入社員については、もともとあらゆる業種も省いた方がいいのではないかということ。それから、その方式をとってうまくいかなかった場合は元に戻れるということ等々で、かなり職種横断での検討というふうに民間議員から提案されていると理解しています。
(問)麻生大臣の提案についてお伺いします。医療費の支出目標の設定を提案されたかと思いますが、これについて反対若しくは懸念する声があったのかということと、政府として実現に向けて検討していくのかについてお考えをお聞かせください。
(答)財務大臣として財政の持続性の視点からの思いも込められておっしゃったのだと思います。これについて、そこの部分だけの反論というのはなかったと思いますが、ただ、それは結果として医療費が削減されるものであって、安倍内閣においては、昔の小泉内閣のように、最初から何割カットありきということではなくて、システムの効率化を上げることによって、つまり見える化を図ることによって、重複や無駄が全部見えてくる。効率的な医療の在り方が見えてくるし、あるいは事前予防、こういう状態が続いていると成人病になって、これが医療費増大のもとになるとか、そういう原因結果がみんな見えてくるわけですね。見えてくる中で適切に対処するということで、結果として削減されるというふうなものであると思います。
(問)同じく経済財政諮問会議の部分ですが、社会保障の民間議員ペーパーの方で前回に引き続いて薬価のことについて触れられていますけれども、ここで統計の品質改善にもつながるみたいなことが書かれているのですけれども、ちょっとどういうものなのかよく御説明いただければと思うのですけれども。GDPの中の統計については甘利大臣も御所管だと思いますけれども、何か御対応を考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)薬価は当然デビューから年数が経つにつれてコストが下がってくるわけであります。2年に1回の改定でその差が当然出るわけですけれども、それはもう目まぐるしい経済の変化の中で1年に一度きちんと実勢価格とも調整をした方がいいのではないかと。2年に一度実勢価格と薬価の実際の差を改正していくような作業がありますけれども、これはもっとショートタームでやった方がいいのではないかということではないかと思います。
(問)統計の改善にもつながる。
(答)統計の改善というのは、よりリアルタイムで情報が出るという意味だと思います。
(問)では大臣としてもそういったより短期間に……
(答)それは、落差は放置しないでなるべく短い期間で埋めた方がよいと思います。
それから、今はそうではないのでしょうけれども、かつては薬価のその落差を診療報酬にオートマティカリーに充てるような慣行がありましたけれども、これは双方ともやはり実情をチェックして、プラスマイナスをしていくべきだと思いますから。
(問)労働時間規制のことでお尋ねなのですけれども、Bタイプの方は以前出てきたホワイトカラー・エグゼンプションと似ている感じがするのでよく分かるのですけれども、Aタイプの方がよく分からないのですが。Aタイプの方で使われる労働者ですね、彼らは労働基準法の労働時間規制の適用除外になるのでしょうか。
(答)働き過ぎの防止、つまり総労働時間の上限というのはちゃんと国が指針を示さなければならないと思います。無制限に青天井で働くというわけではなくて。企業側もきちんとその枠内で、それをどう使うかというのは御自身の判断だというふうに思います。
基準法違反になるというようなことがないように、先回りして懸念されるものは手当をしていくということだと思います。その上で、働き手の要望に従って柔軟な対応ができると、つまり、いついつまでにこれを仕上げておけばいいと、それは今やってしまおうと、これから先にやろうと、自分の時間管理の中で行えるということだと思います。
ただ、民間議員提案でまだ検討がこれから始まるわけであります。詳細を民間議員からもまだ伺ったわけではありませんし、厚生労働省もまだ今提案を受けたばかりだから、これを省内でいろいろ検討して、そして省として考え方を示したいということでありました。
(問)そうすると、適用除外されるかどうかというのがよく分からないのですけれども、上限規制の限りにおいて基準法の適用であるというふうにも大臣の話からとれるのですけれども。しかし、時間規制というのはいろいろありまして、例えばこの説明を見れば夜間割増は支払われないというふうに読めるのですけれども。要するに労働時間と報酬は峻別するとありますので、そうなれば労働基準法に書かれている夜間割増なんかは払われないことになると思うのですけれども、それでも適用除外ではないとおっしゃるのでしょうか。
(答)法改正が必要か否かは、これは厚生労働省でしっかり詰めていただきたいと思います。要するに、昼間よりも夜の方で自分は時間管理をしたいという方と、いわゆる一般的に時間と給与が全くイコールという働き方とそうでないという働き方と、そういう選択肢を設けるという発想でありますから。これは残業が何時まではいくら、深夜がいくらというリジッドな働き方というのは給与と時間が全くリジッドにイコールであります。リジッドにイコールではなくて、自分はもっと夜型人間で、そっちで働いた方が効率が上がるという方は、そういう働き方が選択できるということも含めての柔軟性ではないかというふうに理解をしております。
(問)今の質問に関連してなのですけれども。Aタイプのところで今大臣おっしゃった自身の判断ということは当然一つあると思うのですが、それ以外に例えば今日の議論で具体的にこれまで競争力会議で議論されたインターバル規制とか年休の強制取得とか、そういった具体的な議論というのは出ましたでしょうか。
(答)労働条件の総枠決定について、これAタイプのものですね、対象者の労働条件の総枠決定は法律に基づき、労使合意によって行う。一定の労働時間上限、年休取得下限等の量的規制を労使合意で選択をする。この場合においては強制休業日数を定めることで年間労働時間の量的上限等については国が一定の基準を示す、と民間議員提案ではなっています。
(問)金銭救済の仕組みのところなのですけれども。このペーパーの中では労働者の立場から見ても不公正な解雇の横行の歯止めになり得る、労働者の側からいうと非常によいものなのだというふうなことでございますけれども。この金銭救済の申立てをするのは労働者側だけに限るという議論なのか、それとも使用者側にも認めるということなのか。
(答)基本的にお金を払って解雇するのではなくて、労働紛争が起きたときの解決手段として金銭解決ができるという提案です。
この労使紛争に長くかかわった弁護士さんから、実は日本は一番労働紛争が起きたときに、個別の紛争が起きたときにその結末が悲惨な国なのだという指摘があったことを民間議員側は踏まえているというふうにおっしゃいました。紛争解決が御専門のその弁護士さんが調べた結果、日本における紛争システムの解決金額、これは中央値でありますけれども、あっせんは17万5,000円、それから労働審判が100万円だと。裁判でもですよ、これ和解ですけれどもね、300万円だと。中には払われないということもありますよ。それは労働紛争の解決結果としては、日本は一番対応ができていないのではないかと。基準がきちんと外国ではできて、紛争の金銭解決というのはどこの国にもほとんどあります。その水準がはるかに高いということなのですね。でありますから、そこはきちんとある程度の基準をリードしていくようなことが必要なのではないかと。一方で、大企業では勧奨退職等々でものすごい金額が乗っけられて払われると。この格差はちょっと大き過ぎるというような問題提起でした。
(問)今の話、労働側にとってそういう主張をするメリットはあると思うのですが、これはこの金銭解決の申立ては使用者側もできるという前提の議論だったという理解でよろしいですか。
(答)民間議員からの提案は、現段階では申立者あるいは申立手続を含めた制度の詳細についてまだ検討しているわけではないということです。少なくとも解雇を増長するような制度ではなくて、労働者の適正な保護、それから対日直接投資促進といった観点を踏まえた検討をしていくということであります。

(以上)