第5回記者会見要旨:平成26年 会議結果

西村内閣府副大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年4月16日(水曜日)19時24分~19時46分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階講堂

1.発言要旨

先ほど会議が終わりましたので、その概要を申し上げます。
今日は甘利大臣が欠席されましたので、菅官房長官が会議の進行をされました。
一つ目の議題、諮問会議と競争力会議の合同会議として、産業構造調整について議論を行いました。
まず、諮問会議の小林議員から、資料1に基づいて、付加価値生産性の向上やイノベーション創出に向けた課題について説明がありました。
次に、競争力会議の榊原議員から、資料2に基づいて、科学技術イノベーションの創出について御提案があり、その後、私から資料3に基づいて、甘利大臣が取りまとめられました我が国のイノベーション・ナショナルシステムの改革戦略について説明いたしました。
続いて、競争力会議の坂根議員から、資料4に基づいて、起業・創業の推進に向けた視点についての御提案がありました。その後、茂木大臣から、資料5に基づいて、ベンチャー創造の好循環の実現について説明があり、麻生大臣から、資料6に基づいて、中長期の民間資金活用についてそれぞれ説明がありました。
その後の意見交換における主な議論を御紹介します。
民間議員から、「企業の事業再編が必須である。しかし、過剰設備、余剰人員の整理をしなければならない。そこにセーフティネットが不十分。再編推進のため、独禁法の運用等の規制改革、ゼロサムでない法人税減税等をお願いしたい。」
民間議員から、「甘利プランにあるとおり、イノベーション推進のためにも大学改革が重要との指摘は大事である。やる気のある大学に資源を重点的に再配分し、既得権を切り崩し、改革を断行すべきである。今国会提出の関連法案で終わらず、更なる法律改正を視野に入れた改革に取り組んでいただきたい。」
民間議員から、「民間がリスクマネーを出していかない。5年程度は産業革新機構が中心となって出資し、その後5年間はベンチャーキャピタルに任せていく。この間にベンチャーキャピタルを育てていく。日本はROEが低い。得意分野に集中すれば収益も上がる。スピンオフ、カーブアウトも重要で、機関投資家がもの言う株主となってROE引上げ圧力を高めていくべき。」
民間議員から、「ベンチャーは大企業の人材、資金、組織力が補完して成長する。効果的な民間資金の供給、特にエクイティが重要である。配当、売却益に関する税制優遇を検討すべき。」
山本大臣から、「甘利プランは重要な政策プランであり、引き続き総合科学技術会議で議論を進め、科学技術総合戦略に反映し、再興戦略の改訂に盛り込んでいきたい。イノベーションに関する中長期的な投資が重要であり、その観点から、経済財政諮問会議と総合科学技術会議で連携したい。」
下村大臣から、「大学改革の推進について、今国会に大学改革の法案を提出する。競争的資金の改革や、研究開発法人と大学の兼職を可能とすることなどにより、研究開発法人がハブ機能を果たしていくことを提案している。」
茂木大臣から、「大企業も含めたベンチャー創造協議会を創設する。政府調達におけるベンチャー活用、税制を始めとする制度改革、意識改革、起業家支援のため、小中学校からの起業家教育や表彰制度も検討したい。」
二つ目の議題、合同会議として社会保障制度、健康産業について議論いたしました。
まず、諮問会議の伊藤議員から、資料7に基づいて、社会保障の充実と経済成長の両立や、医療介護費の適正化について説明がありました。
次に、競争力会議の増田議員から、資料8に基づいて、非営利ホールディングカンパニー型法人制度の創設、健康増進や予防へのインセンティブ付与、保険外併用療養の拡大などについてのご提案がありました。
続いて、田村大臣から、資料9に基づいて、非営利ホールディングカンパニー型法人制度の創設、保険外併用療養の見直し等について、茂木大臣から、資料10に基づいて、公的保険外のサービス産業の活性化について、それぞれ説明がありました。
その後、意見交換を行いました。主な御意見等を紹介いたします。
下村大臣から、「岡山大学の大学病院を別法人化し、近隣病院を統合する提案は意欲的なものとして評価したい。解決すべき課題として、大学における教育と治療の一体性をどう担保するか、別法人化の法人形態をどう考えるかなど、岡山大学の意見を聞きながら検討したい。構想の実現に向けて努力していく。」
麻生大臣から、「諮問会議議員の、医療費の効率化に関する提案は重要な指摘である。次回の諮問会議で私からも提案を行いたい。」
民間議員から、「2割の重症患者が8割の医療費。慢性期となって症状が悪化しないようにするマネジメントが重要である。地域間の医療体制の改革をお願いしたい。」
新藤大臣から、「医療福祉のICT化については、共通基盤を作って参加を募る形にしなければならない。医療・介護ICTの共通基盤を作ることが大事。」
民間議員から、「「健康経営」というキーワードが重要で、国家戦略として広めていくべき。「健康経営銘柄」をつくり、年次報告に記載していくことも重要である。また、企業が健康経営で工夫できるよう、健保の健康保険料の自由度を高めてほしい。この分野は、健康管理士など女性の社会進出にもつながる。」
民間議員から、「規制改革会議では、保険外併用療養について、「選択療養」の提案を行った。困難な病気と闘う患者のニーズに迅速に応えるものである。本日も会議を開催し、安全性・有効性や患者への情報提供の在り方について議論した。今後更に議論し、厚生労働省と意見交換をしながら、会議の答申に提案を盛り込んでいきたい。」
民間議員から、「健康・予防のインセンティブの議論は重要である。そのベストプラクティスの表彰、周知も考えていただきたい。医療・介護事業者の生産性向上について、国立病院はDPC、いわゆる包括払いのデータ分析を通じて経営効率化の努力を行っているが、自治体の病院にも同じようなコンセプトを適用すべき。また、介護保険において、要介護度を下げていくインセンティブが働く制度を検討していただきたい。」
民間議員から、「医療の非効率性を減らして質を上げていくためにも、過剰な入院・投薬等を減らしていく必要がある。自己負担の在り方、特に高収入の高齢者、ジェネリックを使わない方の自己負担の在り方を検討していくべきである。」
田村大臣から、「保険外併用については方向性は同じで、必要としている患者の方が保険外併用療養費制度の中で迅速にアクセスできるようにしていきたい。医療費の削減については、厚労省健康づくり推進本部で予防・健康管理プランの検討をしており、その中で医療・介護費の削減ができるように検討している。」
稲田大臣から、「規制改革会議で検討している選択療養は、治療を必要としている患者のため、保険外併用制度の中の一制度として提案している。具体化のための検討を続けている。前向きで積極的な対応をいただくようお願いをしたい。」
合同会議の最後に総理から発言がありました。御発言のポイントを御紹介いたします。
「新陳代謝、イノベーション創出、リスクマネーの供給が大事であり、起業・開業のワンストップ化、イノベーションの競争力強化につなげていくシステムの具体化等について案をまとめてもらいたい。公的保険によるサービスの合理化・効率化とともに、保険外サービスの活性化を図ることが重要である。また、本日の提案を踏まえて、1番目に、保険者の収支改善努力と個人の予防・健康増進を促す仕組み、2番目に、大学病院の別法人化を含めて医療介護サービスを効率的・総合的に提供する新たな法人制度の実現方策、3番目に、困難な病気と戦う患者の方が未承認の医薬品等を迅速に使用できるように、保険外併用療養制度の仕組みを大きく変えていくための制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてほしい。医療・介護情報のICT化の利活用を含めて、社会保障給付の一層の合理化・効率化について次回の諮問会議でしっかり議論してもらいたい。」
以上を踏まえて菅官房長官から、「関係大臣にしっかりと取組を進めていただきたい。」という発言がありました。
それから最後に、経済財政諮問会議を開催いたしまして、経済の好循環の実現について議論を行いました。
米倉経団連会長から資料11に基づき説明があり、その後、三村日商会頭から発言があり、それから古賀連合会長から資料12に基づいて説明がありました。その後、意見交換を行い、以下の御意見がありました。
米倉会長から、「ここ数年と異なり、多くの企業が定期昇給に加えてベースアップを実施している。今回、賃金の引き上げ額が7,000円を超えたのは16年ぶりの高い水準である。ボーナスについても、昨年を上回る水準や満額回答が目立っている。持続的な経済成長の実現に向けては、外国企業とイコールフィッティングでビジネス展開できることが重要であり、法人実効税率の引下げや大胆な規制改革に取り組んでほしい。」
三村会頭から、「賃上げの傾向は中小企業にも広がりつつあるが、先行きに対する懸念もある。ただし、4-6月期の落ち込みも全体の勢いの中で吸収していけるのではないかと思っている。先行きに対して安心できる経営環境を整えるべく、政府として価格転嫁対策などに引き続き取り組んでいただきたい。」
古賀会長から、「現在までの春闘の状況については、賃上げが多く見られる点で今後につながる成果と認識をしている。ただし、中小企業や非正規労働者において更なる底上げの実現が必要である。来年、再来年も継続的な賃上げが重要である。3点申し上げる。1点目が、雇用不安、将来不安を払拭するために、規制緩和について慎重な議論をお願いしたい。2点目、能力開発、職業訓練、非正規の均衡・均等待遇が重要である。3点目、政労使の共通認識で示された中小・非正規についての取組や生産性向上についての取組についてフォローアップ・継続的な議論が必要である。」
民間議員から、「今般の賃上げは、一時金について単純計算すれば、年収を約3.4%押し上げる効果がある。政労使の取組は、労使双方の意識を大きく転換したという点で評価できる。今後、政労使合意に盛り込まれた様々な取組を経済財政諮問会議でフォローアップしていくべきである。加えて、持続的な経済の好循環を実現するための賃金の在り方等、双方にとってメリットのある新しい労働市場・労使関係を築いていけるよう、必要な取組について労使が真摯に議論をすべきだ。」
茂木大臣から、「経済産業省としても賃上げ状況の調査を行っており、中間的に集計したところによると、昨年のベースアップ実施率が約8.6%であったのに対して、今年は4割を超える企業からベースアップを実施したと回答を得ている。明らかに賃上げが実現していると見て取れる。来月にもこうした数字を公表したい。更に、7月頃には中小企業・小規模事業者に対して賃金動向についての調査を行い、その結果を公表したい。」
田村大臣から、「政労使の共通認識等を踏まえ、労使間で真摯な議論が行われ、このような賃金上昇の動きが出ていることを歓迎したい。非正規雇用労働者のキャリアアップなど好循環実現のための環境整備に取り組んでまいりたい。」
麻生大臣から、「政府としても所得拡大促進税制等の政策を打ち出したが、アベノミクスにとって今年は正念場である。持続的な好循環の実現に向けて、気を緩めずに関係者それぞれの努力が重要である。」
民間議員から、「物価を持続的に上げていくためにも、また経済成長の関連からも賃金上昇は不可欠である。この好循環のメカニズムが続いていくよう経済財政諮問会議でも引き続き取り組んでいきたい。」
最後に総理からの御発言については、ポイントを申し上げます。
「これまでの安倍内閣の取組に呼応して、大企業から中小企業に至るまで含めて「賃上げの風」が吹き始めたという手応えを感じている。現在、労使の交渉が進められている企業においても、企業規模や雇用の形態を問わず、更なる賃上げの動きが広がっていくことを強く期待をしている。今後、我が国がデフレ脱却と経済再生を果たすためには、賃金上昇を定着させて、持続的に経済の好循環を実現する必要がある。労使の引き続きの御努力に期待をしたい。政府としても全力で環境整備に取り組んでまいりたい。」
以上を踏まえて、菅官房長官から「政労使の共通認識には、賃上げ以外の様々な取組についても盛り込まれており、経済界・労働界には、この共通認識を踏まえた主体的な取組をお願いしたい。今後、経済財政諮問会議の場を活用するなどして、そうした取組の成果をお伺いしたい。あわせて、本年3月、会議の場で甘利大臣から御提案のあったアベノミクスの成果についてお手元の資料のとおり取りまとめたので、御参照していただきたい。」という発言がありました。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今日、総理から、混合診療拡大に向けた指示が出たと思いますが、改めて、混合診療拡大がどのように経済成長に結びついていくのか、副大臣のイメージを聞かせていただけますか。
(答)まず治療を必要としている患者の方に、出来るだけ早く治療を受けていただくことが大事だと思いますので、必要としている患者の方に治療を届けるという、医療水準の向上の観点からの必要性が一つあります。
他方、新しい薬、未承認薬等が使えるようになりますし、今後、再生医療、医療機器等についても広げていく方向で議論をしておりますので、そういう意味で、医療に関連する分野での新しいイノベーション、あるいはそれが実用化していくという面で大きな期待をしているところです。
(問)今日、社会保障費、特に医療のところだと思いますが、医療費抑制のために、諮問会議の民間議員の方からいくつか提案が出ているもので、薬価の改定を今までの2年置きから毎年やって実勢に合わせていくというお話と、あともう一つ、保険収載を大胆に見直すべきということで、例えば、長期収載品は一定期間後に見直すとか、市販類医薬品の保険の適用除外とか、この辺りについては何かもう少し具体的な議論があって、それに対して厚生労働大臣から何か発言があるのであれば、御紹介いただければと思うのですが。
(答)ここについては特に細かい議論はなく、今後、こうした提案をいただきましたので、厚生労働省がこの提案を受けて検討していくことになると思いますし、今後、諮問会議や合同会議といった場を通じていろいろ議論をしていくことになると思います。
(問)もう一点関連ですが、競争力会議の増田議員からも、医療関係のところで、健康増進にいろいろ取り組んで努力した個人に対して保険料を上げるとか、逆に努力しない人には下げる等、メリハリをつけるという提言が出ていますけど、この点について具体的なものがもしあれば御紹介いただけますか。
(答)先ほど申し上げた中にもあったと思いますが、二つの点で御提案があって、一つは、個人で健康診断、定期健診をしっかりと行っている、あるいは健康管理を御自身でしっかりと行っている人と、そうでない人との間でメリハリをつけて保険料の差をつけられないかという御意見。それから、後期高齢者への負担金について、健康保険組合等で負担をしてもらっていますが、その組合としてまとまって健康管理、定期健診等をしっかりと行っている組合とそうでない組合の間で、既に負担金に若干の差がついていますけれども、これをもっとメリハリをつけてインセンティブに出来ないかという御提案の話がありました。この点については、民間議員からのそうした御提案でありまして、もう既に競争力会議の分科会で相当議論を続けておりますけれども、今後も厚生労働省において検討していただき、更に議論を深めていきたいと思っています。

(以上)