第26回記者会見要旨:平成25年 会議結果

西村内閣府副大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年12月12日(木曜日)17時33分~17時49分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

甘利大臣に代わりまして、第26回経済財政諮問会議の概要について御報告申し上げます。
今日は小林議員が所用のため御欠席でした。菅官房長官が進行をされました。
一つ目の議題に関し、資料1について伊藤議員から説明をいただき、その後、民間議員からいろいろな御意見をいただきました。主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「少し気が早いけれども、来年の骨太に向けてしっかり準備をしていきたい。経済財政諮問会議と産業競争力会議で目標を突き合わせてロードマップをつくり、当該年度の目標を設定しながら対応していきたい。戦略的課題については、エネルギーコスト低減、対内投資促進に向けてメリハリをつけて取り組んでいきたい。財政健全化に向けて、海外の事例を参考に取り組む仕組みを考えることが必要である。」
別の民間議員から、「資料1の参考のファンチャートによって民間機関が経済の先行きについてどのくらいリスクを感じているかがわかり、目安になる。アベノミクスの効果によって、実質GDP成長率に関する民間の見通しは上方にシフトしたが、2014年の物価の見通しについてはシフトが小さく、民間はまだ確信を持てないでいることがわかる。成長戦略を進めていくことで、民間の期待値を上げていくことが必要である。戦略的課題については、「骨太の方針」や「日本再興戦略」で実質2%成長の目標を掲げているが、民間の見通しの平均は1%程度にとどまっており、ギャップがある。そのギャップを埋めていくためには、強い地域経済をつくることに加え、50年先を見据えた人口問題や社会保障への取組、国と地方の関係の在り方の見直しなどが必要である。このことについても諮問会議と産業競争力会議の両者で議論し、この場でも議論していきたい。財政再建の成功例で過去の諸外国の例を見ると、歳出削減6割、歳入増加が4割で進めるのが成功例である。したがって、歳出改革も重要である。1980年代のニュージーランドでは、組織、人事管理の見直しなど、政府全体の見直しが成功した。日本も大胆な改革に取り組むべき。」
二つ目の議題として、「平成26年度予算編成の基本方針」に関し、総理から諮問があり、内閣府事務方から資料2について説明がありました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「アベノミクス予算の特徴をアピールすべき。来年度予算は、民間需要や民間のイノベーションの誘発効果の高いものに施策を集中するというのがポイントである。「新しい日本のための優先課題推進枠」にどのような施策が盛り込まれているのか、しっかりアピールをしてほしい。税収増の使い道について、安易に歳出の膨張につながるようなことは厳に慎むべきである。引き締まった予算編成をお願いしたい。」
別の民間議員から、「成長戦略は、民間の生産性の向上を期待して講じられているが、民間だけではなく政府の側も同様に、効率性・生産性の向上を意識すべきであり、官民が足並みをそろえて、生産性の向上に取り組んでもらいたい。」
別の民間議員から、「アベノミクス効果で実質GDPが4四半期連続でプラスになっている。一方、先日の7-9月期の2次QEでは、民間在庫、設備投資が下方修正された。また、10月の国際収支は経常収支が1,279億円の赤字で、円安による輸出拡大や所得収支のプラス効果が原発停止による燃油等の輸入増加で失われてしまっている。電力供給不安が解消されていないことが民間の設備投資の伸び悩みの一因とも考えられる。来年度の課題は「財政再建」と答える企業が全体の38%を占めるなど、先行きに対する不安が民間の設備投資などの障害となっているのではないか。デフレ脱却を腰折れさせないためにも、「新しい日本のための優先課題推進枠」の内容を精査して予算の重点化を図ると同時に、財政再建に向けて、社会保障、社会資本整備、地方財政に限らず、他の分野においても重点化・効率化を進めて、実効ある予算編成を行ってもらいたい。」
その後、この基本方針案を諮問会議の答申とすることを議決いただき、佐々木議員から総理に答申が手交されました。
最後に総理から御発言がありました。詳細については、内閣府事務方にお問合せいただきたいと思いますが、そのポイントを御紹介いたします。
「「これぞ安倍政権の予算」と言えるようなものにすべく、関係大臣におかれては、この「予算編成の基本方針」を踏まえ、予算編成作業を進めてほしい。アベノミクスを、より強い経済の実現につなげていくためには、経済財政政策運営に当たって、これまで以上に、経済の状況や政策効果のあらわれ方、さらには、先行きの見通しやリスク等について細心の注意を払っていく必要があり、しっかり取り組んでいただきたい。民間議員からの提案にあるように、諮問会議と産業競争力会議の一層の連携のもと、マクロ・ミクロの好循環に向け、分野横断的に取り組むべき課題について議論を深めていってほしい。」
以上を踏まえて菅官房長官が最後締められまして、「「平成26年度予算編成の基本方針」については、この後の臨時閣議において決定する予定である」と御発言があり、続いて行われた臨時閣議において政府として閣議決定した次第であります。
私から少しだけ補足しますと、資料1のところで先ほどの民間議員の御発言にもありましたけれども、「1.アベノミクス効果の波及状況、消費税率引上げの影響の迅速かつ多面的把握~早期把握・早期対処システムの構築~」の2行目で、四半期ごとに「金融物価集中審議等において、定期的に検証すべき」ということが書かれております。「アベノミクス効果の波及状況や消費税率引上げの影響を、より早期に把握して点検すべきである」という御指摘をいただいておりますので、次は来年1月下旬の金融物価集中審議において、以前の諮問会議でも指摘をされた賃金上昇、好循環がどのようになっているのか四半期ごとに見るということになっております。1月下旬、続いて4月末、7月末と、3カ月置きに確認をしていくわけですが、ファンチャートにあるリスク、あるいは期待値が民間のエコノミストの期待値やリスク分析にも影響しますので、それもあわせて四半期ごとの金融物価集中審議の中で点検を行っていく。賃金の上昇、好循環の状況とあわせて民間の期待値、リスクがどう変化をしていくかというところはぜひ点検をしていきたいと思います。
それからもう一点、以前から指摘されております経済財政諮問会議と産業競争力会議の連携について、今年の10月に意見交換を一度行いましたが、年末までにもう一度行いたいと思っています。12月24日を予定しておりますけれども、これも議論を行って双方の連携を強化したい。マクロ経済全体の視点からの諮問会議での御審議、それからミクロ政策についての産業競争力会議の議論、これらを連動、強化させていくということであります。一例として、対日投資促進が日本経済全体、マクロにプラス効果を与える一方で、どういうふうにして具体的、個別的に進めていくのかというミクロの政策。それから地域経済のところで言えば、どう構造転換をして活性化をしていくのかというミクロの政策とそれによって地域が活性化すれば税収が増えていき、地方財政の改善につながっていく。更には国からの交付税の抑制にもつながっていき、歳出抑制にもつながっていく。同じように社会保障制度についても民間活力、民間の知恵を生かして、そうした分野でミクロの政策が実行されれば、結果として社会保障が効率化をしていく。その中で歳出抑制にもつなげていけるという、マクロとミクロのこうした分野についての連携をより図っていくということを進めていきたいと思っております。
あわせて、経済成長率と産業競争力会議のミクロのKPIをもう一度よく精査して連動させていく。KPIを達成することによって経済成長に全体でどういうプラス効果があるのか、マクロにプラス効果があるのかというところも突き合わせを進めるということの御指摘でありますので、これもぜひ双方、両会議の連動を図ることによって、しっかりと整合性もとりながら目標を設定して進めていきたいと思っております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)「予算編成の基本方針」について、診療報酬の国民負担についての表現、診療報酬本体についての表現が党によって、原案に比べると後退したように見えますけれども、これは財政健全化にとってマイナスだと思いますか。その辺り、どのようにお考えでしょうか。
(答)細かい表現ぶりは、与党との調整の中で少し書きぶりが変わったところ、表現を明確化したようなところがありますけれども、「平成26年度予算編成の基本方針」の11ページを見ていただくと、まず「III 予算の重点化・効率化の推進」の3行目で「次に掲げる社会保障、社会資本整備、地方財政に限らず、他の各分野においても」とあって、「重点化・効率化を進め、歳出を抑制する。」ということを、まず明確に全体についての方針として書いた上で、更に「1.主な分野における歳出改革」の「(1)社会保障」についても、「様々なニーズに対応しつつ新たな国民負担の発生を厳に抑制し、効率的に社会保障サービスが提供される体制を目指す」ということを明記しております。したがって、12ページの書きぶりが多少変化し、地域の医師不足など諸問題にも対応しなければならないという現状認識について書いておりますが、全体としては「国民負担の発生を厳に抑制」するということを11ページに明記しておりますので、全体の発想、考え方としては変えていないということであります。また、これも全体を貫く考え方として、2ページの「3.平成26年度予算の基本的考え方」として、「社会保障を始めとする義務的経費等を含め、聖域なく予算を抜本的に見直した上で、経済成長に資する施策に重点化を図る。」ということを書いていますので、全体としての方針は変わっていないということであります。
(問)今の点について補足でお尋ねします。診療報酬について直接書いているところは、表現ぶりが原案から変わっているけれども、全体の考え方、方針としては何ら変わっているところはないというお話でしたが、診療報酬本体については、12ページに「これまでの改定による影響なども踏まえ、適正な評価を行う」とあります。「適正な評価」というのは、何をもって「適正」と考えたらいいのか、これを見る限り非常に曖昧な感じを受けるのですけれども、前回、前々回と民主党政権のときにプラス改定をしているので、今回は引下げの方向でやるというふうに読み取ればよろしいのでしょうか。
(答)これから予算編成の中で最終的な結論を得ていくわけですけれども、「消費税率引上げに伴う医療機関等のコスト増の問題に適切に対応しつつ、新たな国民負担につながらないように努める。しかし、医師不足など地域における医療に係る諸問題に的確に対応しなければならない。」という点。更に「診療報酬本体については、医療費の増加に伴う国民負担の増加を勘案しつつ、これまでの改定による影響なども踏まえて」、これは「相対的に高い伸びを示したこと」と前回書いておりましたけれども、そうした点も含めて、「適正な評価を行う」ということですので、「国民負担の発生を厳に抑制」するという11ページの記載が全体にかかわっておりますから、これを全体の取りまとめの方針として最終的には適正な評価を行うということです。これらのことを総合的に判断して、これから予算編成の中で判断をしていくということであります。

(以上)