第25回記者会見要旨:平成25年 会議結果

西村内閣府副大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年12月5日(木曜日)18時20分~18時40分
  • 場所:内閣府本府仮設庁舎講堂

1.発言要旨

それでは、私から、今日の経済財政諮問会議やほかの会議の概要を説明申し上げたいと思います。
まず、第25回経済財政諮問会議につきましては、伊藤議員、佐々木議員の両民間議員が所用のため御欠席、また菅官房長官が会議の進行をされました。
一つ目の議題として、「平成26年度予算編成の基本方針」に関し、内閣府事務方から資料1について説明がありました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「「第3の矢」の実行本番の時である。投資活動を本格化させる環境整備として、エネルギーコストの引下げと法人税率引下げが重要である。総合科学技術会議が科学技術分野の予算に横串を刺し、かつ、時間軸管理を行うことが必要。社会保障に関しては、新薬創造を成長の柱とすべきであり、新薬開発、イノベーションを喚起する政策が必要。」
また、民間議員から、「1点目には、アベノミクス予算の説明責任と財政の質の向上が大事である。来年度予算の基本的な考え方の柱は三つあり、一つ目は、民間需要や民間のイノベーションの誘発効果が高いもの、緊急性の高いもの、規制改革と一体として講じるものを重視しつつ、真に必要な施策に予算を重点化すること。二つ目に、頑張る者が報われる仕組みへの改革を行うこと。三つ目に、民間活力の活用の促進。この三つに選択と集中が図られているか、関係各省が説明責任を果たすことが重要。また、予算の質の向上を図るためにも、PDCAサイクルの徹底を図っていくことが重要。2点目に、成長戦略の実行が重要である。アベノミクスに国内外の識者やエコノミストなどが大きな期待を寄せる一方、厳しいチェックの目も向けており、成長戦略の実行を政府全体として、加速していくべき。3点目は、地方財政について。「予算編成の基本方針」の中で、歳出の特別枠や地方交付税の別枠加算を見直すこととされており、平成26年度からなるべく早く平時モードに戻していくことだと理解しているので、地方財政構造の歳出・歳入両面からの見直しを是非お願いしたい。」
二つ目の議題として、「好循環実現のための経済対策」の案に関して、内閣府事務方から資料2の説明がありました。その後、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「経済対策がいつ頃から実行され、国民、地域に効果が届くのか予見できるようにすべきである。復興特別法人税の一年前倒し廃止は、経済の好循環実現の観点から歓迎すべきことである。その好循環の状況を四半期ごとの「金融・物価集中審議」でチェックすべきである。特に、先行きをにらんで経済政策を行う、フォワード・ルッキングな政策運営の観点からは、現状だけではなく、見通しのメインシナリオ及びリスクを見極めることが重要である。世界経済をみると、中国経済の減速に加え、新興国がリスク要因として懸念される。また、ユーロ圏もデフレ気味になっているという指摘もあり、リスク要因として見極めていく必要がある。地域の再生のため、地域活性化に向けた環境整備と、頑張る地方が報われる仕組みが重要である。」
また、民間議員から、「法人実効税率の引下げと課税ベースの拡大により、頑張る企業が報われ、内外から投資が行われるようにすべき。これこそがアベノミクス税制にふさわしい。政府は、復興特別法人税の一年前倒し廃止を行った。後は、労使ができることから実行することが大事。」
最後に、総理から締め括りの御発言をいただきました。詳細については内閣府事務方にお問い合わせをいただきたいと思いますが、その御発言のポイントを御紹介いたします。
「「好循環実現のための経済対策」について、関係大臣においては、内外へのわかりやすい発信を通じて、本対策の意義及び内容について周知徹底してもらいたい。また、補正予算成立後、本対策を速やかに実行し、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものにしなければならない。平成26年度予算は、安倍政権となって概算要求から取り組む初の予算であり、経済成長に資する施策に重点化するとともに、消費税率を引き上げる中にあって、歳出の効率化を徹底した質の高い予算にしたいと考えている。経済財政諮問会議においては、経済再生と財政再建を両立させる「予算編成の基本方針」を取りまとめてほしい。」
以上を踏まえ、菅官房長官から、「来年度の「予算編成の基本方針」については、本日の議論を反映した上で、明日以降、与党の御意見も伺った上で、次回の諮問会議において取りまとめ、諮問・答申を行うこととしたい。」
続いて、第11回日本経済再生本部を臨時閣議前に開催し、「好循環実現のための経済対策」を決定した後、この経済対策を閣議決定いたしました。
対策の中身については、消費税率の引上げに伴う駆込み需要とその反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力を底上げして成長軌道に早期に復帰させるということを目的として構成されております。具体的内容は資料を見ていただければと思いますので割愛しますが、競争力強化策や女性・若者・高齢者・障害者向け施策、復興・防災安全対策等を書いてございます。
本経済対策の規模ですけれども、国費5.5兆円程度、事業規模は18.6兆円程度、この経済効果を現時点で概算すれば、実質GDP比概ね1%程度、雇用創出25万人程度を見込んでおります。この経済対策の効果が的確に発現し、消費税率引上げに伴う反動減に適切に対応できるよう、迅速にこの対策の具体化を図ることが重要であるということで、今後、盛り込まれた施策について進捗状況などを調査し、適切に公表していきたいと考えております。
それから、再生本部において安倍総理からは、成長戦略に関して次のような御発言がありました。
「「日本再興戦略」に基づく関連施策を着実に実行していくとともに、さらに成長戦略を強化していくため、来月中に、成長戦略関連施策の「実行計画」を閣議決定し、施策ごとに実施期限と担当大臣を明らかにしたい。あわせて、成長戦略の更なる進化を図るため、来年年央における成長戦略の改定を目指して、「今後の検討方針」を産業競争力会議において取りまとめたい。経済再生担当大臣を中心に、関係閣僚に協力をお願いしたい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)今日発表された「予算編成の基本方針」について、これまでも民間議員の方から、例えば社会資本整備についてマイナスに抑制する必要があるとか、地方財政でも、交付税の別枠加算等について速やかに通常ルールに戻すべきであるという御提言があったと思います。ただ、今回の「予算編成の基本方針」では、それぞれ提言の肝心なところ、例えば社会資本整備については「抑制」という言葉が落ちていたり、地方財政に関して、別枠加算についても「見直す」という少し緩い表現になっているように見受けられます。せっかく民間議員として外部の方をお招きして意見を聞くという経済財政諮問会議の持ち味が少し薄れてしまっているのではないかなという印象も受けるのですが、その点について、西村副大臣はどのようにお考えでしょうか。また、今回の「予算編成の基本方針」に点数をつけるとしたら何点ぐらいとお考えでしょうか。
(答)本日お示しした「予算編成の基本方針」の10ページに「III 予算の重点化・効率化の推進」ということを明確に記載しており、ここにありますように、「裁量的経費、義務的経費を通じて聖域なき見直しを行っていく必要がある。次に掲げる社会保障、社会資本整備、地方財政に限らず、他の各分野においても、重点化・効率化を進め、歳出を抑制する。」ということは全体として明確に書いております。具体的に社会保障については診療報酬の見直しの方針、あるいは社会資本整備については民間資金の活用、それから地方財政については平時モードに戻していくという大きな方向性をそれぞれ書いております。これをベースにこれから与党内で御議論いただいて大きな方針を決めていくことになりますけれども、民間議員のお立場からの御提言を踏まえて、我々としては大きな方針を示したものというふうに考えておりますので、是非与党内でも御議論いただいて、良い形で予算編成ができるようにしたいと思います。
点数は、今の段階では早いので、最終仕上がりのところでもしチャンスがあれば申し上げたいと思いますけれども、是非このような形でアベノミクス予算としてふさわしい予算を作りたいと思います。
(問)経済対策のことでお尋ねしますけれども、来年、特に4-6月は消費税増税の影響で景気が落ち込むことが想定されています。国の歳出5.5兆円規模の経済対策で、西村副大臣のお考えとして十分な手は打てているのかどうかということと、対策の中身がいつ頃から実行されるのか予見できるようにするべきだという諮問会議での御意見があったということですが、この実行がどうなっていくのかということについて、今のところどのような方針でいらっしゃるのかお答えいただけますでしょうか。
(答)民間の経済予測の平均値をとりますと、来年4月から6月にかけて、消費税増税に伴ってGDPは2兆円ぐらい落ち込むのではないかと言われております。その予測を上回る5.5兆円規模で経済対策を行います。更に言えば、ここには入っていない地方交付税交付金の増1.2兆円分や、地方公共団体の裏負担分もありますから、そういう意味では、それなりの規模を確保できたと思っております。したがって、2兆円の落ち込みを上回る対策を打てるのではないかと思いますが、御指摘があったとおり、それがスムーズに実行されないと、まさに4月から6月の落ち込みに対応できないということになります。まずは補正予算を来年の通常国会で早々に成立していただき、地方公共団体、関係省庁にも働きかけをしながら連携をして速やかに実行していく。そして4月から6月の落ち込みに備えるということが大事だと思います。
(問)総理がおっしゃったことを御紹介いただいたのですが、来月中に成長戦略の実行計画を閣議決定して、施策ごとに担当大臣を明らかにしたいという言葉があったそうですけれども、これについて、成長戦略の当面の実行方針というのがたしか出ていたと思うのですけれども、どういうものなのかもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
(答)産業競争力強化法が成立しましたので、これに基づいて産業競争力の強化に資する「実行計画」というものを1月中には作り、その中で通常国会に向けて法案を提出するものはこれとこれ、あるいはこれとこれは関係大臣において実行してくれということを示す。これがまず「実行計画」です。あわせてもう1点総理が言われたのは、来年年央に向けて、成長戦略の改訂を目指して議論をしていく。それが「今後の検討方針」ということでありますので、次期通常国会で扱う分は「実行計画」の中でも決定をして、更に来年の6月に向けた更なる検討を「今後の検討方針」として、あわせて1月に決定をしたいということです。
(問)名前は成長戦略の「実行計画」でよろしいですか。
(答)「実行計画」です。それから、もう一つは「今後の検討方針」ですね。一応そういう言い方をしています。
(問)甘利大臣に代わってシンガポールに行くことが正式に決まりましたけれども、交渉に臨む意気込みを聞かせてください。
(答)甘利大臣からも「譲れないものは譲れないという迫力をしっかり示してほしい」というお言葉もありました。これまで甘利大臣とずっと一緒に交渉に携わってきましたから、大臣の政治姿勢、交渉の姿勢も目の前で見てきておりますので、大臣に代わって行く以上、しっかりと責任を果たしたいと思います。特に国益の最大化ということが一番の大事な点でありますので、交渉して国益を最大化し、そして年内妥結できるように、是非全力を尽くして頑張りたいと思います。
(問)TPPの関係ですけれども、USTRのフローマン代表とは先日お会いしたということですけれども、それ以外の国の担当閣僚とはこれまで面識があるかどうかというのを教えてほしいのですが。
(答)フローマン代表とはアメリカのワシントンでも一度以前にお会いもしていますし、今回、甘利大臣との交渉にも同席させていただきました。そのほかの大臣ともおよそ半分の方とはお会いをしていると思います。個別にお会いしたこともありますし、甘利大臣の交渉や折衝に私が同席したこともあります。あるいは以前から知っている人もいます。
(問)甘利大臣がおっしゃっていた、譲れないぎりぎりのラインというのは、農業重要5項目の関税を守るという、そのラインということでよろしいですか。あと、今回の会合で5項目の扱いまで決まるのでしょうか。
(答)まず、ルールについて、日本にとっては全体的にそんなに心配することはない、むしろ日本は世界の最先端のルールを実行している国だと思います。ただ、これも各国まだ調整する内容は残っておりますので、この点でも日本としてどうしてもだめだというものが出てこないように、それは細心の注意を払っておかなければいけないということが1点。また、農業については5品目に関する国会決議や党の公約もあり、それをしっかりと踏まえて交渉するということが必要であります。これまで甘利大臣からも、安倍総理からも、日本としては譲れない姿勢があるということは、しっかりとお示ししておりますので、そのラインは私が交渉に行っても譲れないラインであることに変わりありませんから、そのことを念頭にしっかり交渉したいと思います。
これは交渉ですから、これからシンガポールへ行って閣僚の全体の会合と、それからバイでも幾つかの会合をやっていくことになると思います。どういう形になるかわかりませんけれども、全体として年内妥結に向けてやっていこうということは、各国とも合意をしておりますし、日米間でも協力し合おうということを安倍総理とバイデン副大統領の間でも合意されていますので、年内妥結に向けて是非努力したいと思います。

(以上)