第21回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年11月1日(金曜日)18時33分~18時53分
  • 場所:内閣府本府仮設庁舎講堂

1.発言要旨

第21回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。概要を御報告申し上げます。
まず、第1の議題として、第4回目となる「金融政策、物価等に関する集中審議」を行いました。
まず、黒田日銀総裁から資料1について、内閣府事務方から資料2について、伊藤議員から資料3について、それぞれ御説明がありました。
その後、議員の方々からいただいた主な御意見は、以下のとおりであります。
まず、民間議員から、「経済状況は改善しているが、デフレ脱却のためには、海外経済要因による影響に注目し、状況別の対応策を考えておくことが重要である。アメリカのQE3のテーパリング(Tapering)、これは金融緩和策の手じまいですけれども、このテーパリングであるとか、債務上限問題による輸出を通じての日本への影響は大きい。政府機関のシャットダウンを通じて、アメリカのGDPも落ちており、他国経済に与える影響も大きい。」
続いて、黒田日銀総裁から、「4月に量的・質的金融緩和を導入したころに比べると、外需は弱め、内需は強めになっており、海外の状況に注目している。金融政策決定会合には内閣府、財務省も参加しており、これからも常日頃から連絡を取り合って進めていきたい。」
麻生財務大臣から、「日本経済はデフレ脱却と経済再生に向けて着実に前進をしてきており、昨日の日銀展望レポートはそのことを確認する内容と受け止められている。できるだけ早期に確実に2%の物価安定目標を達成していただくことを期待している。デフレ脱却のためには、企業収益の改善を賃金の上昇につなげていくことが重要である。資料2の4ページの左下にあるとおり、中小企業で賃上げの動きがあることは非常によいことである。政府としては政労使会議を通じ、足元の動きを経済の好循環につなげてまいりたい。」
続いて、茂木経済産業大臣から、「資料2には、3分の1の企業が賃上げをし、しかも毎月支給をする企業の基本給を上げたとある。地方にも波及するまでに少し時間はかかるかもしれないが、こうした傾向が出てきたことはよいことである。」
続いて、2つ目の議題であります。「来年度の予算編成に向けた基本的な考え方」について議論を行いました。
資料4について、まず高橋議員から説明があり、その後、出席議員の方々から発言をいただきました。
麻生財務大臣から、「来年度予算においては、4兆円のプライマリーバランス改善を図るために、歳出・歳入の両面にわたる取組を進めることが最も重要である。歳出については、まず全ての無駄を最大限縮減し、効率化を図る必要がある。さらに、経済成長に資する分野等に重点化するために、義務的経費も含め、全ての歳出項目について見直しを行い、その財源を捻出しなければならない。いずれにせよ、消費税率引上げに伴い、国民に負担を求める中で、社会保障をはじめ、予算の中身について国民の関心が高まっている中で、国民が納得できる予算となるように厳格な予算編成を行っていく。」
民間議員から、「国会に提出されている成長戦略関連の法案の早期成立が必要である。産業競争力会議、規制改革会議など、ミクロの取組を進める場合、その政策の効果がマクロ経済の動きと整合的となる必要があり、この点を確認する必要がある。もし中長期の目標達成に不足する場合は、追加的な政策を検討する必要があると思う。」
同じく民間議員から、「復興の加速化のところで福島第一原発の廃炉、汚染水対策への支援に取り組むべきと提言させていただいているが、そのためにも除染の問題も含め、国が入った体制の構築が必要であるが、茂木大臣の方で、もしお話しいただけることがあればお願いしたい。」
これを受けて、茂木大臣から、「党からも提言がなされているが、これから住民の帰還を進めていくが、全員が帰還できるわけではない。違う所に行って住むという生活プランを立案していくことも必要だ。また、除染問題などは、全て東電任せというわけにはいかない。東電の側でも、国の側でも、組織体制をしっかり構築することが必要であり、そうした方向で検討中である。」
それから、3つ目の議題といたしまして、「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」の報告書について御議論をいただきました。
資料5につきまして小林議員から説明がありました。その後、出席議員の方々からいただいた主な意見を御紹介いたします。
まず私から、「短期資金を拒否するのではなく、短期資金が集う場であると同時に、中長期の資金も集まるということを目指したい。」
麻生大臣から、「日本も世界一の対外純資産、家計資産を持っているが、マネーゲームではなくて、働くということに価値を置く国なので、それを大事にしていきたい。」
民間議員から、「海外の投資家は日本の企業が海外とイコール・フッティングかどうかに関心がある。」
民間議員から、「アベノミクスが海外でも受け入れられているのは、TPPや農業など変化のスピードが速いことによる。日本が拡大していく中で海外からも集まってくるという国にしていきたい。」
総理から、「日本国民は、新自由主義の下での不安を感じているのではないか。現行のルールの中で日本がルールメーカーとして、専門調査会で提言された世界をつくっていく。強欲を原動力にすると、うまくいかない。本当の価値が何かを国民に示していく。」
民間議員から、「20年から30年先の姿を描いて現在にフィードバックしていくことが重要ではないか。」
同じく民間議員から、「海外支援を例にとると、日本は現地に訓練の仕組みをあわせて残すなど、他国の支援とは異なる。何を残していくかということをルール化していくことなどは、すぐにでも実現できる取組である。」
続いて私から、「目指すべき方向だけではなく、実現の手段についても指摘していただいているが、例えば、NISA(ニーサ)の取組、これは証券版のマル優のような非課税措置ですが、これらなどは株式の中長期保有に資するものと思う。そうしたことをこれからも具体的に施策として少しずつでも仕込んでいっていただきたい。」
最後に、総理からまとめの発言がありました。ポイントだけ申し上げます。
「デフレ脱却については、消費者物価指数のいわゆるコアコアで見ても着実に改善が続いているが、デフレ脱却にはまだ道半ばである。黒田総裁には2%の物価安定目標実現に向け、引き続き御尽力をいただきたい。来年度予算では、成長力強化と税収増を図りつつ、選択と集中、歳出効率化を徹底しなければならない。国の予算は、国民生活に直結するものであり、「これぞ安倍政権の予算」と言えるようなものにしたい。諮問会議において、今後、予算編成の基本方針を取りまとめてほしい。「実体経済主導」の持続可能な経済を実現していくために中長期的な投資やイノベーションが進むよう経済運営に努めてまいりたい。」
以上の総理発言を踏まえまして、私の方から、「次回の諮問会議から骨太方針の具体化のため、来年度予算編成の基本方針の策定に向けて主要な歳出分野の審議を進めてまいりたい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)民間議員から、概算要求から歳出は3兆円を削減するように提案がありましたけれども、大臣自身もこれぐらいの規模感の削減が必要というふうにお考えか。あと具体的にどういう歳出項目を減らしていこうとお考えかをお聞かせいただけないでしょうか。
(答)要求はだいぶ膨らませてあるわけでありますから、それを予算編成でしっかりと落とし込んでいかなければなりません。民間議員からのお話はそのとおりだと思っております。どの項目というのは、まさに聖域なきということになります。そして、予算の中身を成長に資するようなことにシフトをしていく。幾つかメリハリを図っていくためのある種指標というのがありますから、成長に資する方にシフトするとか、あるいは防災に云々とか幾つかの指標がありますから、それらに従ってメリハリをつけていくということ。その中でしっかりと聖域なく見直していくべきだと思います。
(問)民間議員の予算関係の提案で、税収が中長期試算よりも上振れた場合について、安易な歳出膨張にならないよう歳出抑制を徹底し、税収増を更なる赤字削減に回すことで財政再建を進めるべきだというように書かれています。これをこのまま読むと、中長期試算では来年度は国のPB赤字を4.3兆円減らすという形になっていると思うのですが、これを税収が上振れた部分は歳出に回すのではなくて、中長期試算を上回るPB赤字の改善に向けていくという趣旨だと思うのですが、そういった方針でいいのか。それとも成長と財政再建の両立という点からすると、税収が上振れた部分については財政再建計画に沿った範囲内で歳出へ回すという考え方も、恐らく与党の方、いろいろあるのかなとも思います。この点について大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
(答)まず、PB赤字幅をあと2年で半減していくと。その間に約8兆円の調整が必要である。これは、上振れをそこそこ見込んでも、まだ厳しいのだと思います。これは上振れを見込まないと、とてもできないような金額になると思いますし、相当上振れたら、またそれは別ですけれども、そこそこの上振れはPB調整に吸収されてしまうと思います。
(問)確認です。今の趣旨を私なりに理解すると、恐らく中長期試算で書かれている税収の伸びというのも、かなりの税収の伸びを想定していて、そのもとで民間議員ペーパーもできているということなので、今のお話だと、それを上回る税収増は起こることより大きく上回るものはまず考えづらいので、基本的にはここに書かれているような72兆円という形になるのではないかと。そういう御趣旨だというふうに‥‥。
(答)2015年度の赤字半減に至る道のりについて、今、粗々のものをつくっておりますけれども、簡単なことではありません。ですから、プライオリティーでいけば、2015年度PB赤字半減をしっかり視野に入れながら、予算の効率性、コストパフォーマンスを上げていく。これは予算の中身自身を成長に資するような成長型予算にしていくという中で聖域を設けずに、あらゆるものについて無駄の排除、効率化を図っていくということになります。そして、基本はPB赤字半減を目標にやっていくという中で成長をどう図っていくか。これは十分に削減ができて、余力があるほど上振れが伸びた場合に、それは成長、あるいは防災で喫緊の課題のようなところに振り向ける場合も出てくると思いますが、基本は財政の質を良くして成長型の財政にしていくということと、PB赤字半減ということを左右に置きながら成長型予算にして、なおかつ財政再建に資する道筋をつくっていかなければならないと思います。

(以上)