第17回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年8月2日(金曜日)17時52分~18時16分
  • 場所:合同庁舎4号館2階620会議室

1.発言要旨

第17回目の経済財政諮問会議が先程終了いたしました。概要を申し上げます。
本日は、議題の一つ目といたしまして、「「予算の全体像」と平成25年度の経済動向について」御議論をいただきました。
まず、私から資料を説明した後に、諮問会議として取りまとめを行いました。今後の予算編成につきましては、この全体像を踏まえて進めることになります。
次に、内閣府事務方から、「平成25年度の経済動向について」、これは内閣府の「年央試算」でありますけれども、これを説明させました。
その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な意見を御紹介申し上げます。
まず「予算の全体像」について、民間議員から、「アベノミクスの還元税制として、設備投資や所得を拡大する方策について、秋の陣で是非検討していきたいと思う。」
「年央試算」について、民間議員から、「25年度の見通しで当初と大きく変わっている設備投資の数字の根拠と、その後、26年度に持ち直している根拠と政策ツールについて説明をしてほしい。」
これに対して、事務方から、「当初見通しの策定時以降の実績値、各種調査や機械受注の動き等を踏まえたものである。一定の政策効果も機械的に織り込んでいます。」
続いて、茂木経産大臣から、「設備投資を70兆円以上に戻すための対策をとるということ。自然にやって戻るということではない。」
議題の二つ目といたしまして、「中期財政計画の骨子について」御議論いただきました。
まず、内閣府事務方から資料を説明させました。その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な御意見を紹介いたします。
まず民間議員から、「中期財政計画骨子の2ページに、地方の一般財源総額は、2013年度地方財政計画の水準を下回らないようとあるが、骨太の方針の方向性と合っているのか。地方は基礎的財政収支が黒字だが、国の側で収支改善努力の全てをやることにはすべきではない。」
事務方から、「本文作成の際に、それを含めて検討いたします。」
民間議員から、「財政と成長、社会保障制度の相互の関連が重要である。経済は生き物であり、社会保障制度改革をどういうタイムスケジュールで、どういう方向性でやっていくかを示して議論を進めていくべきだ。」
民間議員から、「収支改善努力はデフレ圧力になるので、民間需要が拡大する環境をつくっていくことが重要である。企業や家計に負担を求めるのなら、若者や現役世代に給付が返ってくるようにすべきである。民間投資を促進する規制改革を進めるべきだ。」
議題の三つ目といたしまして、「平成26年度概算要求基準について」御議論いただきました。
まず、麻生議員から資料を説明いただきました。その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な御意見を御紹介申し上げます。
民間議員から、「「予算の全体像」の内容をまず最初にしっかり示すべきではないか。25年度予算額70.4兆円ありきではなく、骨太方針の意思を「予算の全体像」で示すべきではないか。」
麻生財務大臣から、「中期財政計画では収支を目標としているため、従来と異なり歳入が見えないので、○○兆円を現時点で示すのは困難である。しかし、しっかりと意思を示していきたいと思う。」
民間議員から、「地方財政、義務的経費も聖域化しないということ。政策効果のエビデンスをしっかり概算要求時に提出するように、各省にしっかり言うべきではないか。」
茂木経産大臣から、「施策・制度の見直し等で財源の捻出ができるということを図でもう少しはっきり示すようにしてはどうか。」
民間議員から、「優先課題の推進に当たっては、民需やイノベーションを誘発するような政策に集中させる仕組みを検討してほしい。」
新藤総務大臣から、「地方のPBが黒字なのは、地方税に加えて交付税や補助金が入った後なので、国のPBとは異なることに注意が必要だ。地方が元気になることが重要である。」
民間議員から、「国が大変なのに地方が良くていいのか。国も地方も一緒に頑張りましょうということだと思う。」
議題の四つ目として、「経済財政諮問会議の今後の検討課題・取組について」、前回の議論を踏まえ、取りまとめました。
その後、民間議員から、「GDPだけではなくて、GNIも公表すべきではないか。」との意見がありました。
これに対して、事務方から、「今後検討します。」
最後に、総理から以下の発言がありました。
「概算要求基準の設定や中期財政計画の策定に当たっての指針となる「平成26年度予算の全体像」を取りまとめていただいた。来年度の予算編成は、この「予算の全体像」を踏まえて進めていただきたい。また、甘利大臣から中期財政計画の骨子を示していただいた。この骨子に基づいて、来週にも取りまとめてほしい。9月上旬のG20に出せるよう、甘利大臣を中心に、しっかりと作業を進めてほしい。本年後半の諮問会議の進め方については、甘利大臣に取りまとめていただいた今後の取組方針に基づき、進めていく。先の参議院選挙で国民の皆様にお約束したとおり、我が国の津々浦々に至るまで、国民の皆様に景気回復の実感をしっかりとお届けできるように政策の具体化を加速していくので、引き続きよろしくお願いをしたい。」
以上を踏まえまして、私の方からは以下の発言を行いました。
「中期財政計画については、本日の議論、今後の与党での議論を踏まえ、調整し、次回の諮問会議で諮問答申を行いたい。引き続き、関係大臣におきましては御協力をお願いする。概算要求基準につきましては、本日の議論を踏まえ、次回、麻生大臣から更に具体的な案を示していただきたいと思っております。」
以上です。

2.質疑応答

(問)次回の諮問会議で、消費税率を予定どおり10%に引き上げても、2020年度までにプライマリーバランスの黒字化は難しいという中長期の試算が出されるようですけれども、このプライマリーバランス黒字化の目標をどう達成していかれるかというところをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)2015年半減、2020年黒字化という目標に向かって、当面、2015年の目標を達成していくことに全力で取り組んでいきたいと考えております。その後経済がどのように展開していくのか等々を勘案しながら、それから先の目標の達成に向けての絵図をその後にしっかりと描いていきたいと思っております。
(問)3点ほど大臣にお話を伺えればと思っております。
まず1点目は、今回の計画の骨子を見る限り、具体的な歳出のカット策がほとんど入っていないという印象を受けております。G20の財務大臣会合では、信頼に足る中期財政計画を出すよう、注文が各国から寄せられていると思います。今回の計画をもって信頼できる内容となるのか、併せて、具体的な歳出カット策を入れなかった理由は何なのか、大臣のお考えを伺えればと思っております。
2点目は、消費増税をしなかった場合、この計画は達成できるのでしょうか。また、この中で、新規国債の発行額について前年度を下回るという文脈になっていると思います。このためには、社会保障費の自然増1兆円に加えて、国債費の伸び、全てを歳出からカットする必要が出てくると思います。消費増税をしなかった場合もこの計画は達成するというのが政権の意思だと考えてよろしいんでしょうか。
3点目は、重大な危機があった場合は計画を見直すという停止条項が入っていると思います。逆に言うと、重大な危機というのはどういう状況を指しているのか。逆に重大な危機がない場合は、この計画は変えないということでいいのか、お答えいただければと思います。
(答)その3つの点に共通するわけでありますけれども、まず、G20に日本の財政再建の意思をしっかりと示す案を持っていくということであります。財政再建の意思はしっかりと示したいと思っております。どういう方法で到達していくかにつきましては、今後、総理が最終的に秋に消費税の判断をされます。その判断の前段として、有識者には、しっかりと今後の消費税率の引上げ、あるいは引上げの仕方についても、いろいろな御意見を持っていらっしゃる方もいらっしゃいます。その際のリスクをしっかりと分析して、デフレ脱却と財政再建の両立に資する最もいい方法を選択することになろうと思います。つまり、両方にとって一番いい方法ということは、一番信頼に足る方法になります。それを選択いたしますという意思表示をしっかりとしていく。それで、ベストな道についての判断ができた時点で、総理が秋口に判断をされるということになろうかと思います。ですから、消費税を増税しなかった場合、達成できるか云々かという質問とも絡んできますけれども、デフレを脱却し、経済成長と財政再建が両立するベストな道を探るということでありますから、一番いい方法で達成していきたいというふうに思っております。
それから、重大な危機があった場合について。重大な危機、それはかつてのリーマンショックに匹敵するような外的な大きな要因があったときに、消費増税について立ち止まって考えるということは以前から言われているところであります。
(問)今日、初めて中期財政計画の骨子が経済財政諮問会議に示されたということで、財政再建について、いろいろな御意見があったかとは思うのですけれども、特に財政再建は、日銀の金融政策の絡みで、もし再建の道筋がきちんとつかなければ、金利上昇といった懸念もあるかと思います。その点について、日銀の黒田総裁から会議の中で御意見等はあったのでしょうか。
(答)本日の会議で、黒田総裁からの発言はありませんでした。
(問)中期財政計画や「予算の全体像」について、今日のペーパーでは消費税についての判断は先送りになっているのですが、特に民間議員の議論で、消費税に関する議論は何かなかったのでしょうか。
(答)今日、消費税の議論は出ておりません。いずれにいたしましても、近い時点で総理から、我が国が目指すデフレからの脱却、そして経済の成長と財政再建が両立するベストな道について、識者を集めて検討せよという指示があろうかと思います。その中で、相当数の方から御意見を伺う中で、我が国が目指す、そして世界が求める日本に対する期待をきちんと達成をしていく一番いい道、そして説得力のある道が選択できるというふうに思っております。
(問)「予算の全体像」について、前回出された民間議員ペーパーの中には、社会保障と税の一体改革を着実に実施することが重要であるとか、消費税増税についてもかなり前向きな記述があったのですけれども、今回、政府のペーパーには盛り込まれていない背景について教えていただけますでしょうか。
(答)諮問会議の下でベストな道筋を検証していくということになるわけであります。それもあって、こういう表現になったというふうに承知をいたしております。
それから、社会保障制度改革国民会議で社会保障・税一体改革のプランを今まとめている最中でありますので、そこにいろいろ委ねる部分もあろうかと思います。諸々を勘案して、一番いい、そして説得力のある、信頼性の置けるプランができ上がってくると思います。
(問)先程のデフレからの脱却と財政再建が両立するベストな道を今後有識者とともに考えていくという点で、消費増税の部分について、これは、消費増税のやり方についても検討されるということなのか、それとも基本的に消費増税の法律に基づいて、その上で更に何かできることはないのか、ということを検討することになるのか。
(答)まず、広範な識者から話を伺うことになろうかと思います。その中には、いろいろな持論を持っていらっしゃる方もいらっしゃいます。その人の持論に従って、責任ある、今申し上げたデフレからの脱却、経済の再生と財政の再建、それらの道筋がきちんと合うような、責任のあるプランが、それぞれの方から開陳されるであろうと思います。それらをしっかり聴取して、一番説得力のある道を総理が選択されるものと思っております。
(問)少し個人的な話になってしまう部分があるのですけれども、今日、三菱化学さんが、水島コンビナートで旭化成と共同運営しているエチレンプラント2基のうち1基を止めるという発表をなさいました。三菱ケミカルホールディングスの小林社長が諮問会議のメンバーなわけで、これから設備投資をどんどんやっていこうという雰囲気の中で、こうしたことが実際足元で起こるということについて、大臣はどう受け止めていらっしゃるか、率直なところをお聞かせいただけたらと思うのですけれども、どうでしょうか。
(答)個々の会社の行動は、経営判断によるものだと思っております。やはりアベノミクスの中、円安の中でも、業種あるいは会社の事情によって、まだら模様だと思っております。好循環を加速していくことについての要請は、各般の経済主体にしていきますけれども、その中でも、個々の企業の事情はあろうかと思います。そこの部分まであまり立ち入るべきではないとは思いますけれども。
(問)先程の大臣の御発言で、一番よい方法で達成したいというふうにおっしゃられました。確認ですけれども、これは消費増税をしない場合も、この計画は達成すると考えていると理解してよろしいのでしょうか。
(答)識者の方々の中に、そうしなくてもできるという方がいらっしゃるのであるならば、説得力あるその方法を伺いたいと思っております。

(以上)