第15回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年6月13日(木曜日)18時35分~18時49分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

先ほど、月例経済報告等に関する関係閣僚会議と経済財政諮問会議が終了しましたので、その概要を御報告申し上げます。
まず、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要であります。
景気の基調判断は、「景気は、着実に持ち直している」としまして、先月から判断を上方に変更しております。これは、個人消費等の持ち直しに加えて、輸出が上向いてきていること、こうした動きを受けて、生産が持ち直し、企業収益や雇用・所得環境にも改善が見られることなど、実体経済の足取りがしっかりしてきている状況を踏まえたものであります。
先行きにつきましては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現する中で、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続きリスクとなっていることに注意が必要であります。
政府としましては、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けて全力で取り組むため、「再生の10年」に向けた基本戦略を示す、いわゆる「骨太方針」及び「成長戦略」を取りまとめます。また、日本銀行には2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
続いて、第15回経済財政諮問会議の概要を申し上げます。
本日は、まず、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の進捗状況及びこれまでの経済財政政策の成果につきまして、内閣府事務方から、資料1及び資料2に基づいて説明いたしました。
続いて、「経済財政運営と改革の基本方針」について御議論いただきました。
なお、これまで「骨太方針」という仮称で呼んでおりましたが、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」、副題を「脱デフレ・経済再生」とすることで本日了承をいただきました。
まず、前回の会議でお示しした素案からの主な変更点を、西村内閣府副大臣より説明いたしました。その後、本基本方針や内閣府説明を踏まえた意見交換を行いました。
議員からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「「三本の矢」の効き方には時間差がある。マインドが良くなっている効果が剥落する前に、第三の矢の効果を出すことが重要である。成長戦略ではKPIを用いた進捗管理をするということなので、しっかり政策を実現してほしい。「財政健全化には聖域がない」と明記されており、PDCAをしっかり活用してほしい。財政健全化目標については、残高目標が入ったことを高く評価する。目標達成へのより具体的な道筋を示せば安心感が生まれてくる。」
同じく民間議員から、「プライマリーバランスの目標の達成に向けて、事務方には種々のシミュレーション、ケーススタディなど幅広く情報提供をしてほしい。」
同じく民間議員から、「改革の骨格はできた。今後、中長期の経済財政計画として具体化をしていってほしい。税制が重要である。消費税率が上げられ、社会保障負担も増えるので、家計を効果的に支援する税の在り方を検討してほしい。PDCAは重要なので、諮問会議で議論をしていきたい。」
同じく民間議員から、「4年ぶりの「骨太方針」を取りまとめることができたのは、すばらしいことである。今後更に発展、具体化をしていってほしい。財政健全化には、今後もしっかり取り組んでほしい。社会保障制度改革国民会議の議論もあり、しっかりとやっていく必要がある。」
その後、本基本方針案を諮問会議の答申とすることを議決いただいた後に、議員を代表して小林議員より、答申を総理に手交いただきました。
最後に、総理から以下の発言がございました。
「経済財政諮問会議では、年初からデフレ脱却に向けた「三本の矢」の一体的推進について精力的に御議論いただいてきた。まず、第一の矢である「大胆な金融政策」については、日本銀行において、2%の物価安定目標の下で、これまでと次元の違う金融緩和を進めていただいている。この間、諮問会議では2回にわたり金融政策、物価等に関する集中審議を行い、デフレ脱却に向けた取組を検証してきた。第二の矢として、諮問会議での御議論を踏まえ、緊急経済対策を決定し、直ちに補正予算を編成し、早期の効果発現に努めている。現在、その効果が地方にも着実に現れつつある。そして、第三の矢として、日本経済再生本部と諮問会議の連携の下に、昨日、成長戦略が取りまとめられた。このように、諮問会議では、マクロ経済政策を総合的に推進する観点から、「三本の矢」全体について皆様に精力的に議論いただき、長年にわたるデフレからの脱却と経済再生に向けた、4年ぶりとなる「経済財政運営と改革の基本方針」を、本日、取りまとめることができた。この方針では、「停滞の20年」を乗り越え、「再生の10年」を実現していく道筋が明確に示されている。今後、目指すべき経済社会やマクロ経済の姿に向けて、更に政策を具体化していく必要があり、諮問会議にその役割を担ってほしい。」
以上を踏まえまして、私の方から、以下の発言をいたしました。
「緊急経済対策の進捗管理については、今回初めて調査をした地方公共団体実施分を含め、約8割の事業で契約が行われ、事業が動き始めている。さらに、全国各地域で雇用や消費の指標が上昇するなど、経済指標からも安倍内閣の経済政策の効果が現れつつあることが分かった。これからも国民一人ひとりに、経済再生への変化を一層実感してもらえるように、内閣を挙げて政策の迅速・強力な実行に取り組んでいきたい。本基本方針に沿って、また成長戦略を強力に実行することを通じて、政府一体となって早期のデフレ脱却と経済再生を実現してまいりたい。本基本方針の取りまとめに当たって、皆様の御尽力に感謝するとともに、引き続き御協力をお願いしたい。」
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今月、「景気は着実に持ち直している」と上方修正された一方で、足元では、今日、1ドル93円台になったり、株価も800円以上値下がり、不安も広がっているのですけれども、このあたりの差についてはどのように分析されていますでしょうか。
(答)短期的な変化はいろいろな要素があると思います。海外要因で国内の経済指標がかなり振り回されているという感じがいたしますが、これは注視してまいりますけれども、一喜一憂する必要はないと思います。むしろ大事なことは、実体経済を確実に良くしていくことであると思います。実体経済が良くなれば、株価は自然とついてくるという自信を持ってやっていくことが必要だと思いますし、実体経済の指標はほぼ全てで上向いてきておりまして、月例経済報告で景気判断を上方修正したというところでございます。
(問)今、大臣は、ほぼ全ての実体経済の指標は上向いてきているとおっしゃいましたけれども、確かにそういう実体経済への波及は着実に進んでいると思うのですが、今回、月例の中で、「回復」という言葉をまだ使っていないのですけれども、その理由についてお願いします。
(答)もちろん上向いてきてはいますけれども、これが多少の外的要因を受けても堅調に推移をしていくというところまでまだ確認ができていないということもありますし、長引くデフレから今脱却をしつつあるところでありますので、その判断はしっかり慎重にさせていただいたというところであります。
いずれにいたしましても、消費の次にGDPのシェアを占める設備投資、これは下げ止まりつつありますが、まだ止まっているわけではありません。ここでしっかりとした環境を作って消費、設備投資ともども力強い回復を目指したいと思っております。

(以上)