第12回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年5月20日(月曜日)19時29分~19時53分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第12回経済財政諮問会議が終了いたしました。その概要を御報告申し上げます。
本日は、議題の一つ目として、先般の経済財政諮問会議で総理から提起をされました東北と沖縄の将来ビジョンということで、「東日本大震災からの復興、地域活性化について」御議論いただきました。ここでは、臨時議員として根本復興大臣、山本沖縄及び北方対策担当大臣をお呼びし、議論いたしました。
まず、根本臨時議員から資料を御説明いただきました。次に、山本臨時議員からも資料を御説明いただきました。その後、議員の方々から御意見等をいただきました。
主な意見を紹介いたします。
民間議員から、「沖縄について、これまでは本土並みに持っていくという視点であったが、これからは日本のフロンティアになるという視点が重要である。復興についても、我が国の先駆けという視点が重要である。これら二つの取組について国民レベルで吸い上げていくということと、現場主義という視点が重要だ。」
次に、同じく民間議員から、「福島の原発の廃炉、除染について、国が一歩前に出るという総理の発言は心強かった。ロボットによる除染等の研究開発に取り組んで欲しい。」
同じく民間議員から、「現状の復興庁の計画について、もっと加速化して、住民なき復興に陥らないようにして欲しい。基準線量の見直しやホットスポットの除染をして欲しい。農業の工業化を進めるために、農業生産法人の認可基準の見直しなど規制の緩和をお願いしたい。」
続いて麻生副総理から、「沖縄の件で一番大事なことは、沖縄の人が本気になるということではないか。」
続いて新藤総務大臣から、「山本大臣の話にあった海底熱水鉱床は極めて重要である。復興では、新しいイノベーションを入れてまちづくりをする絶好の機会だ。この二つを国家戦略として重視すべきである。」
根本大臣から、「現場感覚を最も重視して新しい時代の先駆けとなるよう取り組んでいきたい。廃炉については、より国が前に出て取り組んでいきたい。高台移転は非常に時間がかかる。加速化するよう今後も制度改善へ取り組みたい。放射線量基準の見直しは、原子力安全委員会で検討作業をしているところである。農業については6次産業化、企業の参入などに取り組んでいきたい。」
続いて山本大臣から、「香港に代わって沖縄をハブ化してアジアにどんどん持っていきたい。そうすることによって日本の農業が強くなる。海洋資源について、是非、戦略特区を考えたいので、バックアップをお願いしたい。」
議題の二つ目といたしまして、「効率的・効果的な財政を実現するための仕組みについて」御議論いただきました。
まず、高橋議員から有識者議員提出資料を御説明いただきました。次に、新藤議員から資料を御説明いただきました。その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な意見を紹介いたします。
民間議員から、「PDCAをしっかりやって、結果的に予算の重点化を図り、費用対効果を高めていくことが重要である。米国の行政管理予算局は、数百人を使って計量的にやっている。義務的経費、裁量的政策のタイプに応じて日本版のPDCAをやって欲しい。」
同じく民間議員から、「PDCAでは目標を変えるべきではなく、PDCAの結果に応じてやり方をアジャストしていくべきだ。」
総理から、「政府は、一旦事業を始めるとやめられない無謬性があるが、人間は間違うこともあるという前提でやって欲しい。」
民間議員から、「本日、民間議員が提出したPDCAの重要対象分野は、内閣として政策の持続性を確保するため意義があるものである。」
新藤大臣から、「1カ所単体ではなく、他の事業と結び付けてやると合理化できる。電子政府、給与計算なども、統合してやるといい。調達については、統一の指標を作ると人件費を入れて60%コストカットできる。これは人手も省けるため。完璧ではなくても、統一した方法で電子化したら、どこまでカットできるか数値で出そうとしている。」
私から、「旅費の話は以前から指摘があったのに、進んでいないのはなぜか。」
新藤大臣から、「今、統一して、27年度実用化をめどにやろうとしている。」
麻生副総理から、「各省庁をまとめて調達しようとすると、大きな企業しか受注できなくなることに注意すべきだ。」
新藤大臣から、「方式は統一するが、それぞれの役所が調達できるようにする。」
議題の三つ目といたしまして、「教育再生について」ということで、臨時議員として下村文部科学大臣をお呼びし、議論いたしました。
下村臨時議員から資料を御説明いただき、次に、高橋議員から有識者議員提出資料を御説明いただき、その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な意見を紹介します。
黒田日銀総裁から、「日本の初等・中等教育はかつて水準が高かったが、受験競争批判とかゆとり教育で水準が下がってしまった。激しい競争をしている韓国、中国、台湾では学力が伸びている。私自身が2年間大学で教えた経験では、日本やヨーロッパの大学は、米国の大学には歯が立たない。特に文系では全く歯が立たない。システムとして、学部長や学長の権限を強化する必要がある。」これは、あらゆることが教授会決定になってしまっていてはためだということですね。
民間議員から、「日本人の自覚、日本の歴史をどう教えるか、愛国心を持ってこの国をどうしていくかという視点が重要である。」
私から、「50人学級から35人学級にしたら成績が低下し、元の50人学級に戻したという事例を聞いた。少人数化にはそれなりのメリットがあると思うが、生徒に自発的な競争心を持ってもらうことが最も重要ではないか。」
麻生副総理から、「教育予算の効率化、重点化については、是非、所得制限を検討してほしい。給付型奨学金については、高校中退者の中で経済的理由によるものがごくわずかであるという事実を踏まえる必要がある。職業教育はうまくいっていて、高専の就職率は高い。国際化をする中では、ゼネラリストではなく専門家を育てるのが大事ではないか。」
民間議員から、「米国や中国では、理数系の大規模なコンテストがあって、互いに競い合わせているが、これを日本に持ってくるのは、競わせないという考え方があって難しいのでは。」
総理大臣から、「その点は改めます。」
文部科学大臣から、「教授会については、法改正によって見直す。日本のアイデンティティについても、初等・中等教育における歴史教育を見直す。少人数学級の事例については、生徒の質が均質な私立学校か、ばらばらな公立学校かによって効果が違うと思われる。所得制限についても、格差を是正する方法を検討する。職業教育の効果が高いことは世の中のニーズに応えているからだと思う。民間議員御指摘の競わせるという点については、総理がおっしゃったように、競わせるという方向で教育を変えていく。」
最後に、「『日本経済再生に向けた緊急経済対策』の進捗状況について」ということで、私の方からお手元の資料に基づき、以下の報告をさせていただきました。
詳細は資料内に記載していますけれども、今回更に各事業が進捗し、地方公共団体分を除き、事業件数ベースで既に78.8%、約8割の事業で民間企業との契約締結等が行われて、実際に仕事が動き始めている。
最後に、総理から以下の発言がございました。
「経済財政諮問会議で私から申し上げた東日本大震災からの復興や沖縄振興に向けた将来像の検討に向け、早速対応いただき感謝します。伊藤議員には、復興推進委員会委員長、沖縄振興審議会会長も務めていただいており、改めて感謝を申し上げます。根本大臣には、早期復興の実現に向けて引き続き対応していただくとともに、山本大臣には、今回御報告をいただいた沖縄科学技術大学院大学を核に、沖縄県民に目に見える形で新しい産業が立ち上がっていくように大胆に取り組んでいただきたい。発信についてもよろしくお願いをしたい。
教育再生は、経済再生と並ぶ最重要課題であります。教育再生の大目標は、世界のトップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障することだと考えております。そのためには、目標を明示した上で成果を評価し、政策に反映することが重要であります。現場の知恵と創意工夫を活かすことにより、教育の質を高めていくことも重要であります。下村大臣には、日本の教育の質を高め、再生するために御尽力いただきたい。
実効性あるPDCAサイクルの確立に向けて、新藤大臣、甘利大臣においては、本日の民間議員の提案を取り込んだ政策評価の改善とPDCAの仕組み作りを早急に進めて欲しい。経済財政諮問会議でも、特に重要な対象分野について取り上げ、今後、議論することとしたい。」
以上を踏まえまして、私の方から以下の発言です。
「教育再生、復興等の議論については、骨太方針の策定に活かしてまいります。総理から指示がありました、効率的・効果的な財政を実現するための仕組みの確立に向けて、新藤大臣と連携をしながら、政策評価全体の質の改善と、重要な対象分野での先導的な取組をしっかりと進めていきたい。」
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)現在、成長戦略で国際戦略特区について議論していると思うのですけれども、沖縄特区の話はその第一弾という受け止めでよろしいでしょうか。沖縄は、これまでも特区としてずっとやられていると思うのですけれども、このところをどう大胆に変えていくのか、お考えを聞かせてください。
(答)国際戦略特区は、今、検討チームで、どういうことをやるかということも含めてスタートしたばかりであります。まだ具体的な箇所を決定したというわけではなく、対象として視野に入れているということであります。総理から、沖縄の大学院大学が極めて優秀な人材が揃っていると、スタッフとして世界から注目されているので、これを核として研究開発の立地拠点等々ですね、今までの取組と違う切り口から深掘りをして欲しいという指示が出ております。
(問)今の沖縄特区に関連してなのですけれども、山本大臣からの提案について、少し資料だけだと分かりにくいので確認なのですが、沖縄イノベーション特区推進本部の創設ということを掲げられていて、その具体的な中身が、沖縄科学技術大学院大学を核とした知的・産業クラスターの形成というような御説明だったという理解でよろしいのでしょうか。
(答)山本大臣の沖縄に対する対応・施策、それを新藤大臣のところで進めているものとオーバーラップするかどうか、まだ決定しておりませんが、山本大臣はこの沖縄への取組を担当大臣として今進めているわけでありますし、それを国際戦略特区の対象として欲しいという要請は当然、戦略特区の議論を詰めていく中で出てくる話だと思っております。
(問)沖縄イノベーション特区推進本部の創設について山本大臣がおっしゃったと思うのですけれども、経済財政諮問会議の骨太の方針でどのように明記なさるのでしょうか。
(答)今申し上げましたように、戦略特区について、今議論が始まったばかりであります。これは、骨太のタイミングでは、対象を全部絞り込んで具体的な箇所を明記するというところまではいかないのではないかと思っております。
(問)戦略特区ではなくて、沖縄振興について何らか明記することはありますでしょうか。
(答)それはございます。
(問)これは、今日、山本大臣が挙げた各項目、OISTとかITとか人材育成というのを明記するわけでしょうか。
(答)具体的にはこれから詰めていきますが、復興並びに沖縄振興について記載していくということは、その方向であります。
(問)PDCAのところで二つお伺いをしたいのですが、民間議員のペーパーの方では、この秋から新しい仕組みを動かしていきたいという御提案があったと思うのですけれども、甘利大臣としては、この新しい制度の時期のめどというのは、大体どれぐらいの時期と見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)民間議員の提案をできるだけ尊重して実行していきたいと思っております。いわゆる個別事業のPDCAについては、事業レビューシートを元に行われています。経済財政諮問会議では、大所のところ、5項目ぐらいが出ています。具体的に申し上げますと、例えば、人材育成とか女性の活躍促進とか健康・医療産業の振興とかIT戦略、それからPFI/PPP、こういう大括りのところについて経済財政諮問会議ではPDCAを回していくという提案がされております。
新藤大臣からは、いろいろな取組への提案が出されておりますので、具体的に実施していく時には、その大括りのところ、それから個別事業ごと、あるいは政策・目的別等々いろいろ連携をとった仕組みを新藤大臣のところでも組み上げていくのだと思います。
(問)その検証している項目については、まだこれから具体的に詰めていくと思いますけれども、基本的には、民間議員の提言を尊重して、成長戦略で掲げられているような重点政策というのはきちんと検証していくということでよろしいですか。
(答)そうですね。
(問)社会保障や公共事業についても民間ペーパーでやっていってはどうかという御提言があったと思うのですが、それについても成長戦略の話をやった後に取り組んでいかれるということになるのでしょうか。
(答)骨太方針では、どこまでフォーカスを絞るか。骨太でいきなり個別項目に具体的にというところまではいかないと思いますけれども、政策分野ごとの重点化、効率化の議論は進めていきたいと思っています。
(問)行政事業レビュー、財務省による予算の執行調査、総務省の政策評価等、政策評価の仕組みというのは今までも幾つかあると思うのですけれども、それに何か足りない部分とか、課題というものがあるから多分新しいものを導入するということだと思うのですが、その現状の制度が持っている課題というのは、甘利大臣はどのように見ていらっしゃいますか。
(答)要するに、政策によっては定量化ができないとか、定性的なものとか理念とか、そういうことでこの評価の対象になっていないか、役所自身がこれをきちんとPDCAを回していないという部分があります。いかなる分野についても政策目標、それに向けたKPI(キー・パフォーマンス・インディケータ)、達成度指標を掲げながら、具体的に達成に向けての進捗状況をきちんと計っていく、それに対する予算の実効性について、いかなる分野でもそれに合った指標を通じてきちんとやっていくことが重要だと思っています。
(問)今の関連なのですけれども、民間議員のペーパーの中で、今後、PDCAサイクルで確認する仕組みを、経済財政諮問会議がイニシアチブをとって行う仕組みを作るべきという提案ですが、これについては、政府の中ではコンセンサスは今日できたのでしょうか。
(答)総務大臣ともよく連携をとってしっかりしたものにしていきたいと思いますし、もちろん財務大臣との連携も必要だと考えております。それは基本的に今日の会議でも確認されているというのが私の理解です。

(以上)