第7回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年3月26日(火曜日)19時04分~19時35分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第7回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。概要を申し上げます。
本日は、まず、日本銀行新総裁の黒田議員の御紹介をいたしました。
黒田議員から経済財政諮問会議議員就任に当たって、以下の御挨拶がありました。
要約してご報告を申し上げます。
「三本の矢で現在の日本経済の課題を克服していくという方向は極めて適切である。できるだけ早期に2%の物価安定目標を達成していくのが日本銀行の使命と考えている。
物価に影響を与える要素は様々であるが、そうした影響に対抗して物価の安定を実現するのが中央銀行としての日本銀行の責任であり、物価安定を達成し、維持することが使命である。量的にも、質的にも、大胆な金融緩和を進め、できるだけ早く2%を達成したい。
機動的な財政政策や成長戦略により、よりスムーズにこの目標が達成できるので、政府のほうでも取組を進めていただきたい。政府としっかり連携していきたい。」
概要は以上でございました。
続いて、「経済財政政策から見たエネルギー戦略について」ということで、佐々木議員から有識者議員提出資料を御説明いただきました。その後、議員の方々から御意見をいただきました。
議員からいただいた主な御意見を御紹介いたします。
まず、民間議員から、「11月にCOP19が開かれるが、前回のCO225%削減の達成は現状では不可能に近いので調整をお願いしたい。」
続いて、麻生副総理から、「エネルギー輸入で経常収支の黒字が大幅に減っているのは国家的大問題である。安価で安定したエネルギー供給は一丁目一番地の重要な課題なので、できることからどんどんやることが必要である。」
続いて、民間議員から、「国債の金利が重要なファクターであるが、思いどおりにはいかない。経常収支の動きは今後も注視していかなくてはいけない。」
続いて、官房長官から、「今の状況の中では非常に効率的な石炭火力を重視すべきではないか。」
続いて、民間議員から、「古い石炭火力を最新のものにリプレイスすれば、CO2も下がり、エネルギー供給量も確実に増えていく。ベストミックスの観点からも非常に重要である。」
続いて、茂木経産大臣から、「現在原発50基が稼働していないことによって、3兆円程度の負担増となっている。原発については安全を確認しないと稼働させないが、安全性を確認したものについては稼働させなくてはいけないと思う。
電力システム改革の提言を踏まえて、早急に電気事業法改正法案を提出し、成立させたい。2020年までに発電から消費の分野まで変えていきたい。実証研究によれば2割程度、消費需要が落ちるという結果もある。当面頼れるのは高効率な火力である。これは環境政策とも矛盾しないのだと考えているので進めていきたい。再生可能エネルギーは、伸ばせるだけ伸ばさないといけないが、規模が小さい上に天候に左右されるので、蓄電池の技術開発も重要である。また、シェールガス革命によって状況が変わってきていることも考慮すべきである。」
議題の二つ目は、「地域活性化に向けて」ということでありまして、臨時議員として太田国土交通大臣をお呼びし御議論をいただきました。
まず、高橋議員から、有識者議員提出資料を御説明いただきました。
次に、新藤議員から「地域の元気創造プラン」について御説明をいただきました。
その後、太田議員から「地域の活性化」について御説明をいただきました。
その後、議員の方々から御意見をいただきました。
主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「国と地方の役割の明確化を進めれば二重行政の減少につながり、権限の移譲が必要となる。その中で一定規模の広域市場が生まれる。道州制をしっかり検討すべき。グローバルな都市間競争を勝ち抜くことが必要という話が国交大臣からあったが、ハブの空港、港湾について競争に負けているのが現状である。公平なものと集中すべきものとを区別することが必要であり、社会資本としては生産に結びつくシナジー創出型であることが必要である。」
同じく民間議員から、「総務大臣の自立分散型エネルギーは鍵になる。これには省庁横断的な努力が必要であり、ビックプロジェクト化できるし、地域の特性も生かせる。是非横断的に進めてほしい。」
続けて、私から、「民間議員から言及のあった沖縄の科学技術大学院大学には、教授や学生、世界から相当すばらしい人が集まっている。こういう人たちがここで学んだ後、本国に帰ってしまわずに、その後、いろいろと貢献していただくためには、例えば、製薬会社の研究所が林立する、あるいは、研究の成果、特許等に関して国際弁護士事務所や弁理士事務所が林立するよう、いわば、この大学院大学を中心としたシリコンバレーのような形になっていくことが必要である。その環境整備を進めるべきだ。」
続いて、麻生大臣から、「経営責任をとれる首長の自治体が元気になる。よくなるところを後押ししてほしい。」
続いて、総理から、「沖縄の大学院大学にはいい人が集まっている。どのくらいの資本を投入したり、規制改革をしたら、先ほどのような集積、そういうふうになっていくか。また、東北の被災地ではどういう核をつくるか、ブランド化を進めるかなど、有識者が知恵を集めて未来の絵図を描いてほしい。」
民間議員から、「未来の絵図を描く努力はしていきたい。国交大臣に2点お願いしたい。
第一に、都市の再生には司令塔として地域の協議会などが再開発を進めるようにする仕組みをつくってほしい。
第二に、地方都市のうち小都市については、周辺地域を含めたゾーンディフェンスが必要である。小都市を含めて政策を考えてほしい。」
国交大臣から、「道州制の仕組みの前に、それを担うエンジンとなる都市がないと、道州制の仕組みだけをつくっても意味がない。」
続いて民間議員から、「地域のイノベーションサイクルをつくるには、金融面で官の役割をはっきりさせることが必要である。総務大臣の説明にあった公共クラウドベースについては、データのオープン化を推進してほしい。」
議題の三つ目は、「『日本経済再生に向けた緊急経済対策』の進捗状況について」ということでありまして、内閣府の事務方から資料を説明させました。その後、麻生議員から以下の発言がありました。
「安倍政権の第二の矢である機動的な財政政策を実効あるものとするためには、緊急経済対策に伴う補正予算を早期に執行することが重要。今回、内閣府においては、補正予算の着手状況を定量的に把握できるよう工夫をしていただいた。今後もこのように国民に分かりやすい形で進捗を管理し、具体的な成果につなげていくことが重要である。」
ちなみに既に着手をした案件は、3月の末、97.6%であります。
最後に総理からの発言であります。
「エネルギーについては、景気回復を確実にすべく、今夏のエネルギー需給対策に万全を期してもらいたい。また、安価で安定的なエネルギーの確保は我が国の産業競争力を確保し、回復の10年を実現するための不可欠の前提である。
このため茂木大臣は、引き続き関係大臣と調整の上、責任あるエネルギー政策の構築を目指す取組を進めてほしい。地域経済が再生してこその日本経済再生、景気回復の動きを地域でも実感できるよう、地域経済の活性化に取り組む。
甘利大臣には、地域の経済団体等から地域経済の実情をよく聞き、きめ細かく対応してほしい。
また、地域活性化については、与党、産業競争力会議でも関連する議論が精力的に行われているところ。こうした議論も踏まえ、関係大臣においては、再度、経済財政諮問会議に報告をしてほしい。特に新藤大臣には地方分権の一層の推進と特区制度の強化・拡充について、新藤、太田、茂木大臣には都市再生への民間の知恵や資金の導入強化について、具体的拡充策を検討してほしい。
黒田新日銀総裁におかれては、本日が初回の経済財政諮問会議。経済財政諮問会議の場を活用し、政府、日銀の連携を更に密接なものとしていきたい。2%の物価安定目標の達成に向けて、しっかりとしたかじ取りをお願いしたい。
また、緊急経済対策の進捗管理については、補正予算成立から約1か月でほぼ全ての事業が着手をされ、40件を超える事業が既に契約を済んで、実際に事業が動き始めている。正に三本の矢の二本目の矢が快調に軌道に乗りつつある。各大臣が責任を持って一層努力をしてもらいたい。」
以上を踏まえまして、私のほうからの発言であります。
「総理からの御指示を踏まえ、早速、地域経済に関する懇談会を行い、地域の経済団体から経済や産業の実情について伺うとともに、収益の改善している企業には、景気回復の動きが地域でも所得や賃金の増加につながるように働きかけたい。あわせて、西村副大臣、山際政務官を地方に派遣をし、直接地方の声も聞かせたい。地域活性化策については、日本経済再生の柱の一つであり、関係大臣と連携をし、産業競争力会議の戦略市場創造プラン及び骨太の方針において取りまとめていく。
黒田新日銀総裁におかれては、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現をし、内外の期待に応えてもらいたい。
緊急経済対策については、各府省において、安倍総理の御指示に基づき、閣僚がリードする進捗管理に引き続き御尽力いただきたい。原則として月に一度、進捗を報告していきたい。
また、前回の経済財政諮問会議における総理からの『回復の10年のシナリオを検討すべし』との指示を踏まえ、次回、デフタ・パートナーズグループ会長兼アライアンス・フォーラム財団代表理事の原丈人氏を招いて、これからの日本が向かうべき経済社会のあり方について議論をしたい。」
以上であります。

2.質疑応答

(問)昨日の産業競争力会議のテーマ別会合と、今日の経済財政諮問会議で、2日連続で民間議員とエネルギー政策について議論されたわけですけれども、政府として最も有益になった意見ですとか、政府として考え方を変えるような点がもしあったとすれば、それを教えていただけますでしょうか。
(答)考え方を変えるとかということではないと思いますが、民間議員から中期、長期も大事だけれども、今をどうするかということもきちんと考えてほしいと。どんな成長戦略をつくってもエネルギーの廉価安定供給がないと、それがリスク要因になるという指摘がありました。
原発については安全第一でありますから、安全性が確認できないものは再稼働はしないと。しかし、安全性が確認できたものについては再稼働すべきというのは、ずっと共通している、産業競争力会議、そして経済財政諮問会議の考え方でありますが、最新鋭の石炭火力は環境にも適合するのではないかという意見が、昨日、本日と強く出ております。官房長官からも磯子の火力発電について、高効率で、本当に環境適合性もかつての石炭火力発電からはるかに進んでいるというような話もありました。
(問)自民党は10年以内にエネルギーミックスのあり方を示すと公約していたわけですが、今日はできるだけ早急に決めてほしいという要望がありました。これに対して政府としてどういうふうに応えていくか、お考えを教えていただけますか。
(答)産業競争力会議や経済財政諮問会議等々、民間議員の方々の御心配は、エネルギーミックスを余り超長期の策定でなくて、ゼロベースでマイナス25%を見直すということの関連もあり、できるだけ前倒しして取り組んでいったほうがいいのではないかという御提言であります。
党で取りまとめましたのは、茂木政調会長の時代でありますけれども、それぞれの電源についての見通しがはっきりしてくるには10年ぐらいを見据えたほうがいいのではないかということでありました。
たしか、3年以内に全ての原発の安全性の確認を終えると。そうすると使えるもの、使えないものが、見通しが出てくると。それから、向こう3年間、新エネを徹底的に推進していく、省エネも進めていくと。そうすると、新エネがどれくらいを担えるかの未来像が分かると。省エネがどれくらいの可能性が見込めるか見えてくると、等々で新しいエネルギーミックスが、見通しが確定してくるのに10年かかってくるのではないかということですが、それをもっと前倒しをできないかという要請であります。
こうした昨日、今日の議論を茂木経済産業大臣のところで受け止めて、可能か、もし可能ならどれくらいのスパンで可能なのか、検討されると思っております。
(問)補正予算の執行状況で、最終的に実施段階、契約済みになっているのは15%になっていますが、これはどういう評価をされていますか。
(答)とにかく、着手をまず急がせました。これがほぼ100%近く、ひと月で着手ができた。これは各方面の努力の成果だと思います。
この進捗管理の中におきましては、単に予算が国から支出されたということだけではなくて、最終的なユーザーといいますか、受注者に渡るところまで進捗管理をしていきます。でありますから、着手ができたのみならず、実際に実施に入ったというところも、しっかりと点検をしていきたいと思いますが、今のところ順調に進んでいるというふうに評価をいたしております。
(問)昨日、今日と、やはり経済成長の面から、エネルギーの安定供給を強く求めるような意見が出ておりますけれども、実際、電力会社のほうの料金値上げとかも相次いでいる中で、こういったことに対する政府側としての受け止め、危機感等というのは大臣としていかが考えられていますでしょうか。
(答)昨日、今日と、民間議員の方からも、かなり危機感が出ております。天然ガスや石油の輸入増が3兆円程度の分、収支を悪化させていると。これが貿易赤字、そして、やがて経常赤字化していくと、今度は国債の信認が不安定になってくると。そうすると財政再建から何から、いろいろなシナリオに全部に影響してくると。もちろん、電気料金の引き上げ等も含めて、産業競争力に関わってくるのではないかと。
ですから、どんないいプランをつくっても、安定供給、できるだけ低廉な価格で、ということが確保されないと空洞化になるのではないかと、いろいろな心配が出てきております。これは、私どももとより、そういう心配をしているところであります。
総理や経産大臣が、エネルギーの調達コストをどう交渉で引き下げるかということにも取り組んでいかれると思いますし、経産大臣の試算ですと、原発が1基動くと500億円から800億円程度の赤字が改善されるというふうなこともありました。
とにかく、安全であるということを早く確認をする必要があると思いますし、安全であるものが動き始めると、それが化石燃料調達のバーゲニングパワー、調達コストを下げる力にもなっていくかとも思います。
ただ、いずれにいたしましても、安全第一は譲れないというところであります。
(問)補正予算の進捗状況について、もう一度教えてください。
まず今回、15.3%の実施にこぎ着けたもの、15.3%ありますが、この契約にまで至らなかったもの、残り85%でしょうか。それはどういうような施策が多いのか。例えば公共事業が多いとか、というものがもし分かればということと。
あと、そういう施策がここまで契約に至らなかった理由というのは、例えば公共事業だったら、入札がなかなかどうだとか、そういう審査に時間がかかったとか、そういうちょっと具体的なことがあれば教えてください。
(答)詳細は事務方から後で説明させます。
(問)補正予算の成立から時間がなかったので、ある意味この結果も、15%でもいたしかたないかなというふうな感じがするのですが、補正予算、財政法からすると、本予算調整後の追加、変更が緊要なときにつくるものということで、それが15%というのは、財政法の趣旨からして、大臣はどのように見ていらっしゃるのか、もう一度教えてもらえますでしょうか。
(答)もともと、選挙という空白期間がございました。予算編成自身がずれ込んでおります。そしてその前に、前政権の時代の7-9のQEの数字が、年率でマイナス3.5%、足元の修正値ではマイナス3.7%でありました。
景気底割れの懸念、そこから当然、補正を組まなければということ、それが政治空白を経て必然になってきたわけであります。暫定予算の必要性も当然出てきたわけでありますので、これは周辺の状況を考えれば、補正を組まずにしのげるという状況ではなかったというところであります。
(問)原発の再稼働の時期について、最も早くて何月ごろというふうに見込んでいらっしゃるのか。この時期を早めるような努力は、政府としてなさっていくのかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)要するに、新基準というか、国際スタンダードに沿った信頼性の極めて高い基準というものも、パブコメ等を経て、たしか7月ぐらいまでかかるのではないかと思います。
それだけの期間必要かという議論は、各方面からいただいてはいますけれども、そこはこういうことでありますから丁寧に出したほうがいい、その後のことも含めていいのではないかと思います。
新基準ができましたら、できるだけ迅速な作業をしていただくと。それから、いろいろな地質学者の英知を広範に集めて、客観的な信頼性のもとに安全度を測っていただくと。それをできるだけスムーズにやっていただくということしか、今のところは、なかなか私の口からは言えないと思います。
(問)今回の経済対策の進捗管理で、大体いつぐらいの時期に実施が100%に近づくとよいというものはありますでしょうか。
(答)予算の空白期、つまり新年度予算成立までの間をできるだけ埋めてもらいたいというふうに考えております。早ければ早いほどよいとしか、まだ言いようがありません。

(以上)