第6回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年3月8日(金曜日)18時57分~19時22分
  • 場所:合同庁舎4号館6階620会議室

1.発言要旨

第6回経済財政諮問会議が先ほど終了をいたしました。その概要を申し上げます。
本日は、まず経済財政政策から見た目指すべき国家像と成長戦略への期待ということで、伊藤議員から有識者議員提出資料の御説明をいただきました。
次に、内閣府事務方から補足説明をさせました。
その後、議員の方々から御意見等をいただきました。
主な御意見を御紹介いたします。
民間議員から、「失われた20年を取り戻すために、回復の10年のシナリオをしっかり示すべきである。成長することによって、財政再建をよりやりやすくなるという好循環を作り出すべきである。実質GNIの持続的拡大、「6万ドルクラブ」の実現といったマクロの目標をしっかりとメッセージとして示し、共有すべきである。10年後、20年後の日本を強くするため、規制改革であるとか人材育成等を今からしっかりやるべきである」。
同じく民間議員から、「骨太方針や成長戦略の策定に当たり、産業競争力会議等とお互いに目指すべきビジョンを共有すべきである。しっかりとして穏やかで国家として自立をする国を目指すべき、しっかりと尊厳を持って成長戦略を断行すべき」。
続いて、麻生副総理から、「日本はこれまでさまざまな課題を真っ先に克服してきた課題先進国である。デフレも早く脱却をしていくべき。守るべきものは守る、変えるものは大胆に変えていかないといけない。日本の強みは団体戦に強いことでもある。いつまでも財政出動を続けられないので、三つ目の矢によって、早く民間に切り替えていかないといけない」。
続いて、民間議員から、「皆が同じようにやるため、過当競争になってしまう。文化国家といった国家ビジョンを皆で共有して、これをベースに官民政が一緒になって、内閣で横串を通して取り組むべきである」。
<ここで事務方が大臣に代わって会議の模様を紹介>
新藤大臣から、「これまで『殖産興業』など漢字4文字の短い文字での国家ビジョンがあった。国民コンペをやり、広く募るという試みがあってもいいのではないか」。
民間議員から、「人口も減少していくので、エネルギー需要が下がっていくというのも示せないか」。
議題の二つ目は、「財政の質の改善に向けて」ということで、臨時議員として稲田行政改革担当大臣をお呼びし、御意見をいただきました。
まず、高橋議員から有識者議員提出資料を御説明いただきました。
次に、稲田臨時議員から行政事業レビューについて御説明いただきました。
その後、新藤議員から政策評価について御説明いただきました。
最後に、麻生議員から予算のPDCAサイクルと行政事業レビュー、政策評価について御説明いただきました。
その後、議員の方々から御意見などをいただきました。
議員からいただいた主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「裁量的経費は今日説明のあった仕組で削減ができるが、義務的経費を削減する仕組を考える必要がある。単年度ではなく、長期的観点が必要」。
民間議員から、「財務大臣にお願いしたい。予算要求を各省から受けるときに、その予算の効果を評価できる統計データを添付させるようにしてほしい」。
総務大臣から、「経常的経費の削減には電子政府が有効。自治体の事務の電子化を進めたい。電子化でどれだけコスト削減ができるか、外部のシンクタンクに調査をお願いすることとしている。自治体の電子化の共通のプラットフォームを今整備しているところであって、被災者台帳システム、メディカルバンクなどを考えている」。それから、統計の関係について、「平成26年度からの次期公的統計整備の基本計画の中に、統計の透明化、オープン化、オンライン調査化などを作業項目として入れていきたい」。
ここで総理から、「ITにはいろいろ問題があるが、政府が一番遅れている。どこに問題があるのかを整理して、工程表を作っていくことが大事である」。
財務大臣から、「定量的なデータを持って予算要求をするのは重要。ただし要求側によく言って持ってきてもらわないと、我々は詰めることができない。電子化はレセプトが重要であり、これで医療コストを大きく下げられるのではないか」。
総理から、「インセンティブがないと進まない」。
甘利大臣から、「医者が大学から派遣されて行った先で、システムが違うことがあると聞いている」。
民間議員から、「民間企業でもいろいろ努力して共通化している」。
経済産業大臣から、「政府と一般の国民の間では、納税と登記が重要。ここに絞って何年計画で何%という形で示してはどうか。レセプトも大事。効果を定量的に求めると、千に三つのような将来有望な事業を採択するのが難しくなる可能性がある」。
財務大臣から、話が戻りまして国家像の話があり、「老人をうまく使うのが大事。元気になれば病院に行かなくなる」。
民間議員から、「今の70歳の歩くスピードは昔の60歳と同じ」という話がありました。
それから、総務大臣から、「老人がタブレット端末で注文を受けて、元気に仕事をしている例がある」ということでございます。
最後に、総理から以下の発言がございました。
「経済財政政策の観点から、目指すべき国家像と成長戦略への期待について、民間議員から提案があったが、これについては成長戦略を議論している産業競争力会議にも投げかけるとともに、例えば『回復の10年』のシナリオといった形で国民に分かりやすく提示できるように議論を深め、骨太方針や成長戦略の取りまとめに活かしてほしい。
政策評価は、政策の効果と質を高めるためのいわば政策インフラ。本日の議論を踏まえ、新藤大臣は規制に係る評価の仕組みを含め、政策評価がよい効果を上げるように検討していただきたい。
電子政府・電子自治体については、これがなかなか進まない要因を明確にした上で、IT担当大臣が中心となって、新藤大臣及び茂木大臣と連携して、早期に効率的で先進的な電子政府・電子自治体を実現していただきたい。
稲田大臣は、本日報告のあった行政事業レビューの効果的な進め方について検討してほしい。
白川日銀総裁におかれては、本日が最後の経済財政諮問会議になると思います。本年1月22日には、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた政府・日銀の共同声明を取りまとめていただいた。これまでの御苦労に敬意を表したい」。
日銀総裁から、「BISの会合への出席など、最後まで職責を果たしたい。日銀は、デフレ脱却に全力を尽くす」。
以上を踏まえまして、甘利大臣から次の御発言がありました。
「経済財政諮問会議と産業競争力会議を担当する大臣として、本日の議論を踏まえ、産業競争力会議にも情報提供をし、成長戦略や骨太方針の策定に活かしていきたい。財政の質の改善のためには、実効性あるPDCAサイクルの構築が重要。政策が経済財政にどのように寄与したかを評価する手法などについて検討したい。関係各省の協力をお願いする。
総理から指示のあった、効率的で先進的な電子政府・電子自治体の実現については、IT担当大臣にしっかり指示をお伝えする。
また、民間議員から提案のあった政策評価に資する統計データの整備と徹底した透明化・オープン化については、新藤大臣、関係大臣と連携し、進めたい。
さらに、私が担当する番号法案については、電子政府・電子自治体の基盤となるものであり、早期成立に努めたい。
また、先般取りまとめた緊急経済対策を、迅速かつ着実に実行するため、お手元の総理指示を踏まえ、進捗管理を進めている。次回、その状況について報告を行うことにしたい。」
以上でございます。

2.質疑応答

(問)民間議員のペーパーで、PDCAの実効性が上がっているとは言いがたいというふうに指摘があったように、この税金の使い方については、昔から、ばらまきとか無駄遣いとか、常々言われています。特に、今回の大型の緊急経済対策にも、ばらまきという声も上がっていると思います。税金をちゃんと経済効果の高いものから優先的に使われていると国民から信頼されるためには、これまでと目に見える形で変えていかなければいけないと思うのですけれども、具体的にどうやっていくかというのを教えていただけますでしょうか。
(答)行政事業レビューということが行われています。この精度を上げて、きちっと政策効果が、しっかり厳しい外部評価も入れて、効果が検証できるようにしていってもらいたいと思います。これは、行革担当大臣や財務大臣、総務大臣等で取り組んでいっていただけるかと思います。
(問)今日の民間議員のペーパー、同じくだりですけれども、とりわけ経済政策に対して、雇用とか所得について目標設定して、どれだけ達成しているかを検証しましょうという提案がありますが、先ほどのお話からすると、これに対しても具体的にやろうというお考えでよいのでしょうか。これから打ち出す経済政策について、雇用ですとか給与等の所得、企業収益などについても効果をしっかり検証できるようにしましょうというくだりがあるのですが、これについて甘利大臣はどうお考えでしょうか。
(答)民間議員ペーパーとして提案されたものについては、取り組めるものは極力取り組んでいきたいと思っております。
(問)資料1-1の民間議員ペーパーで、「成長戦略が前提とすべきマクロ経済的視点から見た定量的目標」とありますが、これは骨太方針並びに新たな成長戦略の中に、定量的目標は必ず盛り込むということなのか、それとも、盛り込むかどうかも含めて検討するということなのか、どちらでしょうか。
(答)今日御提案いただきましたから、盛り込むかどうかも含めて検討させてもらいます。
(問)総理の挨拶の中で、回復の10年のシナリオといった形で国民に分かりやすく提示し、骨太や成長戦略に生かしてほしいという指示があったと聞いていますけれども、その回復の10年のシナリオという形で提示するというのは、具体的にはどういったことをイメージされているでしょうか。
(答)今日、民間議員の方から目指すべき国家像について、いろいろ提出された資料に基づいて議論がありました。先ほど紹介した新藤大臣の四つの文字で国家目標を示すということを民間から募集したらよいではないかというような中で、例えば「失われた20年」に対して「回復の10年」というようなコピーで、国民全体が共有すべき、というような話がありまして、それを総理が引用されたものだというふうに思っております。
(問)そうしたキャッチコピーを、成長戦略の中に盛り込んでいけばよいというような提案の指示でしょうか。
(答)いえ、まずコピーありきではないですけれども、方向性を明らかにして、それを分かりやすく国民が共有できるようなコピーがあれば、一番良いということであります。
(問)「目指すべき国家像と成長戦略への期待」という民間議員ペーパーで一番最初に、これまで成長戦略は幾つもつくられてきたけれども、十分に機能しなかったという前提から書かれているのですけれども、これは民主党政権のことだけではなくて、自民党のかつての政権も含めてという認識だと思うのですけれども、大臣としては、これはどういうふうに受け止めたのかということと、今日は、かつての失敗というか、機能しなかった点について議論があったのかということと、それと、今後、これについて議論をまた改めてするお考えはあるのか、3点、教えてください。
(答)民主党、それから自民党の成長戦略も含めて、失敗とまでは言わずとも、期待された効果が上がっていないということは、事実として受け止めなければならないと思います。そのときに、断片的に一つの対象分野ごとに、ここに対して、例えばバッテリーだとか、あるいは太陽光だとか、そういう個別項目について挙げるのではなくて、目指すべき方向に向かって、その途上にどういう技術があり、どういう製品開発があり、どういう技術開発があるかという形で取り上げていかないと成功しないというような議論でありました。もう、それは既に成長戦略の中で、現状を見つめて課題は何であるか、その課題が解決された姿はどういう姿であるか。そこにたどり着くまでにどういう努力が必要か。その道すがらをロードマップ化するということが大事だということを、産業競争力会議でも言われているわけでありますけれども、同じような指摘だというふうに受け止めております。
麻生副総理からの問題提起も、課題先進国、つまり、日本は課題があるからこそ、それを解決する中で発展してきたと。公害しかり、今でいえばデフレもそうだと。これを解決する、課題があるからこそ解決するソリューションが日本の強みになるというような話と、今日の民間議員のお話、麻生副総理のお話、そして産業競争力会議の話、基本的には一致している話だと思います。

(以上)