第3回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年1月24日(木曜日)19時14分~19時37分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

第3回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしましたので、その概要を申し上げます。
本日は、まず議題の1つ目といたしまして、「平成25年度予算編成の基本方針」について諮問・答申を行いました。その際に、麻生副総理から以下の発言がありました。
簡潔に申し上げますと、財務省としては、この「予算編成の基本方針」に基づいて、平成25年度予算の編成に取り組んでいきますということであります。答申された「平成25年度予算編成の基本方針」については、その後の臨時閣議で閣議決定をいたしました。
議題の2つ目といたしまして、「経済財政諮問会議の今後の検討課題」について御議論をいただきました。
議員からいただいた主な御意見を紹介いたしますと、民間議員からでありますが、「物価上昇による生活への影響について誤解が多い。デフレがなぜ問題か、次回の諮問会議で正面からデフレを取り上げるべきである。社会保障の総額抑制の仕組みについて議論をしたい。自動車重量税を特定財源化するとの報道があるが、特定財源化することで本当によいのか、歳出を硬直化させないようにすべきである」、続いて同じく民間議員から、「安倍内閣の基本方針をしっかりまず掲げた上で議論すべきである」、同じく民間議員から、「エネルギーの安価安定供給の仕組みについての議論は自律的成長の上で重要である。社会保障の効率化が、官・民の負担軽減のため重要である」、同じく民間議員から、「デフレマインドの根底には人々の内向きの姿勢がある。成長戦略により、将来の日本のための投資を促すべき。3本の矢という話があるが、4本目の矢は、財政規律、財政再建に向けた能力・意思・決意を骨太で議論をしたい」と。
ここで、新藤総務大臣からの発言です。「地域活性化のため、地域のイノベーションサイクルをつくれないか。老朽化インフラの補修を含め、新しい計画的公共事業を議論すべきだ」、続いて民間議員から、「地域活性化は、地方財政や地方分権との関係で、縦割りではなく全体的な視点で議論をしたい」。
その後、私のほうから、本日の議論を踏まえて次回の会合で私から取りまとめ案を提出させていただくことについて議員の皆さんの了解と一任をいただきました。
続きまして、議題の3つ目として、「金融政策、物価等に関する集中審議」ということで、まず、日本銀行白川総裁から、金融政策運営や物価の見通しについて、資料2に沿って詳細に説明をいただきました。次に、内閣府事務方から、経済の現状や対策の効果等について、資料3を説明させました。その後、自由討議に入るわけでありますが、その前に私の方から、以下の発言をさせていただきました。
私からの発言。今日は、集中審議の第1回目ということで、検証の視点を提示したい。第1に、日本銀行の見通しでは、2014年度においても消費者物価上昇率は0.9%である。この数字と目標である2%との関係について。第2に、一昨日決定をされた「無期限の資産買入れ」を含めた現在の金融政策と2%の目標の関係についてどう考えるのか、御意見をいただきたい。
その後の自由討議での議論を紹介いたしますと、民間議員から、「エネルギー価格が上昇する中で、コアコアもよく見ながら2%への道筋を考えるべきではないか。日銀が供給した資金が確実に市中に出回るメカニズムを考えるべき。金融面の不均衡のリスク要因を確認するとのことだが、どのように見ていくのかガイドラインが必要である」、同じく民間議員から、「資産買入れの基金の残高は2015年には増加しない点についてどう考えているのか、柔軟に対応するのか。四半期ごとに集中審議でチェックをしていくが、どのような状況になったらどう対応するのか。シミュレーションしながら次のアクションを考えていくべきである」、同じく民間議員から、「2%の達成に向けて、2015年度以降の姿をどう描いているのか。デフレ脱却に向けて動いていることを、企業や家計が実感を持つことが大事。どのような点に注目して見ていくべきか」。
ここで、茂木経済産業大臣から、「白川総裁から、実質無借金の上場企業の割合が4割との説明があったが、だからといって金融緩和をやらなくていいということではない。ミスリードにならないようにしてほしい」。
白川総裁から、「2015年度以降の見通しについては、需給ギャップの縮小が続けば、徐々に物価上昇率は高まると考えられる。日本の過去の分析では、コア物価上昇率が予測力が高いのでコアを使っているが、丹念にいろいろな指標を見ていきたい。企業にお金が流れるメカニズムが重要という点はそのとおり。金融面の不均衡については、突然非連続的に変化することもある。2013年については、50兆円分の資金供給が行われる予定であり、さらにその先についても毎月供給を行うことを決めたというのが今回の決定。茂木大臣の御指摘はそのとおりである」。
民間議員から、「被災地で、人手不足により復興のボトルネックが生じないよう工夫が必要」。
ここで官房長官から、「先ほど民間議員から特定財源についての発言があったが、特定財源化することはない」、麻生副総理から、「バブル崩壊後、企業は利益最大化ではなく、債務の最小化に努めた。2003年頃には企業の債務は大分小さくなったが、その後も設備投資、労働分配率が低迷し、内部留保が増大した。日銀の資金供給だけでなく、企業がどう対応するかが鍵である。企業の対応には、いわば気分によるところがあって、安倍政権になっていろいろ前向きの動きが出てきた」。
民間議員から、「次回、麻生副総理の御指摘されたような点を取り上げて議論したいと思う」。
最後に総理から、以下の発言がございました。
今日は、金融政策に関する集中審議の第1回目ということで、2%の物価安定目標の達成に向けた日本銀行の取組について話を聞いた。2%を一日も早く達成してもらいたいと考えている。大胆な金融緩和を期待している。文字どおりデフレファイターとして、日本銀行が責任を持って2%の目標を達成してもらいたい。そのため、次回の集中審議では、目標達成に向けた道筋をできるだけしっかりと描いてもらいたい。また、昨日産業競争力会議をスタートさせ、矢継ぎ早に行動を起こすと申し上げた。早速、今朝、成長戦略の一丁目一番地の規制改革会議を立ち上げた。明日、全閣僚を集めた日本経済再生本部を開催して、関係閣僚に指示を出す。政府として、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、強力に推進してまいりたい。予算編成の基本方針については、本日これから臨時閣議で決定したい。麻生副総理には、この考えに基づき平成25年度予算編成を進めてほしい。甘利大臣には、本日の議論も踏まえ、これからの諮問会議の進め方、議論すべき主要課題について取りまとめをお願いする。それに沿って、今後諮問会議で議論を進めたい。
以上を踏まえ、私のほうから以下の発言をいたしました。
「平成25年度予算編成の基本方針」については、本日これから臨時閣議で決定する運びである。前回に引き続き御議論いただいた諮問会議の今後の検討課題については、私のほうで取りまとめ、次回の諮問会議で配布したい。今般の政府・日本銀行がまとめた共同声明においては、「2%」の物価安定目標を「できるだけ早期に」達成するとされている。今後も諮問会議の集中審議では、進捗状況の「検証」を通じて日銀総裁に説明責任を果たしてもらい、「2%」に向けた歩みを着実なものとしたい。
続きまして、臨時閣議について御報告を申し上げます。
経済財政諮問会議で答申をされました「平成25年度予算編成の基本方針」を閣議決定いたしました。私の発言は、お手元に配布した資料のとおりであります。総理からは、本「基本方針」は、「金融政策」、「機動的な財政政策」、「成長戦略」の「3本の矢」を一体的に実行し、日本経済再生の実現に向けた取組を強力に推進していくとの考えのもと、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3分野に予算を大胆に重点化することとしている。また、財政健全化目標を踏まえた予算編成を行い、公債発行額をできる限り抑制し、中長期的に持続可能な財政構造を目指す。閣僚各位におかれては、この「平成25年度予算編成の基本方針」に従い、予算編成に取り組んでほしいとの発言がありました。
以上です。

2.質疑応答

(問)金融政策についてなんですけれども、2%の物価目標を盛り込んだ共同声明と無期限の資産買入れで、これで大臣、一山越えたというふうにお感じになっているか、それともまだまだこの2%に向けて、これからどんどん、どんどん金融緩和してもらわなければいけないというふうにお感じになっているか、大臣自身の見方をお願いします。
(答)日銀が主体的に御自身の判断、2%という物価安定目標を掲げ、これに向かって金融緩和をしていくという決意表明をされているわけであります。できるだけ早期にという制約の中で、それがどういうふうに進捗をしていくのか、集中審議の場を捉えて進捗状況を検証し、努力を促していきたいというふうに思っております。目標を掲げただけでは、これは達成したことではありませんから、それに向けてどういう道筋をとって進んでいくのか、それをしっかり検証したいと思います。もちろん政府としてやるべきこと、総理が「矢継ぎ早に」とおっしゃっております。矢継ぎ早に当方もやるべきことをやってまいります。日本銀行におかれましても、是非矢継ぎ早に対応していただきたいと思っております。
(問)二つありまして、ちょっと別な分野なんですけれども、一つは、先ほど大臣の話で、官房長官が「道路特定財源にすることはない」と発言したということなんですけれども、これは、このシンプルな発言のみだったのか、それともほかにもうちょっと何か説明があったのか。それから、税制の議論をどういうふうに諮問会議で取り扱っていかれるお考えなのか、これが一つ目の質問です。
二つ目は、ちょっと分野が違うんですが、無期限の、要するに、金融政策と2%の関係を大臣が議論の論点として挙げられたんですが、目標と手段というのは本当にすっぱり議論として分けられるものなのかどうかというところを、この2点を教えていただけますか。
(答)まず、道路特定財源であります。官房長官はシンプルに、「これは一般財源であって、特定財源化することはありません」と言い切りました。
それから2%目標、どういう手段、ツールを使うかは日銀の独立性に関わることでありまして、これを使えとか、これをこうしろということを申し上げるのは適切ではないと思っております。私どもは、集中審議の場をとらえて着実に進んでいるかを検証し、日銀の説明責任を果たしていただきたいと思うところであります。節目節目で達成に向けての進みを確認をしていきたいというふうに思います。
(問)1問目のほうで、税制の問題を諮問会議で扱うのか、それともどういう議論を進めていくお考えなのか、議論しないのか、するのか、それともどういう手続でやっていかれるお考えなのでしょうか。
(答)予算編成に向けての方針を諮問会議は示すわけであります。その中には歳入歳出片方だけの議論ということではないと思います。もちろん個々の細目、項目について何をこうするという議論ではないと思いますが、方向性は議論をすることはあろうかと思います。今回極めて短い時間の中で党税調の議論が行われました。ここの党税調の議論の中で、既に民間議員から、その税の表現について意見が出たわけでありまして、そこに対して官房長官が明確な答弁をいたしました。これも税の議論の一つだと思っております。
(問)総理のほうから、次回の集中審議で目標達成の道筋を示してほしいみたいな発言があったんですが、それは具体的に何かの計画の提出を求めるとかそういう意味合いなのでしょうか。
(答)今回は目標を掲げて間もないときであります。ある一定のインターバルを経た後にどう進捗をしていくかということは、その間の日銀の努力の成果が反映されるものであろうと思っております。そういった意味で、次のインターバルの間にその目標に向かって近づいていくことの努力を要請したのだと思っております。その成果を是非次の機会に検証していきたいと思っております。
(問)2点、金融政策で伺いたいんですが、一つは、先ほど、手段については日銀に任せるというお話がありましたけれども、民間議員のお話からも、来年以降、再来年ですかね、基金の額が増えないことについてどう考えているかという質問が出たり、先ほど大臣の御説明の中でも、日銀に努力を促しているというお話がありました。細かなオペレーションについて言及しないにしても、目標がいっていないことに対して定性的に追加緩和が必要じゃないかという議論が出ていることは考えられると思いますが、その点は独立性の観点から問題があるのかないのか、どう考えるのかというのが一つと、あともう一個は、先ほど、無期限の緩和について、基金の実際の残高は来年以降は大して増えないということに市場では失望する意見もありますが、この点について大臣はどうお考えなのか、その2点を伺いたいと思います。
(答)具体的なポートフォリオについて何をどうすべきだということは言うべきではないと思います。ただ、日銀が表明している中身の意味ですね、幾ら幾らということに対して、償還が幾らだから実際はこうなんですかというようなことについて、日銀が表明していることについての中身に質問することは日銀の独立性を縛ることではないと思っております。
(問)今日の諮問会議の、あるいは閣議の後に、大臣と総理が話されていたという話を聞いたんですけれども、それは具体的にどういうことなのか、それで明日の朝、日本経済再生本部を開くおつもりがあるのか、それと関連するのかお聞かせ願えればと思うのですが。
(答)昨日、産業競争力会議を開きまして、民間議員の方々から幾つもの提案、問題点の指摘がありました。それを踏まえて、その親会議たる再生本部が明日開催をされます。その再生本部は総理指示があるところでございまして、それを受けてどういう点を総理が関係閣僚に指示をされるか、その確認とすり合わせを行っておりました。
(問)先ほどの話があった規制改革の関連の話、あるいは地球温暖化の温室効果ガスの削減の話、これも入るんでしょうか。
(答)余り今日の中身を披瀝すると、総理大臣のお話しすることが全部一斉に流れるということになりますので、総理から発せられて初めてリリースされるということにさせていただきたいと思います。昨日いろいろ指摘されたことのうち、取りまとめて指示できるものについてはかなり広範にわたって指示が出ると思います。
(問)金融政策の点で質問なんですが、冒頭、大臣のほうから二つの検証の視点というのが出されましたけれども、これについて今日明確な説明責任が果たされたと御理解なのか、又は次回、明確な道筋を示すというときの課題になっていくのかどうか教えてください。よろしくお願いします。
(答)まだこの間の今日でありますからね、この次、一定のインターバルを置いた後、どういう努力と成果が、努力が行われ成果が出てきたのかを確認を是非したいと思っております。
(問)すみません、確認ですが、今日、諮問会議で道路特定財源について総理から何か発言がありましたでしょうか。それだけ確認させてください。
(答)総理からはありません。官房長官からです。

(以上)