第1回記者会見要旨:平成25年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成25年1月9日(水曜日)19時27分~19時53分
  • 場所:合同庁舎4号館2階220会議室

1.発言要旨

本日、約3年半ぶりに再起動いたしました経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。概要について報告申し上げます。
議事に入る前に、まず私から議員を紹介した後、日本経済再生本部との関係などについて説明をしました。
諮問会議と再生本部との関係につきましては、1点目といたしましては、諮問会議は経済財政運営全般に関する司令塔として「基本設計」を行い、再生本部は日本経済再生の司令塔として「実施設計」を行い、政策を具体化させるという関係にあるということ。
2点目といたしましては、相互に問題提起をして密接に連携しながら実効性の高い取組みを推進していくこと。
3点目といたしまして、この二つの組織が府省の壁を超えて強力に司令塔としての機能を発揮していくこと。この3点を申し上げました。
また諮問会議の運営につきまして、議員の御意見や御提案は政府としてすべてしっかりと受け止めて検討し、再生本部等と連携して、できるものから速やかに実行に移していくということを申し上げました。
本日の議題は「当面の経済財政運営について(特に緊急経済対策について)」ということで、まず内閣府事務方から経済の現状と現在策定中の経済対策の骨子について、資料に沿って説明があり、その後、議員の方々からご意見をいただきました。
議員からいただいた主な御意見を紹介いたします。
金融政策については、茂木経済産業大臣から、デフレ脱却に向けて金融政策は極めて重要である。有効需要の創出と成長戦略と併せて進めるべきだ。また、企業の過当競争の問題もあって再編も課題ではないか。
菅官房長官から、日銀法にもあるとおり政府と日銀は連携をしなくてはならない。これを機会にもっと一体となって取り組んで欲しいということであります。
民間議員から、デフレ脱却のために政府・日銀一体となって取組むことが必要である。経済・社会構造変革まで踏み込んで両者にコミットしてやっていくべきであるという発言。
同じく民間議員から、デフレに立ち向かうためにはこの場できちんと討論して、雇用や労使の動きなども含めて総合的に点検をすることが必要ではないかということです。
続きまして金融政策について白川総裁から、アンケート調査結果からわかることは、賃金が上がり、企業収益も増加するなど経済全体がバランス良く改善していくことが重要であり、そうした中で物価が上昇していくことが人々の望むデフレの脱却の姿であるということ。日銀が財政ファイナンスを行っているとの懸念をもたれないように、財政健全化の取り組みも重要であるという発言がありました。
麻生副総理兼財務大臣から、諮問会議の復活によって日銀と対話ができるのが重要である。明確な物価目標の設定を含めた政府・日銀の連携強化の仕組みづくりが重要である。日銀には積極的に対応していただきたい。ただし金融緩和だけでは十分ではなく、機動的な財政政策と成長戦略で実需を作りだすことが重要である。金融緩和とあわせた3本の矢として取り組むべきという発言がありました。
金融政策について、総理から、会議の締めでも発言をするけれども、ここでも発言をするということでお話がありました。内容でありますが、10年以上デフレが続いていて、相当なことをしないとマインドが変えられない。これまでと次元の違う政策によってインフレを起こして成長を高めていかないと、税収が上らず財政再建もできない。日銀総裁とこの場で議論をすることは極めて重要であるという発言がありました。
経済対策について、民間議員からの発言です。金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を互いに関係を持ちながら、かつタイミング良くやっていくことが重要である。今はムードが良いので、これを継続し、財政健全化目標にしっかりと取組んでほしい。公共事業は、成長した国でもインフラ整備がシナジー効果を生んでいる。将来に向けた投資をしていくべきである。
同じく民間議員から。オールジャパンで取組むべきである。「3本の矢」という表現は分かりやすい。オールジャパンがキーワード。
同じく民間議員から。求められているのは市場の変革への期待に応えることである。3本の矢が打ち出されて日本全体が変わっていくという一体感が生まれている。3本ばらばらではなくて三位一体でやっていくべきだ。公共事業中心の経済対策で、もし追加事業がばらまきに終わると市場の期待が裏切られることになる。なぜその事業が必要か。説明していけば政府の信任が高まる。公共投資のあり方を見直すことも必要である。財政出動と健全化の両立、中期の財政健全化プログラムにどう踏み込んでいくかが重要。
財政健全化につきまして民間議員から、健全化目標を含めて議論をしてほしい。
同じく民間議員から、景気対策は財政規律への疑念を呼ぶので、同時に健全化アプローチが必要である。
副総理兼財務大臣からは、大型の補正をやるからには中期的には財政健全化が問題となる。自民党に中期財政目標があって、平成25年度の予算編成からやっていきたいという発言がありました。

本日の議論を踏まえまして、総理からは次のような御発言がありました。
日本にとって最も重要かつ喫緊の課題は経済を再生し、強い経済を取り戻すことである。このために民間から4人の著名な有識者の方々にも議員にご就任いただき、本日、3年5カ月ぶりに経済財政諮問会議を開催することとした。
本諮問会議においては経済財政運営全般に係る重要な諸問題について明確な方針を示す司令塔の役割を発揮していただきたい。日本経済再生の司令塔となる日本経済再生本部と連携し、大きな成果を出してほしい。
今後、諮問会議においては経済再生のための重要な政策課題の議論を進め、年央には新政権としての経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太方針を取りまとめることとしたい。
平成25年度予算については早急に編成作業を行い、財政健全化目標を踏まえ、日本経済再生を実現していく。また、日本経済再生と中長期的に持続可能な財政の双方を実現する道筋を検討していただきたい。
緊急経済対策は、経済再生の第一弾であり極めて重要である。本日の議論を踏まえて、甘利大臣に早急に取りまとめをお願いしたい。
金融政策については、この場も活用しながら、政府と日本銀行の連携を一層深化させていく。本日の様々な御意見を踏まえながら連携を強化する仕組みを構築すべく、検討・調整を進めてほしい。
私は、先の衆議院選挙の期間を通じて、デフレ脱却のため、日本銀行は2%の物価目標を設けて大胆な金融緩和を行うよう訴えてきた。日本銀行においては、こうしたことを十分踏まえた金融政策をお願いしたい。民間議員をはじめ諮問会議の議員の皆様には、国民から見て分かりやすく透明性の高い議論を尽くしていただき、重要課題を突破できる実効性の高い政策を取りまとめていただきたい。

副総理からは次のようなご発言がありました。
日銀総裁、有識者をはじめ議員の皆様と大変いい議論ができた。いただいた御意見を踏まえつつ、緊急経済対策の取りまとめ、平成24年度補正予算の編成に向けて調整を加速させていきたい。また、日銀との連携強化の仕組みについても、本日の議論も踏まえ、甘利大臣とも相談しつつ、日銀と調整していきたい。総理の下で三本の矢にしっかり取り組んでいくことが重要であり、引き続き各位の協力をお願いしたい。

以上を踏まえまして、私の方からは次のように発言しました。
本日の議論をしっかりと受け止め、また与党の意見も踏まえつつ、早急に緊急経済対策の取りまとめを行いたい。
金融政策については、ただ今の総理の御指示を踏まえ、本日の議論も参考にしながら、麻生副総理と一緒に日本銀行との相談を進めたい。
経済再生に向けた取組の第二弾は、平成25年度予算の策定である。次回の諮問会議では、その基本的な方向性について議論をお願いしたい。
また、総理から指示のあった経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太方針の策定に向けて、本日いただいた各議員の御意見を踏まえ、今後検討すべき主な課題について議論をお願いしたい。強い日本経済を取り戻すために、安倍総理の強いリーダーシップの下で、内閣の総力を挙げて経済政策を強力に進めていく所存であります。
私の方からは以上であります。資料について詳細な説明は、後ほど事務方から答えさせます。
以上です。

2.質疑応答

(問)安倍総理が改めて日銀の白川総裁に2%の物価目標の共有を求めていましたけれども、白川総裁はそれに対して何と答えられていたのか、また、物価目標に共有できると甘利大臣はお感じになったか教えていただけますでしょうか。
(答)白川総裁からは、今までいろいろと日銀として精力的に取り組んできた。これからも、しっかりと今日の御意見を踏まえて取り組んでいくというような趣旨の発言がありました。
(問)ともに共有できそうとお感じになりますか。
(答)できると思います。しなければいけないと思います。
(問)年央にまとめる新たな骨太の方針なんですが、この中で、財政健全化目標で、前民主党政権が設けた、プライマリーバランスを2015年度に対GDP比で半減して、2020年度に黒字化するという目標について、新たな目標を骨太の方針に設けるおつもりでしょうか、それともそれを継承するおつもりでしょうか。
(答)自民党自身がこの財政健全化に向けての方向性を出しているわけであります。中長期に向けての目標については、これから議論をしていただきますけれども、短期は柔軟に、中長期はしっかりということ、その方向でやっていくことになろうかと思います。
(問)骨太に中長期目標が入るというふうに考えてよろしいでしょうか。
(答)方向性についてはそういう、短期は柔軟、中長期はしっかり、健全化に向けてと、そういう何らかの表現は入っていくんじゃないかと思います。
(問)小泉政権時の経済財政諮問会議では公共事業費をカットしたり、社会保障費を抑制したりと、省庁や自民党の抵抗勢力に打ち勝って財政の削減、歳出の削減というのに努めてきましたけれども、今回の経済財政諮問会議では、そういった痛みを伴う改革というのは打ち出すお考えですか。
(答)もちろんです。
(問)それはできそうですか。
(答)もちろんです。
(問)もちろんということは、社会保障費などでもやはり聖域なしで改革をするということですか。
(答)社会保障と税の一体改革については、今、有識者で議論をしていただいております。その中にも、国民負担を最小にして、そして最大の効果を図る。社会保障のシステムについても、効率的に行われているかどうかも含めて議論をいただくことになっております。基本的な方針を踏まえて有識者で議論をしていただく。その基本的な方針の中には最大効率を求めていくということが書いてあるわけです。
(問)今の質問に関連します。小泉政権時代は、そのような非常に活発な、諮問会議を舞台にして活発な議論で政策が決まっていくということがありましたが、こちらの安倍政権でどう活発化させていけるのか、小泉政権時代のような抵抗勢力を見立ててやっていくような手法なのか、あるいはまた全然別のことがあるのか、そこら辺の考え方を教えてください。
(答)安倍総理が経済財政諮問会議を再起動するという決意をされたのは、御自身の体験を通じて、小泉内閣、安倍内閣を通じて、諮問会議が経済や財政の基本的な方向性をつけていく、その司令塔たる役割を果たしたということを認識されているから再起動されたわけであります。諮問会議が司令塔としての役割を果たせるように、総理御自身、決意を持って取り組んでいかれると思いますし、私は担当大臣として全力でそれを補佐していきます。
(問)金融政策について伺いますが、総理等からの御発言で、日銀との連携を強化するという仕組みをこれから考えていくという発言なり指示があったと思いますけれども、安倍総理は以前からアコード、政策協定を結んで日銀にもきちんと責任を持ってもらう、責任が生じる形にしたいという発言をされていましたけれども、今回の会議で政策協定のあり方に関する具体的な議論はどの程度あったのかというのが1点と、あと大臣御自身がアコードのあり方について、例えば物価目標2%の達成の期限であるとか未達成時の説明責任であるとか、そういったものはきちんと盛り込むべきだとお考えなのかどうか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
(答)目標を共有することは大事でありまして、目標に向かって双方が努力をしていくということがとても大事なことです。その具体的な政策手法について、総理は、日本銀行にはとり得るツールがいろいろあり、どれをどう使っていくかというのは中央銀行の独立性に関わることである。最適と思われる手段を使っていくが、それは日銀の判断である。いずれにしても、目標に向かって、中央銀行は最大限の努力をする、政府は政府として努力をしていく、そして向かっていく方向性を共有して、お互いが力を合わせる、その点で総理のお考えは変わらないわけであります。ただ、アコードという意味合いが、しっかりと分析をしていくと、我々が考えていたとおりの意味合いなのかどうかという点での解釈の違いはあるかと思います。総理御自身は、自身が考えられているお考えが一番適切に表現できるような言葉で、あるいは表現でお互いが目標を共有するということを考えておられるのだと思います。私もその考えに全く一致しております。
いついつまでに云々という話につきまして、そこは各国中央銀行と政府との目標共有、達成の仕方等々しっかり参考にしながら、日本型の最適な道を模索されていくものと思っておりますし、私もそれをサポートしたいと思っております。
(問)先ほど、骨太の方針の取りまとめは年央にやって、そこに痛みを伴うような改革もやっていくという話もあったんですけれども、7月に参議院選挙があって、ここで政権を安定させるために当面大きなハードルになっていると思うんですけれども、そういう状況が痛みを伴う改革というのを議論しづらい環境にあるんじゃないかと思うんですが、そのあたり大臣はどのように認識されていますか。
(答)時間軸で取り組む課題がたくさんあると思います。6月までに取りまとめるのは、成長に向けて日本がどういうふうな方向性をとっていくべきかというのが一番大事な課題であります。そういった中で、財政再建を無視した成長の姿は描けないわけでありますし、財政の健全化と経済成長、これをどういう方向で両立をさせていくか、当面はそういったところが中心になってくるのではないかというふうに考えております。そうした中で必要な規制緩和の方向性等々、議論すべきはしっかりと議論していくということになろうかと思います。
(問)財政健全化のことについてなんですけれども、今日一部報道で、政策協定に、中長期的には財政規律を維持するというようなことを明記するという報道がありましたけれども、大臣御自身は政策協定にそういったことを書く必要性があるというふうにお考えでしょうか。
(答)日銀と政府との政策協定をどう書くか、物価安定目標を共有するということがまず第一であります。その目標が明確に共有されるように、あるいは伝わるような書き方の中で何を書くか、書かないか、これから話を詰めていきたいというふうに思っております。財務大臣、私、そして総理、それぞれ日銀に効果的な表現の仕方を考えていきたいと思います。

(以上)