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まえがき

「世界経済の潮流」は、内閣府が年2回公表する世界経済に関する報告書です。

世界経済は、アメリカでは雇用情勢の改善を背景に緩やかな回復が続き、ヨーロッパでもドイツや英国などにけん引される形で全体としては持ち直しています。他方、中国経済の拡大テンポは緩やかになっており、それに伴って一部の新興国では景気減速の動きもみられています。こうした中で、世界経済の先行きを占うためには、先進国の回復力を検証するとともに、様々な新興国の動向に目配りをしていくことが重要となっています。

第1章の「主要国・地域の経済動向と見通し」では、14年以降の世界経済の現状を概観した後、特にアメリカ及びヨーロッパについては雇用等の指標から景気回復の度合いを再確認するとともに、ディスインフレ傾向の背景について整理しております。加えて、新興国経済の資金流出や中国経済におけるシャドーバンキングのリスク、地政学的リスク等も問題意識に加えつつ、各国・地域の経済動向について掘り下げております。また、世界経済の今後の見通しについて想定されるシナリオを描くとともに、アメリカの金融政策変更に伴う波及効果等、主要な下振れリスクについても整理しております。

第2章の「新興国経済のリスクと可能性」では、中国経済の構造変化が世界経済に与える影響という観点も踏まえ、新興国の成長力とその課題について点検しています。この中では、サプライチェーンの変化により、インド及びインドネシアをはじめとするASEAN諸国が中国の果たしていた役割を一部引き継いでいく姿を示しています。それとともに、インフラや諸制度の整備など新興国共通の課題について概観し、最後にグローバル企業の動向についてまとめております。

我が国の経済財政政策の適切な運営に当たっては、その前提としてこうした我が国を巡る世界経済の現状や先行きを的確に把握することが極めて重要です。本報告書がその理解を深める際の一助となれば幸いです。

平成26年6月

内閣府 政策統括官(経済財政分析担当)

西崎 文平

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