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第3章 世界経済の見通しとリスク

第2節 ヨーロッパ経済の見通しとリスク

1.経済見通し(メインシナリオ)- 持ち直しが続くが、二極化の傾向が強まる

  ヨーロッパでは景気は総じて持ち直している。ただし、国ごとにみるとばらつきが大きく、二極化している。主要国についてみると、経済規模が大きいドイツでは輸出主導で景気が回復し、ヨーロッパの経済全体をけん引している。フランスでは消費の持続的な増加から景気は緩やかに回復している。また、英国では足踏み状態にあるほか、スペインやイタリアでは実質経済成長率は低い伸びとなっている。一方、EUやIMFに支援を要請したギリシャ、アイルランド、ポルトガルでは実質経済成長率は低い伸びないしマイナスとなっており、厳しい経済状況となっている。
  先行きについてみると、ドイツを中心として、輸出と生産の増加が続くと見込まれることから、設備投資や消費も堅調に推移し、ヨーロッパ経済全体としては持ち直しが続くと見込まれる(第3-2-1表)。
  しかしながら、ギリシャをはじめとする南欧諸国等では大規模な財政再建策を実施する必要があること、英国、スペイン、アイルランドのように依然としてバブル崩壊による後遺症が残る国々があること、南欧諸国等ではソブリン・リスクが高まっていること、ドイツ経済の回復が貿易を通じて南欧諸国等の経済全体に与える効果が限定的なこと(1)から、ヨーロッパ経済は更なる二極化が予想される。
  加えて、各国の財政緊縮による景気に対する下押しの影響に留意する必要がある。この結果、ユーロ圏における11年全体の実質経済成長率は、前年比2%前後になると見込まれる。


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