3 最近の国際貿易理論では、一定の地域に産業が集積するメカニズムを「アグロメレーション」(agglomeration)として分析する、経済地理学あるいは空間の経済学(Economic Geography)の研究が進んでいる。アグロメレーションに関する理論では、伝統的な貿易理論と異なり規模に関する収穫逓増を仮定し、規模が大きいほど平均費用が低下するため、関税や輸送費用等の貿易にかかわる費用が十分低ければ、企業は複数の国に工場を立地して生産するよりも、生産拠点を集中し、低い平均費用で生産してそこから各市場に輸出した方が合理的なため、産業の集積が進むというメカニズムを考える(Krugman (1991)、Fujita et al (1999))。