第2章 アジアの世紀へ:長期自律的発展の条件 |
アジア経済は、20世紀の後半から「東アジアの奇跡」と呼ばれる高い成長を遂げ、今世紀に入り中国やインドを中心に更に成長率を高めている。世界金融危機発生後も、アジア経済は世界に先駆けて回復し、世界経済をけん引する役割を果たしている。アジア経済のこうした高い成長は、今後も長期的に持続するのであろうか。また、近年の高成長の原動力は、欧米先進国向け輸出であったが、今後もこれに大きく依存した成長パターンは持続可能であろうか。
本章では、まず、第1節で2000年代のアジアの成長の特徴と世界金融危機によって浮かび上がった問題点を整理する。次に、第2節では、アジアの高成長を支えてきた人口構造が、今後一転して長期的な成長の制約要因となることを示し、アジアが経済成長を続けるための課題を検討する。さらに、これらを踏まえ、第3節では今後のアジアの成長戦略の考え方を示し、その上で第4節では各分野で取り組むべき具体的課題を検討する。