ただし、中東からの資金フローについては、第2節でみるようにソブリン・ウェルス・ファンドを活用した資金フローの重要性が増していると考えられる。IMF(2008b)では、1970年代の原油価格の高騰の際は、産油国はオイルマネーの大部分を先進国の銀行に貯蓄し、銀行を介して、その多くがラテンアメリカ等新興国へ貸し出されたとしている。一方、産油国のBIS報告国への銀行預金の資金フロー全体に占める割合は、1973〜79年の44%から2001〜06年の27%に縮小したとし、現在は銀行を介したオイルマネーの貸出しは以前に比べて重要性が低下しているとしている。ただし、産油国の中でも、リビア、ナイジェリア、ロシアでは、中東の産油国に比べて銀行預金が多く活用されており、地域ごとに差異があるとしている。