もとより、研究開発活動の「質」をどのように評価するかという極めて困難な問題を伴う。例えば、文部科学省『平成18年版 科学技術白書』は、研究開発の一部である学術研究に関して、「論文の質を表す指標の一つ」である「被引用回数」を1論文当たりの平均でみると、04年で、アメリカの1.51をはじめ英国、ドイツ、カナダ、フランスの各国が1.1台から1.4台であるのに対して、日本では0.92となっていることを指摘している。日本学術会議(2005)は、第2期科学技術基本計画で重点化の対象とされたライフサイエンス等4分野について、研究費、研究者等国が投入した資源と、論文の出版数等達成された成果を比較して、「大雑把に言えば、・・・我が国はアメリカの約半分の資源を投入しながら、アメリカの4分の1程度の成果しか上げていない。主要ヨーロッパ諸国の約2倍の資源を投入しながら、成果は1.2倍程度でしかない」と指摘している。また、経済の専門家の側からは、例えば、Jones et al (2006) が、研究・教育活動における競争性の強化や、経済政策と科学技術政策の関連性を強めることなどにより、日本の技術革新の効率を高めていく必要性を指摘している。