アメリカ連邦政府支出に占める所得保障費(Income security)の割合は90年代後半以降おおむね横ばいとなっている(付図1-2)。内訳をみると、90年代には制度の拡充とともにEITCの比率が拡大した一方、90年代後半には、食料給付や家族給付の割合がやや縮小した。後者の背景として、景気の拡大による受給者減少の影響に加えて、96年の福祉から就労への移行等を目的とした福祉改革の効果も指摘されている。この改革では、児童扶助制度に代わる貧困家庭一時扶助制度(TANF、職業訓練への参加等の要件付き)の導入、食料給付に対する就労要件の付加等が行われた(阿部(2006)等に詳しい)