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18 ロシア連邦        Russian Federation

ロシア経済のこれまで

<2005年の経済>
 2005年の経済成長率は6.4%と04年の7.2%からは若干伸びが低下したものの、政府の当初見通し(5.9%)を上回る伸びとなり、景気の拡大が続いている。外需(実質輸出)は、エネルギー生産の増勢鈍化の影響等から前年比5.6%増と04年の同11.9%増の高い伸びから減速した。他方、内需は消費と投資ともに好調であったことから前年比9.5%増と04年並(同9.2%増)の高い伸びとなった。実質個人消費は、可処分所得の増加や低金利を背景とした消費者向け貸出しの増加等により前年比11.1%増と二桁の増加を続けた。また、実質固定投資も、輸出産業における設備投資拡大や政府投資の好調から前年比10.5%増と二桁増を維持した。
 消費者物価上昇率は98年以降緩やかに低下しているが、05年は前年比10.9%となり、政府の見通し(8.5%)を達成できなかった。これはエネルギー等の輸出収入の急増が過剰流動性をもたらす一方、消費財等の供給制約の存在も指摘され、インフレ圧力が根強いものとみられる。失業率は、景気の回復・拡大基調を反映して、99年以降おおむね低下傾向にあり、05年には7.6%となった(04年は8.2%)。

ロシアの主要経済指標

 貿易動向をみると、05年の輸出額(通関ベース)は原油価格が高値で推移したことから前年比32.9%増となり、輸入額(通関ベース)は内需の好調から同28.7%増となった。この結果、貿易黒字は2004年の858億ドルから05年には1,183億ドルへと大幅に拡大するとともに、経常収支も04年の586億ドルから05年には842億ドルへと拡大した。経常収支黒字の拡大を背景に外貨準備が急増しており、06年4月末で2,257億ドルと多い順番では中国、日本、台湾に次ぐ世界第4位となっている。

<2006年の経済見通し>
 2006年の経済成長率は、石油価格の動向に大きく左右されるとみられるが、政府は中心シナリオで6.0%の成長率と05年並の成長を見込んでいる(経済発展貿易省見通し(06年3月時点)、民間機関6社の平均6.1%(06年4月時点))。
 成長を支える要因として、2006年も原油価格が高値で推移する(ウラル産原油価格は05年平均の50.6ドル/バレルから06年同54ドル/バレルへ上昇予測)ものと見込まれ、エネルギー等の輸出拡大が鉱工業生産や設備投資増加を牽引することが挙げられる。また、輸出関連企業の収益増加が家計所得の拡大をもたらして、個人消費は引き続き堅調に増加するものと見込まれる。

<財政金融政策の動向>
 2006年度予算(05年12月国家院可決成立)では、歳出は4兆2,701億ルーブル(前年度当初比40.1%増)、歳入5兆461億ルーブル(同51.7%増)、財政収支が7,760億ルーブルの黒字(対GDP比3.2%)となっており、02年以降5年連続の黒字予算となっている。歳出の対GDP比は、06年が17.5%の予測であり、02〜05年平均の17.0%とほぼ同じ水準に維持されている。原油価格急落時に備えて、一定価格以上の石油輸出収入を蓄える「安定化基金」の積立額は、原油価格高騰から急速に拡大しており、06年初時点で残高は1兆2,370億ルーブル(対05年GDP比5.7%)となった。ロシア政府は、基金の一部を対外債務の前倒し返済に充てているとみられるが、4月には外貨や外国国債での運用を定める基準を決定した。


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