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16 イタリア         Republic of Italy

イタリア経済のこれまで

<2005年の経済>
  2005年の経済成長率は0.1%となり、ユーロ圏全体の成長率より低く、景気回復は弱いものとなった。最大の要因はイタリア経済のエンジンである輸出の停滞である。年初からのユーロ安ならびに世界経済の回復という恩恵があったものの、機械や衣料品分野での中国を始めとしたアジア諸国との競合や、労働組合の政治的影響力もあって生産性の伸びが賃金上昇に追いつかず企業の国際競争力が低下したことから輸出は前年比0.7%増にとどまった。一方、エネルギー価格上昇を背景に輸入が前年比1.8%増加しており、外需は寄与度▲0.3%と成長に寄与しなかった。また内需についても消費が横ばいとなるとともに、投資は減少した。近年の労働市場改革により失業率は低下を続けているが(05年7.7%)、派遣や見習労働者といった低所得者の増加により失業率の低下が消費の拡大に結びついていない。

イタリア経済の主要経済指標

<2006の経済見通し>
  2006年はユーロ圏全体と比べて低い成長にとどまると予測される(民間機関6社の平均1.3%、06年4月時点)。民間機関の見通しは、半年前(05年10月時点1.0%)に比べて、輸出先の半分を占めるユーロ圏の景気回復を踏まえて上方修正されている。
  成長を支える要因としては、2月のトリノ冬季五輪による雇用や消費の拡大、最大の輸出先であるドイツの景気回復が挙げられる。06年5月に発表となった1〜3月期の実質GDP成長率(速報値)も前期比0.6%、前期比年率2.4%となった。また1〜3月期の鉱工業生産指数は前期比1.4%増と大幅に増加し、景況感指数並びに消費者信頼感指数も高水準にあるなど、見通しの明るさを裏付けている。
  下方リスクとしては、原油価格の高騰による生産への悪影響並びにECBの利上げに伴うユーロ高による輸出減の恐れ等がある。

<財政政策の動向>
  2005年の財政赤字はGDP比4.1%となっており、3年連続でEUの「安定成長協定」で定める3%を大きく超えた。政府は05年12月に欧州委員会に提出した「安定プログラム」の中で07年に同2.8%まで財政赤字を削減する方針を打ち出しているものの、欧州委員会の見方は厳しく、06年は同4.1%、07年は同4.5%に悪化するとしている。また政府債務残高対GDP比は05年度末で106.4%と100%を超えており、利払い費の負担は重い。
  06年4月9〜10日の総選挙の結果、06年5月に中道左派連合のプロディ新政権が成立したが、僅差での選挙戦の中で雇用コストの削減による企業競争力強化や福祉政策の充実など財政負担を強いる公約を打ち出しており、痛みを強いる財政赤字削減が行えるのか先行きは不透明である。


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