34 個人資本所得税と法人税を同率とすることによって、(利子費用控除が受けられる)借入れによって購入した資産からの収益を法人部門に蓄積する利益はなくなる。また、配当やキャピタル・ゲインに対する二重課税の調整も、個人段階での課税を免除することで簡単に行うことができるようになる。ただし、91年の税制改革では、二重課税の調整については、それまでのAnnell控除(課税法人所得から新規発行株式への配当の控除を認める制度)を存続させるなど、法人段階での部分的な調整にとどめられた。その後94年には、Annell控除が廃止され、配当に対する個人資本所得税が廃止されるとともにキャピタル・ゲインに対する個人所得税率が12.5%に引下げられるなど、株主段階での二重課税の調整が進められたが、95年には再び配当とキャピタル・ゲインに対する30%の個人資本所得税が導入され、二重課税の調整は課題として残ることとなった。