2 EC加盟国は、通貨の安定性を確保するため、加盟各国の通貨変動幅を一定範囲内に収める為替相場メカニズム(ERM:Exchange Rate Mechanism)を導入していた。92年のマーストリヒト条約締結後、デンマークの批准拒否や、英国やイタリアの景気後退に伴う通貨の信認低下、ドイツの利上げによる金利差拡大を背景に、ポンドやリラ売りマルク買い投機が行われたことなどから、為替相場が不安定化した。加盟各国は平価切下げや金利調整等を実施したが、規定レートの維持が困難となった英国及びイタリアはERM離脱を余儀なくされた(イタリアは96年に復帰)。また、翌93年にも景気後退が続く中で通貨危機が再燃し、ERMの変動幅が拡大された。