第1章 世界経済の回復の持続性 |
第3節 アメリカ経済
アメリカ経済は、09年1月に発足したオバマ政権による大規模な景気刺激策と金融安定化策の実施等により、08年後半以降1年にわたって続いていたマイナス成長から脱し、09年7〜9月期にはプラス成長に転じるなど、緩やかな回復に向かっている。しかしながら、こうした成長は一連の対策によってもたらされた一時的な押上げ効果の結果であり、失業率の上昇や民間需要の不安定な動きが継続するなど、実体経済の本格的な回復には至っていない。景気刺激策が縮小を始める10年度末(10年9月末)までに、アメリカ経済が自律的な回復に移行できるか、回復の持続性をどのように確保していくかが重要な課題となっている。
本節では、アメリカ経済の現状について概観した後、景気回復を支える景気刺激策の進ちょく・成果について述べ、州・地方財政が景気回復のリスク要因として懸念されることを指摘する。その上で、信用収縮、雇用並びに消費の面から今後のアメリカ経済の回復の持続性について考察する。