60 例えば、ドイツやオランダのデータに基づき、EU−ETSの下での排出権取引に伴い、電力会社が排出権価格の60〜100%を価格に転嫁し、その結果大きな利益を得ている可能性があるとの分析がある(Sijm et al. (2006))。また、アメリカについて、全量無償配分される排出権取引によりCO2の排出量を23%削減する前提で試算すると、余剰排出枠を市場で売却すること等によりエネルギー産業が利益を得て、その株価が2〜7倍になるとの試算もある(Goulder (2002))。なお、ウィンドフォール利益が生じ得るか否かは、限界的な費用の増分をどれだけ価格に転嫁できるかに依存するため、市場の構造や規制の在り方によって大きく異なり、料金規制が強い場合には規制の運用に依存することとなる。