経済審議会総会議事録 19970617

日時 平成9年6 月17日(火)9:30~11:25

場所 経済企画庁官房特別会議室(1230号室)


経済審議会総会議事次第

  1. 開会
  2. 経済企画政務次官挨拶
  3. 21世紀世界経済委員会報告について
  4. 規制緩和などの経済構造改革が経済に与える影響について
  5. 公共投資基本計画の改定について
  6. 経済審議会の今後の運営について
  7. 閉会

(配布資料)

  1. 資料1 経済審議会委員名簿
  2. 資料2 進むグローバリゼーションと21世紀経済の課題
  3. 資料3 規制緩和などの経済構造改革が経済に与える影響について
  4. 資料4 公共投資基本計画(改定案)について
  5. 資料5 経済審議会の今後の運営について(案)

経済審議会委員名簿

    会長  豊田 章一郎   トヨタ自動車(株)取締役会長
    会長代理  長岡  實   東京証券取引所正会員協会顧問
                  日本たばこ産業(株)顧問
          稲葉 興作   石川島播磨重工業(株)代表取締役会長
          角道 謙一   農林中央金庫理事長
          金井  務   (株)日立製作所取締役社長
          川勝 堅二   (株)三和銀行相談役
          公文 俊平   国際大学グローバル コミュニケーション センター所長
          香西  泰   (社)日本経済研究センター理事長
          小長 啓一   アラビア石油(株)取締役社長
          小林 陽太郎   富士ゼロックス(株)代表取締役会長
          佐々波 楊子   慶応義塾大学経済学部教授
          下村 満子   (財)東京顕微鏡院理事長
          末松 謙一   (株)さくら銀行代表取締役会長
          鶴田 卓彦   (株)日本経済新聞社代表取締役社長
          得本 輝人   日本労働組合総連合会副会長
          豊島  格   日本貿易振興会理事長
          那須  翔   東京電力(株)取締役会長
          原  五月   日本労働組合総連合会副会長
          福井 俊彦   日本銀行副総裁
          星野 進保   総合研究開発機構理事長
          星野 昌子   日本国際ボランティアセンター特別顧問
          水口 弘一   (株)野村総合研究所相談役・理事会議長
          村田 良平   (株)三和銀行特別顧問
          諸井  虔   秩父小野田(株)代表取締役会長
          山口 光秀   東京証券取引所理事長
          鷲尾 悦也   日本労働組合総連合会事務局長
          和田 正江   主婦連合会副会長

〔 豊田会長 〕 ただいまから、経済審議会を開会いたします。
 本日は、委員の皆様には大変ご多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 議題に入ります前に、河本経済企画政務次官よりご挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

〔 河本経済企画政務次官 〕 皆さん、おはようございます。
 ご紹介いただきました政務次官の河本でございます。
 本日は、大変お忙しいところを早朝より経済審議会にご出席いただきましてありがとうございます。私からも厚く御礼を申し上げたいと思います。
 本来、麻生経済企画庁長官がまいりましてご挨拶を申し上げるところでございますが、同時刻に衆議院の決算委員会に出席しておりますので、お許しをいただきまして私が代わって一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 ご案内のとおり、現在、橋本内閣は「改革なくして新たな発展なし」という決意で、それぞれの構造改革に積極的に取り組んでいるところでございます。
 経済審議会におかれましても一昨年「構造改革のための経済社会計画」をご答申いただいた他、昨年には6分野の経済構造改革の建議をまとめていただき、構造改革推進に向けて格別なお力添えをいただいているところでございます。ここにいま一度改めて感謝を申し上げますとともに、今後、本日発足する予定であります新体制の下、我が国経済の中長期的発展のためにご審議、ご調査をいただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。
 委員各位の一層のご協力を重ねてお願い申し上げまして、一言、大臣に代わりましてのご挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 それでは議題に入らせていただきます。
 最初に、21世紀世界経済委員会の報告書「進むグローバリゼーションと21世紀経済の課題」についてでございます。
 21世紀世界経済委員会におきましては、昨年より、21世紀に向けた世界経済の展望その他の諸問題につきまして検討を行っていただきまして、本年3月に委員会報告をとりまとめていただきました。
 それでは、佐々波委員長からご説明をお願いいたします。

〔 佐々波委員 〕 本委員会では去年の6月から10回にわたりまして、大変精力的なご審議を各委員にお願いしたのでございますけれども、お手元にありますような報告書がまとまりましたので、概要等ご説明申し上げたいと思います。 この報告書では、現在の世界経済の大きな潮流でありますグローバリゼーションに焦点を当てまして、主に2010年時点を想定いたしました世界経済の長期的な将来展望を行い、グローバリゼーションが世界経済と日本経済にもたらす影響を評価し、その取り組まなければならない課題のいくつかについて検討いたしました。 次に主な内容について申し上げますと、世界経済の長期的な将来展望といたしましては、2010年時点の世界経済のGDPが、日本、アメリカ、ヨーロッパなどの先進国では年平均2%台前半の成長というものが見込まれますけれども、NIES、ASEAN、中国など東アジアの地域では6%台から8%台の高成長が見込まれるということでございます。
 その結果といたしまして、日本を含めたアジア地域が北米地域、ヨーロッパ地域を追い抜いて世界最大の経済規模を誇るようになることが予想されます。
 その他、報告書では、直接投資、金融、情報通信、知識人材の面でもなるべく定量的な展望を行いまして、将来像をできるだけ具体的な形で示すことに努力いたしました。
 このような展望を踏まえまして主な結論として以下のような4点を挙げることができると思います。
 1つは、国境を超えた企業間の競争。国家間での制度競争というものが地球規模で進展し、グローバリゼーションの流れというものが21世紀にいたる世界経済全体にとって大きな潮流になるという点でございます。
 2つ目は、グローバリゼーションは世界的な資源配分の効率化というものをもたらしまして、それを通じまして世界経済及び日本経済というものを大きく変えるであろうという点でございます。
 さらに3つ目というのは、1970年代までのグローバリゼーションの流れに対しまして、日本経済というのは比較的うまく対応してまいりましたけれども、80年代以降の金融、情報通信、知識人材といった新しいグローバリゼーションにつきましては、若干立ち遅れというものが目立つという点でございます。 4つ目といたしましては、グローバリゼーションがもたらしているさまざまな課題は、日本自身の国内問題を反映している面がございまして、日本としてはこのようなグローバリゼーションの流れに積極的に対応して、これを変革の大きな契機にしていくことが非常に大切だろうという点でございます。
 もし、このようなグローバリゼーションにうまく対応できないといたしますと、日本経済の将来に対して明るい展望を描くことは困難になりますので、この点が非常に重要だというふうに思います。
 以上が報告書の概要でございますけれども、この場を借りまして、この間、大変精力的にご審議いただきました委員の皆様にお礼を申し上げますと同時に、このような報告書が今後の日本の経済運営にとりまして1つの指針として活用できることができれば大変幸いだと存じます。以上でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明のありました報告書につきまして何かご意見、ご質問がございましたらどうぞお願いいたします。
 特にないようでございますので、21世紀世界経済委員会の委員の皆様には、長期にわたりまして精力的にご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは次の議題に移らせていただきたいと存じます。
 第2の議題は「規制緩和などの経済構造改革が経済に与える影響について」でございます。
 それでは、事務局よりご説明していただきます。

〔 小峰審議官 〕 お手元の資料3をご覧いただきたいと思います。「規制緩和などの経済構造改革が経済に与える影響について」という報告書でございます。
 今回の計算の経緯でございますが、当審議会におきまして昨年の12月経済審議会建議として「6分野の経済構造改革」というものをおまとめいただいたわけでございますが、その中に「経済的効果の定量的把握」というこう項目がございまして、そこで「具体的な構造改革、規制緩和の推進に際しては、その経済的効果をさらに総合的、定量的に把握し、これを広く公開していくことが重要である。経済審議会としてもこうした課題について、今後取り組んでいくこととしたい」というふうにまとめておりまして、いわば経済審議会としての宿題となっていたものでございます。 1.今回の試算のねらいというところに書いてございますように、アンダーラインのところでございますが、今回の試算では、昨年12月の6分野の経済構造改革において示された提言、今年3月の政府の規制緩和推進計画、5月の、政府の「経済構造の変革と創造のための行動計画」といったものにおきまして示された具体的な規制緩和策をできるだけ踏まえまして、その効果を今後6年間くらい、2003年度ぐらいまでの効果を計算したものでございます。 2.今回の試算の基本的な手法でございますが、対象範囲は金融、情報通信、運輸、流通、エネルギー、土地・住宅、医療・福祉、雇用・労働の8つの分野を対象としております。
 計量モデルを使いましたが、このモデルは、現在の経済計画のマクロフレームの算定に使っております中期多部門モデル、これはいわば不均衡動学モデルですけれども、これを使って影響を計算しております。
 試算の想定についてはまた後でご説明したいと思います。
 2ページにまいりまして、3.試算の主な結果でございます。4つぐらい主なポイントがあると思います。第1が経済成長率の引き上げ効果でございまして、今回の計算によりますと1998~2003年度の6年間、平均しまして毎年年平均 0.9%程度成長率を引き上げる効果があるという結果になっております。この点につきましては、4ページにグラフがありますのでご覧いただきたいと思います。
 点線の部分が規制緩和がなかった場合の経済成長径路、実線が規制緩和をした場合の経済成長径路でございまして、この傾きの差が平均成長率の差になるわけですが、それが 0.9 %あるということでございます。 それから、毎年これだけの差がありますと、最終年度の2003年度では経済のレベルが相当違ってまいります。効果がすべて累積した結果ということでございますが、一番右の5.8 %増加というのが累積効果になります。つまり、累積した効果の結果によってGDPのレベルが 5.8%アップしているということでございます。 左側にB/Aというのがありますが、これは点線と実線の格差をこの6年間で平均したものでございます。これが 3.9%程度になる。こういう結果でございます。 2ページに戻っていただきまして2番目のポイントが消費者物価が下がるという効果でございます。これは、生産性が上昇しますので生産コストが下がるということによって消費者物価が低下いたしまして、年平均上昇率としましては 1.2%程度低下するという結果になっております。 成長率と同じようにレベルでみますと、累積効果として2003年度では消費者物価指数は 7.3%程度低く出るという結果になります。 3番目のポイントが経常収支黒字の縮小効果ということでございますが、これは最終年度の姿を示しておりますが、2003年度、経常収支黒字のGDP比率が構造改革がなかった場合に比べて 0.9%程度下がるという結果になっております。これは言うまでもなく成長率が上がりますので輸入が促進されるということによってもたらされるわけです。 4番目は、労働需給に及ぼす影響ということですが、しばしば規制緩和というのは失業率を上げるのではないかという指摘がございます。我々のモデルでも不均衡動学ですので、生産性があがりますと短期的には摩擦的な失業がでるという結果になっておりまして、下から3行目に書いてありますように、労働分野の構造改革がないとした場合そのまま計算しますと、最終年度の失業率はむしろ 0.3%上昇するという結果になっております。ただ、今回、労働分野においても労働需給を円滑にするような規制緩和が行われるという想定をしておりますので、そういった措置によって 0.3%分程度の失業はちょうど相殺されることになるという結果になっております。 5ページに試算の前提についての考え方。7ページ以降が試算の想定を詳しく書いております。このあたり詳しく書きましたのは、こうした計算の結果というのはどういう前提を置くかということにかなり依存して決まるという面がございますので、こういう計算をする前提として具体的にどんなことを考えたのかということを、できるだけ明らかにしておこうということで、7ページ以下にかなり詳しく想定が書いてあります。
 いちいち説明しますとちょっと長くなりますので、例えば金融の分野だけ具体的な例として説明させていただきますと、・.金融の(1)に前提となる施策というのがございまして、具体的にどんな施策を前提にしたかというのが書いてあります。それを前提といたしまして・期待される経済効果として何が考えられるかということですが、まず生産性が上がるということですが、金融につきましては、金融分野での規制緩和が行われれば、金融サービス業全体において競争が激化する。競争が激化しますと生産性が全体として向上するわけですが、それがどのぐらい上がるかという1つの目安として銀行業を例にとりまして、現在、上位の銀行、最も効率的な部類の銀行が現在記録している生産性に、それ以外の銀行もだんだん収斂してくるという前提を置いております。つまり、効率の悪い金融機関が効率のいい方に生産性を上げてくるという前提でございます。
 そういう前提を置きますと、2001年度までの4年間に27.9%程度全体としての生産性が上がるという想定でございます。
 (b) 新規最終消費の創出ということでございますが、金融の場合には規制緩和によりまして、ここでは個人の金融資産運用が多様化する、もっと多様な資産選択ができるようになるという想定を置いております。具体的にはアメリカ並みの、ここでは投資信託とか商品ファンドを持つようになるという前提で、それに見合って消費者は手数料を払う。この手数料が個人消費になるわけですが、これは必ずしも個人の負担が増えるということではなくて、手数料に見合ったベネフィットがあるから手数料を払うのだという前提で考えますと、それに見合った消費者に対しての金融資産選択からえられるメリットがあるというふうに考えていいのではないかということでございます。 (c)として、輸出入の増加というのがございますが、これは外為法の改正等によりまして居住者が海外市場で行う取引、また、非居住者が日本の市場で行う取引、これはそれぞれ金融サービスの輸出・輸入になるわけですけれども、これがそれぞれ増加するといったようなことで、これもアメリカとかイギリス並みにGDP比率が輸出入が増えていくという前提から計算しております。
 個々の分野についてはこういった国内における生産性格差ですとか、海外との比較、または独自の積み上げということで具体的に想定を置いているわけでございます。
 少しとびまして13ページをお開きいただきたいと思います。 今度は、6.経済全体に対する試算の想定でございますが、この部分は、今回、他の従来の計算ではない想定として独自のものを置いたわけでございますが、これはどういうことかといいますと、例えば1.に情報通信ストックの外部経済効果というのがありますが、これは情報通信分野で設備投資が増えるというのは、これまでもしばしば指摘されていたわけですが、その効果としてはGDPが増えるということだけではなくて、情報通信分野の設備投資が増えてより高度なネットワークが形成されるということは、産業全体としても生産性が高まることになる。そういう外部効果があるのではないかということで、それを独自に別途計算してそれを上乗せしている。
 同じような考え方で2.にありますように、労働需給の規制緩和によりましてより労働者の配置が適材適所になるということによって、これまた経済全体の生産性が上がるという効果があるのではないか。
 また、3.にありますように、人的資本投資の促進ということで、これは規制緩和が進む中で、我々一人一人もより自己の能力を磨くようになるだろうといったようなところも想定しているということでございます。
 こういったものを全部合わせまして先ほど申し上げました成長率では 0.9%という効果が出てきたわけでございます。 15ページに試算の前提を全部まとめた表が出ておりますけれども、それぞれの分野、または経済全体に対する効果をこういった数値で想定したわけですけれども、個々の分野では生産性が上がる余地が大きいという点では金融の分野が非常に大きい。それから、独立投資が出てくる金額として大きいのはやはり情報通信分野だということがこの表から読み取れるということだと思います。 今回の結果は以上でございますが、我々としてはこの毎年の成長率が0.9 %上昇するという効果はかなり大きいのではないかということではないかと思います。言うまでもなく財政、社会保障、金融等々で多くの改革が進められているわけですけれども、そういった改革が円滑に進む非常に重要な条件は、経済の活力が維持され、さらにそれが向上するということだと思いますけれども、そういった観点から経済構造改革というのは大変大きな効果があるということが、今回の試算で示されたのではないかというふうに考えております。以上でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。 それでは、ただいま説明のございました点につきまして、何かご意見、ご質問ございませんでしょうか。

〔 豊島委員 〕 金融の面でいろいろご説明がありましたけれども、金融についてはビッグバンというものが言われているわけですが、識者の方がよく言われるのは、イギリスのビッグバンのときにいろいろあった。それはそれとして雇用が増えたり商売自身が国際的に非常に増える、所得も非常に増えるということを言われております。それは競争の結果どうなるかによって決まるのですが、その辺のところをこれはお考えになっておられるかどうか。生産性向上、資産の運用というのはわかりますけれども、産業自身が強くなっていくという効果まではみておられないのかどうか。ちょっと他のところをみると、内需中心かもしれませんけれども、需要が増えてそれなりに産業も増えて、大きくなるということになっていますが、その点、ちょっと教えていただきたい。

〔 坂本総合計画局長 〕 金融という分野だけを取り上げては計算しておりませんが、先ほどご説明申し上げましたように、生産性が上がるということは雇用の面では、全体として雇用量の減少になる、したがって失業率が高まる。ですから、その中に金融も当然入るわけでございますが、一方で、先ほどご説明申し上げましたように、職業紹介とか斡旋とか派遣とか、こういった面で有効な労働力の移動を図ることによってそれを相殺するということでございますから、仮に金融だけを取り上げられれば、むしろ生産性が高まって効率化されるとスリム化されますから、雇用減に----。

〔 豊島委員 〕 ただ、外国の指標を見ると、むしろそれによって国際競争力が強くなってしまうと、外国の商売も東京に集まってくれば増えるのではないかという議論もあり得るのではないかと思います。イギリスなんかはそうですよね、逆に。そういう観点は考えておられないということでよろしいですね。

〔 小峰審議官 〕 今回の計算ではいくつかのルートで日本の金融業自体も大きくなるということは入っていると思います。
 先ほど申し上げましたように、消費者の段階で金融サービスに対する支払いが増える、消費が増えるということは、金融サービスがそれだけ大きくなるということですし、輸出が増えるということは非居住者の東京マーケットの利用度が高まるということですので、そういった点では入っていると思います。

〔 豊島委員 〕 どうもありがとうございました。

〔 諸井委員 〕 先ほど、一番能率の高い銀行に生産性が収斂してくるという話がありましたが、そのときに、例えばシティコープなんかは入れてあるのですか。それとも日本の銀行だけでやっているのですか。

〔 小峰審議官 〕 今回は国内の金融機関で計算しております。国内の上位5%の金融機関の生産性に収斂するということですので、そういう前提で計算しております。

〔 諸井委員 〕 おそらくシティコープなんかの方が効率が高いのではないか。現実に競争はシティコープも含めてビッグバンの中で行われるわけですよね。そうすると、さらに生産性が高まる可能性があるということでしょうかね。

〔 小峰審議官 〕 それは確かにより効率的な外資系企業との競争という点まで考慮すれば、そういうことになると思います。

〔 坂本総合計画局長 〕 先ほど時間の関係で説明を省略いたしましたが、この資料の5ページをご覧いただきたいと思いますが、これは各分野における経済効果の想定ということで、手法として国内機関、例えば金融はまさしく上位行のレベルまで生産性が上がるという考え。ただ一方で金融商品が増えるということではアメリカ、イギリスというようなものと同じようになる。ですから、2つ、国内比較と国際比較の両方を採り入れているわけでございます。
 一方、(2)の国際比較を主としてやったのでは、エネルギー等でございますし。それから過去の例、これは特に情報通信が過去どれだけ伸びてきたか、規制緩和が進めばさらに将来も同じように伸びるだろう。あるいは独自の積み上げというのは住宅でありますが、容積率を緩和すると60万戸住宅が増える。それを各年に割ってその効果を出しているということで、手法が違うわけでございますが、今のご指摘の金融業で言えば国内比較と国際比較の両方を採り入れている。ただ、生産性のところでは国内上位行を使っているということでございます。

〔 豊田会長 〕 今、金融のお話が出ておりますが、金融の専門の方、ご意見いかがですか。

〔 福井委員 〕 これは計測になじむかどうかわかりませんけれども、金融の世界で国際会議なんかに出ましたときに、今、21世紀を展望して世界の金融のマーケット、あるいは姿がどう変わるかということは、日本の経済審議会と同じように共通の重大な関心事項になっているのですけれども、1つは、このレポートで取り上げられている、あるいは先ほど佐々波委員からご説明のあったペーパーも含めてでございますが、グローバリゼーションの一層の進行という1つの太いテーマ、だけどもそれは一体どこまで進むのか、あるいはどのぐらいのスピードで進むのかということについては、同時にホームバイヤスと申しますか、それぞれ国ごと、あるいは地域ごとの特性というものとの組み合わせの中で決まってくる。グローバリゼーションを良しとし、ホームバイヤスを悪とするというのは価値判断の問題では全然ないわけですが、広く世界的な人間社会の中でやはりいろいろな相剋があるわけですので、そういうグローバリゼーションの動きについても客観的にとらえ、ホームバイヤスについても客観的にとらえる。そして、それをそれぞれ組み合わせた結果どういう姿になるか、あるいは地域的に進行速度がどう違うかというふうなとらえ方をしようと、非常に難しい作業ですが、言ってみればそういうことをやっているわけです。したがって、日本の中で、経済審議会でグローバリゼーションがどのぐらい進むか、特に金融の世界でそれがどういう姿に進むかといった場合に、やはり一直線にグローバリゼーションオンリーで考えるとか、あるいは進むとしてもそのレベルが常に最高レベルの生産性のところまで全部収斂するとかいう感じであれば、これはマキシマムの姿を一応とらえているというふうに考えた方がいいのではないかという気がいたします。
 もう一つは、マーケット・プレイヤーが誰になるかというのはまた一つ別の問題であって、先ほど、諸井委員からご指摘がありましたとおり、例えば金融の分野について言っても、つまり、ナショナル・ブランドの金融機関が最高レベルの生産性のところに全部そろうという前提で本当にいいのかどうか。マーケットが本当にグローバライズされると、そのマーケットに参入しているどこのブランドの金融機関かわかりませんが、やはりその最高レベルの金融機関とのコンペティションというのはどうしてもテーマになるわけで、そこに収斂するかどうかはちょっとわからないと思う。ここにまさにホームバイヤスというのがかかってきて、日本の金融機関でなければ取引きしないという人がけっこう残る、あるいは日本の金融資産でなければ取引きしにくいという人もけっこう残るわけですので、そこに全部収斂するというのは難しいのですけれども、しかし、究極の姿を考える場合には、やはりブランドを問わずそのマーケットの中に参入している最高の生産性のところに収斂するインセンティブは常に働いている、そういう前提で考えていいのではないかと思います。

〔 水口委員 〕 今の福井委員のご説明のとおりだと思いますけれども、これ、やはりマクロモデルによる試算ですので、若干の印象として誤解を与える可能性もあると思うのですが、銀行業は金融サービス業の代表的な分野として2001年度までにすべての銀行が最も効率的レベルにまで向上する場合の効率性をいう。そのとおりですから、その場合は、じゃあ、現存するすべての銀行がそうなるということではないということの、現実的にはそういう認識が必要であろうと思います。やはり淘汰されてだめなものはだめになっていく、そして2001年度における効率性はほぼ同じレベルまで、あるいはそれがシティコープの水準なのか、あるいはどこの水準かわかりませんけれども、そういうことではないかというふうに、現実を考えますと、銀行に限らず証券業の場合もおそらく同じだろうと思います。また、過去のウォールストリート、あるいはシティの例を見てもそういうことであろうと、私は考えております。

〔 角道委員 〕 私は金融の専門家ではありませんけれども、今、お話がありましたように、ビッグバンは約10年前英国でやられまして、その結果を見ますと英国では外国の金融機関が入ってまいりまして、国民所得の金融機関は相当程度つぶれている。特に中小金融機関は非常に大変になっていると思います。
 よくウィンブルドン方式といいますか、外国の選手ばかりやっていて英国の選手は出てこない。日本のビッグバンの後もそういうことにならないことを私たちは願っております。 今、ベストの金融機関の話が出ましたけれども、現実には中小金融機関がこれからどうなるかという点が私ども一番心配であります。今の書かれているシナリオはベストシナリオ、上位行だけをとらえたというお話でありますけれども、日本の金融機関は数多く、特に地方中小金融機関は非常に弱小でございます。現実に、今、早期是正措置ということで自己資本充実ということをやっておりますけれども、現実に中小金融機関では資産圧縮、貸し渋り等が出てきて、そういうマイナスの面で自己資本を広げようという動きもございます。現実に中小金融機関がどうなるかという点が私は一番心配でありまして、そういう意味でこの問題をあまり楽観的に考えると中小金融、また中小企業が困るのではないかということを一番心配しております。
 また、現実にこのとおりのスピードでいくかどうか。現在の不良資産の収支状況をみましても、まだまだノンバンク以外にもゼネコンその他いろいろ問題を抱えております。こういうものは、ここに考えるような2001年、2003年までにうまく整理がつくかどうか。そういう点については私どもはまだ非常に危惧しておりますので、そういう点だけお話し申し上げたいと思います。
 それから、全体のシナリオとしては非常によくわかりますけれども、おそらく進行中でできなかったと思いますが、最近決まりました財政改革、特に公共事業抑制の関係、この後に出ると思いますけれども、こういうものがここにどう反映されているのか、特に失業問題にしましても、 0.3%上がるということでありますが、逆にマイナスの面は後ろのページには 0.3%と、結果的にはゼロだというふうに書いてありますが、そういうのが現実でありますし、また、今の失業率の問題にしましても若年労働者の失業はおそらく減ってくると思います。高年労働者の失業問題が今大変でありますから、こういう需給の調整がそれほどうまくいくかどうか、全体として見ると私なんかは多少悲観的にならざるを得ない。こういう時代ですから、悲観的なことを言うよりは前向きのことを言うことは結構だと思いますけれども、そういう点もご考慮いただければありがたいと思います。

〔 末松委員 〕 先ほどのお話と重複する点は省略させていただきまして、今、話に出なかった点で若干気がついた点だけを触れさせていただきますと、モデルとして日本のトップクラスの銀行の効率をベースにしたというお考え、それは1つの前提ですから1つの在り方としていいと思うのですが、私の考えでは、これからやろうとしていること自体は日本のトップ銀行の効率のいい悪いということは別にしまして、経営態様が全然変わってくるだろう。例えばアメリカにおいては銀行が大きく2つに分かれていっています。いわゆるコンベンショナルな資金の預貸だけで商売をやる銀行と、結果として言えばむしろ手数料でほとんどの収益を稼いでいるという、デリバティブであるとか、債券業務であるとか、信託業務というようなことをやっている。
 そうすると、日本の銀行もこれからどっちにいくかということが今むしろ大きく問われている。ビッグバンとはまさにその1つの環境づくりであって、それを無視して、今のままの日本の銀行の中で一番効率がいいと思われる銀行、いわゆる上位行というものをベースに計算していくと、それはどっちつかずのような形成にならないかというのが私の心配でございます。

〔 鶴田委員 〕 先ほどからいろいろ話が出ておりますので重複するかもしれませんけれども、試算の結果、全般的に楽観的すぎるのではないかという気がいたします。我々、民間の感覚とはちょっと違うかなという印象があります。
 もちろん、これは規制緩和、構造改革が最大限に効果を上げるというのが前提になっていると思いますから、そうでなければもっと違った結果が出るかと思うのですけれども、毎年、最大限の構造改革、規制緩和を行って、GDPが 0.9%増えるということになると、大変なパフォーマンスですよね。果たしてそんなにうまくいくのかなという疑問が生じますし、我々が現実に感じている動きとはちょっと違うかなという印象がございます。 ビッグバンの問題にしましても、先ほどらい各委員の方が指摘されているとおりだと思うのですけれども、確かに競争が激化する。競争が激化するということは生産性が向上する要因にはなるのですけれども、一体どういう形でそれが行われるのか、いわゆる国内の銀行あるいは証券と海外の銀行、証券との競争がものすごく激しくなるのではないかということで、具体的に申し上げるならば1,200 兆円の取り合いが起こってくる。果たして日本が優勢な戦いを進められるのかどうか、かなり日本のそういった資産が海外に流出する。 それが世界全体の発展のために役に立つということであれば、それもだめということは言えないかもしれませんけれども、そうすると、国内は雇用の問題に響いてこないか。先ほども話がありましたけれども、弱小の金融機関、あるいは証券会社かつぶれていくということは、当たり前だと言えば当たり前なのですけれども、マイナスの雇用の問題が出はせんかということで、何かもう少しネガティブな点、結果はこういう構造改革を進め、あるいは規制緩和を進めることによって、こういう経済効果は期待できるけれども、一方、こういうマイナスも生ずる懸念がある、だからそこはちゃんと手を打たなければいけませんよというような、そういう文言というか、そういう方向づけというか、それが1つないと、「政府は結構ですね、楽観的ですね、世の中そううまくいきますかね」ということになりますので、そこはひとつお考えいただきたいという気がいたします。

〔 坂本総合計画局長 〕 実は、まさしく今ご指摘の 1,200兆円、これがどうなるかというのは非常に重大な問題で、実はこれからご検討いただく事項の中に入っておりまして、それがどう動くかによって金融改革を進めて、結局はマーケットは拡大したけれども、プレイヤーはどっかに行っちゃった、そういう問題もありますので、そこをどうやるかは非常に難しいので、経済審議会でご検討いただこうという、後ほどご説明申し上げようと思ったのですけれども、その課題に入っているわけでございます。

〔 鶴田委員 〕 この間発表したのではないですか、ビッグバンの今後のスケジュールみたいなものを。あれは経済審議会じゃないな、金融制度調査会と証券取引審議会と保険の審議会かな、この3審議会の合意という形で大きく発表されていましたよね。ああいう問題をまたここでやるんですか。

〔 坂本総合計画局長 〕 切り口はおそらく変わるのだろうと思うのです。そこをむしろご審議いただきたいと思っているわけでございます。後ほどご説明申し上げますが。

〔 長岡会長代理 〕 各委員からご指摘をいただいた点は、おそらくすべてもう議論が必ず出てくるポイントだと思います。
 一応今日は1つの試算としてこういう計算が出てきたよというのを皆さんにお示しして、そして、今、出てきたような議論の中心にこれから議論していただこう。それには、今後、経済審議会をどういう形で運営していこうかということを、今日、お諮りするということですね。

〔 豊田会長 〕 そういうことでございます。

〔 長岡会長代理 〕 そういうことでご理解いただきたいと思います。

〔 豊田会長 〕 そういうことでございまして、次の議題もまた1つ関係が出てくると思いますので、次に移らせていただきまして、また後ほどご審議いただくということにさせていただきたいと思います。
 第3の議題は、「公共投資基本計画の改定について」でございます。
 今年の6月3日に閣議決定されました「財政構造改革の推進について」におきまして、「公共投資基本計画の計画期間を3年間延長するとともに、内容の見直しを行う」ということとされました。お手元にございます同計画の改定案はこの閣議決定に基づいて作成したものでございます。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

〔 五十嵐審議官 〕 公共投資基本計画の関係の資料が資料4ー1、これは改定案の骨子でございます。資料4ー2が、基本計画の改定案の全文でございます。資料4ー3が新旧対照表になっております。資料4ー4が、今、会長の方からお話のございました財政構造改革会議の閣議決定のうち公共投資に関わるものの抜粋でございます。
 資料4ー1に沿いましてご説明させていただきます。
 現行の公共投資基本計画でございますが、これは、1994年の10月に閣議了解されたものでございます。計画の基本的な考え方といたしましては、本格的な高齢化社会の到来を控えまして社会資本が21世紀初頭には全体として概ね整備されることを目標としております。 計画期間は1995年から2004年までの10年間でございまして、総額 600兆円に弾力枠30兆円を加えまして概ね 630兆円としたものでございます。 一方、これはご案内のとおりでございますが、我が国の財政は先進国中最悪の状況にございます。国及び地方を通じました単年度の財政赤字の対GDP比、1990年はゼロでございましたけれども1997年度には 5.4%というような大きな数字になっております。また、国・地方の長期債務残高は1997年時点で 470兆円を超えるという大きなものになっているわけでございます。 こうした厳しい状況を踏まえまして、先ほど会長の方からお話がございましたように、本年1月に橋本総理大臣を議長といたします「財政構造改革会議」が設置されまして、具体的な歳出の改革と縮減をどういうふうに図っていくかということを「一切の聖域なし」ということで議論が行われてきたわけでございます。
 6月3日に最終報告がとりまとめられまして、同日、「財政構造改革の推進について」ということで閣議決定されたものでございます。
 資料4ー4をお開きいただきたいと思います。「財政構造改革の推進について」の閣議決定の中の公共投資の部門について抜粋したものでございます。
 この中に書いてございますことは、基本的考え方といたしまして、21世紀初頭に社会資本は概ね整備されることを目標としている計画、これは現行計画でございますが、これの基本的な考え方は維持することとする。他方、財政云々で、集中改革期間中、これは平成10年から平成12年、1998年から2000年まででございますが、この期間は公共投資の水準を概ね景気対策のための大幅な追加が行われた以前の適正な水準にまで引き下げることを目標とするということで、この趣旨を踏まえまして、公共投資の基本計画の計画期間を3年延長するというようなことでございます。これにより 600兆円をベースで見て、3年間延長いたしますと2000年まで470 兆円へと投資規模の実質的縮減を図るというようなことと、策定後の調整を踏まえまして内容の見直しを行うというようなことになっております。
 2ページにまいりまして、内容の見直しの基本的な考え方が書いてございます。集中期間中の公共事業予算の配分に当たっては、経済構造改革関連の社会資本について、物流の効率化対策に資するものを中心として、優先的、重点的に整備する。その他種々書いてございます。今回の改定は、こうした閣議決定の考え方を受けてのものでございます。
 資料4ー1に沿いまして具体的な内容についてご説明させていただきます。
 基本的考え方は、日本の人口推計のピークが2007年に前倒しされたことを踏まえまして、人口構成を考えると現在のうちに経済構造や財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ、社会資本整備を促進していくことが必要であるということで、経済構造や財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ社会資本整備を促進していく考え方を明示しているところでございます。 2.の社会資本整備のための主要な施策でございますが、これについては基本的に変えておりませんが、2ページの(4)の国民生活の安全を確保する基盤の構築ということで、この中に阪神・淡路大震災の経験を踏まえた防災機能の向上というのを追加しております。
 3.社会資本整備の主体でございますが、これに関しましては、特に生活に密接に関連した社会資本整備につきましては、地方分権を優先するという観点から、着実な事業実施を図る上で地方の判断に委ねることにより、地域のニーズを踏まえて効率的に整備するというふうに表現にいたしております。
 3ページにまいりまして、4.社会資本整備の財源と、5.公共投資の規模でございますが、これにつきましては大きな変化はございません。公共投資の規模でございますが、先ほどお話しいたしましたように、計画期間の 600兆円につきまして数字そのものにつきましては書いておりませんが、全体として3年間延長したという中で、実質的な圧縮をしているということでございます。
 6.公共投資の配分でございますが、これにつきましては現計画でうたわれております直接的に国民生活の質の向上に結びつくもの、というこの部門につきましては継続しつつ、財政構造改革の集中期間中、これは先ほど申しましたように平成10年から3年間でございますが、この公共事業の予算の配分に当たりましては、アンダーラインで書いてあるところでございますけれども、経済構造改革関連の社会資本、これは高規格幹線道路等、拠点空港、中核・中枢港湾、市街地整備等でございますが、これにつきましては物流の効率化対策に資するものを中心として優先的・重点的に整備するというようにしております。 また、生活関連の社会資本につきましても、集中改革期間中につきましては一定の生活水準の確保のための投資規模の優先と、真に整備が遅れている分野への重点化を図ることといたしております。
 4ページにまいりまして、7.社会資本の整備・運営に当たっての課題に関してでございますが、公共投資に関しましては種々の批判がなされております。その効率的なあるいは効果的な実施が強く要請されているところでございます。これにつきましては、本年、経済審議会からご報告いただきました「構造改革のための経済社会計画の推進状況と今後の課題」の中でも公共事業の建設コストの縮減と、効率的・効果的実施についてご指摘をいただいているところでございます。先般の財政構造改革の推進についての閣議決定の中でも、ほぼ同趣旨の取組みが必要だという指摘も受けているところでございまして、これを受けまして、今回、以下の事項を追加しております。
 1つは、事業か所の重点化によります投資効果の早期発現を促進するというような項目でございます。2つ目は、各事業間の連携・整合性の確保による総合的な整備を推進するということ。3つ目は、これはもう既に閣議決定された目標でございますけれども、公共工事コスト縮減に関する行動指針に基づきまして、平成9年以降3年間で少なくとも公共工事コストを10%以上削減を目指すということを申し合わせてございますので、これを取り込んでございます。4つ目といたしまして費用対効果分析の活用によります効率的な整備の推進とチェック機能の強化を図るということでございます。その他、この骨子にははっきりしてございませんけれども、環境影響評価法の制定に伴いまして、規模が大きくて環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業に関しましては、環境影響評価法に基づき的確な環境影響評価を行う必要があるというような事項も追加しているところでございます。
 8.実施上の留意事項でございますが、財政構造改革の推進に配慮しつつ計画の着実な推進に努めるというようなことにいたしております。
 改定の内容は以上でございますが、今後の予定といたしましては、本審議会において基本的なご了解がいただければ、今月中を目途に閣議了解の運びにさせていただければと思っているところでございます。以上でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきましてご質問ございますでしょうか。

〔 星野(進)委員 〕 全体を縮減するという趣旨はよくわかるのですが、3年延長したという「3年」に特段の意味または理由が何かあるのでございましょうか。

〔 坂本総合計画局長 〕 景気対策で公共事業の追加、追加を行ってまいりました。それ以前の水準に3年延伸すると戻る、そういう考え方でございます。

〔 星野(進)委員 〕 今、ご説明いただいた4ページの7.を見ておりますと、例えばコスト1割削減だとか、その他重点でやっていきますと金額ベースでは縮減するけれども、事業ベースでは意外と変わらない、そんなことを想定しているのかなと思ったものですからお伺いしたのです。

〔 坂本総合計画局長 〕 ご指摘のように、コスト削減が相当効きます。したがって、よく公共事業を7%カットするとマイナス効果はいくらになるのかというご質問がありますが、一方でコスト低減によるプラス効果もございます。
 それから、表には出ておりませんけれども、地価の下落が非常に大きく効くと思うのです。公共事業における用地買収の費用が従来ほど高くなくなるということもございますので、事業量としては見かけの3年延伸よりもそれほど少なくはならないというふうに考えております。

〔 豊島委員 〕 この計画の位置づけというのは、ちょっと正確に把握していないところがありますので、質問というかお伺いしたいと思いますが、1つは3年延ばす、これは今のご説明でわかったのですけれども、財政再建で支出を減らすというのもそこにあったのではないかと思います。そのときに、いままであるやつを3年延ばして、優先度の高いものから前倒しにするとか、そもそもの計画について今相当の批判があります。その批判が正しいかどうかは別として、そういうものがどこまで織り込まれているか。そもそもいままであるやつを見直してその上で延ばして、かつ優先順位をつけるのか、それともそもそものやつはあまり変えないで優先順位を先にして、低いやつをあと3年でやるのか、その辺ちょっとはっきりわからない。
 もう一つは、経済計画のある時点からのあれですけれども、要するに、経済はうまくいっているから、生活が大事だという感じでできてきたのを若干引きずっているのではないかという気がするのです。もちろん、福祉とかそういう点遅れている、生活を大事にしなければいけないというのはわかるのですけれども、日本経済のポテンシャルといいますか、それが非常に問われているときに、それをいかに活性化するかというのがあるわけで、公共投資の中でも若干入っているのですけれども研究開発をやるとか、もう一つは高コスト構造を退治する、物流なんかそういう意味で書いてあると思うのですけれども、研究開発がこれを見ますと、豊かで質の高い生活を支える発展基盤の中に入っているという感じがするのです。何かそういう感じで、若干、社会公共投資といいますか、そういうものに対する考え方、やはり日本経済の活性化といいますか、そういう面からの焦点の当て方というのをもう少しやる必要があるのではないか。これはいままでも議論されていたことだと思いますけれども、そういうことが1つ。
 3点目は、民活の問題で、これは発展途上国なんかでもODAだけではだめで民活でという、これは外資をあてにしているのですけれども、イギリスなんかはかなり広い分野で民間に任せる。その辺のところの議論は相当あったのでしょうか。その3点を教えていただきたいと思います。

〔 坂本総合計画局長 〕 まず、この基本計画は、実は具体的にどの事業にいくらの金額を充てるという性格ではなくて、基本的な考え方を述べている。あえて数量的に言えば、生活関連の社会資本を60%台前半に、下水道等を例示してあるというぐらいでして、これを受けて16本の中長期計画、5箇年、7箇年、あるいは10箇年計画という各計画がございます。 今回、財政構造改革でその計画自体の額を変更することは行われず、単に各々期間を延長するということになりました。したがいまして、今、16本の計画は期間に延伸になるにすぎない。ただ、私どもの方は私どもの考え方に沿って各計画ができているというふうに考えているわけでございます。ただ、一方で、財政構造改革会議では向こう3年間の緊急期間、この期間について公共事業は7%カットすると言っておりますが、そういう事業をカットするという中で、ここに申し上げました経済構造改革に資する高コスト是正に資するものについては重点的に予算をつけなさい、あるいは生活関連も忘れてはいけない、こういうことになっている。これは3年間の話でございます。
 したがって、ご指摘の、各事業の計画の内容について増減があったかと言えば、それはなかった、16本の計画についてですね。ただ、公共投資基本計画については、向こう3年間だけの話ではなくて中長期的な考え方でございますから、実はその点も後ほどご説明しようと思いますのですが、公的部門の役割というのをどう考えるか。その中には社会保障とか公共事業の代表選手だと思うのです。そういう中で例えば配分のご議論等を深めていただければというふうに実は考えているわけでございます。
 民活の点は、従来、計画自体では今回は改定しておりません。実施主体として国・地方、公共団体、民間と分けておりますので、その民間部門の表現ぶりは特段変えておりません。

〔 諸井委員 〕 質問が2つあるのですが、1つは前の計画のときには地価上昇をどのぐらいみていたかということです、前の 630兆円を作ったときに。 もう一つは、今、局長がた説明された3ページの下のアンダーラインして改定した部分、これがどうも読み方が難しい----、要するに当初の計画では生活関連を重視して、それを60%台前半にもっていく、その他のものは30%台後半にするということを決めたわけですね。それに対してこの3年間は、物流や何かを重視しろということと、生活関連については、「一定の生活水準の確保のための投資分野の優先と真に整備が遅れている----」、そうすると、一体、この下の60%台前半と30%台後半というのは、この3年間については変わるのですか変わらないのですか。

〔 坂本総合計画局長 〕 地価の方はちょっと調べさせますが、下の方の表でございますけれども、これは2007年度までの全体が60%台前半と30%台後半ということです。ただ、向こう3年の極めて圧縮した予算を作るというときに公共事業は7%カットである、ただそれは一律ではなくて、高コスト是正に資するようなものについてはそれなりに配慮する。 だから、生活関連も配慮する。直ちにそれが下の60%台前半と30%台後半がどうなるという関連は直接にはございません。

〔 諸井委員 〕 だから、3年間の中での配分はこういう感じよりちょっと変わってくるのではないかという感じがするのです。だから、トータルの2007年までは結果としてこうなるのかもしれないし、本当はこれ自体もこれから見直さなければいけないわけでしょう。今回は、財政構造改革会議の報告に従ってその必要な部分だけを直しているわけだけれども、本当はこれから先もっと見直さなければいけない、多分。だから、それは変わるのだろうけれども----。

〔 長岡会長代理 〕 今のご疑問は、こういうところにウエイトを置いていけば60%台前半と30%台後半というそのシェア自体が変わらないかというのですけれども、また、考え方によっては道路整備事業とか空港整備事業とか、あるいは港湾整備事業の中でばらまかないでこういうところに集中しなさいよというふうにとれないこともないのです。それであれば、必ずしもシェアにまでは直ちには及ばないということではないかと私は思うのですけれども。

〔 坂本総合計画局長 〕 会長代理からお話がございましたように、例えば、すべて港湾を、すべて空港をということではなくて、ハブ港湾、ハブ空港、あるいは道路すべてではなくて高規格道路というところにウエイトを置いて、こういうことでございます。

〔 諸井委員 〕 何か生活関連がちょっとわからないんだけれども(笑)。

〔 和田委員 〕 1点目は、2ページの社会資本整備の主体のところで、今もお話が出ておりましたけれども、特に生活に密接に関連した社会資本は、地方分権を推進する観点から云々と書いてありますけれども、先ほどからお話を伺っていまして、次のページの公共投資の配分のところでも、「直接的に国民生活の質の向上に結びつく----」、そういうところの線引きがどういうところでできるのかなというような疑問はありますけれども、消費者としましては、ここのところにきちんと目を向けていただきたいということが1点。
 それから、「特に地域のニーズを踏まえて効率的に整備する」と。それと社会資本そのものの地方のそれぞれの地域の人たちが本当に還元して、後々十分に活用できてというようなもの、そういうことに対する意見も十分に入れて内容面でも生活に密接にというところを生かしていただきたいということを申し上げます。
 もう一つは、もう書いてあることでダブりますけれども、公共工事のコスト縮減対策、ここのところは去年、一昨年ぐらいからいろいろな事件もありまして、関心以上のものを持っておりますので、是非、十分に対応していただきたい。これはいろいろなやり方があると思うのですけれども、さまざまな方策が考えられますし、入札の方法とかいろいろなことがあると思うのですけれども、これも重ねてお願いしておきたいと思います。
 4ページの7.にあります環境・エネルギー問題への適切な対応、これもこれからの問題として十分に配慮していく必要があるということを申し上げておきます。

〔 鶴田委員 〕 1ページのii.公共投資の基本計画の骨子の1.基本的考え方の(1)を読みますと、これ、非常によくできているのです。「本格的な少子・高齢社会を間近に控え、国民が真に豊かさを実感できる社会を実現するため、人口構成を考えると現在のうちに、経済構造や財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ社会資本整備を促進。」、大変名文句で書いてあるのですけれども、各フレーズが整合的なのかどうかということになると、極めて疑問が多いと思うのです。1つここで言いたいのは、今の最大の問題は財政構造改革だと思うのです。財政収支の改善ということで今や大きな問題になっています。 そうなりますと、公共投資に対する財政資金はどちらかというとカットするという考え方が常識的なのではないかと思うのです。公共投資に対する財政資金のウエイトを減らしていくというのが1つの考え方ではないかと思うのですけれども、なんたって社会資本の整備は財政資金に依存しなければできないと思うのです。後の方にいきますと、社会資本整備を促進するということで何を言っているのかといいますと、10ページを見ますと1.社会資本整備の財源については、各々の社会資本の性格に応じ、租税、公債、財政投融資 資金、民間資金等を適切に組み合わせる。これもわかったようなわからないような表現なのですけれども、第3セクターという形で民間資金を導入して社会資本の整備を執行する例は少なくありませんけれども、しかし、民間がうんと豊かであればこそそれは可能になるわけです。民間が貧しかったらこれはとてもできないのです。だから、そういう問題をどういうふうに考えるか。先ほどの構造改革のところにもありましたけれども、民間に公共投資の資金も依存するということであれば、少なくともGDPの成長率が5%か6%ぐらいないとできないと思うのです。だから、そのあたり全部整合的にもう少しやる必要がないのかな。
 それから、財政投融資資金、これ実行するかどうかわかりませんけれども、まさに郵貯民営化とか、いろいろ問題が出ております。それは別問題かもしれませんけれども、そういうものを全部含めてどうしたらいいのかということをもう少し切り口を書いてみる必要もあるのではないかと思うのです。
 だから、これだけちょっと読むと非常に良さそうな感じになるけれども、よくよく考えて、じっと文言を見ていると、これは一体何を言わんとしているのかなということも、結論はそこになってしまうのですよね。

〔 山口委員 〕 私、社会資本整備研究会の座長でございますので----。
 今、例えば鶴田委員が言われたところは、みんな元の文章のままのところです。まさにおっしゃいましたように、社会資本というのはやはり公的資金で作るというのが基本だと思いますので、そういう意味で租税が中心になろうかと思います。しかし、公債というのも併せて考えなければならない。それから、租税にはね返らないようなお金として、今、問題になっているかもしれませんが財投資金を使うということも、例えば有料道路等で考えなければいけない。さらに、民活方式といったようなことも、先ほどどなたかがおっしゃいましたように、世界的にもそういう意識が強まっておりますので、民間資金も何らかの誘導策を用いるということも含めて考えていかなければいけない。というようなことで上手に書いてあるわけで、具体的にこれをどうしてていくかというのは、それぞれそのときどきに応じて工夫していかなければいけないことだと思いますが、そこで、基本はむしろ(2)にありますように、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として、というところに非常に強い意味がこめられておりまして、当時、何でも公債をどんどん発行して仕事をやればいいじゃないかということに対して、これは大変強く戒めているところでありまして、ここに書いてあるだけではなくて、実は一番最初の基本的考え方というか、1ページの一番最後の行から2ページの一番最初の行にかけても、まさに経済構造の改革に取り組むとともに、財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ、でありますが、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として社会資本整備をやっていくのだ、ということを言っておりまして、まさに財源問題についてはこうした考え方が基本であるということであろうかと思います。
 したがって今回の見直しに際しましても、全くこの点は前後一貫しているはずでございます。
 それから、全体として3年程度延ばすということは、財政再建の方の計画からいってやむを得ざるところであろうかと思いますが、もともと21世紀初頭、大体2010年前後、この辺を整備目標のゴール期間と漠然と、漠然というか幅のある考え方でありますけれども、そのように考えておりまして、そこに向かっていろいろな社会資本それぞれについてどの程度の整備水準でいくべきかということをまとめあげたので、今現在、まだ3年しかたっておりませんから、現段階においてはこの考え方でとりあえずはいいのではなかろうかなと。将来、当然、また考え直すべきときはくると思いますが、ということではなかろうかと思いますね、事務当局の考えは。その中で例えば公共投資の配分問題というのについて、もう少しメリハリを効かせたらどうかというご意見もあろうかと思いますが、今度の財政構造改革会議で、5箇年計画をみんな2年延ばす、10箇年計画は4年延ばすということを機械的にやったように見えますが、実は個々に見てみますと、残りが少ない事業は2年延ばされると非常に減るわけです、簡単に言うと。それは事業別にみますと大変偶然かもしれませんが、うまい具合にというか、世の中の常識に合ったような実態になっておりまして、それ故に機械的な2年延長ということが決められているのだろうと思いますので、今後何年間の公共投資配分につきましても、その考え方はおのずとにじみ出てくるものだと考えております。

〔 坂本総合計画局長 〕 表現ぶりのところだけ、変更した考え方だけ申し上げましたが、1ページの「人口構成を考えると現在のうちに、経済構造や財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ----」となっておりますが、原文は「人口構成がまだ若いうち、しかも経済に活力のある今の時点で----」という表現でありました。しかし、厚生省の人口推計が出てきますと、今現在が人口構成がまだ若いという段階ではなくて、もう若いとは言えない段階に入りつつあるということを1点考えております。
 この計画を作るときには、経済の活力は確かにあったのですが、現在、ようやく景気回復ということの過程で、現時点で活力があると言い切ることは難しい、だから、むしろ経済の活力を維持するような方向でということで、こういう表現をとったわけでございます。
 もう一つは、公共事業基本計画を3年延伸すれば、確かに公共事業の額は単年度、単年度で減少する。しかし、先ほど山口委員からご案内がございましたように、21世紀初頭における社会資本の水準というのは確保される。この水準は大体社会資本で必要とされる9割台を確保しようという数字が基本的にございます。
 もう一つ、ただカットしていけばいいのかというと、今我々はあまり気がついておりませんけれども、これから更新需要というのが相当出てこようかと思うのです。したがって、更新需要と新規整備が両立できるような財政構造には将来あり得ないと考えるので、更新需要という先々のことを考えると、本当はできるだけ早い時点で必要とされる社会資本の9割台を確保したいところでございますが、先ほど申し上げましたような財政の状況を考えると、3年延伸はやむを得ない。それでも21世紀初頭において必要な社会資本は整備できる。そういう考え方で、鶴田委員がおっしゃるようにあいまいになっているのは、そういう諸々の願いが入っているからでございます。

〔 金井委員 〕 既に話が出ているところで、財政構造会議の報告での3年延ばすという話、それはそれでよろしいし、項目もあまり変えないのだという話もそれでよろしいと思うのですが、確か5月の閣議決定か何かで社会資本の整備というところで、ここで議論されている物流の他に、先ほどお話があった研究開発の話とか情報通信の話とか、そういうのがいろいろ議論されています。ということは、やはりそういう方向づけを若干しておく時期ではないかというようなニュアンスもあるのではないかと思うのです。ですから、せっかく変える途中であれば、そう大きく変えるわけではなくて、そういう公共投資の配分の方向について、3年間は別としてもよく検討していくのだというようなことがどこかに気持ちが出ているかどうかというのはどうなのでしょうか。

〔 坂本総合計画局長 〕 本来の、現在の計画の中で既にそこは採り入れられているわけであります。ただ、新たに高コスト是正のところを入れたということでございまして、いま、ご指摘のような情報通信等については、既に現在の計画の中に織り込まれているということでございます。

〔 豊島委員 〕 今の関連ですが、ここを見ても、入っていることは入っているのですけれども、入り方が若干、経済の活性化という観点よりは、何か豊かな生活ということで、整理の仕方をこうされたのかもしれませんが、考え方としてはもう少し経済の活性化のために情報通信の問題とか、研究開発を入れた方がより現実的ではないか、書き替えるのが難しいかどうかは別として、私も思います。

〔 長岡会長代理 〕 今の豊島委員のご意見も、金井委員のご意見も、よくわかるのですけれども、先ほど、局長がちょっと申し上げましたように、基本計画の中には重要な問題は織り込んでいる。ここに書いてあるこれからの3年間、集中期間、いわゆる物流に関係のあるように高規格幹線道路とか拠点空港とか、それだけをえらく重視しているようにおとりになるかもしれないけれども、全体の公共投資の規模が縮小するときでも、将来の日本経済を支えていくべき重要な役割を担う物流施設は犠牲にしてはいけませんよというふうにご理解いただけないでしょうか。他のものはもちろん全部重点として入っているのだということでご理解いただけないかと思うのですが。

〔 豊島委員 〕 物流が入っているのは結構です。

〔 坂本総合計画局長 〕 長岡代理からお話があったとおりでございまして、既に7ページでその考え方が入っているわけでございますが、今回、1ページの冒頭で、下から5行目ぐらいに、「人口構成を考えると現在のうちに、『構造改革のための経済社会計画』----」、つまり私どもの経済計画でございます。『経済構造の変革と創造のための行動計画』、産構審でやったようなものでございますが、「----等に沿って、強力かつ速やかに抜本的な経済構造の改革に取り組むとともに、財政構造の改革を進め、経済の活力を維持しつつ----」というようなことで、基本的考え方を、3年間の予算のところではなくて冒頭にもってきている。ですから、これは長い目で、この計画全体として経済構造改革の方向性を示しているということでございます。

〔 諸井委員 〕 言い出すと、いろいろ欲が出てキリがないのだけれども、前に作った計画を財政構造改革会議に合わせて多少修正したというところで、この辺でよろしいのではございませんでしょうか(笑)。

〔 豊田会長 〕 いろいろ貴重なご意見をありがとうございました。
 それでは、公共投資基本計画の案につきましては、基本的にはご了承いただけたものといたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
             ( 「異議なし」の声あり )  ありがとうございます。
 なお、本計画につきましては、19日に予定されております閣議におきまして了解される予定になっております。 なお、ただいま出ましたコストの縮減とか、環境、エネルギー、あるいは経済の活性化ということにつきましては、私も、時々総理にもお目にかかりますので、そういう趣旨は十分に伝えたいと思っております。 それでは、次の議題に移らせていただきたく存じます。 最後の議題は「経済審議会の今後の運営について」でございます。 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

〔 坂本総合計画局長 〕 お手元に資料5と資料5に(別添資料)というのがついておりますが、まず資料5でご説明し、内容については(別添資料)でご説明させていただきたいと思います。
 まずi.審議事項でございますが、今後、経済審議会でどういうことをご議論いただき、ご検討いただこうかということで、会長あるいは会長代理とご相談して、素案をまとめたものでございまして、ご審議いただきたいと思います。
 1つは、構造改革のための経済社会計画、つまり、現行計画を着実に進める、そして構造改革を通じた経済・社会の変化と経済運営の在り方について検討する。
 もう一つは、首都機能移転についての検討ということでございまして、2ページに図がございますが、現在、経済審議会には構造改革推進部会と、その下における行動計画委員会、首都機能移転委員会と21世紀世界経済委員会とございましたが、21世紀世界経済委員会は、先ほど、佐々波委員長からご報告いただきましたように、報告をとりまとめましたので、これで終了いたしました。
 首都機能移転委員会の方は、後ほど星野(進)委員長代理からご説明がございますが、これはそのまま継続していく。
 そうしますと、構造改革推進部会とその下における行動計画委員会がなくなるわけでございますので、新たに経済社会展望部会と経済主体役割部会というものを設けてはどうかということでございます。
 計量委員会は引き続き置いておくということでございます。
 1ページにお戻りいただきまして、ii.の検討体制の1.「経済社会展望部会」の設置。 同部会においては「6つの改革」等諸般の構造改革の動きを踏まえた我が国経済・社会の姿を展望する。
 2.「経済主体役割部会」は、構造改革により新たな対応が求められる各経済主体の役割と課題等を検討する。
 3.「首都機能移転委員会」については、引き検討を行う。
 4.「計量委員会」については、引き続き行う。
 スケジュールとしては、各部会等でご議論いただいて、どういうスケジュールでお進めいただくかをご検討いただきたいと考えております。
 それでは、具体的にどういう点を考えていくかと申しますと、それが(別添資料)でございまして、会長あるいは会長代理とご相談申し上げました問題意識として、ここ数年来の先行きの不透明感、閉塞感が漂う中で、「改革なくしては新たな発展なし」との理念に基づいた経済計画が策定され、また、現内閣において「6つの改革」が打ち出されておりますが、今後、これらの改革の遂行過程における経済運営のあり方を検討していただくとともに、改革後到来する経済社会、あるいは国民生活の将来像を展望して、できる限りわかりやすく国民に提示しておくことが、現在の先行き不透明感、閉塞感を払拭するのではないか。そういう問題意識でございます。
 (調査・審議事項)でございますが、「構造改革を踏まえた日本の経済・社会の展望」、これがいわゆる(経済社会展望部会)でご検討いただくことでございますが、長期的な観点から、6つの改革を踏まえて日本の経済・社会の姿を展望する。
 まず(1)日本の経済社会を取り巻く環境の変化。従来から出ております例えば少子・高齢化、高度情報化、グローバリゼーション、人口・食料、あるいは先ほどご指摘のございました環境・エネルギー。ある面では世界的規模でございますが、成長制約要因と言えるものもあるわけでございます。
 (2)構造改革と経済・社会の変化ということで、経済の供給面から、構造改革が中長期的な経済活力に及ぼす影響を中心に検討する。その場合に、先ほど来ご議論のありました財政・社会保障と経済活力、あるいは世代間の受益と負担の適正化。つまり、公的部門をどういうふうに考えていくのかということでございます。先ほど国債の話がございましたが、世代間会計、社会保障もしかりでございます。
 これも先ほどご議論いただきました現に持っている個人の金融資産1,200兆円をどういうふうに活用していくのかによって、金融改革後の姿も変わってくるということでございまして、これをいかに活用していくかということをご検討いただければと思っております。 さらに、新規産業・ベンチャー企業を創造していくためには、どういう基盤を考えていかなければならないか。
 あるいは少子・高齢化に向けて、労働力をどうやって確保していくか。さらに質の高い労働力をどうやって確保していくか。 技術革新を生み出すような経済社会体制。刺激をどうやって持たせるか。例えばそういうことをご検討いただいてはどうかということでございます。
 2ページにまいりまして、「構造改革の進展と経済主体の役割」、仮称「経済主体役割部会」でございますが、これは今申し上げましたような展望をするに当たって、一体、経済主体としては誰がどういうことを行うのかということでございまして、各経済主体に新たな対応を求めることになる。構造改革の中でそれぞれの経済主体が担うべき役割と課題。 まず(1)公的部門の役割。公的部門の役割として資源配分、所得再分配などの見直し。規制緩和の土俵づくりでありますが、一層の推進。あるいは国と地方の役割分担の問題。
 (2)家計部門の課題。規制緩和によって自己責任社会になってくる。そうすると、現在の法制度で消費者、生活者保護は図れるのかどうか。というような問題があるので、その環境整備を図る必要があるのではないか。
 (3)企業部門の課題としては、日本型企業運営が制度疲労を起こしているので、これについてどう考えるか。
 それから、現在、経済構造改革、規制緩和等議論されておりますが、実は政府による規制というだけではなくて、日本企業の取引慣行自体にも相当の問題があるのではないか。 最近の港湾労働の問題等、あれは政府の規制ではなくて労使協定のようなものでございます。それは代表例でございますが、そういった企業の取引慣行というものを、やはり検討してみる必要があるのではないかということでございます。
 (4)新しい経済主体の登場。新しい経済主体として今後ますます、営利事業でもない、国でもない、NPOの役割、経済の中における重要性も増してくる。これをどうやって位置づけて分析していくのか。どういう姿になるのだろうか、そこも必要であろうかと考えております。
 (5)世界経済との相互関係。例えば、どうして日本に対する直接投資がこんなに少ないのか。そういったような各経済主体の役割と(5)の世界経済、つまり、金融の部面で出ましたが、ビッグバンをやってロンドンになっちゃった、マーケットは活性化するけれどもプレイヤーは違ったというようなこともございますので、そういった点も当然こういうところでご議論いただけるのではないか。
 「経済計画のフォローアップと今後の展望」でございますが、これは、毎年フォローアップしていただいている点でございますので、これはきちっとやっていこうということを考えているところでございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 引き続きまして、首都機能移転委員会の運営につきまして、星野(進)委員長代理よりご発言がございますので、お願いいたします。

〔 星野(進)委員 〕 那須委員長から、この機会をお借りしまして、首都機能移転委員会の進捗状況などについて皆様方にご説明申し上げておくようにというご指示をいただいております。ご説明申し上げます。
 首都機能移転委員会におきましては、昨年度、移転先の県に与える経済的影響について生産関数を推計して分析するなどの検討を行い、中間とりまとめとして報告いたしました。
 本年度は懸案となっております大規模震災と首都機能移転との関係などを中心に引き続き検討を進めることとしております。
 しかしながら、先般、6月3日に閣議決定された「財政構造改革の推進について」におきまして、首都機能移転問題については慎重な検討を行うことを提起するとされるとともに、これを受けまして、国土庁長官が閣議におきまして財政構造改革期間(1998~2003年度)は原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わないこととし、今後とも移転先候補地の選定など、必要な検討を引き続き進める、旨の発現を行っております。
 経済審議会におきます首都機能移転についての検討は、そもそも具体的な候補地の選定の前段として必要なマクロ的、基礎的な分析が中心でありまして、今後とも着実に進める必要があると考えておりますが、こうした事情にかんがみまして、今後の「国会等移転審議会」の検討状況も十分に勘案しながら検討を続けてまいりたい、という趣旨でございます。ありがとうございました。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、先ほど説明のございました経済審議会の今後の運営につきまして、何かご意見、ご質問がございますでしょうか。

〔 川勝委員 〕 経済審議会の検討のしぶりを、私、参加させていただいて数年になりますが、年を追うごとに非常に弾力的になりつつあるという点については評価したいと思います。ただ、1つ、私どもの注文と申しますか、いろいろ綿密なる作業をしていただくわけですけれども、今日、提示されました案件全部の問題でありますけれども、あまりにもソリッドにでき上がりすぎている。したがいまして、積木崩しではないのでありますけれども、端の方をつっ突いてもなかなか本質的な議論にならないということでありますので、欲を言えば、いわゆる作業過程と申しますか、例えば金融部門でもなぜどういうふうなプロセスである1つの結論が出たかというようなことについてもお示ししていただいた方が、事務局の考えておられるプロセスがわかるのではないか。
 また、公共工事などにつきましても、これは既成事実の塊のようなものでありますから、経済審議会で検討される場合に非常に難しい問題があるだろうと思いますけれども、実際にはやはりかなり難しい既成事実が残っている。それについてはいろいろな機会にいろいろな方が指摘されているけれども、実際には3年延長という形でしめくくらざるを得ない。 この辺に公共工事の難しさがあると同時に、経済審議会でやはり大きくその辺について、先ほど申し上げた弾力的な考え方の導入ということを今後お考えいただいてはどうか、そのように考えております。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございます。

〔 星野(昌)委員 〕 NPOに関してでございますが、(4)の新しい経済主体の登場、NPO活動の比重の増大とその意義というようなことを審議していくということにつきまして、事実、この分野への期待があらゆるところで非常に高まっているというのを実感しておりまして、さる6月の7日、8日に、全国レベルでの「NGOフォーラム'97 イン神奈川」と、一番最初は神奈川、次は大阪へという形で催しましたところ、延べ 1,400名の方々が全国から参加されて、参加された方たちは、実際そうした市民活動を国内で、福祉、分化、芸術、あらゆる分野を含めての活動者、あるいは国際協力が数としては多かったのですが、その次に多かったのが市町村など行政関係者、そして企業の方、あとは議員の方々でしたが、期待は非常に高まっていると思います。 一方、ご承知のように、市民活動の促進法案(通称NPO法案)というものが6月6日には衆議院を通過いたしましたけれども、時間切れということで秋まで成立待ちという形なのですが、この秋頃から各党のNPO法案ご担当の議員と、NPO側の非常に密接な話し合いというか、はじめは全く姿勢が違う両者で、かなり修正されていきまして、もし、その成立をするのであれば、NPO側から見て非常にまだ不十分といいますか、基本的にも違うところはたくさんあるけれども、みんな法人格を、NPO法人というふうになるのだと思いますが、とって、そして一歩進もうという姿勢は大体一貫しているのですけれども、一方、やはり公が公益性を判断し、なおかつ監督・指導していくという基本的な考え方が変わりませんので、アメリカその他で行われているような届出をしてむしろこれからまだわからない未来の社会に対する対応のアイディアとか推進するエネルギーが、市民の中にある、それを尊重しながらいかに支援するかというふうにはできていないために、もし成立しても法人格をとりたくないというNPOも、既にそういうところがありますし、その団体の中には、むしろ非常に力があるところほど任意団体で居続けるということは非常な不利があるのですけれども、まずあまりコントロールされない形で頑張ろうと。
 私、非常に問題だと思うのは、多くが法人格をとるという方向で秋に動けば、日本の中の期待されるエネルギーがどのぐらいあるのかということが把握できるのですが、法人格をとらないという可能性もかなりあるので、今、いろいろなところが調査、例えば国土庁などは委託したプログラムで自治体から自分の足下のところにどういう市民の運動があるかというような調べも、去年なさったりしているのですけれども、やはり実態が十分把握できない。そうすると、ここでおっしゃっている調査・審議という----、私は、経済企画庁でそういうことをもしできるとすればする意義があると思いますのは、もし、今の修正案どおりに通るとすれば、一都道府県に事務所を持っているところはそこの、ですから神奈川県知事というところに主務官庁というふうになるわけなのですが、いくつかの事務所を全国的に持っているところは経済企画庁長官の下にということになっておりまして、そういう日本の中でわからないのだけれども、ただただ期待が高まるという、分野における実態を調査というような、私、具体的な方法や何か提案できませんけれども、そういう可能性があるならば、是非というか、これはこの審議会のプログラムではないけれども、次の年度とかその必要性が非常にあるというふうに感じております。

〔 坂本総合計画局長 〕 ただいまのご指摘の調査は、経済企画庁でやっております。 国民生活局長から説明させていただきます。

〔 井出国民生活局長 〕 今、星野(昌)委員にご指摘いただいた件につきましては、議員立法で法案が衆議院を通過し、おそらく参議院は継続審議ということになるかというふうに承知しております。
 ここの基本的な団体の数でございますとかというふうなものにつきましては、昨年度の調査で、とりあえず各都道府県にお願いいたしまして、どういう団体があるか、どういう活動を行っているかということを調査いたしまして、過日、団体基本調査ということで出版させていただいております。おそらく今後もう少し活動のインプリケーションでございますとかいうふうなことにつきましても、もう少し掘り下げた調査というふうなものも行っていきたい。それを行うに当たりましては、ご指摘のように、役所が上から調査をするというふうなことではなくて、団体の皆さんに入っていただいて、どういう調査をしていったらいいかというふうなことで、役所はそのためのお手伝いの場を提供するというふうな形で進めていきたいと考えております。

〔 末松委員 〕 今年度の取り上げる課題について1つお願いでございますが、去年のこの作業で途中までずっと出てきておりました問題に公的金融というのがあって、これは大事だということできておりました。しかし、後半になって、ビッグバンという問題が出てきたので、金制とか証取審とかそういうところに渡されたというふうに理解しておりますが、そこで、結局、出てきた答えの中には消えてしまっております。したがって、私は、できれば今年度、2つのテーマのどちらの問題にも引っかかっているのですが、公的金融という問題についてもう一度見直ししていただきたい。そうでないと、先ほど来話しておりますような東京のロンドン化であるとか、そういうことも全部画餅に帰するのではないか。やはり金融として、前にこの会議では車の両輪のようなものだという認識があったというふうに理解しておりますが、両輪の片方がどこかに消えていっているということでは、最終的には本当のビッグバン、東京のロンドンシティ化は無理だろうというふうに思いますので、ちょっとお願いとして申し上げておきます。

〔 角道委員 〕 公的金融は金融制度調査会でも問題になっておりますが、金融制度調査会でやることについては非常に限られた郵貯その他の問題になってくるかと思いますので、今、末松委員が言われたように、金融制度調査会の結論は、いろいろな場で議論してもらいたいというようなことになっておりますので、是非、お願いしたいと思います。
 もう1点は、進め方については基本的に結構だと思いますが、2ページの「構造改革の進展と経済主体の役割」の(1)公的部門の役割の中に、国と地方の役割分担のあり方というのがございます。国と地方の役割分担という場合、おそらく今の47都道府県あるいは 3,200余の市町村、これを前提にしての議論であればちょっと問題があるのではないかと思います。今の交通状況、あるいは情報の進展状況からみますと、47都道府県あるいは 3,200余の市町村がこのままでいいということには私なんかは思いませんので、やはりもう少し市町村合併、都道府県合併とか、いろいろそういう気運が出ておりますけれども、そのあり方、地方公共団体のあり方自身もやはり問題にしていただいて、それと国との関係というふうに表現でも考えていただければありがたいと思います。

〔 諸井委員 〕 今、地方分権推進委員会でもいろいろ検討していますし、行政改革会議でもいろいろ検討しておりますが、今の時代というのは非常に大きな改革、戦後、最大の改革が同時並行して進められるという状態なわけですから、いろいろな審議会、いろいろなところでそれぞれがそれぞれの視点から切り込んでいって、それがだんだん集約していく。大きな流れは決まっているわけですから、その中でみんながどんどんいろいろやっていくというのはいいことだと思いますので、ですから、ここでも地方のあり方というのを議論していただくことは大変結構だと思います。
 先ほど、提案されたこれからの活動なのですけれども、今、申し上げたように非常に大きな改革が同時並行して進んでいる状態ですから、本来ですと、経済計画もここで並行して立て直しをしなければならないということがあるのだろうと思うのです。ただ、情勢が固まっていない段階でまたそれをまとめるというのは不可能であろうと思いますから、こういう格好で将来の姿を展望していくというのは必要なことだし大変結構だと思います。 しかも、それをまたタテ割で主体別にまた見ていくというのも、これはなかなか面白いアイディアだと思います。ですから、この原案には賛成でございます。

〔 豊田会長 〕 ありがとうございました。
 予定の時間もだいぶ過ぎましたので、それでは、今後の経済審議会の運営につきましては、ただいま伺いましたこともいろいろ勘案しまして、基本的にただいまご提案しました案に沿って運営してまいりたいと存じます。
 なお、「経済社会展望部会」の部会長は、本日、ご欠席でございますが、小林陽太郎委員に、また「経済主体役割部会」の部会長は、本日、ご出席の水口委員にお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。大変お忙しいところでございますが、よろしくお願いいたします。
 また、各部会に属する委員につきましては、両部会長の方々と相談の上で別途決定させていただきたいと存じます。
 それでは、本日はこれで終了させていただきます。本日の審議の内容につきましては、後ほど私より公表させていただきます。
 本日は、長時間にわたりまして、委員の皆様のご協力によりましてご審議誠にありがとうございました。

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