『地域の経済2014 -経済の好循環の波及に向けて-』の公表にあたって
内閣府経済財政分析担当では、年1回、「地域の経済」と題して、地域経済に関する報告書を公表しています。今回の報告書では、2012年末から消費税率引上げを経た足元までの地域経済の動向を概観し、経済の好循環に向けた動きが地方へと波及しつつある現状を示すとともに、人口減少が進む地方においても、人口が増加し、または人口減少に歯止めがかかる市町村があることや、それらの市町村の特徴等を明らかにしました。
第1章では、2012年末から足元までの地域経済の動向を概観しています。この間、雇用情勢は全地域で着実に改善を続け、地方でも所得の改善が進みつつありますが、消費の回復には依然として地域間でばらつきがみられます。本章では、その要因として、所得改善が都市部で先行していること、株価上昇に伴う資産効果や外国人観光客による消費拡大が都市部に偏って表れていることを指摘しました。一方、生産や設備投資などの企業活動は持ち直しており、更なる雇用・所得環境の改善につながっていくことが期待できることを示しました。
第2章では、地方における足元の人口動向と地方の活性化に向けた取組を概観し、地方の人口減少に歯止めをかけるための方策を検討しています。地方において人口が増加した市町村をみると、産業等の拠点が所在する人口規模10万人以上の都市とその周辺の市町村が多くなっており、良好で安定した雇用環境の実現や子育て支援策の充実等が重要であることが指摘できます。また、条件不利地域等において人口動向が改善した団体を分析し、観光業や一次産品の加工販売等の促進といった取組を通じて人口の社会移動が活発化している姿を示しました。
経済の好循環の更なる拡大を実現し、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせることが重要な政策課題となる中、本報告が地域経済の現状に関する理解の一助となれば幸いです。
最後に、本報告の作成にあたって、関係省庁、地方自治体やその他の皆様にヒアリングやデータ提供等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。
2015年1月
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
田和 宏