『地域の経済2013 -景気回復の着実な波及をめざして-』の公表にあたって
内閣府経済財政分析担当では、年1回、「地域の経済」として、地域経済に関する報告書を公表しています。
現在、政府は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」の推進に取り組んでいます。その効果もあって、市場や家計、企業のマインドが大きく変わり、マクロ的には経済の足取りがしっかりしてきています。長年にわたり日本経済を苦しめてきたデフレにも変化がみられます。また、支出の増加が生産の増加につながり、それが所得の増加をもたらすという経済の好循環が動き始めています。しかしながら、景気回復の実感はいまだ全国津々浦々まで届いてはいません。日本の隅々にまでこびりついた「デフレ」からの脱却はいまだ道半ばです。
以上のような状況を踏まえ、本報告書は次のような2章立ての構成のもと、地域経済の現状と課題について分析を行いました。
第1章では、この1年間の地域経済を概観しています。その中で、各地域における企業、雇用、家計の動向について分析を行っております。加えて、東日本大震災の被災地における復興の現状と今後の課題を整理しています。
第2章では、今回の景気回復の動きが、地域別や都市規模別にみて、どのように波及しつつあるのかを整理しています。具体的には、マインド、生産、消費、雇用といった項目について、過去の持ち直し局面との比較を交えながら、各地域の特徴の抽出を試みています。また、都市規模別による景況感や消費の改善状況の違いを明確にし、その背景について考察しています。
景気回復の実感を確かなものとするためには、好循環の動きが浸透していくタイムラグをできるだけ縮めていくとともに、その動きについて適切に説明していくことも重要であると考えます。
本報告が、こうした重要な時期に、議論の材料を提供し、地域経済の発展に向けた取組の一助となることができれば幸いです。
最後に、本報告の作成にあたって、関係省庁、地方自治体やその他の皆様にヒアリングやデータ提供等を通じてご協力を賜りました。この場を借りて深く感謝を申し上げます。
2013年11月
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
西崎 文平