第2回経済審議会行動計画委員会議事概要
- 日時 平成8年9月19日(木)14:00~16:00
- 場所 経済企画庁 特別会議室(1230号室)(第4合同庁舎12階)
- 出席者
(委員会)水口弘一委員長、石川武委員長代理、
得本輝人、豊島格、山口光秀、荒木襄、岩崎美紀子、大塚英作、
兼重一郎、國島正彦、神津昭平、佐藤治正、杉山雅洋、高尾義一、
前田又兵衛、巽和夫、西村清彦、柳島佑吉 の各委員
(事務局)糠谷事務次官、水谷日本銀行政策委員、鹿島企画課長、
坂本総合計画局長、小峰審議官、五十嵐審議官、志賀計画課長、
田中計画官、大前計画官、安井計画官、赤井計画官、小原計画官、
道上計画企画官、前川経済構造調整推進室長
- 議題
- 6分野の構造改革推進施策に関する今後の審議予定について
- 10分野の行動計画の推進状況について
- 審議内容
6分野の構造改革推進施策に関する今後の審議予定が了承された。
事務局より10分野の行動計画の推進状況について資料に基づき説明を行った。
これに対する委員の主な意見、質問は次のとおり。
- 鉄道貨物のコンテナの大型化の推進について、20フィート以上のコンテナの比率が0.28%から0.35%に増加しており、大型化が図られているとして評価しているが、1%以下の増減に対して判断を加えるのはどうか。 また、海上コンテナの輸送を考えるならば、40フィートへの対応を考えないと無意味であり、その際、駅だけ整備してもだめで道路の対応を考えなければならない。
- 特石法の廃止によりガソリンの輸入を巡る状況が堅調に推移していると記載しているが、ガソリンの輸入をする業者は備蓄の義務付けがあり、そのための設備投資の負担等に耐えかねて殆どのところが撤退を考えているという話を聞いたことがある。その場合でも堅調に推移という評価ができるのか。
- タクシーの初乗り料金の距離を短くして料金を下げてはどうかという記事が新聞に載っていたが、このような弾力化を積極的に推進すべきではないか。
- 一般企業が発注する建設コストは2割程度低下したと聞いたが、公共工事のコストはどうか。
- 民間の建設工事は大変な過当競争であり、ダンピング受注により、今後の決算状況の大幅な悪化が懸念されているところ。また、民間の建設コストと公共工事の建設コストの性質の違いも踏まえることが必要。公共工事のコスト低減のためには単年度施行の仕組みを変えることが重要。
- 例えば、ダムの入札を総括方式により一本で行うのではなく、個別に積算して価格の低下を図るなどもっと工夫の余地がある。
- 公共工事の請負工事約款では受注側の技術的な提案が公式に認められていないと理解している。このような制度を変えるべきである。
- 国の直轄工事においては、受注側の提案がかなり取り入れられている。今後、公共工事の建設コストを下げるためには、公共工事全体の7割を占める地方自治体の協力が不可欠であろう。
- 内航船について阪神大震災を契機に釜山に荷を持っていかれている。計画策定時にはここまで事態が深刻ではなかったのでは。フリーアクセスゾーンに指定してダイレクトに外航船を入れて物流コストを下げることも考えられる。空洞化を防ぐために新しいことを考えなければならないのか。それとも、現計画を推進していくのか。
- 電気通信分野の資料に情報流通量の推移に関する資料があるが、その単位の百億WORDとはどのような量の概念か。また、どのように調査したのか。
- 電気通信分野について日本の市内料金はアメリカより安いという報告が出されているが、公衆電話では事実であるが、市内電話に関してアメリカでは自宅の電話では「かけ放題」や「身障者割引」等の多様な料金体系があるため、日本より安く、単純に料金の比較ができない。どのように日米の料金の比較を行ったのか。
- これからはインターネットの時代であるため、市内料金の低廉化が重要であり、市内料金と長距離料金との比較は無意味である。
- 情報通信に関しての公共料金は低廉化しているということが記載されているが、日米では事情が違うので意味がないのでは。
- ガソリンの価格構成の表は大変分かりやすい。他の10分野でもこのような価格構成の表を作るべき。
- 流通分野では労働生産性の向上が目標であるが、点検指標及び推進状況にそれに対応する部分がない。労働生産性に対応する部分を載せるべき。
- 物流分野において適当な輸送機関の選択の促進、効率の良い営業用トラックへの転換を促すという記載があるが、これは利用者がすべきでありここに踏み込むのではなく、これに向けた市場条件を整備すべきなので、別の表現とすべき。
- 共同配送システムの整備は古くから言われているがなかなか進まない。これは商慣行の問題であるので、商慣行の是正を検討すべきではないか。
- 公共工事について、新規参入し易くなるなど競争原理が機能するようになったことによるコスト削減の側面も分析すべきではないか。
- 発注者の受注者に対する規制の変化だけではなく、予定価格の公表、会計検査の在り方等発注者にかかっている規制の見直しによるコスト削減を提案できないか。
- 大きな工事は指名ではなく一般競争入札が導入され、競争原理が機能するようにされてきているが、これをさらに地方に広げることが必要である。
- 公共工事については、会計法、予決令の改正等を通じて公共事業の仕組みを変えないとコストは下がらない。
- 内外価格差の原因は規制、商慣行、消費者の情報不足、企業の努力不足、技術の未発達が原因と考えられる。規制緩和のみを行って、残りは不十分で体質が変わっていないのではないか。航空運賃は規制緩和されたが、横並びの状態である。どこまでが国でどこまでが民間の問題か進捗状況をチェックするとき気をつけてもらいたい。
- 日本国内で日本製品を買うより外国で買ったほうが安いのはおかしい。
- 金融サービスに関して資料をみると株式市場において活発な資金調達が行われていると判断しているが、それは規制緩和の効果によるものか平成7年のマーケットの回復を受けたことによるのか定かでない。
- 東証上場会社の資金調達状況が四半期で1000億円程度ということをもって「株式市場において活発な資金調達が行われている」と判断するのはどうか。
- 「証券取引所に特則銘柄制度を創設する」とあるが、実際に上場されているかというとそうではない。もし時期の見込みがたっているのであれば記載した方がよい。
- 金融分野について、業態別子会社の業務範囲等について課されている制限の見直し時期や株式委託手数料についての自由化の検討時期を明確化すると進捗状況では記載しているのに、進捗状況の評価では入っていないのはなぜか。
- 電力分野の進捗状況の評価で本年1月から電気料金の引下げが行われて効率化が進展しているとしているが、その後小幅ながら値上げされている。
- 内外価格差の比較は台湾、韓国を含むできるだけ多くの国と行うべきである。
- 住宅建築費を2/3にするという取組の方向は正しいと思うが、高コストの原因の大きなものは我が国において注文住宅の比率が高いことにあり、このままでは今後大幅にコストを下げるのは難しいのではないか。注文住宅を好むのは国民の価値観の問題であり、政策的に分譲住宅に誘導することは難しいが、住教育を時間をかけて行うことにより、国民意識の変化を促していくことが必要。住宅価格自体の国際比較に加えて、注文住宅と分譲住宅、戸建て住宅と共同建住宅の比率の国際比較に関する資料を出すこと等を通じて、国民の住宅に関する意識変革を促していくような方向を出してほしい。
- 10分野の全体の評価について、具体化が進んでいるがより一層の取組が必要という評価と効率化が進展しているという二種類の評価があるが、本日の議論を踏まえ今後厳重なフォローアップ、公正な評価を行う必要がある。
以上
(速報のため、事後修正の可能性あり。)
(速報のため、事後修正の可能性あり。)