第1回 経済審議会首都機能移転委員会議事概要

1.日時

平成8年5月24日(金)9:30~11:30

2.場所

経済企画庁特別会議室(1230号室)(第4合同庁舎12階)

3.出席者

委員会

那須委員長、井上繁、井出多加子、奥村洋彦、貝塚啓明、黒川洸、今野修平、島田晴雄、下村満子、トラン・ヴァン・トゥ、中村英夫、林敏彦、藤田夏樹、水上萬里夫、宮澤美智男、三好正也の各委員

事務局

田中経済企画庁長官、清水政務次官、竹島官房長、石田企画課長、土志田総合計画局長、小林審議官、五十嵐審議官、志賀計画課長、浜田計画企画官、服部計画官、鵜瀞計画官、筧計画官、馬渡計画官、土肥原計画官

4.議題

  1. 首都機能移転委員会の公開について
  2. 国土庁からの報告(首都機能移転の経緯等について)
  3. 首都機能移転委員会における主要な論点等について

5.審議内容

  1. 本委員会の公開について、次のとおり決定された。
    • 原則として議事録を1ヶ月以内に公開する。ただし、発言者名は公開しない。また、原則として議事要旨を2日以内に公開する。
    • 配布資料は、原則として議事録と併せ公開する。
    • 開催日程は、事前に周知を図る。
  2. 主な意見は次のとおり。
    • 官民の関係、中央と地方の関係を見直さなければ、首都機能移転をしてもその効果がなくなってしまうことから、行政改革、地方分権についても積極的に取り組む必要がある。
    • 東京都の資料においては、東京経済が低迷し、人口動向にも変化が見られる中でなぜ首都機能移転を行うのかと指摘しているが、この意見にも一理あり十分に検討すべきである。しかし、その場合、首都機能移転は、5年前と状況が変わったからやめるというものではなく、100年先の日本の将来を考えなければならない。
    • 人口推計をみると、東京は10~15年後には日本の中で最も高齢化が進むと思われる。税収を考えても、東京はこれまでのように福祉から何まで大盤振る舞いではいかなくなる。東京自身もこれまでの延長線上ではない議論をし、その将来について考え直さなければならないのではないか。
    • 首都機能移転は、100~200年、さらには500年くらい先までの日本の姿に関わる話である。当面の経済効果だけに捉われた近視眼的な議論にせず、我々の想像力を尽くして、将来の日本について検討すべき課題である。
    • 行政改革委員会、地方分権推進委員会及び国会等移転調査会との整合性、連携を十分に図るべきである。
    • 震災をはじめ防災上の観点からの議論も重要である。例えば、東京が阪神・淡路大震災規模の震災に見舞われたときの被害額を推計し、首都機能移転のコスト(14兆円)と比較したらどうか。
    • 東京に民間資本の50%以上が投資されているように、わが国は、民間の資本の論理に乗れる地域と乗れない地域に二分される。資本の論理に乗れる地域に移転するとさらに過集積することも考えられる。
    • これまでの試算をもとに検討するとしているが、14兆円、9000ha,60万人という三つの数字が一人歩きしている。移転規模やコストについても幅を持って検討すべきではないか。
    • 東京一極集中を是正するということと移転後の東京が世界都市として発展することは、相反するようにも思えるが、どちらのシナリオを描くのかはっきりさせるべきではないか。
    • 国会等移転調査会報告が、段階的に柔軟に移転を進めることができるクラスター型の開発を提案したことから、首都機能移転が実現可能であると考えるようになった。移転の途中段階を十分に念頭において検討を行う必要がある。
    • 非市場的価値の数値化は極めて難しい。コストベネフィットだけで移転の可否を判断しないほうがよい。一段上の強いビジョンの下で議論をすべきである。
    • 国会等移転調査会と経済審議会が検討課題を分担して、お互いに連携しながら検討を進めることに賛成である。また、首都機能移転は長期間にわたって影響が波及するものであるから、検討にあたっては、途中の道すじと最終的なビジョンの両面から考える必要がある。
  3. 本委員会における主要な論点と今後のスケジュールについては、概ね了承された。

(以上)