建設調達審査委員会
[別添4]
我が国は、行動計画1.2.に定める基準額以上の調達についての苦情については、新たなガット政府調達協定が我が国について効力を生じるまでの間、「大型公共事業への参入機会等に関する我が国政府の追加的措置について」(平成3年7月26日閣議了解)に基づき独立の審査機関として設けられた建設調達審査委員会(以下「委員会」という。)における審査を活用する。
- 委員会
- (1) 委員会は、審査対象となる調達に関して実質的な利害関係を持つものであってはならない。
- (2) 委員会は、苦情を文書で受理し、発注者による調達のいかなる側面に関しても事実関係を調査し、発注者に対する提案を行う
- (3) 委員会は、政府調達に関する有識者で構成する。利害関係を有する委員は、当該苦情審査に参加できない。
- (4) 委員会は、必要に応じ、審査対象となる調達に関し知見を有する技術者等より意見を聴くことができる。この場合、当該技術者等は、当該調達に実質的な利害関係を持つ者であってはならない。
- 苦情申立てを行うことができる者
すべての潜在的供給者は苦情申立てを行うことができる。潜在的供給者の定義は以下のとおり。- (1) 工事の調達においては
(イ) 苦情申立てが一般競争有資格業者の登録に関するものである場合には、当該登録を申請した者
(ロ) 苦情申立てが競争参加資格の確認に関するものである場合には、当該競争参加資格の確認を申請した者
(ハ) 苦情申立てが(イ)及び(ロ)を除く調達手続に関するものである場合には、競争参加資格の確認を受けた者
(ニ) 苦情申立てが入札結果に関するものである場合には、入札を行った者
- (2) 設計・コンサルティング業務の調達手続においては、
(イ) 苦情申立てが有資格業者の登録に関するものである場合には、当該登録を申請した者
(ロ) 苦情申立てが提案書提出者の選定(公募型プロポーザル方式)又は競争参加者の選定(公募型競争入札方式)に関するものである場合には、当該調達に関心を表明した者
(ハ) 苦情申立てが(イ)及び(ロ)を除く調達手続に関するものである場合には、提案書提出を認められた者
(ニ) 苦情申立てが提案書の特定に関するものである場合(公募型プロポーザル方式)には提案書の提出を行った者、又は入札結果に関するものである場合(公募型競争入札方式)には入札を行った者
なお、当該潜在的供給者は、4.(4)に定める通知の受理後7日以内に参加の意思を委員会に通知しなければならず、参加者は、4.(3)の規定によって妨げられない限り、4.(7)(ロ)に定める手続の適用を受ける。
- 参加者
発注者は、苦情の申立てを行った者(以下「苦情申立人」という。)及び影響を受けるすべての潜在的供給者は、苦情処理手続に参加することができる。 - 調達審査手続
(1) 潜在的供給者は、調達手続のいずれの段階であっても、行動計画の対象となるいずれかの規定に反する形で調達が行われたと判断する場合には、苦情の要因が判明し、又は当然判明し得るようになってから10日以内に、委員会ヘ苦情を申し立てることができる。潜在的供給者は、委員会に苦情を申し立てた後1作業日以内に、その写しを発注者に提出する(日数の計算は、特に規定のない限り暦日による。)。
(2) 委員会は、苦情の申立てが遅れて行われても、正当な理由があると認める場合には当該申立てを受理できる。
(3) 委員会は、申立て後7日以内に苦情を審査し、下記の各項に該当する場合には、書面により理由を付して却下することができる。
(イ) 遅れて申立てが行われた場合
(ロ) 行動計画と無関係な場合
(ハ) 軽微な、又は無意味な場合
(ニ) 潜在的供給者からの申立てでない場合
(ホ) その他委員会による審査が適当でない場合
(4) 委員会は、苦情が正当に申し立てられたと認める場合には、影響を受けるすべての潜在的供給者に対して1日以内に文書で通知する。
(5) 契約締結又は契約執行の停止
(イ) 委員会は、契約締結に至る前の段階での苦情申立てについては、苦情処理に係る期間内は契約を締結しない旨の要請を、申立て後10日以内に速やかに文書で行う。
(ロ) 委員会は、契約締結後10日以内に行われた苦情申立てについては、苦情処理に係る期間内は契約執行を停止する旨の要請を速やかに文書で行う。
(ハ) 発注者は、委員会から契約を締結しない旨又は契約執行を停止する旨の要請を受けた場合には、速やかにこれに従う。ただし、当該発注者の属する機関の長が緊急かつやむを得ない状況にあるため、又は国益上の理由があるため、機関として委員会の要請に応じることができないと判断し、かつ、その旨を事実関係とともに直ちに委員会に文書で通知する場合は、この限りでない。
(6) 調査(イ) 委員会は、苦情申立人及び発注者による説明、主張その他文書の提出等によって苦情についての調査を行うものとする。
(ロ) 委員会は、苦情申立人若しくは発注者の要請により、又は委員会自らの発意により、苦情の内容について公聴会を開くことができる。
(7) 発注者の報告書
(イ) 発注者は、委員会に対し、苦情申立ての写しが提出された後14日以内に、以下の事項を含む苦情に関する報告書を提出しなければならない。
① 当該苦情に関連する仕様書又はその一部を含む入札書類
② 当該苦情に関連するその他のすべての文書
③ 関連するすべての事実、判明した事実、発注者の行為及び提案を明記し、かつ、苦情事項のすべてにこたえている説明文
④ 苦情を解決する上で必要となり得る追加的事項又は情報(ロ) 委員会は、(イ)に定める報告書を受領後直ちに、申立人に関係文書の写しを送付するとともに、申立人に対し、関係文書の受領後7日以内に、委員会へ意見を提出する又は当該文書に基づき事実判断を望む旨の要望を提出する機会を与えなければならない。委員会は、意見を受領した後直ちに、その写しを発注者に送付しなければならない。
- 審査結果及び提案
(1) 委員会は、苦情が申し立てられた後50日以内に、審査結果の報告書及び発注者に対する提案書を作成する。委員会は、その審査結果において、苦情のすべて又は一部を認めるか又は却下するかを明らかにするとともに、調達の手続が行動計画の定める措置に反して行われたものか否かを明らかにしなければならない。
(2) 委員会は、法律に違反する不正又は行為の証拠を発見した場合には、適当な執行当局による措置を求めるため、当該当局に通報する。
(3) 委員会は、審査結果及び提案を作成するにあたり、調達手続における瑕疵の程度、一部又はすべての潜在的供給者に与えた不利益な影響の程度、行動計画の趣旨の阻害の程度、参加者の誠意、当該調達に係る契約の履行の程度、当該提案が政府に与える負担、調達の緊急性及び発注者の業務に対する影響等、当該調達手続に関するすべての状況を考慮するものとする。
(4) 委員会は、行動計画に定める措置が実施されていないと認める場合には、以下の一又はニ以上を含む適切な是正策を提案する。
(イ) 新たに調達手続を行う。
(ロ) 調達条件は変えず、再度調達を行う。
(ハ) 調達を再審査する。
(ニ) 他の供給者を契約締結者とする。
(ホ) 契約を破棄する。
(5) 委員会は、審査結果の内容を文書にし、提案とともに1作業日以内に苦情申立人、発注者及びその他の参加者に送付する。
(6) 発注者は、原則として、当該発注者自身の決定として、正当に申し立てられた苦情に係る委員会の審査結果に従うものとする。発注者は、審査結果に従わないとの判断を行った場合には、報告書を受領してから60日以内に理由を付して委員会に報告しなければならない。
(7) 委員会は、審査結果に関する外部からの照会に応じる。
- 迅速処理
(1) 委員会は、苦情申立人又は発注者から文書で苦情の迅速な処理の要請があった場合には、この項に定める迅速処理の手続に従って苦情処理を行うか否かを決定する。
(2) 委員会は、迅速処理の要請を受理してから2作業日以内に迅速審査を適用するか否かを決定し、苦情申立人、発注者及び影響を受けるすべての潜在的供給者に対してその旨を通知する。
(3) 迅速審査が適用される場合の期限及び手続は、次のとおりとする。
(イ) 発注者は委員会から迅速審査適用の通知を受けた後6日以内に、4.(7)に定める苦情に関する報告書を委員会に提出する。委員会は、報告書受領後直ちに、苦情申立人及びその他の参加者に関係文書の写しを送付する。委員会は、苦情申立人及びその他の参加者に対し、当該文書に係る意見を委員会へ提出する又は当該文書に基づき事実判断を望む旨の要望を提出するため、5日間の猶予を与える。委員会は、意見の受領後直ちに、その写しを発注者に送付する。
(ロ) 委員会は、苦情に関する審査結果及び提案を苦情申立て後25日以内に文書で行う。
- (1) 工事の調達においては
- 発注者による文書保存
以上の苦情処理手続に資するため、発注者は、行動計画 I .2.に定める基準額以上の調達について、調達手続が行動計画に定める措置に従って行われたことを証明するため、契約を締結した日から5年間、関連の文書を保存しなければならない。