第9回構造改革推進部会議事概要

1 日時

 平成11年6月23日(水)10:00~11:40

2 場所

 合同庁舎4号館共用第2特別会議室(407号室)

3 出席者

水口弘一部会長、五十嵐三津雄、江口克彦、加藤秀樹、リチャード・クー、草野厚、草野忠義、清水秀雄、中村靖彦、長谷川公敏、濱田康行の各委員

 堺屋経済企画庁長官、中名生総合計画局長、牛嶋審議官、高橋審議官、大西計画課長、涌野計画官、佐久間計画官、荒井計画官、渡辺電源開発官、岩瀬計画企画官他 

4 議題

  1. 構造改革推進部会報告書(案)について
  2. 経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)の序章

5 審議内容

 冒頭、部会長より、今回が報告書案につき議論する最後の部会になることを説明。

 その後、事務局より構造改革推進部会報告書(案)及び経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)の序章について説明。その後の審議における委員からの主な意見は以下のとおり。

<議題1 構造改革推進部会報告書(案)について>

  • 日本の高コスト体質が投資の海外への流出の原因となっており、これが大きな構造問題の一つであることからこれも盛り込むべき。また、バブル崩壊後の経済停滞の原因としては構造的な問題と、企業のバランスシートの悪化という2つの問題があり、これらは分けて議論すべき。

==> 事務局から、高コスト構造の是正は政府として10年来取り組んでいるところであり、その重要性については十分に認識している旨説明。また、報告書をまとめるにあたって様々な切り口があると思うが、本報告書は主としてグローバリゼーションへの対応や、企業や個人の創造性の発揮などにより構造問題を解決するという切り口で書かれたものである旨を説明。

  • 7ページの「(1)規制改革の推進」について、「~規制に関する発想の転換が主体的には行われてこなかったとの指摘もある。」とされているが、部会としての明確なスタンスをはっきりと書いたほうがいい。
  • 「行政だけでなく、政治や言論界の機能も必ずしも十分とはいえなかった。」とあるが、情報公開が十分になされていないことを鑑みると言論界を同列に扱うべきではない。
  • 1ページの「一刻も早い」、「早急に」とはどのくらいの期間を指すのかわからない。

==> 事務局から、前段で「経済社会システムの状況不適合を21世紀に持ち越さないという観点から」と書かれており、これに間に合うようにという趣旨であることを説明。

  • 別紙の「社会資本整備・運営のあり方」について、「~高規格幹線道路並びにこれらを結ぶアクセス道路等の整備を重点的に進める」とあり、1998年に策定された第12次道路整備五箇年計画を事実上追認することとなるが部会の報告書としてそれで良いのか。

==>事務局から、社会資本整備については、重要な部分の整備を進めるという意味である旨を説明。

  • 21世紀初頭のわが国経済社会のあり方を検討する視点の三本柱の一つである「環境との調和」について、(はじめに)の中で経済的自由の大前提として位置付けることで明確になった。欲を言えば「グローバリゼーションへの対応」の全体の中での位置付けが明確になればさらにわかりやすくなると思う。
  • 本報告書は、経済人の活動の自由を保証するということにより問題を解決していこうという切り口で書かれたものと考える。
  • 創業が活発になった場合に伝統的な大企業と中小企業との関係がどのようになるのかという展望があっても良いと思う。
  • 2ページの「本報告で取り上げた構造改革」では、経済の停滞の原因について企業の問題であるかのように書かれているが、それだけでないのではないか。
  • キャッチアップ型の時代ではないと言いながら、グローバリゼーションへの対応というキャッチアップをしなけれなならないとされており、もう少し書き方を工夫すべき。
  • 雇用については、バラツキが拡大することによる不幸がでてこないかという心配がある。バラツキを容認できないとすると社会保障の問題として解決することも必要と考える。
  • M&Aについては良いことなのでどんどんしなさいということではなく、企業が生き残るうえでやむを得ずやることではないか。
  • 企業内ベンチャーは日本の特性にあったやり方なので、これについても加えてほしい。

<議題2 経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針(素案)の序章>

  • 人口が減少した場合にも、これまで通り総体としてのプラスの経済成長を目指していくのか。

==> 堺屋長官から、世界の歴史をみても経済の縮小は過去の債務負担の増加、高齢者の増加等によりスパイラル的に経済の縮小をもたらすこととなるので、経済は成長基調であることが必要であり、そのためには外国人労働者の受け入れを含む多源的な資本の補充が必要との説明。

  • 序章のはじめに「通常の「進歩」や「高度化」ではなく、」と書かれている通り、今、成長を前提とした仕組み自体が問われているが、その部分以降の答申案の内容は成長が必要である旨強く書かれており、論理が一貫していない。
  • 「公」と「官」を使い分けているのは評価できるが、部会の報告書では一部混同して使われている。
  • 答申案では、これまでガバナンスは「公」が行ってきたとされているのに対し、部会報告書案では「メインバンク」が行ってきたとされているなど整合的でないところがある。
  • 人口減少を前提として施策を行うのか、それとも人口増加のための施策も考えるのか、スタンスが曖昧。
  • 「実業」という言葉が使われているが意味がわかりづらい。
  • 事実関係の指摘であるが、1980年代後半に資金過剰状況となったとの記述があるが、実際にはこのような状況になったのはつい最近のことである。

<堺屋長官挨拶概要>

  • 答申の名称は、従来は経済計画ということであったが、「計画」という言葉は社会主義的経済計画の印象を与えることから、また、今後の官の役割はルール作りと事後処理であるという認識に立ち、今回は「計画」という言葉を使わず、「あるべき姿」とした。
  • 本答申案は、これまでの少数の人間が企画したものを大勢の人が生産・流通させるという「規格大量生産の時代」から、立案の段階が重要視され大勢の人がこれに関与する「知恵の時代」へと変わっていくという考え方でまとめたもの。

6.今後のスケジュール

 部会報告書の修正及び公表については部会長一任ということで了承された。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)

経済企画庁総合計画局計画企画官室

TEL 03-3581-0977