第8回構造改革推進部会議事概要
1.日時:
平成11年5月25日(火)10:00~12:00
2.場所:
合同庁舎4号館共用第2特別会議室(407号室)
3.出席者:
水口弘一部会長、五十嵐三津雄、岩田一政、江口克彦、加藤秀樹、草野厚、草野忠義、中条潮、中村靖彦、長谷川公敏、濱田康行、村井勝の各委員
中名生総合計画局長、牛嶋審議官、涌野計画官、塚原計画官、林部計画官、佐久間計画官、荒井計画官、渡辺電源開発官、福島推進室長、岩瀬計画企画官他
4.議題:
構造改革推進部会報告書(素案)について
5.審議内容:
冒頭、部会長より、今回の資料も前回(第7回)部会での決定に従い、報告書の最終とりまとめ、公表まで非公開とする旨説明した。
その後、事務局より構造改革推進部会報告書(素案)、別紙ビッグバンアプローチについてを説明するとともに、堺屋経済企画庁長官の「次回の構造改革推進部会では、構造改革を通じて国の経済のあり方、産業構造、雇用構造等総体の姿がどうなるかについてご議論賜りたい。」旨の発言が紹介された。その後の審議における委員からの主な意見は以下のとおり。
<総体の姿について>
- 総論は企画部会にて行うと理解していたのだが、そうではないのか。
- 企画部会と当部会のリンケージの問題なのではないか。
⇒ 事務局より、全体のとりまとめは企画部会で行うが、各部会報告の中で部会に関連する部分について総体としての姿を描くことも必要である旨発言。
- 各部会の様々な提言がどういう関係になっているのかが問題なのではないか。各部会の提言をマトリックスにしてみてはどうか。
- 総論部分で、市場主義が強まることによる所得格差の拡大の問題等を書いてはどうか。その際日本の良いところを伸ばしていくということを書いてはどうか。
<構造改革推進部会報告書(素案)について>
- 報告書を受け取る側に当事者意識を持ってもらうことが重要であり、例えば表紙に関係閣僚あての宛名を付ける等してはどうか。
- 各施策をいつまでに行うかをもっと明かにすべきではないか。
- (はじめに)において、なぜ3つのテーマを取り上げたかの理由として、これまで行ってきた構造改革の残された主要課題を取り上げたもので、それを3つ視点からまとめたということを明記してはどうか。
- (はじめに)の部分は、政府は頑張ったが民間の頑張りが足りないといっているような印象を受けるが、民間もかなり頑張ったと認識している。
- 規制改革の推進体制の部分には、スケジュールを入れて欲しい。その際、現在どういう規制改革が進行中であるか、参考に少し書き入れてみてはどうか。
- 民民規制への対応の中で、「私人が差し止め訴訟を行うことができるような制度の創設については引き続き検討を行う。」とあるが、「検討を行う」という表現は弱いのではないか。
- 法人税については、目的に応じてその弾力的な運用を考えても良いのではないか。
- 文化と呼ばれる分野でも競争は必要であり、著作権仲介業務の独占に関し、もう少し具体的なことも含めて書くべきである。
- 国際的なルール作り等の会議に担当者をある程度長期継続的に当たらせる旨の記述に関して、担当者のみならず担当閣僚も継続的に当たる必要がある。また、このことは人事システムから変えなければならない問題である。
- 企業の面からの改革に関して、日本の企業の良い面も多々ある。例えば、生産技術を活かす、技能を伸ばすというような記述があっても良いのではないか。
- 日本の場合、企業内ベンチャーはかなり成功しており、このようなことも重要なのではないか。
- 起業家を表彰する必要はないのではないか。
- 起業家に対する社会的評価が必要であり、表彰も一つの手段である。
- 個人の面の改革に関連して、労働市場の問題について「国民生活文化部会において検討を行っており」との記述があるが、簡単にその内容を教えて欲しい。
⇒ 事務局から、労働市場の流動化を進めるという観点から転職しやすい制度的措置、企業年金のポータブル化等について検討している旨回答した。
- 日本の企業は新入社員を一つの鋳型にはめようとするが多様な人材こそが企業の成長の原動力になる、ということを書いても良いのではないか。
- 文科系の大学院をイメージして記述してあるが、理工系にはあてはまらないものもあるので、はっきり「文科系」と書いてはどうか。
<ビッグバンアプローチについて>
- ビッグバンアプローチとはどういうことなのか、もう少しわかりやすく書いたほうが良いのではないか。
- 物流、情報通信分野のビッグバンアプローチは、最終的にも別紙にするのか。 ⇒事務局から、最終的にも別紙とする方向で考えている旨回答した。
- 現状認識と処方箋はあるが、問題点の記述がないので付け加えるべきである。
- ビッグバンが必要な分野は物流と情報通信だけなのか。
- 外資規制を含めて、国際的な物流システムを阻害している要因を独禁法を含め多国間で対応することが必要である。
- 郵便については物流と関連させてふれることができるのではないか。
- 衛星放送等の分野でもNHKと民放の共存体制が前提になると考えており、そのような前提のもとで、NHKの経営形態だけを検討することの意味がよくわからない。放送のあり方について考えるのであれば、NHKと民放の共存体制についてうまく表現できないものか。また、放送は文化であり、市場原理や競争原理を考えるにあたっても、このことについて認識しておくべきである。
- 情報通信分野では国やNTTが独占していた市場に競争政策を導入し新規参入を認めたという経緯から、「NTTが他の民間事業者と真に競争できるような環境整備が必要である。」という記述は不適切ではないか。
- ネットワークの相互接続に関して、独禁法を適用すればNTTは直ちに分割しなければならなくなる。ここでは独禁法の適用というよりはまず有効な競争条件を整備するということが重要である。
- 情報通信ビッグバンに関して、この別紙では、NTTは分割すべきであると問題提起しているものと理解している。NTTの再編は決着したばかりなので、本気でやるとしたら大変な課題である。
- 物流と情報通信の両方に「独占禁止法を適用する」との記述があるが、分割の問題を提起しているものではないと理解している。エッセンシャル・ファシリティの利用が公正になるような観点から独禁法の適用等について検討する必要がある、という旨であることを明確にしたほうがよいのではないか。
- ユニバーサルサービスのあり方に関して基金創設を挙げているが、情報通信分野は現在競争を促進する段階にあり、このような中で新規参入事業者に対して更なる資金負担を求めるという議論は慎重に行われるべきである。また、ユニバーサルサービスの範囲を議論することも必要である。
- ユニバーサルサービスの問題は電気通信、郵便、放送等に共通の課題である。ユニバーサルサービスに関する基金創設については、この別紙では、NTTが他の事業者とともに出資し基金を創設することであると理解している。これは、そもそもハイエクが1979年の著書で提案した方法であり、OECDも日本はこの方法を取るべきと提言している。
- ユニバーサルサービスは本来一般財源で行うべきである。アメリカではそれができなかったため基金で行った、ということは認識すべきである。また、競争政策の議論を頓挫させないために、ユニバーサルサービスについて議論することは重要である。
- 放送、インターネット、テレコミュニケーション等が融合した場合の規制のあり方について、最も大幅な方向転換を行ったのがオーストラリアで、競争のルールのみをチェックする方法をとっている。ここでは日本がそこまで進むいう方向性が提起されているが、一方でこれまでOECDから日本には規制緩和の首尾一貫した哲学がないと指摘されていることもあり、今後日本がどのような方向へ進んでいくのかは、非常に奥深い問題である。
- 電子商取引については、欧米あるいはアジア諸国と比較しても日本は明らかに遅れていることを踏まえた表現にすべきである。また、教育分野での情報化が、欧米と比較してあまりにもゆったりしすぎているという問題がある。
6.今後のスケジュール:
次回の構造改革推進部会(第9回)の日程は6月中旬を予定しているが、事務局で調整し連絡する。
以上
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。
(連絡先)
経済企画庁総合計画局計画企画官室
Tel 03-3581-0977