経済審議会企画部会(第11回)議事録

時:平成11年4月21日

所: 経済企画庁特別会議室( 436号室)

経済企画庁

経済審議会企画部会(第11回)議事次第

日時 平成11年4月21日(水) 15:00~16:30

場所: 経済企画庁特別会議室 (436号室)

  1. 開会
  2. 各部会の審議経過について
  3. 公報活動について
  4. 4.閉会

(配布資料)

  • 資料1   企画部会委員名簿
  • 資料2-1  構造改革推進部会の審議経過報告
  • 資料2-2  国民生活文化部会の審議経過報告
  • 資料2-3  グローバリゼーション部会の審議経過報告
  • 資料2-4 地域経済・社会資本部会の審議経過報告
  • 資料3   広報活動の実施状況について
  • 資料4   地方経済審議会の開催について(案)
  • 資料5-1  モニターを活用した「新たなる時代の姿と政策方針」のための 調査(要旨)
  • 資料5-2  モニターを活用した「新たなる時代の姿と政策方針」のための 調査報告書概要(速報版)

経済審議会企画部会委員名簿

部会長

小林 陽太郎
富士ゼロックス(株)代表取締役会長

部会長代理

香西 泰
(社)日本経済研究センター会長

委員

跡田 直澄
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授

荒木 襄
日本損害保険協会専務理事

伊藤 進一郎
住友電気工業(株)専務取締役

角道 謙一
農林中央金庫理事長

小島 明
(株)日本経済新聞社論説主幹

小長 啓一
アラビア石油(株)取締役社長

佐々波 楊子
明海大学経済学部教授

ポール・シェアード
ベアリング投信(株)ステラテジスト

嶌 信彦
ジャーナリスト

高橋 進
(財)建設経済研究所理事長

長岡 實
東京証券取引所正会員協会顧問,日本たばこ産業(株)顧問

中西 真彦
ベンカン(株)会長

那須 翔
東京電力(株)取締役会長

樋口 美雄
慶応義塾大学商学部教授

星野 進保
総合研究開発機構理事長

堀 紘一
ボストン・コンサルティング・グループ社長

松井 孝典
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

水口 弘一
(株)野村総合研究所顧問

村田 良平
(株)三和銀行特別顧問,外務省顧問

八代 尚宏
上智大学国際関係研究所教授

吉井 毅
新日本製鐡(株)代表取締役副社長

吉川 洋
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授

鷲尾 悦也
日本労働組合総連合会会長

特別委員

岩城 秀裕
(株)野村総合研究所経済構造研究室長

大野 直志
日本開発銀行国際部副長

大前 孝太郎
経済戦略会議事務局主幹

金光 隆志
ボストン・コンサルティング・グループ プロジェクトマネジャー

出席者

(部会)
  • 小林陽太郎部会長、

    跡田直澄、荒木襄、伊藤進一郎、角道謙一、小島明、ポール・シェアード、嶌信彦、高橋進、長岡實、那須翔、樋口美雄、水口弘一、八代尚宏の各委員、岩城秀裕、大野直志、大前孝太郎、金光隆志の各特別委員

(事務局)
  • 今井政務次官、塩谷事務次官、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長、染川計画官、林部計画官、岩瀬計画企画官、福島経済構造調整推進室長他


〔部会長〕

 ただいまから、第11回の企画部会を開催いたします。

本日は、委員の皆様にはお忙しいところをお集まりいただいてありがとうございました。

早速、本日の議題に入らせていただきます。本日は、最初に各部会での審議経過について、2番目に広報活動の実施状況について、ご審議いただきたいと思います。

まず、企画部会以外の4つの部会でどのような審議が行われたかについて、事務局よりご報告をいたします。

〔事務局〕

 最初に、構造改革推進部会について、ご報告させていただきます。

構造改革推進部会は、2月13日に第1回目を開催して以来、昨日、第6回目を終了しております。第2回目には、経団連、連合、在日米国商工会議所からのヒアリングを行い、第3回、第4回、第5回は中身の議論をしておりまして、それは後ほどご説明させていただきます。昨日は、部会報告のスケルトン(案)を審議しております。

本日、お手元にお配りした資料2ー1「構造改革推進部会の審議経過報告」は、スケルトンに基づき作られております。

最初のところですが、

 現在我が国は、グローバリゼーションの一層の進展、経済社会の成熟化に伴う多様な知恵の時代への移行、環境制約の強まりといった大きな時代の転換に直面しており、21世紀初頭においてこれらの環境変化に適応した経済社会を形成していく必要がある。構造改革推進部会は、こうした状況を踏まえ、21世紀初頭において次の3つの観点に立った経済社会を実現していくことが重要と考え、そのための構造改革を重点的に実施することを提言する。

  1. グローバリゼーションに対応した経済社会
  2. 企業や個人の創造性と自由度の高い経済社会
  3. 環境と調和した循環型経済社会

ということでございます。

このそれぞれについての構造改革の政策を議論してきております。

やや詳しくご説明いたします。

最初に、‘「グローバリゼーションに対応した経済社会」を実現させるための構造改革’でございますが、そこにありますように、「グローバリゼーションの進展に伴い、グローバリゼーションがもたらすメリットを享受し、日本の経済的豊かさと世界市場における地位を維持していくため、以下の構造改革を推進することが必要」ということを述べております。

大きい柱で3つありますが、

最初が、「1)規制改革の推進」です。ここでは、今後10年程度の間に着実に規制改革を推進していくための1)原則、2)推進手法、3)推進体制の確立、ということで検討しております。

1)原則については、OECDが提唱する1)透明性、2)アカウンタビリティ、3)経済社会情勢の変化への適合性を規制改革の原則とすべき、としております。

2)推進手法については、費用対効果分析、数量的指標の枠組の構築、重点分野へのビッグバンアプローチの導入、を議論しております。

3)推進体制については、第3者機関の設置、残される規制の実施体制の整備、を議論しております。

2つ目が、「2)魅力的な事業環境の構築」です。ここでは、「市場における競争を保証し、多様な外国企業の対日進出及び事業再編を促進するためには、市場経済におけるインフラともいうべき諸制度を整備し、国際的にみても魅力的な事業環境を構築する」必要があるということで、

  • ○制度基盤の整備

    税制、企業法制、競争政策、知的所有権を重点分野として構造改革を実施。

    もう一つ、こうした制度に加えまして、人材の育成ということで、

  • ○M&A等に不可欠な専門家、国際的な情報共有を可能とする人材の育成、についてもあわせて議論しております。

3つ目が、「3)国際的なルールや基準の形成への積極的な参画」です。ここでは、「現在世界においていろいろなルールや基準が作られていますけれども、単に国際的な水準に適合させるだけでなく、さらに先を見据えた議論を展開する企画立案力を高めることが必要」ということを議論しております。

第2は、‘「企業や個人の創造性と自由度の高い経済社会」を実現させるための構造改革’ということで、これは大きく2つの面から議論しております。「企業の面からの改革」と「個人の面からの改革」に分けております。

最初は、「1)企業の面からの改革」です。そこにありますように、「真に活力と国際競争力のある高い付加価値を生む企業を再生・創出していくための企業の面からの改革が必要。このためには、前述した規制改革等を踏まえ、既存企業が自己改革を通じて積極的に産業構造転換を進めていくことに加え、新規の企業が新しい事業展開を積極的に行っていけるような、1)創業・起業の促進、2)新技術・新業態の開発・普及、3)ビジネス仲介機能の強化、という観点からのシステム変革が重要」ということで、ここでは、後者の新規の企業の話を中心に扱っております。

最初に、1)創業・起業の促進では、「創業・起業の開拓・拡大に積極的に取り組むことを促す環境整備」ということで、

  • ○起業家やその支援者にとっての動機付け
  • ○起業家の資金調達環境とセーフティネットの整備
  • ○起業家精神の涵養と規制改革の推進

という観点からの策についての議論を行っております。

2つ目に、2)新技術・新業態の開発・普及では、新技術を生み出す源泉である研究開発については、産学官の連携の強化、という議論をしております。

3つ目に、3)ビジネス仲介機能の強化では、技術や企業活動に関する情報の円滑な移動を促進するビジネス仲介機能の強化が重要、という議論をしております。

次は、「2)個人の面からの改革」です。ここでは、「個人が、組織からの自由度を高め、意欲のある者が自由に自己の能力を高められる環境が整っていることが重要」、「構造改革推進部会では、個人の市場価値を高めるための主体的な能力開発のあり方を中心に、可処分時間の増加など関連する施策について重点的に扱う」ということで、

  • ○能力開発を行う場の提供(例えば、高等教育機関の改革)
  • ○能力開発に必要な費用の支援
  • ○能力開発のための可処分時間の増加に関する支援
  • ○その他の能力開発へのインセンティブとなる支援

ということを議論しております。

第3は、‘「環境と調和した循環型経済社会」を実現させるための構造改革’です。問題意識のところにありますように、「今日、我が国においては、大量の廃棄物の排出による最終処分場の逼迫やその処理に伴う環境負荷の増大等様々な問題が顕在化しつつある一方、リサイクルは総じて伸び悩んでおり、産業、経済等の各システムは物質循環的に行き詰まり」の状況にあるのではないかということでございます。

「このため、従来の『大量廃棄型経済社会』を見直し、廃棄物の発生抑制と発生した廃棄物のリサイクルを社会のシステムとして内在化した『環境と調和した循環型経済社会』への構造改革が必要。」ということで、この問題について議論しております。

2つの柱がございまして、1つ目が、「1)システム基盤の構造改革」です。

 廃棄物の発生抑制と効率的なリサイクルの促進が内在化された循環型経済社会を実現するためには、生産者、消費者、行政等の各経済主体が、従来の枠組みを超えて自らの責任を自覚し、その責任を効率的に果たすインセンティブが働くシステム基盤を確立する必要がある。

  • ○リサイクル原則の確立
  • ○廃棄物処理・リサイクル体制の見直し
  • ○リサイクル財の需給安定方策の実施

等についての議論をしております。

2つ目が、「2)産業構造・技術基盤の構造改革」です。

 循環型経済社会を実現するためには、それに適合したシステム基盤の構造改革とあわせて、リサイクルコストを大幅に低減し、高品質なリサイクル財を低環境負荷の下に安定的に供給することを可能とする産業構造と技術基盤を確立することが不可欠である。

  • ○動脈・静脈一体型産業構造への抜本的転換
  • ○廃棄物処理・リサイクル産業の効率化
  • ○リサイクル対応型技術の開発

についての検討をしているところでございます。

以上でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

それでは続いて、国民生活文化部会お願いいたします。

〔事務局〕

 国民生活文化部会の審議経過報告をご説明いたします。資料2ー2をご覧いただきたいと思います。

国民生活文化部会の主な審議項目として、1のところに載っておりますが、

  1. 1)人材育成、教育における新たなネットワークの構築について
  2. 2)人々を結びつける新たな機能について
  3. 3)年金制度と雇用システムについて
  4. 4)高齢者等の意欲と能力が発揮される社会システムについて
  5. 5)医療と介護の相互関係について

というテーマについて審議を続けております。

2.のところにありますように、国民生活文化部会では、ご参加いただきました委員の方からご意見を発表していただき、それについて議論を行うという形式で、これまでに5回行われました。もう一回、医療と介護の相互関係について、明日、部会を開きます。5月に入りまして、報告書のとりまとめのため2回開催する予定でございます。

審議の中身につきましては、3.のところにありますように、意見発表していただいた委員の方の主たる発表内容と、それに対する各委員の意見をまとめる形にさせていただいております。

最初は、「人材育成、教育における新たなネットワークの構築について」です。

このテーマにつきましては、A委員から意見をいただきました。

  • ○子供の教育における「地域社会のかかわり方」として、諸外国に見られるような、父母が学校経営に参画することが有意義ではないか。
  • ○子供たちが社会との接点を見つけるために、体験学習を増やしていくことが必要。特に子供の自己表現力向上のため、地域において舞台芸術や美術の活動が活発に行われるような環境づくりが必要ではないか。

というご指摘でございます。

それから、B委員から意見発表していただきました。

  • ○今後は、家庭や地域社会の中で、ひとりひとりが「よく生きる」ことを考えることが必要。これまでよりも家庭や地域社会の役割が高まるのではないか。教育は、その個別テーマのための手だてやきっかけ、情報を支援するものとして捉え直すべき。
  • ○違った他者や個性が共通の夢や目的のために交流しあう「場」があることが必要であり、ここに「家庭、地域社会、学校、企業の連携とネットワーク」の必然性と意義がある。

ということでございます。

これについての各委員の主な意見としまして、

  • ○学校はあくまで基礎学力を身に付ける場と位置づけ、体験学習などは学校を離れた場で身に付けるよう、仕切りを明確にすべき。子供側からの自由な選択の機会を拡げるとともに、教員もボランティア等様々な経験を積むべき。
  • ○今の子供は、稼がなければ人生を生きていけないという労働の意味をほとんど知らないままで成長しているのではないか。労働の厳しさというか、意味というものをもう少し教えてはどうか。現在、労働を巡る状況は一層厳しさが増しており、高等教育の早い段階でいろいろな体験ができたり、ドロップアウトしてもやり直しができるような複線的な仕組みを作ることが必要。
  • ○地域活動の受け皿の問題として、魅力あるリーダーをどう地域社会に作っていくかが課題。

というご指摘でございます。

2番目は、「人々を結びつける新たな機能について」です。これは「NPO・ボランティア等」と「家族・企業」の2つに分かれております。

まず、「NPO・ボランティア等」につきましては、C委員から意見発表いただきました。

  • ○現在、NPOに参加している人には、ボランタリー精神はあってもマネージメント能力が不足している面がある。その意味でマネージメント能力をもった定年後の人たちの活躍が期待される。
  • ○一方、定年退職してNPOに参加された男性は、依然として利潤追求という意識が非常に残っている。NPOは利潤追求で活動を行うものではないという認識をもう少し強くもつ必要があるのではないか。
  • ○NPOが行政から資金補助を受けると、独立性が失われる危険性があるということで、行政補助に頼らない資金源を得るため税の仕組みを変える必要がある。
  • ○日本でもボランティアや寄付の文化をつくっていくことが課題である。
  • ○NPOをベンチャー・ビジネスとして捉え、若い人たちにとってそれなりの賃金が得られるような就職の場となることが期待される。

というご意見でございます。

それに対する各委員の主な意見としまして、

  • ○NPOやボランティアの社会的な位置づけの議論が必要である。
  • ○高齢者が得意分野で能力を発揮し、生きがいを持ち、社会へ貢献していくことが求められている。
  • ○NPOと企業を完全に分けるのではなく、補完関係にあるという考え方もあるのではないか。
  • ○NPOがベンチャー・ビジネスという発言に対しまして、これは性格が根本的に異なるものではないか。
  • ○利潤が上がっても、それを配当することなく、さらに社会へ還元していけばよい。

というご意見がございました。

それから、3ページ目にまいりまして、「家族・企業」につきましては、D委員から意見発表いただきました。

  • ○雇用慣行の変化等を通じて企業と個人の関わりは、今後、希薄になる。その一方で、家族は、様々な機能があるわけですけれども、とりわけ情緒的な機能が強まっていくのではないか。
  • ○企業あるいは家族というものの生活保障のための結びつきというものから、より自由な関係の結びつきへ変わる。
  • ○それに関連して、税制や社会保障等を通じた生活保障は、家族の形態──結婚しているとか、離婚するとかといった形態──から中立的なものとなるよう、世帯単位から個人単位へとすべき。

というご意見でございます。

それに対する各委員の主な意見としまして、

  • ○家族の機能については、今後、労働市場が非常に流動化することもあって、夫婦でとも働きということが、家族の生活保障の機能を強めるという面があるのではないか。
  • ○個人の面ということで、だんだん個になっていくという議論の流れの意見発表でございましたが、個人の面が強調され過ぎているのではないか。人間は、一人では生きられないという点も考慮すべき。
  • ○あまりにも個人だけが大事だと捉えない方が良い。
  • ○会社人間からの脱却という意識はあっても、特に中小企業を中心として、この不況感の中で労働条件が厳しくなっていて、なかなか現実なものにならない。

というご意見がございました。

3番目の「年金制度と雇用システムについて」では、E部会長から意見発表いただきました。

  • ○年金問題への対応として、1)保険料負担の引上げ、2)給付水準の引下げの2つがある。第3のシナリオとして、できるだけ多くの人に支えてもらうという発想が必要ではないか。
  • ○厚生年金の受給資格の有無が高齢者の就業に影響を与えている──受給資格があると就業をやめてしまうという影響ということ──など、現行の年金制度には高齢者の雇用にいくつかの面からディスインセンティブを与えている可能性がある。
  • ○在職老齢年金制度の改革──所得を高齢者が得た場合に、94年の制度改革では年金が減らされる部分が少なくなったという改革──にとどまらず、働くことに対してペナルティとなるような仕組みを改めていく必要がある。
  • ○私的年金については、自分の寿命が長いと思っている人がより入るという逆選択の存在、あるいはある程度高齢になって最初から年金に入っておけばよかったと後悔するような人のための、最初から入っておきなさいというパターナリスティックな視点からも、強制的加入による公的年金の枠組が必要。
  • ○401Kプランについては、情報の開示、運用面に関する教育が必要。

というご意見でございました。

それに対する各委員の主な意見としまして、

  • ○年金が支給されることにより多少安い賃金で再雇用することが可能になっている現状であり、在職老齢年金制度が「働くことに対するペナルティ」とは言えないのではないか。
  • ○401Kプランの、資産運用が苦手な日本人の国民性にはなじまないのではないか。
  • ○高齢者の雇用の機会をどう作っていくかが重要。
  • ○年金の議論は狭い枠組みだけではなくて、経済審議会ではもう少し幅広い議論をしてほしい。

というご意見がございました。

また、このテーマについては、F委員からもご意見をいただきました。

  • ○公的年金には、一定の役割があるが、次第にその位置づける根拠は薄くなっている。
  • ○公的年金の守備範囲については、必要最小限の生活費のみの面倒を見るようにし、対象は低所得・低資産の者または平均より長生きしている者に限定すべき。
  • ○自由度の高い年金制度を作る必要がある。公的年金の守備範囲を縮小し、個人勘定の私的年金を整備・拡充すべき。

というご意見がございました。

それに対する各委員の主な意見としまして、

  • ○高齢化の急激な進行を考えると、給付引下げが不可避。より先には完全積立方式への移行があるが、その前に「二重の負担」という問題がある。
  • ○最低限の生活に対応する公的年金といっても、その水準をどう考えるのか。
  • ○公的年金を支給する場合にも、保険料と税負担との関係も考えなければいけない。
  • ○年金は老後の所得保障であるという位置づけの重要性を認識する必要がある。

というご意見がございました。

4番目は、「高齢者等の意欲と能力が発揮される社会システムについて」です。これもE部会長から2回目のご意見をいただきました。

  • ○年功賃金の下では、定年制は欠くことのできない仕組みである。生涯現役社会の実現のためには年齢と処遇の関係を切り離す。あるいは、年功賃金から年俸制へ、ピラミッド形の管理職で個人を処遇する組織から、個人の専門分野で最後まで処遇する組織へ、という方向になっていくだろう。
  • ○長期的に定年制そのものを廃止することを目標とすべき。
  • ○高齢者にとって働きやすい職場をつくることはすなわち女性にとっても働きやすい職場をつくることである。

というご意見でございした。

それに対する各委員の主な意見としまして、

  • ○定年を65歳まで延長する場合、経営者の立場からは、企業の雇用責任、法律的問題をどうするかという問題がある。
  • ○高齢者雇用に際し、能力開発をどう行っていくか、その支援措置をどうするかということを考えることが必要。
  • ○長期雇用による人材育成、それと連関した年功賃金制度のメリットをどう考えるか。
  • ○年俸制には適正な能力、実績の評価が必要であるが、職種によってはその評価が難しいという問題がある。

というご意見がございました。

さらに、明日、部会を開きまして、「医療と介護の相互関係及び単身赴任の問題について」を議論する予定でございます。

以下、先ほど申しましたように、5月に2回開催しまして、報告書のとりまとめを行う予定でございます。

以上でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

次に、グローバリゼーション部会お願いいたします。

〔事務局〕

 資料2ー3をご覧いただきたいと思います。

グローバリゼーション部会につきましては、第1回を2月22日に開いて以来、昨日の第5回まで、5回にわたって審議を重ねてまいりました。第1回目は、部会の発足にあたりまして、部会で何を検討するかということについてご議論いただき、3月5日の第2回では、「我が国経済社会のあるべき姿における我が国の国家像について」、議論した後に、「21世紀初頭に想定される世界の状況と我が国の位置づけ等について」、ご議論いただきました。第3回を3月15日に行いまして、この際には、外務省、大蔵省、通産省からそれぞれ、国際通貨金融体制、国際貿易投資体制ないしは基本的対外経済政策についてヒアリングを行った後に、委員の方々にご議論をお願いしたところでございます。4月9日に第4回を開きまして、国際的な労働移動、いわゆる外国人移住労働者の問題についてご議論をいただきました。昨日、第5回目を開きまして、国際経済協力のあり方について、それから、これまでの議論を踏まえての部会としての報告のスケルトン案についてご議論いただいたところでございます。

資料2ー3では、そのスケルトンの骨子をまとめております。これが、これまでの審議経過の集約されたものと言えると思います。資料2ー3に基づいてご説明いたします。

審議報告としては6つの柱を立てております。

1番目に、「グローバリゼーションの進展と国民経済~現状認識~」ということで、グローバリゼーションとは何か、グローバリゼーションが我が国経済社会へ与えた影響と、グローバリゼーションの世界経済への影響を指摘しています。

2番目に、このような現状認識の中で、「21世紀我が国経済社会の姿~我が国が目指す方向~」ということで、世界、アジア地域、我が国の国内という3つの観点から、我が国が目指す姿を提示しております。

その1つ目として、「世界経済の発展と安定化を積極的に促進するコア・メンバーとしての役割」ということで、2010年頃における我が国の経済規模からは、引き続き世界の主要な国であり、それにふさわしい世界的な制度設計等における役割を担う。企業活動面においても、雇用の創出や技術・技能の伝播を通じて世界経済の発展に大きく寄与できるような多くの企業ないし企業家を排出する国を目指す。また、文化的、社会的活動の面でも、様々な経済主体が世界経済社会の進歩と安定に資する活動を拡大する、という方向を目指します。

2つ目として、「世界経済のコア・メンバーとしてのアジア地域における役割」ですが、世界経済の主要な地域が域内統合を通じて一層の自由化を進めると予想される中、各国間での制度調和等を通じ、域内の経済自由化のモメンタムを維持・高揚する主導的な役割を担う。アジア危機による経済的混迷は各国の社会的な弱者を中心に多大な悪影響を及ぼしており、我が国が単なる当面の対策としての緊急支援のみならず、長期的な成長を念頭に置いた域内レベルでの経済活性化方策の策定と実施に中心的な役割を担うことが引き続き求められる。また、通貨金融危機の伝播は貿易・投資のリンクを前提とした地域的な広がりをもっていることから、世界への伝播を防ぐという我が国の役割も重要である。

3つ目として、我が国の国内の切り口で言いますと、「グローバリゼーションの中で『豊かで開かれた経済社会』を創造する」ということで、2ページにまいりまして、いわゆるグローバリゼーションという効率化の流れに適応し、限りある資源を有効に活用して、このメリットを生かせるような経済社会の改革を実施する。具体論は、構造改革推進部会の方の議論につながっていく話であろうかと思います。

3番目に、「21世紀初頭の世界経済ーリスクとその対応」ということで、21世紀初頭の世界経済を考えるにあたって、いわば外生的と申しますか、食料問題とか、エネルギー問題とか、難民問題とか、地域紛争の問題といったさまざまなリスク要因と、その対応をどう考えるか。

4番目から6番目につきましては、このような我が国が目指す姿、ないしはリスク対策を踏まえての将来の主体的なビジョン実現に向けた政策体系を、世界、アジア地域、我が国の国内の3つ観点から提示しております。

4番目は、まず世界の観点からですが、「世界経済の発展と安定化を積極的に促進するコア・メンバーとしての役割」です。1つ目は、「21世紀の貿易・投資体制構築とWTOの新ラウンド」です。今年の末の閣僚会議以降、いよいよこの議論が本格化しますが、この中で我が国としてリーダーシップを発揮すべきであるということでございます。

2つ目は、「21世紀の新しい国際通貨・金融体制の構築」です。大蔵省の外為審等でも議論がなされていますし、IMF・世銀等の場でも活発に議論が行われておりますが、このような国際金融取引に関し、リスク管理に向けた改革、国際資本移動の不安定性に対する規制のあり方の議論、途上国及び市場経済移行国の適切な手順を踏んだ国際金融・資本市場への参入支援に積極的に貢献していこうということです。

3つ目として、「対外的な情報発信のあり方」の問題で、経済的な活動だけでなく、文化的、社会的活動の面でも我が国からの多面的な情報発信を積極的に拡大することが必要ということです。情報発信の手段としての言語の問題ですが、国際語である英語力の向上はもとより、日本語に対する諸外国、国際機関等での理解促進といったコミュニケーション手段としての言語に関する課題克服だけでなく、さらに情報発信の中身ですが、我が国が世界からアクセスされるような国際競争力のある知的蓄積を推進する情報の内容も重要であるということです。

4つ目として、「地球環境問題への対応」ということで、グローバルな環境政策のあり方を、我が国がリーダーシップを取って提示すべきであるということです。

5つ目は、「新たな国際協力のあり方」です。世界経済システム全体の均衡ある発展の促進剤として、経済協力の成果があがるよう、我が国の各資金形態、援助主体等の最適な分担・連携を進めるということで、政府開発援助、ODAだけでなく、民間資金、あるいは政府の輸銀等のアレー・オフィシャル・フローのようなもの、あるいはNGO等の資金・技術協力、そのような援助主体間の最適な分担・連携を強めるということです。

3ページ目にまいりまして、5番目は、アジアの切り口でございます「世界経済のコア・メンバーとしてのアジア地域における役割」です。その1つ目は、「WTO補完的なアジア地域における貿易・投資の自由化、制度調和の推進」です。アジア地域においては、危機の脱却と長期的に持続可能な成長経路への回帰を引き続き支援することを通じて、貿易・投資の自由化に向けたモメンタムを維持・発展させていきます。また、アジア地域における民間直接投資が主導する経済発展の流れを加速するための制度設計支援と調和の促進。長期的には、我が国との間に共同市場を形成することを念頭に置いた二国間協力などの促進です。

2つ目は、「アジア地域における通貨金融危機防止への枠組み作り」です。IMFのグローバルな危機管理を積極的に補完するような枠組みを作っていくことに積極的に取り組みます。

国内の切り口でございますが、6番目の柱は、「『豊かで開かれた経済社会』を創造するための構造改革」です。グローバリゼーションのメリットを享受し、我が国の経済的豊かさと世界市場における地位を維持していくためには、「透明で公正な」市場システムの下で経済効率を高めるとともに、内外の多様な経済主体にとって開かれた経済社会を構築することが不可欠であります。

1つ目に、「規制改革の推進と魅力的な事業環境の構築」。

2つ目に、「企業風土と勤労意識の多様化」。

3つ目は、「移民・外国人労働者問題への対応」です。移民・外国人労働者問題は、我が国が様々な環境変化への適応能力を向上させるためには、その内部に多様性の芽をはぐくんでおく必要があります。また、専門的・技術的労働者については、我が国企業活動の効率化、高付加価値化、新規事業への進出等に資すると考えられます。こうした大きな観点から、移民・外国人労働者の受入について、政策決定に至るプロセスをできる限り透明にし、十分な情報開示を行いつつ、国民各層での十分な議論、検討を進めることが望ましいです。

以上でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

最後に、地域経済・社会資本部会お願いいたします。

〔事務局〕

 引き続きまして、資料2ー4をご覧いただきたいと存じます。「地域経済・社会資本部会の審議経過報告」でございます。

 Ⅰの検討項目ですが、

  1. 21世紀初頭のまちづくり
  2. 地域経済・中山間地域等の活性化
  3. 21世紀型社会資本整備

この3項目を立ててございます。

 Ⅱの審議の経過・予定ですが、そこにございますように、2回目と3回目において、部会委員からの意見発表、それに対する質疑というスタイルで、3項目についてご議論いただいてございます。第4回目においては、21世紀初頭のまちづくりと、地域経済・中山間地域等の活性化について、4月13日の「『経済社会のあるべき姿』を考えるにあたって」と、地域経済・社会資本部会でのそれまでの議論を踏まえた論点整理を行っております。今後は、社会資本整備につきまして、同様の論点整理を行った上で、全体の部会報告書をとりまとめることとしております。

Ⅲの「論点整理(素案)と主な意見」ということで、論点整理の内容と部会における主な意見をご紹介いたします。

最初に、総論としての国土のあり方でございます。これは様々な歴史的潮流の変化や制約要因の中で、国土のあり方については(2ページにいきますけれども)、最も効率的な利用をいかに図るかということを基本とすべきであります。こうした視点から、まちづくり、地域経済・中山間地域等の活性化と社会資本整備のあり方を提言すべきです。

これにつきましては、効率性の追求は、20世紀的な議論であって、21世紀においては、むしろ「ゆとり」を追求すべき、その際、効率的な手段を採るべき、こういった意見がございました。

以下、各論に入りますが、最初に、まちづくりの問題です。

「基本的な考え方」としては、「今後のまちづくりについて」ということで、5 点挙げてございます。

  1. 1)職・住など、様々な高度な機能が近接化・複合化・ネットワーク化された都市構造への再編
  2. 2)価値観や生活スタイルの多様化に対応したまちづくり
  3. 3)高齢者や女性の地域活動や就業の促進と知的創造者や新産業の集積が図られるようなまちづくり
  4. 4)環境負荷の軽減に配慮したまちづくり
  5. 5)住民参加による地域の特性をいかした魅力的なまちづくりへの転換

ということを基本とすべきではないかということです。

これらを実現するための政策のあり方としては、

  1. 1)ゆとりの「空間」とゆとりの「時間」のまちづくり
  2. 2)住民参加の独創的なまちづくり

を政策方針とすべきではないかということです。

2)が「ゆとりの『空間』とゆとりの『時間』のまちづくり」の基本的な考え方でございます。すなわち、様々な機能の生活空間の良質化と拡大を図り、ゆとりの「空間」を確保する。同時に、それらの近接化・複合化や高度な交通・情報通信インフラを介したネットワーク化により、移動時間の短縮、利便性・効率性の向上や広域的な機能補完、地域連携を促進し、余暇や多様な交流の機会が増大する、ゆとりの「時間」を確保する。

このような、様々な高度な機能がコンパクトに集積し、ネットワーク化された~「小さな大都市構想」~とでも言うべきものを推進していく。

最初は、「ゆとりの『空間』 ~様々な機能の生活空間の良質化・拡大~」のために、住宅、オフィス、福祉施設、文化施設、さらには道路、公園といった、その基盤となる施設のレベルアップやスペースを拡大します。さらには、生活「空間」の一環としての歴史・文化・風土・自然環境の効率的な保存・活用が必要ではないかということで、その具体的内容を議論しているところであります。

3ページにまいりまして、ゆとりの「時間」ですが、「ゆとりの『時間』 ~様々な機能の生活空間の近接化・複合化・ネットワーク化~」のために、様々な用途での高度利用を通じた既成市街地の再編の推進、高度な移動性と情報交流を確保する交通・情報通信インフラの整備などが重要ですので、その具体策を議論しているところであります。

もう一つの柱であります、「住民参加の独走的なまちづくり」ですが、独創的で魅力あるまちづくりを推進するため、その担い手の確保・育成を図りながら,住民あるいはNPOのまちづくりへの積極的参加と地域との合意形成を促進すべきではないかということで、その方策をご議論いただいているところであります。

ここでの主な意見としましては、「あるべき姿」にも出ておりましたが、「より広範な用途複合を図るため、都市計画の用途別の規制を廃止するかという議論につきまして、我が国の用途規制は、世界的にみても緩やかな規制であり、そのために用途複合がうまくいっていない面がある。ドイツやニューヨークでは、より詳細な用途規制によって用途複合を進めている。用途規制をやめると、周辺の土地利用がどういうものになるかという土地利用の予測可能性が著しく低下する」といったご意見がございました。

3が「地域経済・中山間地域の活性化」です。

「基本的な考え方」ですが、

  1. 1)地域が中央の政府や企業に依存せず、知恵を活かした独自の産業や文化を持つ地域づくりを進めることが重要。
  2. 2)このために、地方自治のあり方を見直すとともに、地域密着型産業の振興や地域独自の産業の創出と国際競争力の強化に向けた取組を行うことにより、自立型の地域構造を構築すべき。
  3. 3)さらに、中山間地域等については、国土の保全などの重要な役割を果たしているにもかかわらず、担い手不足により地域コミュニティーの維持が困難になっていることから、まず、地域の魅力を創出するとともに、その多面的な機能を十分に発揮させることを基本として、持続的な地域社会を再生すべき。

という考え方を出しております。

そこでまず、「独自の産業・文化を持つ地域づくりによる地域経済の活性化~自立型地域構造の構築~」ですが、最初に、「1)地方自治のあり方の見直し」については、地方自主財源の拡充と地方交付税制度の見直し、地域間連携あるいは府県合併や道州制も視野に入れた広域化を推進する。

「2)地域密着型産業の振興」については、地域内商圏の確立も含めた密着型産業の振興と、それらの担い手のを確保する。

4ページですが、「3)独自の産業創出と国際競争力の強化」については、各地にある独自の資源の有効活用、知的インフラの整備、地域からの情報発信能力の向上、交通インフラの高度化などが重要ということで、その具体策を検討しているところでございます。

「4)首都機能移転の検討」については、地域の活性化のためにも積極的に検討すべきではないか、という位置づけをしております。

「3)多面的機能の永続的な発揮を可能とする中山間地域等の活性化~持続的な地域社会の再生~」は、中山間地域等の活性化の問題ですが、3つの柱があります。

まず、「意欲的な人づくりの推進」として、

  • 地域リーダーなどの多様な担い手の確保・育成
  • 担い手づくりに向けた体制整備

次に、「個性的な産業づくりの推進」として、

  • 地場産業などによる既存産業の活性化
  • 観光、リサイクル等に着目した新たな産業の創造

3つ目に、「持続的な地域づくりの推進」として、

  • 基礎的な社会資本の整備
  • 多面的機能の持続的発揮体制の構築
  • 都市との交流・共生の促進

このような具体策が重要であるいうことでご議論いただいているところであります。

ここでは、意見としては、〔中山間地域等の活性化は自助努力を基本とすべきか、あるいは、必要な振興策を講じるべきか、について〕は、「多面的機能の発揮、担い手の介護保険の観点からも振興策を講じるべき」という意見がございました。

〔国土保全と産業とは切り離して考えるべきか、または、産業活動を通じた保全について考えていくべきか、について〕は、「米国等とは異なり国土の狭い日本においては、自然環境と産業・生活とは密接不可分であることから、一体的に考えるべき。」という意見の一方で、「産業活動を通じて国土保全を図る際には、その具体的効果を明らかにすべき」というご意見もございます。

最後に、「21世紀社会整備」については、

1)社会資本整備における国と地方の役割分担を明確化

2)21世紀型社会資本整備の優先整備分野の明確化

3)21世紀型社会資本の整備を効率性・透明性・柔軟性を一層高めながら進めるための整備システムのあり方では、(例)を5ページに挙げてございます。1)事業評価の拡充、2)時間管理概念の導入、3)(効率化の観点からの)PFIの推進、4)アカウンタビリティの向上と国民関与の促進、5)事業間連携の強化、6)既存施設の有効利用、こういった論点についてご議論いただくこととしております。

以上でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

以上4つの部会における今までの審議経過のご報告につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、4時ぐらいまで、ご自由にご発言いただきたいと思います。あるいは、事務局から追加がありましたら、どうぞご遠慮なくおっしゃってください。

〔G委員〕

 構造改革推進部会について、事務局から詳細な説明がございましたけれども、私は、当部会の部会長を務めさせていただいていますので、若干追加コメントをしたいと思います。

議論は、第1の「グローバリゼーションに対応した経済社会」で、そのための構造改革というところにかなり集中しています。表現の問題ということもありますけれども、この表現ではインパクトが弱いのではないか、という意見がかなり多いということです。また、省庁との調整の場合に、あまり薄まるのは好ましくない、という意見がかなりあったことを付記します。

もう一つは、ここには書いてありませんけれども、部会に出したときは、「スケルトン(案)」となっていましたので、委員の皆さんから、1、2、3のそれぞれについて肉付け──これはスケルトンだから、スケルトンとして、それに肉として付け加えるべきものはこういうものがある──というご意見がいろいろございまして、これは今、事務局の方でまとめていただいております。

このような状況でございます。

〔部会長〕

 地域経済・社会資本部会の話ですが、2ページのところに、「効率性の追求は、20世紀的議論。21世紀においては」云々とあります。これは何に対していい「効率性」なのかというところは、この部会では、例えば「ゆとり」ということ自体が最終アウトプットとして重視されています。非常に極端な言い方をすると、20世紀型のときには、かなりはっきりした、GNPならGNPに直接結びつくアウトプットが視野にあって、それとの関係で効率性が議論されて、例えば「ゆとり」というのは、できればあった方がいいという手段の1つだったかもしれない。感じから言うと、20世紀のときには「できれば、あった方がいい」という手段が、むしろ目的になって、それとの関係での効率が議論されています。この意見を言っておられる方は、そういう意見を言っておられるということなのでしょうか。

〔事務局〕

 おっしゃるとおりでございまして、いろいろな制約要件が出てまいりますので、全体としては国土を効率的に追求していくということを考えるべきではないか。その中で、まちづくりについていえば、肥大化して非効率になっているものをもっとコンパクトにすべきではないか。あるいは、一極集中を是正して、地方に人口・産業を分散して地域の活性化を図る。中山間地域についていえば、国土の効率的保全ということをどう考えるかという意味で、総論として提示したわけでございますが、目的として、あまり「効率」ということを議論するのはちょっと逆行するので、例えば、まちづくりなどでも、最後に目的とするところは「ゆとり」が重要ではないか、こういうご意見があったということであります。

〔部会長〕

 企画部会でも、例えば、経済成長はどうかという話があったときに、従来流のGNPの成長ではなくて、可処分時間では──可処分時間というのは、「ゆとり」ということをかなり定量的にあらわした1つの指標だと私は思いますが──。むしろ、効率性は目的ではないのですが常に求められなければいけない。けれども、何との関係で何をアウトプットとしてもたらすときにより効率的でなければいけないのかという、その「何を」というところが、くどいようですけれども、もともと我々が目標としたものと、21世紀型で考えるときには変わってきているのかどうか。

例えば、可処分時間というものを1つの目的にしたときに、その先に出てくるものは一体何なのかというところあたりは、企画部会というか、全体として非常に重要なところだと思うのです。

効率性そのものが目的、ここはそういう話ではないのでしょう。

何でもかんでも効率性を追求する、そのことは20世紀型なので。求めるものは、効率性以外に何か別のなものがあった方がいいという議論ですか。

〔H委員〕

 各部会のお話を伺っていて、非常にごもっともで、議論をいろいろしていらっしゃると思うのですが、今の「効率性」もそうですが、はやり言葉に振り回されているのではないか。だから、いろいろ言葉が出てくるのだけれども、言葉自身の中にどうも矛盾があり過ぎます。

例をいえば、個人の自由で独自性がなければいけない。しかし、社会を生かしていくためには、自由がある以上、個人の自由がある人が全体に対して説得力がなければいけないのです、。ところが、例えば説得力とか、そういう言葉が全く落ちている。そうしておきながら、独自性だけを主張しているということになっています。

それから、グローバル化と言ったときには、言葉はあるけれども、その中で日本の特殊性というのもあまり出てきません。

それから、もう少し具体的な例を言うと、地域経済の動向と言ったときに、たまたま言う方がいなかったのだろうけれども、日本への観光客というのはアジアの中でも、驚くほど少ないです。そのようなことが、果たして日本のこれからの姿としていいのかどうか、ということなどへの具体的な例も挙がってきていません。

観光客があることばかりがいいとは思いませんけれども、観光客に対して日本をわからせていくということなどの努力が、どうやれば出てくるのか。もう少し、具体的な話が我々の経済の1つの答申としては出てきた方がいいかと思います。

どうも、はやり言葉が多過ぎます。一斉合唱社会である日本への批判というのがなさ過ぎます。次の世紀には、また別の一斉合唱をスマートに考えよう、と言ったにすぎないという感じがいたします。

どうすればいいかは、私も。今日伺っただけの感想です。

〔部会長〕

 例えば、今おっしゃった外国の旅客者が日本に対しては非常に少ない。あるいは、旅行者だけではなくて、留学生も含めて、日本人ばかりでなく、ほかの国の人にとっても魅力的にしようという話は一般論として出てきていますが、その辺は具体的には、どこで議論されているのでしょうか。

〔H委員〕

 どこで絡んでもいいから、どこかで。

〔部会長〕

 今までの4つでは、特に具体的にはありませんか。

ほかにご意見がございましたら、どうぞ。

〔I委員〕

 H委員の指摘された点に似ていますが、私は、経済というよりも、経済外的な問題になるかもしれないけれども、国民生活文化部会あたりで、議論が行われたかどうかを伺ってみたい。この前の企画部会で大臣が、自由を守るためには新しい社会軌範がむしろ必要だということを発言されました。要するに、本当に個性を尊重して個人が自由に活動できるような社会を求めていく場合に、日本で何となく心配なのは、社会生活の規律をどう守っていくかということが、若いときからたたき込まれているかどうか。

私は、池田潔さんの「自由と規律」を読み直してみたら、パブリックスクールの生活だけれども、自由のことはちっとも書いてなくて、規律をいかにして守るかということしか書いてありません。最後のところに行ったら、規律を守って初めて、その上に自由が認められるのだというふうに書いてあるわけです。

その前提が、日本人の場合に訓練されていないというか、たたき込まれていない。そこへ、「自由だ自由だ・個性の尊重だ」と言ったときに、一体どんな社会が出てくるのかということに対する一抹の不安を感じているのです。

そんな議論が行われたかどうかということを、伺いたいと思います。

〔事務局〕

 国民生活文化部会で、先ほどちょっとご説明しましたような、今後は個人の面、個別化というものが進んでいくという議論がございました。恐らく、今おっしゃった、「個人の自由な選択」というのはその裏側で自己責任を伴うことは当然のこととして、個別化ということをお話されていると思います。そこで何か特別な規範が必要だというような議論が、部会ではなされたかというと、必ずしも、それほど議論はされておりません。

〔I委員〕

 要するに「個人の自由」と言うと、必ず自己責任の問題というふうに捉えるのだけれども、そういう捉え方ではなくて、個性の尊重ということは、自分以外の他人の個性も尊重するのだという、その認識が日本人の場合には、なかなかよくわからないというか。そこの議論を本当は、してほしかったのです。

〔事務局〕

 委員の意見の中でも、個別化といいますか、個人というものの強調に対して、人間は一人で生きられるものではなくて、絶えず何かの集団に依存して生活しているものであるから、そういったことをもう少し考慮すべきではないか、というようなご意見はございました。

〔J委員〕

 まちづくりのところでいろいろ議論がされて、私は基本的にこういう方向でいいと思うのですが、例えば、住民参加でやるということ自体、もちろん、これからやらなければいけないのですけれども、まちづくりの場合でも、すべての市民・住民が満足するまちづくりというのはあり得ません。必ず、エゴとエゴの衝突が出てくるわけです。そこのところをどうやって。

私は、基本的には、公共空間をどうやって全体として良くしていくかということの市民の意識の改革が必要だと思います。現実にするためには非常に大切なことなので、今の、お2人のことと関連しますが、申し上げておきたいと思います。

〔I委員〕

 今のJ委員のお話はわかりますし、都市計画的に「何でもかんでも自由にできないよ」という気持ちもわかりますが、極端なことをいえば、本当は火災防止のためには不燃建築の街をつくる必要があるだろうけれども、どこかの街で木造の都市をつくりたい。木造の都市でも火災に対応するように道を拡げてみたり、空き地を設けたりしながら、日本的な住宅の集落の街をつくりたいということで、住民の意見の一致があったら、そういう街がどこかにあってもいい。あるいは、外国のように非常に高層の街があってもいいね、そういうことではないかと思うのけれども、その辺は反対ではないのですか。

〔J委員〕

 そういう意味で申し上げました。むしろ、そういうことが大いにあっていいです。

ただ、そうなった場合に、そういうまちづくりで行こうといった場合に、現実にその方向でみんなが納得していくか。

結局、その各論になると、それぞれがいろいろな意見が出てきて混乱してしまう、というのが、今までの現実だと思うのです。そこをどうやって押さえていくか。

私は、今、I委員がおっしゃったまちづくりというのは、当然、あって然るべきだと思いますけれども。

〔K委員〕

 僕も、I委員が言っていることと似たようなことだろうと思うのですけれども、全体をずっと聞いていて、申しわけないのだけれども、あまりインパクトを感じない。印象的でない。多分、世間に発表しても、読み流されて、「また同じようなことを言ってるな」という印象になるのではないかと思うのです。

それはなぜかというと、言っていることはそのとおりだけれども、今、世の中で、はやっている手垢の付いた言葉で、グローバリゼーションとか、リーダーシップとか、そういう言葉がずっと書き並べられているだけであって、その具体的な中身というのか、とんがった構想というのが見えてこないからではないかと思うのです。

その辺をもう少しきちっとしてこないと、読む人の心を揺り動かさないのではないか、エキサイティングにさせないのではないか、という感じがまず第1点の感想としてあります。

今、日本の社会でいろいろな物事を10年後、15年後と考えていくときに、限られた条件というのはいくつかあるわけです。例えば、財政の問題で言うと、財政赤字がものすごくあるので、これからはあまりお金が使えません。すると、この中には若干意見があって、ほんの一部出ていますけれども、例えば、介護などの問題で、システムを変えることによって金のかからないシステムというので、介護や老後の問題というのが考えられないかというふうにありました。そういう問題を考えるときに、金がかからないという1つの原則をもって、どうやってその構造なりシステムを変えていくか。今与えられた要件の中での原則をきちんともって、そこから物事を発想していった方が、リアリティをもってくるだろうと思うのです。何となく抽象的な言葉で語っても、人々の気持ちに訴えないのではないか。

アジアのところについても、コア・メンバーとなっていく、そのためにリーダーシップをもっていく、通貨をどうすると言うけれども、本当にリアリティをもって、現実性をもって語っているのかどうか。

それでしたら、具体的にどういう構想があって、こういう手順でこういうふうにやればこういう形でアジアの中でリーダーシップをもてるし、あるいはコア・メンバーとしてやっていけるということを、もう少し具体的に語っていかないと、恐らく、議論を巻き起こすこともできないのではないかという感じがするのです。

もう一つ、生活や地域社会の問題についても、さっき「効率」という言葉がありました。今までは経済と国土というか、物質的に豊かさをどうするか。そのために国土の効率をどうするかということが中心に議論されてきたと思うけれども、今後の効率ということを考えたときに、人と国土とか、生活と国土とか、与えられた軸をきちっと持った上で少し具体的な構想を出していくということが、これからのこういうものを書く上で重要ではないかという気がします。

抽象的な今、世の中に流布された言葉だけを並べてみても、心を打たないのではないかという僕の印象です。

〔L委員〕

 今まで言われた委員の方と基本的に同じですが、私は、手垢が付いている言葉でもちっともかまわない。具体性があれば、それはそれでかまわないと思うのですが、具体性がよくわからない。

それから、例えば、今おっしゃった、金がかからないやり方ということはどういうことかと言うと、コストを下げるというのが1つの解釈であって、コストを下げるためにはどうしたらいいかというと、それは効率化ということになるわけです。

「ゆとり」というのは何を目標にしているのか、全く私には理解できないわけです。効率の低い社会でどうやって「ゆとり」が維持できるのか。「ゆとり」は、20世紀の産物で、21世紀では違うというのは、要するに効率化したくないということを別の表現で言っているにすぎないのではないか、そういうふうにしか解釈できないわけです。

それから、構造改革推進部会が、ほかの部会を受けて具体的に何をするかということをするところらしいですが、例えば、一番上にあります「規制改革の推進」を見ても、具体的にこれは何をするのか。「経済社会情勢の変化への適合性を規制改革の原則とすべき」ということですが、どういう変化に対してどう適合するのかということが、まさに問われているわけです。

それから、推進方法についても、「公共関与の強さの程度を個別的及び総合的に示す数量的指標の枠組みの構築」というのは非常に重要なことですが、これをこの部会で作っていただけるのか、それとも、どこかで作れという提言をしておられるのかどうか、というところがまさにポイントであります。

その点について、まず、事務局に、ここで作るのかどうかということを教えていただきたい。そして、作ってからどうするのかということで、それを推進するためには、大変な利害調整をしなければいけないので、効率ではだめで「ゆとり」だと言っている人たちをどう説得するのかというところまで考えないと、先ほどから、いろいろの委員の方がおっしゃっている具体性を欠くことになってしまうのではないか。

そう思いますので、少なくとも、推進方法をどこでやるのかだけを、まず教えていただきたいと思います。

〔部会長〕

 今の「ここ」というのは、企画部会という意味ですね。

〔事務局〕

 今、L委員がご指摘になった点は非常に重要な点だと思います。構造改革推進部会の中で、この数量的指標というものを具体的に作っていくというところまでは、恐らく、煮詰まらないかというのが、正直なところでございます。ただ、具体的に下ろしていくときに、どういう形で指標を考えなければいけないということは、かなり煮詰めていくことにしたいと思っております。

また、推進体制については、そういう指標を使って客観的にわかるような形で構造改革を進めていく必要があります。そのための推進母体を設けていく必要があるということですけれども、これについてもまだまだ詰めなければいけない点が残っていると考えております。ここで作れれば一番いいとは思いますけれども、そこでの具体の数量をお示しできるというところまで進むことができるかは、その手前の段階ぐらいのところになるかという感じがしております。

〔部会長〕

 K委員、J委員、I委員、H委員がおっしゃったことに絡んで、平たすぎる表現で恐縮ですけれども、英語でよく、ゼァリイズ・ノー・フリーランチといいます。コストは何にでも付いています。今度のことでいろいろ出てきたものについて、それぞれ実現し、実現した後にそれを本当にサスティンしていくための条件やコストというものがあります。まず、それをきちんとして、1つは、そういったコストがマクロのレベルでアホーダブルなのかどうか。次は、マクロトータルとしてはいいのだけれども、誰がどの部分を負担するかということに絡んで、日本人というか、いろいろな人がいるわけですけれども、まさに何かを実現したいときに、そのコストあるいは条件を自ら満たす・払う覚悟があるのかどうか。覚悟というか、ウィリングに払うか。その辺をきちんとしていくと、それなら嫌だと言う人は落ちていくし、やりましょうということになると、わりにそういう条件とか輪郭がはっきりしてきて。

ですから、現実性に欠ける、具体性に欠けるというのは、そういうコストとか条件がまだはっきりしていないからです。そこをかなり現実に、こういう条件だ、その条件を受け入れますか、受け入れませんかという種類の議論が詰められてくると、自由の問題にしても、個性の問題にしても、「ゆとり」をどうとるかとかいろいろありますけれども、そういうものが出てくるのかなという気がします。

そういう意味で、そういうことに絡む議論を、資料・材料を少し詰めて、この部会でどの程度の議論ができるのかということも、1つの試みかなという気もいたします。

今のところは、個々の部会でも、必ずしも、今の条件とか、それに必要なコストまでの議論はまだないと言っていいですね。

〔G委員〕

 構造改革推進部会のことでいろいろとご意見が出ていまして。

実際の部会の議論の中では、L先生よりもっと厳しい意見がずいぶん出ています。先ほど、1.の構造改革のところに議論が集中しており、表現の問題、あるいは他省庁との調整の問題で柔らかに申し上げましたけれども、具体的にいえば、では、このような推進体制の問題も原則をどうするか。その手法はどうか、具体的に誰がやるのか。あるいは、「推進体制」の第3者機関という場合も、議事録には出ると思いますけれども、経済企画庁が2001年には総理直轄の組織になるので、「俺たちがやる」というところまではっきり書いたらどうだ、という意見まであるわけであります。その辺のことも、これから具体的な議論として集約していきたいと思っております。

〔部会長〕

 まだいろいろご意見があるかもしれませんが、今、いろいろな各方面から意見も寄せられていますし、これから展開していく広報活動の中でも、今の問題はかなり関係してくる問題なので、一般の方々の意見、今の条件やコスト、どういう体制でやるかということについても関係してきますから、各部会の審議経過の報告についてのご意見をいただくのはここで終わらせていただいて、次の「経済社会のあるべき姿と政策方針」の広報活動の実施状況について、事務局からご報告して、ご意見をいただきたいと思います。

〔事務局〕

 お手元の資料3の2枚紙をご覧ください。

第1回目のときに、総理の諮問で、広く内外から意見を求めるようにということがございまして、5本立てで策定手法の多様化を図りたいということを申し上げております。

1番目が、マスコミへの特集企画ですが、こちらについては「策定しています、意見を求めています」ということをテレビ、新聞、定期刊行物などで周知を図っているところです。これは3月中におこなったもので、これ以後につきましても、例えば、最終報告が出ましたらまた政府広報を使えるようにお願いしたいと考えているところでございます。

2番目が、シンクタンクへの短期集中委託調査です。ここにございます4つのテーマについて、シンクタンクの委託調査を実施しております。

1)は、「国際的な労働移動に関する調査」です。これは明日公表する予定でおります。

「2)会社人間からの脱却と新しい生き方に関する調査」では、国民生活文化部会に関わるテーマですが、これは9日に公表しております。

「3)長期的な生活空間の拡大方策に関する調査」は、地域経済・社会資本部会に関わるテーマです。

「4)創業・起業に対する日本的風土の改革に関する調査」は、構造改革推進部会に関わるテーマです。

それから、3番目に、国民各位からの提言を募集するということで、前々回の4月1日の企画部会でご紹介いたしましたが、インターネットでホームページを開設し、意見募集をしております。「これまでに5,100件のアクセスがあり」と書いてございますが、インターネットで47件ほど意見をいただいております。また、ファックスによる受け付けが32件です。4月1日に52件と申し上げましたが、それから少し増えております。実は、4月13日に「考え方」を発表し、それ以降、新聞でこのホームページのアドレスも紹介していただいたりしましたので、今週に入りまして、先般発表したものにつきまして、20件インターネットで意見をいただいております。今回は大分出足がいいということかと思います。

その下に書いてありますが、今、この間発表した「『経済社会のあるべき姿』を考えるにあたって」、についての意見募集をしているということでございます。

2枚目にいきまして、シンポジウムを活用した紹介ということで、3月に、全国14カ所でPFIの普及・啓発のシンポジウムをいたしました。その際、各地域で、「計画策定についてのご紹介と、意見を募集しています」ということを言って歩いています。ここにありますように、3月を“PFI月間”と私どもは読んでおりましたが、広く周知をしているということでございます。

4番目は、「各国有識者からのヒアリング、意見募集等」です。内外からということで、外の方からも意見を聞いております。4つありまして、海外のシンクタンクへのクエスチョネアの送付では、欧米あるいはアジアのシンクタンクにクエスチョネアを送って、まだ回答はそれほどきておりませんが、回答を期待しているところでございます。

それから、海外有識者へのクエスチョネアの送付が、75人と書いてありますが、これは欧米中心の大学の著名な先生ということでご理解いただければと思います。

次が、在日の外国業界団体へのクエスチョネアの送付です。在日の外国業界団体というのは、在日アメリカの商工会議所や、ヨーロッパのビジネス協議会でございます。

二国間経済協議等の場を通じた意見交換では、経済協力の協議の場がございますと、そこへ行ってヒアリングや意見募集をすることに努めてございます。

5番目は、「(物価)モニターを活用した『新たな時代の姿と政策方針』のための調査」ということで、3,600人にお願いしたアンケートで、後でご紹介するものでございます。

次に、資料4でございます。先ほどシンポジウムというお話をいたしましたが、今回、「考えるにあたって」を発表いたしましたので、ここらで地方経済審議会といいますか、地方シンポジウムをやらせていただけないかというお願いでございます。

「1.趣旨」が、経済審議会の委員の先生方に、地方の各界の方からの意見を聞いていただき、地方の声を反映させたいと考えているということでございます。

「2.開催方法」では、大分急いでおりますが、5月中に全国5~6カ所ぐらいで開催できたらと考えております。経済企画庁が事務局となって、こちらで主催し、県などのご協力を得たいと考えております。その際、当部会の先生方、あるいは構造改革推進部会などの部会の先生方にもぜひご参加いただき、開催地側といいますか、お呼びする方も各界広くお呼びして、できれば募集などして、大勢でやってみてはどうかと考えているところでございます。「意見聴取」と書いてございますが、あまり肩肘張った審議会といいますより、シンポジウムといいますか、意見をいろいろ戦わしたり、質問を受けたりするということがよろしいかと思っております。お許しをいただければ、計画をし、また先生方にもご参加いただくように、個別にお願い申し上げたいと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

それでは、続きまして、資料5「モニターを活用した『新たな時代の姿と政策方針』のための調査」の内容を事務局よりご説明申し上げます。

〔事務局〕

 資料5ー1と資料5ー2がございますが、資料5ー2をまとめたものが資料5ー1でございます。恐縮ですが、資料5ー1が文章編と図表編になっておりまして、クリップを外して左右に置いてごらんいただければと思います。

2月下旬に、物価モニター制度を活用して──物価局にある制度ですが、物価モニターの調査に重なる形で──、「新たな時代の姿と政策方針」のための調査を行っております。回答率は95.5%でございます。

図表1「物価モニターの属性」ですけれども、モニターの性格上、性別では女性が92.3%、男性が7.7%です。ただ、男性につきましても、300弱の数は確保しております。年齢的には万遍なく、職業的には、一番右端の無職すなわち専業主婦の方が56.4%となっております。

1枚めくっていただきまして、図表2「設問の体系」では、設問は全部で21あります。「幸せの判断基準」、「住みたい国のイメージ」という価値観から始まりまして、政策ニーズ、人間関係、労働、国土という設問体系になっております。

図表3ー1から説明いたします。「幸せの判断基準」について選択してもらっていますが、「人間関係の充実」「安全な暮らし」をそれぞれ4割が指摘しております。「収入の多寡」「余暇の充実」の選択は1割未満にとどまっております。

1枚めくっていただきまして、図表4は「住みたい国のイメージ」です。若年層ほど「治安のいい国」、高年層ほど「社会保障の充実した国」を望む形になっていまして、「成功のチャンスがある国」「世界的にリーダーシップをの取れる国」という選択肢を選んでいる方はかなり少ないという感じでございます。

図表5「今後の社会のあり方」では、「能力や実績に応じて所得格差が出ることを是認」というよりは、一旦出た大きな格差は税制・社会保険料等で事後的に縮小されるべきであるということを選んだ方が、56.8%となっております。

図表6「公的年金負担」は、負担抑制のため給付水準が若干低くなることはやむを得ないけれども、生活できる程度の最低限の給付は維持すべきだという人が、高年齢ほど多くなっております。

図表7は「重点を置くべき政策分野」です。「第1選択」「第2選択」というのは、11ある選択肢の中で1番目、2番目という形で順番をつけて答えていただいているわけです。「第1選択」のところを見ますと、医療・福祉にウェイトを置いている人が過半数になっております。

次は、図表8「規制緩和の恩恵」の内容です。問いの仕方としては、「規制緩和の効果を実感しますか」ということで、「した」「しない」「わからない」という形で選択してもらっております。実感するという答えは2割です。その中身は具体的に記述してもらっていますが、新製品・サービス・価格低下等を指摘しております。

図表9「制度の見直し」の内容は、具体的に見直してほしい仕組み・制度がありますか、に対して、「あります」「ありません」「わかりません」という形で選んでもらっています。「ある」と回答した方は全体の3割です。その中身を具体的に書いてもらっていますが、税、福祉、社会保障、医療・保険、教育等の分野が挙がっております。

10ページにまいりまして、高齢期における仕事観について聞いております。図表10ー1「高齢期の仕事」の「1)高齢期の就労に対する希望」では、「老後の生活は年金だけでは賄えないと思うので、仕事をしたい」「老後の生活は年金だけで賄えるとしても、仕事をしたい」という人を合わせまして、高齢期にあっても働きたいという方は回答の7割近くでございます。

その理由を聞いておりますのが、図表10ー2です。これも「第1選択」「第2選択」という形で聞いておりまして、生きがいや社会参加を求める方が5割を超え、収入確保を目的としている人は少数であります。

図表10ー3は、「高齢期に就労を希望しない人の過ごし方」です。ではどうやって時間を過ごしますかということで、趣味など個人的なことをして過ごす方が5割。4割が、ボランティア活動など社会的な活動を挙げております。

図表11「今後の雇用のあり方」では、従来の年功序列型支持は9%です。「1つの企業に長く勤めるが、能力主義的な処遇を受けることを優先する」ということで、言い換えますと、雇用調整よりは賃金調整を望むという方が7割近いということでございます。

図表12ー1 以下では、外国人労働者の受入問題について尋ねております。拡大すべきだという人は15.6%、現在の方針を続けるべきだという人は51.6%、受入を縮小すべきだという人は29.8%という形になっております。

外国人労働者の受入を拡大すべきだと答えている人の理由ですが、図表12ー2で、「我が国の経済や社会の活力を向上させることになるから」が48.3%、続いて「我が国の文化に国際的な刺激を与えることになるから」ということが挙がっております。

12ページにまいりまして、「外国人労働者の受入」を「現状維持、もしくは縮小するべきと考える理由」ですが、「日本人の労働者も含め、失業者が増えたり労働条件の改善が遅れるおそれがあるから」が7割近く、3割の方は「治安が悪化する」ということを挙げております。

図表13では、外国人労働者の受入を許容する職種を聞いておりますが、「日本人ではできないような技能を必要とする職種」「専門的な技術を必要とする職種」が挙がっております。

図表14では、「今後重要な役割を果たす人間関係」はどういったところにあるかということを、7つの選択肢を用意して聞いております。家族を挙げた人が6割を超えておりまして、その系ですが、図表15「今後の家族のあり方」ということで、家族機能が見直されると答えている人が、関連して7割ございます。

14ページにまいりまして、図表16では、介護保険について聞いております。必要ということで、積極的に答えている人が26.8%、「不満はあるがやむを得ない」という人まで加えますと約7割が理解を示しているということでございます。

図表17「誰に介護してほしいか」ということで、介護の担い手を聞いております。家族・親族にみてもらいたいけれども、現実には難しいと考えている人が多いということでございます。

15ページにまいりまして、専業主婦の優遇措置、所得税の配偶者控除の問題とか、保険料を負担させるかさせないかの問題ですが、不平等是正のため専業主婦も応分の負担をするべきだという方が、「負担はやむを得ない」と「負担を求めるべきである」を足しますと、約6割の方が理解をしている。

それから、サラリーマンの独立開業につきまして、3割・3割で、「賛成し、応援する」と「反対し、諦めるよう説得する」と分かれていますが、ただ、「子供の独立起業」となりますと4割賛成・2割反対と、微妙な差が出ております。

最後のページにまいりまして、まちづくりについて聞いております。全体として高齢者は、住みやすく自然調和・美的な景観を希望していますが、都市規模別に集計してみたところ、大都市のところでは、「地震などの自然災害に強いまちづくり」が2割を超えているのが目立ったところでございます。

最後の問いは、図表22「中山間地域の役割」です。食料を生産する場として重要と答えた方が63.9%、地域の人々の勤労、生活の場と答えた方が57.5%でございます。

以上でございます。

〔部会長〕

 ありがとうございました。

資料3、4、5について、ご意見等がございましたら、どうぞ。

〔J委員〕

 単なる質問です。例えば、家族が重要な役割を果たす人間関係以下のところは、年齢別は当然に出ますね。ここら辺は、年齢階層別によって大分違うと思うので、その辺、後ほどお願いしたいと思います。

〔事務局〕

 それは集計可能でございます。

〔部会長〕

 地方経済審議会は、経済審議会の試みとしては初めてですか。

〔事務局〕

 4年前もやっております。

〔M委員〕

 前の部分も含めて、それから地方経済審議会のところまでで1点申し上げたいのです。

基本的な議論の中に、集権的な意思決定をこれまでしてきたこと──これは中央主権とか官僚主導というものも含めた、どこかで中央で集権的に決めてきた社会というもの──を、分権的な意思決定ができる社会に変えようという意気込みがあまり読み取れませんでした。ちょっと遅れたのでバァーッと見せていただいたのですが、何か物足りないというのはその辺にあるのではないでしょうか。

個々の分権的な意思決定の仕方は書いてあるのですけれども、むしろ、もう一歩踏み込んで、分権的な意思決定というのは──個々が別々に意思決定をしていくわけですから─しばしば失敗する可能があります。それを調整する機能を一体どこがどうやってやるのか。今までは中央集権的に意思決定していたので、必要なかったわけですけれども、分権的な意思決定・個々が別々に意思決定していくものをどう調整するかという、その部分に何らかの言及がないというのが、物足りなさのところではないでしょうか。

住民参加というような言葉は、どちらかというと、中央なり集権的に決めているものにちょっと意見を言いたい人は参加させてあげますよ、という程度で、中央集権を是正するようなシステムないしは方法論が議論されていないところが目につきます。

国民生活文化部会の方は、どちらかというと、分権で一人ひとりが自由にやると、そこだけが書かれています。では、あとはどうするのですか、ばらばらの国のをつくるのですか。その辺が、ちょっと物足りないなということです。

そのついでに言うのならば、地方経済審議会というのは、完全に中央主導型でやっているようなイメージを与えてしまいます。中央の意思決定にちょっと地方の意見を聞いてあげますよ、という例の予算審議の公聴会と同じような発想にとどまっているように見えてしまうのです。

むしろ、地方がそれぞれにそういうものをやっているはずです。都道府県でも、経済審議会に近いものはあるはずです。ですから、そちらの方に配慮をしながら、中央がそれを調整していくという態度を示すような形での審議会の開催というのを、できたら考えていただきたい。

すべて上から投網をかけるような形で、なさっているような気がするのです。

ちょっと意地悪に申し上げていますけれども、それが1点です。

そして、物価モニターを活用した『新たな時代の姿と政策方針」のための調査では、総合計画局の方もわかっていらっしゃると思いますけれども、サンプルとしてこれが妥当なサンプルなのかどうか。女性の意見を聞きたかったというのなら、1番の男性は省いた方がよかったのではないかと思うのです。ここから読み取る結果というのを、日本の現在のこれからの政策方針を議論するための基礎データに使われるというのが、女性の意見をまず聞きたかったということであればわかるのですけれども、必ずしも、そうではなさそうな気もするので、なぜこういうふうにしてしまったのか、ないしは、もう一つ別に男性を中心にしたサンプルで調査をされるつもりがあるのかどうか。

全然違うことが2つ、後半は質問です。

〔事務局〕

 地方経済審議会が分権的でないではないかというご指摘ですが、地方経済審議会という言葉を使っておりますが、さっきちょっと申し上げましたが、シンポジウムというべきものにしたいと思っております。

先般、PFIの地方シンポジウムをやりましたが、大変熱気がありました。何人かの方でまとまりのいい議論をするというよりも、そこで議論して、また質問していただくという、例えばパネルディスカッションをしているものを広く見ていただくような形で、やりたいと思っています。

ただ、この紙は大変まじめにビューロクラティックに書いておりますので、これだけを見ますと、どこから見ても中央集権的ではないかというご指摘があって、これは作文能力のなさを反省いたします。志といたしましては、あくまでも国が主催いたしますが、それぞれの地方で、M委員がおっしゃるように、地方でも問題意識をもっていろいろやっておられますので、そういう方々、あるいはNPO・住民団体の代表の方々に入っていただいて、あくまでもシンポジウムをやりたい。

ぜひ最初から全部オープンにやってみたいと考えておりますので、ご協力いただければと思います。

〔事務局〕

 物価モニターを活用した点でございますが、冒頭に申しましたけれども、サンプルのうち男性の比率は 7.7%です。図表3ー1をご覧いただければと思いますが、幸せの判断基準のところは、男女別に集計したデータを出しております。男性の方が264、女性の方が3,163です。各問いごとに、男女別の集計は可能ですし、やっておりますが、各要旨をまとめるにあたりまして、男女で顕著な差があったものについては要旨に出そうということで、具体的には、幸せの判断基準については男性と女性で顕著な差があったので、問いの3については載せております。

さはさりながら、男性の数は264しかない。女性は3,163もあるというところをどう評価するかということですが、この種のものの調査としては、もちろん多ければ多いほど真実の母集団に近づくのは当然ですけれども、264という数字はこの種のアンケートとしては、全国的な広がりをもってやっていますし、そう少ないナンセンスな数字ではないと思っております。それなりに説得力のあるものではないかと思っております。

〔部会長〕

 物価モニターは、いくつかチョイスがあるうちに、何か意図があってこの物価モニターを選んだのではないということは多分はっきりしていると思いますし、一番重宝なものを使ったことについて、そういうデータを見て何か問題があれば、M委員のご指摘のように、あるいは男性に集中してやることも必要かもしれません。別に意図的に物価モニターサンプルを使っているのではないだろうというふうに思います。

前半のことについては、地方経済審議会のあり方は別にして、名前は変わって経済計画ではないわけですけれども、こういうものをどのように位置づけるかということに絡む問題と思いますが、それなりに、今度のものについて、地方を含めていろいろな方々の意見を入れる。それはちょっと聞くということに終わらないで、意見を聞いた方に対しては、どういう形で参考にしたのか等のフィードバックもきちんとしなければいけないと思います。

むしろ、前段でM委員がおっしゃった、「地方主権」や「地方主導」という言葉がありますが、本当に分権型をしているのであれば、本来、調整などという言葉は必要ありません。本当に分権をやっていくのでしたら、それはそれぞれの責任でやっていくことが前提です。その間で調整をするということ自体は、本当の意味での分権型を目指すとしたら、コンセプトとして成り立たないということをおっしゃっているのかなという気がしましたが。

とりあえず、これは別に中央集権でやっているのではないということは、実体としてはっきりしているので、何とかそれが誤ったイメージで、ちょっと聞かれてそれでサヨナラということにならないようにして頂きたい。せっかく、地方へ出て行ってご意見を伺う以上は、皆さんがそれなりの気持ちで参画していただけるように、その結果について、フィードバックについても、これは今後のやり方ですけれども、きちんと責任をもってやるようにしなければいけないと思います。また、そのやり方についても、ご意見をいただければ大変ありがたいと思います。

予定の時間が過ぎております。何か特にというご意見がございましたら。

〔N委員〕

 M委員がおっしゃったことと関連するのですが、物価モニターの結果をどういうふうに使っていくのかということです。外国人の問題など、いろいろな興味ある結果が出ているわけですから。もう一つ、シンクタンクへの短期集中委託調査は、公報活動の中に入っています。これは公報活動ではないと思うのですが、こういったいろいろな資源を使って出てきた結果というものを、この答申の中でどのように生かしていくのかということについて、ぜひ考えていただきたいということです。

〔部会長〕

それでは、次回以降のスケジュールについてお願いします。

〔事務局〕

 次回は、5月14日金曜日の16時から、4階の共用第1会議室(404号室) で予定しております。

〔部会長〕

 それでは、第11回の企画部会の審議は終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

──以上──