第9回 経済審議会・企画部会議事概要

1 日時

: 平成11年4月1日(木) 15:00~17:00

2 場所

: 共用第一特別会議室(404号室) (第4合同庁舎4F)

3 出席者

(部会) 小林陽太郎部会長、
跡田直澄、荒木襄、角道謙一、佐々波楊子、高橋進、長岡實、中西真彦、樋口美雄、堀紘一、松井孝典、村田良平、八代尚宏、吉井毅、の各委員、大野直志、大前孝太郎、金光隆志の各特別委員

(事務局)
今井政務次官、塩谷事務次官、林官房長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長、岩瀬計画企画官、荒井計画官、渡辺電源開発官、涌野計画官、染川計画官、塚原計画官、青木計画官、佐々木計画官、林部計画官、福島推進室長、他

4 議題

  • 「新たなる時代のあるべき姿」の基本的考え方について
  • 「新たなる指標」について
  • 「あるべき姿」に関する国民からの意見について

5 議事内容

事務局より資料2「『新たなる時代のあるべき姿』を考えるにあたって(案)」について説明。各委員等からの主な意見は以下のとおり。

  • 公平・平等を重視することが、国家発展の制約要因になってきており、今後は、自由競争、自己責任を重視する社会システムに変えていく、という考え方を、もっと前面に出すべき。
  • 国際社会のコアメンバーになるべき、という考え方について疑問。日本は、様々な痛みを伴ってまでコアメンバーになる、という意思があるのか。むしろ、日本は国際社会のよきメンバーに、という考え方をとるべきではないか。
  • 地方への人口と産業の分散を促す必要がある、ということについて、もっと突っ込んだ 議論をすべき。
  • 公務員の削減、ということがクリアに書かれていないのではないか。公務員の数を減らすことで、より責任を持たせ、効率性を高めるべきではないか。
  • 中山間地域については自助努力を基本とする、という考え方については、欧米では中山間地域は条件が不利なので何らかの補助を行うのが普通。自助努力を基本としつつも、補助的な制度も必要ではないか。また、兼業農家のあり方を再検討する、とあるが、内容がわかりにくい。
  • 食料問題、あるいは農業については、国の存立に重要なものであり、市場メカニズムに応じた国際分業に委ねてよいのかどうか、再検討すべき。
  • 農林水産業は、それ自体が環境を保全する、という面もあり、保全の問題と産業の分離、という考え方はいらないのではないか。
  • 財政の道筋を考えることは必要だが、社会保障制度の構築と、財政再建をどう両立していくか、という点について、どちらに比重を置くのか、というような大きな問いが欠けているのではないか。
  • 外国語学教育の充実を図るには、グローバル化に対応するためには外国語が必要だ、という明確な理由を述べないと、説得力に欠けるのではないか。
  • 日本語の国際的普及、という観点について、まず言語がなぜ必要なのか、という点について述べるべきではないか。
  • 用途別の規制によって、情報収集の困難や通勤時間の拡大がもたらされた、というのは、事実認識として誤りではないか。
  • 社会的正義の考え方の中で、結果の平等を目標とする発想を排除する、という考え方は強すぎるのではないか。例えば、社会保障や税制を想定した場合、累進課税をとれなくなる、というようなことはないか。
  • 「移住労働者」についての考え方が不明確。「移民労働者」ととらえるべきか。
  • あるべき姿の基本理念、の全体の構成が見えない。具体的政策については詳細であるが、3つの大項目の相互の関係がはっきりしていない。
  • 雇用について、長期雇用か雇用契約か、という対立概念を明確化すべき。
  • 出生率の問題については、少子高齢社会の問題については、育児手当やの支給や育児休暇制度の議論をするのではなく、他の審議会等でも議論されている様に、働き方の改革や保育サービスの充実、という方向性が明確になっており、その考え方をしっかり踏まえるべき。
  • 社会全体にもっとも効率的な社会資本に集中すべきだという考え方に立つべきであり、その点を明確にすべき。
  • 中央政府をどうするか、という議論が不足しているのではないか。
  • ボランタリー活動が必要だ、という視点がどこかに必要ではないか。

事務局より、資料3―1、3―2について、説明。各委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 新しい統計をつくる、ということなのか、あるいは、既存の資料を前提にした上での指標、ということか。
  • 「あるべき姿」を考えるにあたって、例えば、都市の国際競争力を高めるべき、との命題があるが、これとの関係において、具体的にどういう指標があるかを考えていくと良いのではないか。
  • 少子高齢社会により、労働力が減り、資本ストックの伸び率も低い、という状況の中で、潜在成長率を伸ばすために、技術力を高めることが必要。アメリカの情報技術化が、非常に広い範囲に、一般家庭にまで浸透し、経済の活力となった。情報化が進展している、あるいはそれにインセンティブを与える様な指標があるとよい。
  • 産業再生のために、大学の多くの研究者が持つ技術・ノウハウをいかに産業に移転していくかがポイント。
  • 転職希望が少ないことが満足度の高さであるとする「満足就業率」という定義については、意味がない。逆に転職希望が低いということは、選択の幅が狭いということをも示している。
  • 「女性の労働力率」について、この数字が上がることが望ましいとは考えられない。
  • 総実労働時間指数の推移について、(80年代後半から)絶対労働時間が十数ポイントも低下したというのは、実感に合わないのではないか。
  • 間違っていなくとも、誤解を招く指標は、むしろない方がよい。
  • 例えば、大学生・大学院生数というようなインプット指標ばかりが出ているが、むしろ、学位を取得した人数など、アウトプット指標を考えるべきではないか。
  • 女性の労働力率について、年齢別の労働力率の推移(いわゆるM字型の国際比較)があるが、労働市場からリタイアした後に再度参入してくるのは、おそらくパートタイム労働者であって、むしろ高学歴・高技能をもった女性が再参入をしてこないことが、成長力の制約になっているのではないか。
  • 女性の労働力率について、未婚者が増えて、20代後半の女性の労働力率が増えている、という面があり、既婚の人、子供を出産して働き続ける人がどれくらいいるか、という指標を客観的にとったらどうか。
  • 収入のジニ係数は、所得格差の大きさを示すものであって、所得格差が小さい方が望ましい、という指標として使用するのであれば、「新たなる時代のあるべき姿」を考えるにあたっての議論の方向性と対立するのではないか。
  • 可処分時間のところで、余暇・自由時間について、旅行とかアウトドアなど、もっと具体的な指標をとるべき。

事務局より、資料4について説明。

以上

なお、本議事概要は速報のため事後修正される可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局計画課

堂本、阿部

TEL:03―3581―1041