第8回 経済審議会・企画部会議事概要

1 日時

平成11年3月24日(木) 14:30~16:30

2 場所

共用第二特別会議室(407号室) (第4合同庁舎4F)

3 出席者

(部 会)
小林陽太郎部会長、香西泰部会長代理

荒木襄、伊藤進一郎、角道謙一、佐々波楊子、嶌信彦、高橋進、中西真彦、那須翔、樋口美雄、堀紘一、松井孝典、水口弘一、村田良平、八代尚宏、吉井毅、吉川洋、鷲尾悦也の各委員、岩城秀裕、大野直志、大前孝太郎、金光隆志の各特別委員

(事務局)
堺屋経済企画庁長官、塩谷事務次官、林官房長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、梅村企画課長、大西計画課長他

4 議 題

「新たなる時代のあるべき姿」の基本的考え方について

5 議事内容

事務局より資料2「我が国の国家像についての意見集計」資料3「『新たなる時代のあるべき姿』を考えるにあたって(案)」について説明。各委員等からの主な意見は以下のとおり。

  • 国民国家の役割が今後減っていくのではないか。グローバリゼーションの流れで国境が低くなり、関税同盟や自由貿易地域が増えている。我が国が周辺諸国とこうした関係を持てるかについては疑問であり、21世紀には、こうした点において日本は特異な国になっていると思う。
  • グローバル化については、今後サービスの国際的取引が問題となる。こうした点に触れる必要があるのではないか。
  • 個人の重視や市場主義という流れから考えると、これまでのサプライサイド育成のための教育からリスクを念頭においた賢い消費者育成のための教育にウエイトの転換を図るべき。
  • 財政再建は重要。経済社会は財政と密接な関係にある。無駄遣いをやめ、地方と中央政府との交付税交付金や補助金のあり方等を見直し、その財源を国民全体に回すなど、財政の問題にもっと踏み込むことが必要。
  • 少子高齢化にどう対応するのかを考えるべき。女性の活用も高齢者の問題と同等のウエイトを置くべき。
  • 移住労働者を受け入れることを考える前に、貿易を通じた労働力の間接的な受け入れや、既存の労働力の活用についても考えるべき。
  • 年金が単に維持可能かだけでなく、給付と負担のあり方も考えるべき。
  • 日本の雇用システムは本来合理的だから保護する必要はなく、中立的な政策が必要。労働者が多様化する中で、現状のシステムが全員にとって望ましいものでないという視点が出てくるのではないか。
  • すべての規制を必要悪と言うつもりはない。競争を促進する改革、合理的な規制に変えていくことが必要。
  • 国際社会で、今後日本はセカンド・リージョナルパワーでしかないといわれている。今後日本の経済力が衰退し、軍事力や政治力、構想力もないと、日本はどういう位置付けの国になるといえるのか。国際社会でコアメンバーになっていくために、何をパワーの源泉とするのかを考えた方がいい。
  • 国土計画では、国土をどう作るかが柱となる。今後は人と国土という視点を柱としていく考えがあってもいいのではないか。
  • グローバル化によるヒトの移動を考えたとき、今後、ヒトを受入れる側に比べ、送り出す側の力が強くなっていくということがあるだろうか。
  • 移住労働者は、今まで日本に住んでいる人と同様に扱うことが前提となる。彼らには職種の選択が自由であるため、労働力不足となる分野に限定して受け入れるべきではない。
  • 移住労働者の受け入れに伴う問題についても触れる必要がある。
  • 雇用システムについては、労働力の多様化だけでなく、雇用形態も多様化する。女性や高齢者に働く場を提供するとなると、柔軟な働き方が求められると同時に、時間当たりの賃金格差が正社員とパート等との間でつかないようにすることが問題となるのではないか。
  • 一般的な日本人にとって何が幸せかが重要。
  • 規格大量生産型システムによる発展が困難になるとは思えない。
  • 社会生活の中で価値が安定していることも必要ではないか。システムが頻繁に変わることが適切か、効率的か、人間にとって幸せであるかは疑問。10年後の価値の変化は、一概にはわからないのではないか。
  • グローバル化が新しい段階に進んだときの欠点をどう是正するのかの提言が必要。事前にコントロールする発想があってもいいのではないか。市場の失敗をコントロールできるシステムはどうすればいいのか考える必要がある。
  • これまでの雇用システムは人口増加のみを前提としているのではない。
  • 知的創造者以外にも魅力的な社会でなければならない。
  • 社会が構成されてはじめて個が活きてくる。社会がどうあるかが重要。
  • 大型倒産は社会的コストがかさむもの。コストを放置するわけにもいかず、それをどう分担すべきか考えておく必要がある。
  • 成功者への報酬はより重要になるかは疑問。報酬だけに生きがいを感じるとは思えない。
  • 多様な社会関係のある方がヒエラルキーはなく、結果として結果の平等を追求するコミュニティが増える。そこに人々が帰属すると機会の平等の追求とは整合的になるのか。
  • 結果の平等もあってこそ、機会の平等も生きるのではないか。
  • 人的資源の有効活用については、多様性が求められたとき、人材について適正な差別化(価値の相互比較)が必要となる。労働市場では、労働の価値を決めにくい。人間が意思決定する上で差別化する理由を考えておく必要がある。
  • 自由については、他人の自由を束縛してまで自由が与えられるとは思えない。
  • 今後、現在の姿とあるべき姿をどうつなぐかを考える必要がある。
  • 現在の日本社会には、金にならないことをやっている人をも尊敬することがなければ、「個」や「知」の時代にたどり着けると思えない。尊敬やプライドを持つことは重要。
  • 少子化、高齢化や地価の下落を問題ととらえるのは貧しい発想で、むしろ機会ととらえるべき。少子化等が引き起こすマイナス面を消去さえすれば、日本人が幸せになる。
  • 何と何がトレードオフなのか、何を得て何を捨てなければならないのかを考える必要がある。そのためには従来型の意思決定システムも変えるべき。
  • 10年後のあるべき姿についての議論に材料を提供するのが目的であれば、トゲを作っておくべきではないか。
  • 経済成長がなければ、ベンチャービジネス等が興ってこない。経済成長の位置付けには十分な議論が必要ではないか。
  • 財政再建や安全ネットの両立やこれらのスケジュールは重要だが、内外の歴史的転換からいっても今後苦しい時期が想定される。そのコストをどう払うのか。現実とのギャップがあってはならない。
  • まちづくりは、コンセンサスのある地域のマスタープランを出していくべきではないか。いずれにしても柔軟な運用が必要。また、大都市の中での機能配置が必要。
  • 文化、余暇活動により、今後交流は量的に増えるのではないか。地域は自治体単位ではなく、それぞれが特色を持ち、連携する時代である。また、インフラのネットワーク整備は必要。
  • 明るいトーンで書くこともメリットだが、書く必要のあるものは書くというバランスが必要。
  • 国際関係については、日本にとって閉鎖的なブロック化の流れはまずく、共通のルールにより世界のどことも付き合えるようになっているべき。ユニバーサリズムを推進する必要がある。
  • 流行と、個性の尊重や多様化とはやや矛盾するのではないか。
  • 企業経営の現実と「あるべき姿」が結びつかない。どういう形でスケジュール化し、重点を置くのか。このままだと高コストな社会となり、日本経済が成長するのか疑問。
  • 教育面では理念が大切であり、情操教育やしつけ等、教育の中身について書きこむ必要がある。金が儲かればよいというわけではない。また、自己責任は、相手・他人を尊重した上で言えること。
  • 大国を目指すかどうかは結果論。国民にとって一番よい国を作っていく結果として、他の国からも認められて大国になるもの。
  • 今後の政策課題は、重要なものに絞ったほうが良い。
  • 世界の大勢は、中山間地域の不利な部分には公的な補助・助成が必要ということになっている。中山間地域の活性化を全部自助努力でやるのか疑問。
  • 兼業農家の意識は、農地保有制度に端を発しており、日本で全部が専業農家になることを期待するのは無理。
  • 基本的には家族が大切と考える。しつけ、教育や介護についてもまず家族がやること。家族ができない状態になって初めて社会が手を差し伸べるのが本当ではないか。
  • 教育・人材育成に、グローバルで自己責任原則を持った人間の育成を書きこんだら良いのではないか。人材育成を企業に押し付けたことが日本の高コスト構造につながった。人材育成や教育は社会的に個々人が担うべきで、そのサポートに企業が参加すればいいのではないか。教育と実務の現場間を行き来できるのがあるべき姿ではないか。
  • 日本の国のイメージをどう想定するのか。また、世の中で言われていることを評価するメジャーはないのか。例えば、産業再編と言っても、日本でも高付加価値な製品の生産は生き残る。
  • 日本は東アジアとリンクしている。東アジアに対するメッセージはないのか。
  • 財政は大変な問題であるので、それをどうするのかについて盛り込むべき。

なお、本議事概要は速報のため事後修正される可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局計画課

西岡、阿部

TEL:03―3581―1041