経済審議会構造改革推進部会(第3回)
議事録
時: 平成11年3月16日
所: 長官官房特別会議室(729号室)
経済企画庁
経済審議会構造改革推進部会(第3回)議事次第
日時 平成11年3月16日(火) 10:00~12:00
場所 長官官房特別会議室(729号室)
- 開会
- 議題1 (共通課題)「あるべき姿」における我が国の国家像
- 議題2 「グローバルな競争に対応した経済社会を実現させるための構造改革」について
- 閉会
(配付資料)
- 資料1 委員名簿
- 資料2 我が国の国家像についての意見集計
- 資料3 各部会の検討事項対比表
- 資料4 グローバルな競争に対応した構造改革について
- 資料5 検討スケジュール
- 参考資料 グローバルな競争に対応した構造改革に関する参考資料
経済審議会構造改革推進部会委員名簿
部会長 水口 弘一 (株)野村総合研究所顧問
部会長代理 江口 克彦 (株)PHP総合研究所取締役副社長
五十嵐 三津雄 簡易保険福祉事業団理事長
岩田 一政 東京大学大学院総合文化研究科教授
加藤 秀樹 構想日本代表
リチャード・クー (株)野村総合研究所主席研究員
草野 厚 慶応義塾大学総合政策学部教授
草野 忠義 日本労働組合総連合会副会長
清水 秀雄 (株)セブンーイレブン・ジャパン取締役副会長
中条 潮 慶応義塾大学商学部教授
中村 靖彦 NHK解説委員
野中 郁次郎 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科長
長谷川 公敏 (株)第一生命経済研究所常務取締役
濱田 康行 北海道大学経済学部教授
村井 勝 コンパックコンピュータ(株)顧問
〔 部会長 〕 ただいまから、第3回の構造改革推進部会を開催させていただきます。
本日は委員の皆様方には、ご多用中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議題は、全部会の共通課題である「『あるべき姿』における我が国の国家像」と本部会の検討テーマである「グローバルな競争に対応した経済社会を実現するための構造改革について」でございます。
まず、1つ目の議題である「『あるべき姿』における我が国の国家像」については、各部会の委員よりご意見を事務局にご提出いただいたところでありますが、これらを取りまとめましたので、事務局から報告をお願いいたします。
〔 事務局 〕 それでは、委員の皆様方から書き物で7つのクエスチョンに関してご提出いただきました。資料2は、皆様からいただいたご意見を簡単にまとめたものでございます。本日は、ざっと紹介させていただくという趣旨で、簡単にご覧いただければと思います。
1.「世界における我が国の位置付けについて」ですが、【1】「世界秩序への関わり方」で、「積極的に関わるべき」あるいは「与件とすべき」ということで、圧倒的に「積極的に関わるべき」というご意見が多かったわけでございます。中身で、2ページ目、国民生活文化部会の上から2つ目ですが、「自国の利益だけでなく世界秩序の形成に積極的に関わるべきである」、グローバリゼーション部会の最初の「・」ですが、「日本がアジア地域の『中心的な国』として、アジア経済圏の繁栄、秩序維持のために、また、安全保障のうえで果たすべき役割は大きくならざるを得ないし、また、そのために積極的に関わっていくべきである」、というご意見がございます。「与件とすべき」というご意見では、その右横ですが、「大国という意識の下に世界秩序の形成に積極的に関わるという道はとるべきではない。国際政治、経済における自らの実力を冷静に見つめ、実力にふさわしい貢献をしていくことが肝要であろう」というご意見もございます。
次が3ページ、【2】「尊敬される国であるべきか」という問いで、「尊敬される国であるべき」というお考えと「尊敬されることだけが重要ではない」というお考えが大体半々の感じでございます。「尊敬される国であるべき」とするのは、当部会で寄せられたものですけれども、「『世界から信頼され、尊敬される国』でなければ、世界秩序の形成にも関与できないであろうから、尊敬される国にはもちろんなるべきである」というご意見とか、4ページの右側の欄で、グローバリゼーション部会の方からは、「尊敬される国であるべきかは実績の後からついてくるものであり、それを目標とするとか、そのために払うべきコストを議論するのはおかしい」というような、それに対峙するような意見もございます。また、5ページで、国民生活文化部会からのご意見としては、「世界からはリーダーシップを期待されているが、それに応えられる人材が不足している」というご指摘がございます。
次に、2.「自由と社会的秩序などのトレードオフについて」ですが、最初の論点は、「自由、個人、応報優先」とするか、「社会的秩序、組織、安全ネット優先」とするのかについては、圧倒的に、これから自由、個人、応報というものを優先すべきであるというご意見が多かったわけでございます。
中身的には、6ページの上から2つ目の「・」で、「現代に求められていることは、保護・規制・指導・画一性が重視された社会から、他人の自由を侵さない限り個人の自由や個性が保証され、またすべての人・企業に機会の平等が約束された社会に変革することである」というご意見、その下の「・」の下から4行目ぐらいから、「従来は自由よりも秩序に重点が置かれすぎており、これを思い切って自由化すべきであるのが現在の状況である」というご意見が主流なものでございました。
そのほか、いろいろまとめきれないものを「その他」として7ページ以降に記してございますが、例えば、自由と秩序というのは、必ずしも相対峙する問題ではなく、スポーツにおけるルール作りと同様なものであるというご意見、トレードオフの関係にあるものではないというご意見がかなりございました。それから、7ページの下から2つ目の「・」で、「国際競争の視点からも、規制緩和を進めていくことが必要であり、その結果優勝劣敗が生じることから、高齢者、失敗者に新たな挑戦の機会を創設するなど、生活者の視点を重視したセーフティネットを構築することが必要である」ということで、セーフティネットづくりについても結構ご意見がございました。8ページですが、地域経済・社会資本部会のところで、先ほど言いましたような、「自由と社会秩序をトレードオフの関係で議論するのは不適切」というようなご意見がいろいろございました。
9ページにいきまして、3.「産業・技術等のワンセット主義について」の問いでございますが、「ワンセット主義の維持」か「ワンセット主義の一部又は全部放棄」かということで、ワンセット主義は放棄をしていくというご意見が多かったように思います。ただ、ワンセット主義を維持すべきというご意見もございまして、例えば、構造改革推進部会の最初の「・」の真ん中あたりから、「産業は分業しても、技術レベルにおいてはフルセット型を維持しておく必要があると思われる。」とか、次の「・」の下の方で、「安易な国際分業は技能・技術の空洞化を招く危険性を内包している」というご意見がございました。その一方で、右側の2つ目の「・」で、「特定の産業をワンセットで残すとか、残さないとかを議論している時代ではない」という考え方がございます。10ページの上の右側の欄の一番上では、「ワンセット主義を維持することは無理であり、かつ望ましくもない。国内ではより付加価値の高い生産を行うことが必要」。大勢は、「ワンセット主義の一部又は全部放棄」という意見が多かったように思いますが、一方で、安全保障的な観点からフルセット主義・ワンセット主義の維持ということを主張しておられる方もございました。
次に11ページ、4.「日本固有の良さについて」ですが、これは対峙する意見を並べるわけにもまいりませんでしたので、それぞれいただいたご意見を並べてございます。例えば、当部会で、一番上の「・」で、「日本固有の特質(根回し、慣習による全会一致等)は廃止しようとしても残るであろうから、敢えて日本固有の良さなどということを打ち出す必要はないではないか」。次の「・」は、「日本固有のよさを守るためにも、新しい価値基準に基づいた、教育制度の抜本的な大改革が必要である」、教育についてかなり重視をしているということで、教育重視のご意見はかなりございました。12ページ、国民生活文化部会の3番目の「・」で、「治安の良さや勤勉さなど守りたい日本の良さはあるが、情緒的に『守る』ことを議論しても意味はない。経済的安定、政治的安定を維持する努力が、固有の良さを守るため最も重要」というご意見。グローバリゼーション部会の最初の「・」で、「社会・経済システムは、それぞれの時代要請に合ったものが存在するわけであり、今日のシステムが『日本固有』のものであると考えること自体に違和感を覚える。また、文化についても同様である」というご意見もございました。13ページで、地域経済・社会資本部会の2つ目の「・」で、「外国の産業・技術や文化を受け入れ、吸収し、活用してきた『受容性の高さ』、共同して作業しないと十分な生産ができない気候風土下で育まれた、よい意味での『仲間意識』、さらに、こうした仲間意識の中から生まれ、育ってきたとも言える、マナーに反したことは恥ずべきものとして自己抑制する『恥の文化』が日本固有の良さ」というご指摘もいただいております。
次に14ページ、5.「経済成長について」ですが、【1】「経済成長の重要性」について、「経済成長は重要な要素である」という考え方と、これから「経済成長以外に追求する価値がある」という考え方で、大雑把に言えば半々ぐらいのご意見であったように思います。「経済成長は重要な要素である」とされる方であっても、経済成長至上主義というような考えの方はほとんどおられなかったようでございます。例えば、当部会の上から3つ目の「・」で、「既に成熟国家である日本が経済成長率の数字そのものに一喜一憂する必要はない。しかし、適度の経済成長が確保されなければ高齢化社会への備えは十分とはいえない」、そういう感じのご意見が多かったように思います。「経済成長以外に追求する価値がある」とされる方では、一番上の「・」で、「経済成長は手段」であるとか、2番目の「・」で、「今や成長率だけで経済社会をみる時代ではない。別の指標と組み合わせを検討すべき」ということで、この2つの考え方は、それほど対峙されたというよりも、ウェイトの置き方という感じがございます。
次に16ページ、【2】「移民について」の質問で、「積極的に受け入れるべき」と「受入れには慎重であるべき」に分けますと、どちらかといえば「受入れには慎重であるべき」というご意見が多かったようでございます。「積極的に受け入れるべき」とする方の意見としては、当部会で、「国民の幸福を追求するために、必要であるならば移民についても考えられるべき」。17ページ、グローバリゼーション部会で、「人口減少阻止のためとしてだけでなく、日本のアジアにおける位置付けを考えると、受け入れるべきであり、それに伴うメリットの方が大きい」というご意見がございました。「受入れには慎重であるべき」というご意見としては、17ページの上から3つ目の「・」で、「移民を経済成長のために受け入れるのは本末転倒」というご意見。その下で、「経済成長のための移民政策は慎重であるべきで、まず我が国の労働力特に女性、高齢者の雇用を優先すべきである。」というご意見がございました。
次に19ページ、6.「個人の帰属先について」ですが、【1】「日本人の帰属先・人のネットワーク」、これからこういうものについてどう考えるかということで、いろいろなご意見がございましたけれども、当部会の一番上の「・」で、「国民皆同一帰属先でなく、人それぞれの選択」というご意見。あるいは、「自主独立の自己責任の確立により、帰属先は家族に回帰する」というご意見、かなり家族というものを重視するご意見が多かったように思います。それから、地域についても言及がございまして、構造改革推進部会の一番下の「・」で、「地域・家庭に重点を置くべき」ということで地域の強調。あるいは、国民生活文化部会の2つ目の「・」で、「今の社会の帰属先を分けると、第一の領域は家庭、第二の領域は学校・職場、第三の領域は地域、第四の領域は新たなNPOである。今までNPOとは、趣味や感性での結びつきなどの集団を指していたが、今後は社会性、公共性のある団体NPOが主流を占めるであろう。これらの四領域のバランスをとって生きることが、豊かな人生を送ることにつながる」ということで、NPOの言及もかなりございました。
最後に21ページ、7.「地域のあり方について」ですが、【1】「過疎・無人地帯」、広大な過疎・無人地帯が発生するのを許容するのかどうかということについては、「許容する」と「許容しない」と半々ぐらいのご意見をいただいたように思います。「許容する」というところでは、構造改革推進部会の最初の「・」で、「これまでの過疎対策は『はじめに住居ありき』にウェイトを置き過ぎていた」というご意見。その下の「・」で、「国土全体を均一に開発することは非効率、不可能であり、許容せざるを得ない」というご意見。「許容しない」というところでは、22ページの上から2つ目の「・」で、「過疎・無人地帯が発生し、国土保全・環境維持の上では問題があるとすれば、そこに住んでくれる人には国土、環境保全委員にでも任命して給料を払う」ということも考えられる。その下の「・」で、「日本の国土は広くなく、広大な過疎・無人地帯が出現する可能性は低い。もし出現するならば、それは現在の政策の問題にされるべき。情報化が進展し、アクセス手段の多様化・高度化が進む今日、それは国土の新しい利用方法を追求する契機ととらえるべき」というご意見もいただいております。
23ページ、【2】「その他」として、地方分権等の問題でございます。これからは、地方を主体とした国づくり、地域づくりが重要であるというご意見をたくさんいただいております。一番上の「・」は、「現在の日本の中央集権的な国のあり方を解体して、日本を自立した地方を主体とした『地域主権国家』に再編する必要がある」。2つ目の「・」で、「地域の主権の確立(地方分権の推進)と地域の自立のための条件整備が不可欠」と、地方分権なり地域の自立ということを強調したご意見が多かったように思います。
以上、簡単でございますが、これまでいただいたご意見を紹介させていただきました。これをこれからの作業の参考にして、文章の取りまとめ等で大いに活用させていただきたいと考えております。
以上でございます。
〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。
ただいまの報告につきまして、何か特段のご意見がございますでしょうか。
特別にないようでしたら、次の議題であります「グローバルな競争に対応した経済社会を実現させるための構造改革について」、これは本日のメインテーマでございます。その審議に移させていただきます。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
〔 事務局 〕 それでは、お手元の資料4「グローバルな競争に対応した構造改革について(案)」と、参考資料、この2つでご説明させていただきます。
今回のテーマの「グローバルな競争に対応した構造改革」ということですが、初めに、問題の所在について議論をしておりますが、グローバリゼーションと制度・慣行という2つの関係を国際競争というところから整理をしております。
グローバルスタンダードという言葉が今非常に使われていますが、それと国際競争の関係、競争に対応した構造改革ということで考えてみますと、ここでの議論の整理としては、「その国の制度や慣行等がそれに沿ったものとなっていないとき、その国の個人や企業にとって国際競争上不利となるような制度や慣行の基本的枠組」を指すということで議論したいと考えております。
参考資料の1ページに、グローバルスタンダードについての基本的な用語ですとか、これまでの用例などを並べておりますが、大分シチュエーションといいますか、状況に応じて使い分けが行われているようですが、ここでは、「国際競争上不利とならないために、それに沿っていないとならないような枠組みである」と考えて議論を進めてまいりたいと思います。
その上で、最近の状況を見ますと、グローバリゼーションの下での国際競争の圧力が強まっている。さらに、国内の制度・慣行を、上記のような意味での「グローバルスタンダード」に沿ったものとしていくとの観点から、金融ビッグバン等の改革が行われましたし、最近のところでは、会計制度の国際整合化が進められてきております。さらに、日本の経済システムを相互補完的に形づくってきた雇用慣行とか株式の持ち合いにも変化がみられているのはご承知のとおりですし、我が国のコーポレートガバナンスにおいてメインバンク制というものが中心的な役割を担ってきたわけですが、これも変わりつつある状況にございます。そういう意味で、日本のいろいろな制度にグローバルスタンダードによって揺さぶりが加わっているという状況にございます。
その上で、今日の国際競争の中での日本というものを見ますと、遅れをとっている部分が3つに整理できます。1つが、制度・慣行の1つのルールといいますか、グローバルスタンダードというものが、民間主体の自由で創造的な経済活動を妨げることがなく、市場原理を最大限活用するような制度・慣行となるなか、我が国でも規制の撤廃・緩和に着手してきましたが、依然として問題がたくさん残っている状況にあります。相対的にみて、諸外国に遅れをとっている状況でございます。この結果、日本の規制緩和の進展の度合いは海外に比べれば徹底していない。規制緩和の効果である効率性の向上の点でも海外の方が進んでいて、日本でも効率化は進んだわけでコストは少しずつ下がってはいるわけですが、日本と海外とを比べた相対的なコスト関係、すなわち地方の高コスト構造の是正はいまだ十分に進んでいない状況にございます。
2番目としては、ここ数年、国際的に事業の再編の時代を迎えていて、国際的にもそれぞれの主要な国々においても、企業が事業を売買する、企業を買収するという形を通じて様々な事業再編が行われています。こういう時代に即した様々な制度が考えられるわけですが、ほかの国々では従来から進んでいた資産取引あるいは資本取引に係る税制、企業法制、競争政策、こういった部分で我が国には古い制度がそのまま残っています。こうした税制、企業法制、競争政策のグローバリゼーションへの不適合から日本の企業は事業再編がなかなかうまく進んでいない、あるいは国際的な事業展開で海外の企業の日本への進出をやりにくくさせているということがございます。
3番目としては、世界にグローバルスタンダードが非常に重要な位置を占めるということになっているにもかかわらず、日本の政府、産業界は、これまで国際的なルールや基準の形成の場において我が国の経済規模にふさわしいような積極的な役割を果たさず、結果として受け身の対応となってきました。このことが、今のようなグローバリゼーションの時代において、国際的なルールや基準への日本の対応の遅れを生み、常に後追いであることが、いろいろな形での社会的コストを発生させていることはご承知のとおりでございます。
こういう問題意識の下に、グローバルな競争に対応した構造にどのようにして改めるか、Ⅱ「構造改革の進め方」に入るわけですが、1番目の問題意識と対応して、規制撤廃・緩和の徹底を進めることが重要だと思います。これまでの規制緩和の取組については、参考資料の「資料2」の3ページ~4ページにまとめていますが、これまでも累次、80年代に入ってからかなり継続的に進めてきています。いろいろな形で課題対応してきましたが、結果としてなかなか進んでいないわけですが、これまでの諸施策の限界として主に指摘されている点を4つ挙げています。
・激変緩和のために実質的な措置の進捗を繰り延べることが見られた。
・経済規制は原則的に撤廃し、社会的規制を最小限にとなるが、この社会的規制に名を借りた経済的規制が残っている。
・許認可の廃止等が行われている場合においても、その他の手段、例えば補助金や社会資本の割当などを通じて公共関与が続いているものもみられる。
・公的規制の代わりとなる民民規制が存在する。
このあたりについては、当庁が行いました企業アンケートなどでも、そのようなことが指摘されていて、5ページにそのアンケート結果をお示ししてございます。
これに対して、規制撤廃・緩和を徹底させるためにどうするか。これを進めていくアプローチとして次の3つを考えてはどうかということでございます。これらのアプローチは、いずれも他を排除するものではなく、重層的にとりうるものだと思いますが、ご紹介いたしますと、1つは、OECDにおいては規制改革アプローチが提唱されています。規制制度として備えるべき要素として、透明性、アカウンタビリティ(説明責任)、経済社会情勢の変化への適合性。このあたりで、OECDでは規制改革のレポートを随時出すとともに、各国の国別の審査を行っていまして、今年、日本の審査が行われます。そのあたりは参考資料の6ページにお示ししてございます。
規制撤廃・緩和の達成度合いがちゃんとフォローされていないのではないかということで、これを数量的な指標にしてフォローする。数値の目標を設定して、これを達成させるための施策を打っていく、こういうアプローチも考えられます。
今まで達成度合いを示すような指標として使われてきたものにどのようなものがあるかといいますと、参考資料の7ページ以下にお示ししておりますが、総務庁などでは許認可の件数をフォローしています。公正取引委員会においては、8ページにあるような「規制産業のウェイト推移」でみております。9ページに、アメリカのへリテージ財団で、経済の自由度を1~5までの段階別に10項目により評価しているものがあります。内外価格差もこの指標の1つであると思われます。さらに、高コスト構造の是正ということで、行動計画の中にこれまでも目標や点検指標を入れてまいりました。個別分野の指標として、こういったものがございます。これはそれぞれ一長一短ありまして、このあたりについては、例えば規制の強さをちゃんと示せるか、個別規制がどの範囲に及んでいるかという問題についても工夫の必要な部分がありますが、こういったものを使ってはどうかということでございます。
また、金融の分野ではビッグバンが非常に成果を収めつつありますが、例えば、物流、情報、医療・福祉という今後の経済社会情勢の大きな変化に対応が求められている重点分野において、金融分野で行われたような大胆な改革を実行するビッグバンアプローチも有効ではないかということでございます。
これはそれぞれ重層的に行えますが、このようなアプローチを検討してみてはどうかということでございます。
これを具体的に進めるにあたりましては、透明性については今、行政手続法、パブリックコメントの制定ということでかなり進んでいますし、経済社会情勢への適合性については常に見直すということですが、その中でアカウンタビリティの1つとして、社会的規制、補助金、社会資本整備を含めて、公共政策のすべての分野に費用対効果分析による政策評価を義務づけてはどうかということがございます。現に公共事業分野などにおいて、費用対効果分析が適用されることがだんだん多くなっています。参考資料の12ページ以下に最近の状況について、どのようなものがあるか資料を添付しております。
政策評価は自分自身で評価することを義務づけるということですが、その客観性をチェックする。あるいは、数値目標を設定するような場合に、達成度をモニターする主体、あるいは経済効果の分析を通じて規制撤廃・緩和を促進する役割を担う中核的な機関を政府の中に設置してはどうかということでございます。
さらに、ビッグバンアプローチについては、中核的な機関の中においても省庁の枠組みを越えての規制撤廃・緩和を専門的に担当できる相当規模の組織が必要であるということでございます。
さらに、今後に残される規制にとっての実施体制の見直しというものがあると思います。1つは、事前防止から事後チェックへの転換。こういうことでは基本的な合意があると思いますが、事後のチェック体制について、格段に強化することになりますけれども、その際に民間が報告義務などの立証責任を負い、違反した場合には重い罰則が適用されるといった、民が自分で責任を持つ、違反の際には司法的に解決される(アメリカ型と言っていいかもしれません。)方向か、あるいは査察のために相当の人員を配置する方向をとるか、このあたりについて十分な議論がまだされていないのかと思われます。
独立行政法人化に伴い、検査・検定業務などをこちらに移していくこと、基準・規格行政を民間が自分で認証する、あるいは民間の第三者から認証してもちう、こういう形への移行が必要ではないかと思われます。これを進めていくために、官民間で人を動かしたり、ノウハウ・技術を移転するということが考えられます。
こういったことで規制緩和の徹底が考えられると思います。
次に「グローバリゼーションに適合した制度の構築・人材の育成」ということで考えますと、問題点は相当多岐にわたります。世界の金融市場、資本市場の統合化が進むなかで、企業の多国籍展開の下での国際的事業再編が行われるというグローバリゼーションの状況にそぐわない日本の制度として、税制、企業法制、競争政策、司法制度、土地制度などがいろいろ考えられます。
そのことが、日本における事業展開のコストを高め、そのことによって日本の企業の国際競争力が削がれる。外国企業が対日進出をしてこないという問題があります。このあたりの資料は、ざっとですけれども、参考資料16ページの資料6「企業会計審議会における検討状況」で、企業の会計基準についてはかなり進んでいるという部分があります。17ページの資料7「税制改正に関する主な論点」、これは民間からいろいろな形で要望が出ております。19ページには、特定の国が税制を緩めますと、国際競争上の有利・不利が出るということで、低きに流れるという状況に対して国際協調が必要ということが今議論になっているということを載せております。20ページの資料8では、企業法制の関連でどのような問題が出ているか、相当たくさん付けてありますが、このあたりが企業の法制に関わって問題になる点でございます。31ページの資料9は、競争政策上特に企業の再編に絡む問題でどのようなことがあるか、あるいは民民規制、公正取引委員会の運用強化という問題についてのものが出ております。34ページの資料10には、ビジネスコストの面で日本のコストの高さというものを、主に公的サービス分野について調べている関連の資料ですが、かなり高いものが残っているということです。このほか、国際間の人の動きで年金などの国際間のポータビリティの問題で今少し進展が見られるという関連のところ、あるいは雇用制度、特に労働基準においては貿易を通じた国際的な議論が進んでいるというところをみております。46ページの資料12には、司法改革、主に法曹人口の大幅増員などの司法機能の強化の観点からの議論が整理されています。
また、人的な面ですが、M&Aなどにより弁護士、会計士、コンサルタント、金融アドバイザーなどの高度な人材が必要ですが、この日本での不足が指摘されています。これら国際的に認められている非常に高い価値のサービスが日本では十分に受け入れられていないということが言われます。
また、アメリカが典型ですけれども、知的所有権の保護を強化する点で、自国の企業の後押しをするということがありますが、この辺で日本は及ばないところがありまして、日本企業の国際技術戦略を限定し、その競争力を弱めているのではないか。参考資料の51ページ資料13以下に、日本における特許制度、著作権制度などの問題点について整理しております。これについては、基本的に日本の保護の水準が低いといわれるところでございます。
また、言語やビジネスマナーが違うだけでなく、情報化の遅れが日本企業における国際的な情報共有を阻害している面があるということもあろうかと思います。
こうした問題に対応するということで、1つには、M&Aや買収を通じて日本企業の事業再編を進める、あるいは外国企業による日本企業の買収や対日進出を促進するということから、税制、企業法制、競争政策を優先的に適合化を進めるということで考えてよいか。こういった面で具体的に考えた際に特に重要なものは何か、ということが政策方針上の論点になろうかと思います。
また、人材の面で、質の高いサービスを提供することのできる専門的な人材を一定期間内に集中的に育成することが求められていると思います。
さらに、知的所有権制度について、今までよりも保護を強力にする、使いやすくするためにどのようなことを考えるのがよいか、という点が論点であろうかと思います。
また、情報化を促進し、国際的な情報共有化を進めることを考える際、これは企業が自主的にやっていく部分ですけれども、これを妨げているような制度の見直しはどのようなものかということでございます。
最後に、3.「国際的なルールや基準の形成への積極的参画」ということで、問題点としては、世界のルールや基準の形成をリードしているのは現在、欧州と米国で、これまでの日本が果たしてきた役割は大きくありません。例えば、これは狭義のスタンダード、規格・基準という部分ですけれども、参考資料の55ページの資料14にISOなどにおける国別幹事引受け数ですが、日本のこの面での役割は非常に小さいものです。近年、少しずつ増えてはいますけれども、依然として大きくございません。
これらの関係のところでどのようなものがあるかというのは、資料で少し整理してございますけれども、そこから読み取れる1つとして、政府、産業界ともに、問題意識は持っているわけですが、なかなか果たせていないということの1つには、こういった国際的フォーラムで積極的な役割を果たすことのできる人材が不足している問題があると思われます。また、日本のこういった国際フォーラムでの対応ぶりですが、従来、厳しい基準の適用を逃れるような特例(例えば、BIS、Tier2などが念頭に浮かぶわけですが、)の行動をとったり、日本の立場を先進国と途上国の間を仲介するというところに置きがちになる。そうすると、議論の全体をリードしていくような姿勢に乏しい。基本的な理念の形成というものを進めていくという態度に乏しいということがあります。
そうした状況に対しての政策・方針としての論点ですが、1つは、世界におけるルールや基準の形成をリードしていくことを考えますと、そもそも国内の制度や基準の検討にあたってのやり方は、今の時点での国際的な水準に適合されるというやり方でやってきています。そういった検討の中からは、世界をリードしていくような議論というのは出てこない。さらに先を見据えたような企画・立案力を高める必要があるわけですが、そのためにどのようなことが考えられるか。
例えば、今、具体的に日本が引き受けているような部分は、参考資料の56ページに日本がISOで引き受けている分野がありますが、情報関連の特にハード系が多い、環境の面で影響が大きいということがございます。61ページ以下に「国際標準の重点分野」ということで日本がやっていますのは、基盤の情報システム系のもの、それと環境や品質といった部分に関連したもの、このようなものが多くなっております。あるいは最近のところで日本は非常に独自だというのは、高齢者や障害者と一般の人が共に使うというようなユニバーサルデザインの分野で日本が進んでいるという話があります。こういったところで日本がリードしていくことが考えられます。このあたりから進めていくということでございます。
もう一つは、例えば、世界の新しいルールや基準の形成において、欧州がかなりの役割を果たしておりますけれども、これにあたってはEUの枠組みが非常に大きな意味合いを持っているように思われます。そこでの基準の整合化や相互認証ということがその背景にあると思われますが、我が国の場合、例えば、APECの枠組みというものを積極的に活用していくということは考えられるか。
さらに、人材の面で申しますと、語学力の不足、主に国際フォーラムが欧米で開かれるということで日本が遠隔地にある、こうした不利な条件を克服するため、こうした幹事役を引き受ける人たちの--これは個人資格ということで主に行われていますので--サポートを十分にする。これは人的なもの、事務的なサポートということもあると思いますが、費用負担を国が行っていくということは考えられないかということでございます。
以上が、ご議論いただきたい点でございます。
〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。「グローバルな競争に対応した構造改革について」ということで、第Ⅰ「グローバリゼーションと制度・慣行」、それに従いまして第Ⅱ「構造改革の進め方」ということで、今ご説明のあったような内容、膨大な資料をよく整理していただきましてありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありました資料4につきまして、ご意見をお伺いしたいと思います。どうぞご自由にお願いいたします。
〔 A委員 〕 最初のグローバルスタンダードの定義ですけれども、非常にネガティブに表現されているのではないか。もう少し前向きな表現が考えられていいのではないか。ここでは、「その国の制度や慣行等がそれに沿ったものとなっていないとき、その国の個人や企業にとって国際競争上不利となるような制度や慣行の基本的枠組」と。もしこうだとするならば、グローバルスタンダードの指定につながっていくのではないか。もう少し積極的な定義の仕方もあっていいのではないか。
2の「グローバルな競争に遅れをとる日本」のところですけれども、もう少し消費者といいますか、国民、そういう視点があってもいいのではないか。間接的にいろいろと、例えば日本の高コストということで消費者ということを考えて表現されていると思うのですけれども、はっきりと消費者とか、国民とかという観点を出してみてもいいのではないだろうかということです。
2ページ目のⅡの「構造改革の進め方」で「規制撤廃・緩和の徹底」ですけれども、「問題点」はこのとおりだと思いますが、なぜこういうふうに問題なのか。言ってみれば、なぜ繰り延べることが多くなっているのか、経済的規制が残っているのか、公共関与が続いているのか、民民規制が存在するのか、そのあたりも少し説明があってもいいという感じがします。
「推進体制」で、「中核的な機関の中にこれを設置」とありますけれども、誰がどのようなというのはこれからの議論かもしれませんが、そのあたりも押さえておく必要があるのではないか。それから、「費用対効果分析による政策評価の義務づけ」というのは、費用対効果分析は誰がどこでやるのか、そのようなことも感じられます。
前半の部分は、そのあたりを教えていただければ、あるいはご議論がいただければと思います。
〔 部会長 〕 消費者サイドの視点というのは、経済審議会でも常に方向転換だということを言ってきています。これをまた文脈の中にどう活かすかということを考えていきたいと思います。
グローバルスタンダードというのは、資料1によく出ておりますけれども、国際機関などの、例えばBIS基準のグローバルスタンダードもあり、また経済界で一般的に言われているのはデファクトスタンダードということで、自ら作っていこうということを盛んに言うわけです。そういう意味では、今、A委員が言われるように、ここの表現は、日本の制度・慣行がそれに遅れていて、それに合わせないといけないというニュアンスが強く読み方によっては出るかもしれません。
この辺の問題については、ほかの委員の方からご意見はございますでしょうか。
〔 B委員 〕 全く同じ考えで、こういう書き方でやると必ず反論が出てきて、アメリカのシステムに従うのかということをおっしゃる方がいらっしゃる。決してそんなことを考えているわけでないので、アメリカのシステムのいいものは取り入れればいいし、悪いものは取り入れなければいいだけの話です。
ですけれども、そういう誤解を招かないためにも、もう少し積極的に言った方がいいと思います。
結局、渋谷の街を歩いている女のコがまわりを見て、今年のファッションは、流行は何だ、と。それではダメだと思うのです。一方で、デザイナーというのは、今年の流行は何だなどと考えないで、自分が流行を考え出すわけです。そのデザイナーにならなければいけないわけです。
そういう観点からいくと、まず遅れをとっているところを取り戻すという話、それはそれでいいのですが、その前に、もう一つ先取りして何かが必要である。
そのことは、資料4の4ページの(2)「政策方針の論点」の一番上のところに書いてあるのです。では先を見据えたときに、日本が積極的にリードしていくスタンダード、世界がついて来るスタンダードというのは何かと言われると、これが実はちょっと困るところで、一体何を考えたらいいのかと。
私は個人的には、国境の消滅、国の消滅、人材の問題ということを私は一番考えていますけれども、多分そんなアナーキーな話はこの場にはちょっとそぐわない話かもしれません。
そこをみんなで知恵を出し合って、先取りしたスタンダードを積極的に作っていく必要があるかと思います。
〔 部会長 〕 C委員、金融ビッグバンの主唱者ですが、この辺の問題はいかがですか。特にアメリカのスタンダードというとすぐ反論が出るものですから。
〔 C委員 〕 微妙な問題があって、グローバリゼーションというのはハーモナイゼーションなのかという議論もあるかと思うのです。ハーモナイゼーションといった場合に、上の方からやっていくやり方と、下の方からやっていくやり方と両方ある。それと、経済学者というのは基本的には、ハーモナイゼーションというのはあまりいいとは思わない。つまり、異なったシステムとか、異なったやり方で競争していく方が結果的にはいいと言う。バガッティという経済学者がいつもそういうことを言っているのですが、制度とか、あるいは規制というものを含めていいのですが、それをみんな同じにするということはあまり本質的には好ましくない。
私の考えは、そっちに近くて、むしろ多様性の競争を可能にするフレームワークというものは何なのか。最低限必要なもの、それは何なのか、ということと多分同じだというふうに私は理解しているのです。
それは国内にとっても同じで、市場の経済というのがうまく機能するために最低限必要な枠組みというのは、あると私は思うのです。それは、例えば競争法的な考え方だと思いますが、競争というものが、事前の意味での競争というものが保証されるような枠組みではないかと思うのです。
ですから、ここに「競争力」と書いてあるのは、ある程度当たっているところがありまして、事前の意味で、ある特定の企業、あるいはある国に属する企業が初めからハンディキャップを負って競争するというのは、もしそういうのがあるとすれば、それはむしろ多様性のための競争を阻害しているのでやめた方がいいと私は考えております。
これは、次期の交渉で、サービスの問題ですとか、国内規制とダイレクトにぶつかってくる話があるのですが、そのときも、どういう原則で考えたらいいのかというのと非常に関係のあるところだと思っております。
〔 部会長 〕 D委員、情報関係ではいかがですか。
〔 D委員 〕 グローバルスタンダードというと、ちょっと受け身で自己規制的に整理されている感じがあります。グローバルスタンダードといったときに、私ども、これから特に考えておかなければならないことは、特に技術革新とかの世界の中では、要するにデファクトスタンダード、市場支配的なスタンダードがだんだんグローバルスタンダード化していくという動きの中で、日本の国としてはどういう格好で、例えば、アメリカ、ヨーロッパ、日本、アジアと考えた場合に、どういうところとアライアンスを組んでデファクトスタンダードをまさにグローバルスタンダードにしていくか、そういうことも一緒に考えなければならない。ただ受け身的に、作られるものだというとらえ方ではなくて、むしろ積極的にグローバルスタンダードを形成していく。それに対して、ある意味で戦術的にも参画をして、あるいは研究開発を含めてやっていくという観点は、4ページのところに1、2行で書かれている趣旨がそうかもしれませんが、もっと深く取り込んでもいいのではないか。あまりにも自己規制的過ぎる。
〔 部会長 〕 E委員、産業のお立場からいかがですか。
〔 E委員 〕 今、グローバルな競争というテーマ、特に日本の経済社会というテーマで考えますと、ちょっと気になるのです。先ほどA委員がおっしゃいました消費者の視点ということもありますが、今日ずっと流れを聞いていまして、受け身があくまで日本国民といいますか、日本という視点でとらえているような気がしますけれども、グローバルな競争に勝つ経済社会というのは、受ける人は、実は日本国民ではなくて、世界だと思うのです。ですから、そこの視点が、日本のデファクトスタンダードのお話もありましたけれども、ビジネスの世界に入ってみますと、日本の産業・企業の中には世界を1つの市場として見ている人たちというのは非常に少ない、そういう産業は限られている気がする。したがって、グローバルスタンダードというのが、受け身のような取られ方をする。
そうではなくて、先ほどバリアフリーのお話をなさいましたけれども、あくまで今後、前向きに考えるとするならば、世界が市場である、世界が消費者であるという視点で、このグローバルスタンダードというのをとらえたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
〔 部会長 〕 この問題につきまして、何かほかに……。
〔 F委員 〕 これを拝見していますと、競争力を持とう、大きくしようという視点があると思いますけれども、日本の産業・企業を見ていますと、そういうものを考えなければいけないものと、純粋に国内の消費者というものを相手にしてやっている産業・企業というのがあると思うのです。ですから、ここで言っているグローバルスタンダードというのは、極端に言って農業まで、そういったものまで含めたことを言うのか、あるいはどちらかというと、世界のマーケットを相手にして仕事をやっているところを念頭に置いて考えるのか、ということが重要かと思います。
日本の輸出産業、世界を相手にしている産業は、既に結構競争力があるというのが一般的な見方だと思うのです。もう一つは、既にそういうところは必然的にグローバルスタンダードに沿って行動しているだろうと思います。ですから、今までもご意見が出ているようですけれども、それが国内のいろいろな規制とかで阻害されているとすれば、それを取り除くということで、もうちょっと国際競争ということについて明確な線を引いてもいいのかなと。それとも、線を引かないで、何でもそうしてしまうのか、そのところが私は曖昧かなという気がいたします。
〔 G委員 〕 今の議論に対して若干の感想を述べて、それからもう一つ、A委員が提起された3つ目の問題についてお話をしたいのですけれども、よろしゅうございますか。
〔 部会長 〕 どうぞ。
〔 G委員 〕 今の議論に、私、特段の強い主張というのはないのですけれども、先ほど、事務局が最後のところで、日本というのは世界をリードしにくい、その理由として、途上国と先進国の間に入って仲介役のような役割を果たしている、ということを言われました。なるほどそうだと思いました。その観点からいくと、このグローバルスタンダードの最初の定義の仕方というのはネガティブな書き方なのだと。ルールメーカーとして日本が世界的に役割を果たすのであれば、もっと積極的な書き方が必要だろうと思いました。
A委員が問題提起された3番目の、規制撤廃あるいは規制緩和がなぜうまくいかなかったという点について、もう少し具体的に書き込んだ方がよろしいという点は、私は全く賛成ですと申し上げたいと思います。たしか、第1回の会合で私が、既にこのような問題に対する処方箋は出ている。繰り返しになるのではないかということをお話ししました。問題は、既に処方箋が出ているものについて、なぜできなかったのかということを、この報告書のターゲットというのが第1回目のときに合意ができたと思うのですけれども、一般の国民である、消費者であるということから考えますと、そのアンタッチャブルな部分も含めてきちんと書く必要がある。
ちょっと長くなりますけれども、1つの事例をお話ししたいと思います。これは特殊、スペシフィックな事例というよりも、システムの問題なのですけれども、3月8日の日本経済新聞の社説に、官公需法の問題点が書かれておりました。官公需法というのはご存じの方が多いと思いますけれども、政府と特殊法人が発注する工事だとか公共事業とか、あるいは什器の購入にあたっては中小企業者にできるだけやさしいというか、受注を確保するという法律で、ずいぶん昔に作られているわけです。これを閣議決定で目標値を定めるという、非常に社会主義的な法律なわけですけれども、当初の目標が26%ぐらいであった。ところが、現在は40%ぐらいにのぼっている。これはまさに資料の議論と関係があるわけですけれども、国内の競争を阻害しているということと、公共事業の高コスト化を招いている。グローバルスタンダードの時代ということを考えると、これを廃止してもいいのではないか、そういう問題提起だったわけです。
私、ちょっと調べてみましたら、最初に私が申し上げたことと関係があるのですけれども、既に行政改革委員会で、この問題については十分な議論ができ、そして去年の平成10年3月31日に閣議決定された規制緩和推進3カ年計画の中に、これはいけないと、過度な行き過ぎた地方公共団体に対する施策の防止要請等は行いましょう、こういうふうに言っているわけです。にもかかわらず、受注の比率というのは、26%、40%、場合によっては、北海道開発庁などは75%ぐらい、こういう数字になっているわけです。
そこで申し上げたいのは、どうしてそういうふうになってしまっているのかということです。これはもちろん背景に政治があるわけですけれども、政治というよりも、より具体的に言えば、政・業・官。あえて付ければ政・業・官・学だと思います、特に公共事業に関しては。これは某省を調べていただければわかるわけですけれども、建築土木関係をやっている複数の省庁があります、建設省、農林水産省、運輸省、その特定の省庁の工事の比率というものが、非常に中小にやさしいというか、今言ったような背景があるということは、アンタッチャブルな部分なのですけれども、書きたい。
書いていただきたいと思いますけれども、それができないというのならば、今日の事務局の具体的なご提案の中で、トランスペアレンシーとアカウンタビリティということが盛んに強調されていました。その情報公開という、トランスペアレンシーのところで、例えば、こういう官公需法に基づく様々な契約があるのですけれども、契約の形態については少なくとも公開してしまいましょう。
このかなりの部分が問題のある省庁と言いましたけれども、一般競争入札ではなくて、随意契約になっているわけです。契約の形態を明らかるすることによって、それがどういう地方で具体的に契約がこういうふうに行われていますということを明らかにすることによって、ほのかにその背景がわかるというようなことが可能ではないか。
〔 H委員 〕 私、第2回目には出られなかったのですが、第1回目のときに、グローバルスタンダードということについては、それぞれ理解が大分違うということで、少し定義づけをしっかりした方がいいのではないかとお願いをしたのですが、この状況で見ますと、まだ少しグローバルスタンダードについて、演説で使うときはいいですが、皆さんの合意を得るのにはまだちょっと足りないかなという感じがするわけです。
例えば、市場原理を最大限活用する制度・慣行がグローバルスタンダードというのですけれども、本当にそうなのかと。これで行くと、単に自由競争、市場原理主義がグローバルスタンダードと読み替えてしまわれると、とらえ方として小さくとらえているのではないかという感じがしております。
それから、市場原理をベースに考えるのは、私どもも決して否定するつもりはないわけですけれども、そうなれば、公正な競争のルールというのも一方でなければいけないのではないかという感じがしております。それが1つ目です。
2つ目には、先ほどもご提起があったのですが、国民の生活ということをどういうふうにとらえていくのかというのが1つの基本にあるべきではないだろうかと考えております。
細かい点かもしれませんが、3ページの(2)「政策方針の論点」に、「外国企業による日本企業の買収や対日進出を促進する」。結果としてこうなるのは一向にかまわないと思うのですが、それを方針に入れるのはちょっと変ではないかという感じがいたしました。
〔 部会長 〕 買収促進、これこそデファクトでありますけれども、表現は、外国投資をもうちょっと自由にさせるとかいう表現の方がいいかもしれません。
グローバルスタンダードにつきまして、I委員、何かご意見がございますか。
〔 I委員 〕 この前の在日米国商工会議所のグロンディンさん、グローバルスタンダードというのは日本人がつくった言葉ということをおっしゃっていましたが、そうだろうと思います。
この言葉に、私個人としてはあまり固執する必要はないかなと思っていますが、ただ、ちょっとニュアンスとして気になるのは、私は基本的に不必要な規制はどんどん撤廃していくべきだと思っていますけれども、この全体の今日の議論のタイトルの「グローバルな競争に対応した構造改革について」、競争に対応するだけというのが問題設定としても狭過ぎるのではないか、もちろん、それは非常に重要な要素であるにしても。
今から、例えば10年間ぐらいの時間を考えて、その中でどういう社会システム、経済システムを作っていくべきかという視点だろうと思うのです。そういうことで言えば、サステーナブルであることだろうと思いますし、アメリカが今バブルの状況であるかどうか、私はそうだと思いますけれども、これが近々いわゆるバブルの崩壊的な状況のようなことになった場合に、またすぐに「ああ、やはりちょっと違っていたか」というようなことで主張を変えないといけないというようなことのないようにしないといけないのではないか。当たり前のことでありますが。そういうことで考えると、市場ルール、マーケットメカニズムというのは非常に重要な要素ですけれども、それがすべてではない。恐らく、誰もそれがすべてだと思っていないのでしょうけれども、あたかもそれがすべてであるかのような雰囲気が強く出過ぎているのではないか。
最初にC委員もおっしゃっていましたけれども、市場ルールとか、会計のルールとか、そういうものについては世界的な1つのルールに、事の如何を問わず、是非を問わず、それが方向として事実として進みつつあるわけですけれども、そこの中で行動する企業とか個人というのは非常に多様であって、これが1つのパターンで行動することはあり得ないだろうと思っています。そういう多様性というのが非常に大事なのであって、多様性こそ重視しておかないといけないのではないか。そういう視点がもう少し長期的な視点として入るべきではないか。
それから、これは次のテーマかもわかりませんけれども、ついでに申し上げますと、今情報化というのが急激な勢いで進んでいる。その中でインターネット取引ですとか、電子商取引ですとかいうものが進みつつある。そういう中で、輸出入の手続きから、課税の仕方から、保険の掛け方から、様々な分野で現在前提にしている社会システムの前提、アサンプション、これがどんどん崩れているわけです。ですから、そういうものに対して基本法を、例えば民法とか商法ということも含めて考えないといけないのだと思いますが、それは単に競争に対応した構造改革、ここで“競争に対応した構造改革”というと、これは私の勝手な理解にすぎないのかもしれませんけれども、やや今までの後ろ向きを取り戻さないといけないというニュアンスが何となく強く感じられるのですが、むしろ、それよりも先に、今対応を迫られていることに対して、情報化というものにどう対応するかという、状況よりももう一歩先に進むような視点が必要ではないか、そんなふうに考えます。
〔 部会長 〕 J委員、ご意見ございますか。
〔 J委員 〕 Ⅱの方に行ってよろしいですか。
〔 部会長 〕 それでは、グローバルスタンダードについての議論は相当時間を費やしましたので……。
〔 G委員 〕 さっき自分が言ったことと矛盾するのですけれども、今、I委員のお話を聞いていまして思ったのですけれども、ここで言うグローバルスタンダードというのは、日本にとってのグローバルスタンダードなのです。つまり、途上国が 190いくつかの国の中の8割方を占めるのですけれども、その国にとっても、このグローバルスタンダードは受け入れるべきですという、そのスタンダードなのですか。それとも、先進国の一員としての日本、これはどちらを念頭に置いていますか。
〔 事務局 〕 ここで議論を進めてきたときには、日本国の計画だということで、議論は一応、日本の視点ということで考えてはあるのですが。当然、グローバルスタンダードという言葉がどこまで……。
〔 G委員 〕 そうなると、アジアの金融危機がグローバルスタンダードというようなことでアメリカンスタンダードだと言われましたけれども、金融の規制撤廃を早く1980年代の終わりごろに進めた結果、つまりスタンダードを受け入れた結果、あのような混乱を1つ招いている、こういう議論があります。
そうすると、どうなのですか。
〔 A委員 〕 一言。
〔 部会長 〕 どうぞ。
〔 A委員 〕 日本にとってのグローバルスタンダードというのは何となく矛盾を感じるのですが。
〔 事務局 〕 日本という意味の、今ここで議論するというところからとらえて、グローバルスタンダードというのをここの議論のために設定をしたのであって。
〔 部会長 〕 この間のグロンディンさんの話ではないですけれども、グローバルスタンダードというのは日本人がつくった言葉ですから、この問題はこれ以上やりましても……。
例えば、今のG委員のお話も、例えばマーケットと政府の政策対応という問題ではっきり、アジアの経済危機におけるのでは、我々から見ていても、韓国にしろ、タイにしろ「日本を真似してビッグバンをやるなんてとんでもない、国内のシステムさえできていないのに」というところに間違いがあった。そういう点では、中国の方が、長期資本を切って短期は全部締め出すという格好ではっきりとしたやり方をやって、うまい。
そういう意味で、あまり硬直的に考える必要はないのではないかと思いますので、むしろ今日のご議論を踏まえながら、ここに出してある問題提起の表現はあまりにも防衛的・後ろ向きという点は、委員の皆さんに大体ご異論のないところと思いますので、この辺をもう少しどういうふうにするか……。
また、グローバルスタンダードで大論文を書くつもりも、審議会ですから、あり得ませんので。
〔 E委員 〕 一言。
〔 部会長 〕 どうぞ。
〔 E委員 〕 どうもグローバルスタンダードを受けるべきか、受けるべきでないかというようなスタンスで議論されているような気がするのです。私は、そうではなくて、グローバル化というのはもうgiven だと思うのです。要するに、世界の趨勢としてそうなりつつあるわけで、その中でどうするかという議論をやるべきだと思うのです。
〔 A委員 〕 グローバルスタンダードというのは、日本だけとか、日本にとってとか、この場ということではなくて、どこでも当てはまるという言葉の解釈としてグローバルスタンダードというものを我々は理解しておく必要があるのではないか、という気もします。
〔 G委員 〕 30秒です。
私、ODAを専門にやってきています。そうすると途上国と付き合うことがすごく多いのです。そうしますと、やはり、これは先進国の議論です。
例えば、モンゴルなどで、情報通信は今まで民営化していたものを今の政権は国営化しようとしている動きがあるわけです。
そのようなときに、日本がグローバルスタンダードを押し付けることになると、途上国にとっては非常に厳しいのだけれども、そのときに日本の1つの外交手段のツールであるODAを、途上国に対してたくさん配分しているのですけれども、それでうまく途上国と付き合っていけるのですかという懸念は若干あります。
〔 部会長 〕 発展途上国の問題は、マーケットエコノミーがきちんとしているというところでのグローバルスタンダードということだと思います。
例えば、WTOに中国は年内に入るということを政策的に(僕の解釈ですけれども)決めた。そのために、江沢民のヨーロッパ訪問とか、今度は、朱鎔基のアメリカ訪問というのが出てくると思うのです。
この場合は条件は、発展途上国として加入するということで、相当の部分は同じにはならないという条件にすると思うのですが、そういう問題というのは当然ありうる話だろうと思います。
グローバルスタンダードの問題は、これ以上いろいろご議論がありましたら、ぜひ書面でひとつ事務局の方へお願いいたします。事務局は大変ですけれども、これをよく整理して、事前にファクスなどでお送りして、次回にもう一度発表するようにしていただきたいと思います。
それでは、Ⅱ部の方に入ります。J委員、どうぞ。
〔 J委員 〕 Ⅱ以下でいくつか考えを述べたいと思います。
その前に1つだけ、さっきG委員の官公需法の話で、北海道開発庁の比率がダントツに高いという話をされましたけれども、これは北海道に大企業がない、いわゆる北海道のそういう厳しさを反映したのものだというふうに私は思っています。
むしろ、中小企業への発注というのは、日本ではあまり高くない。去年の暮れ、新規事業創出促進法という法律ができましたけれども、その第3章で、中小企業に研究予算を発注するというのがあるのですが、アメリカでは、これを支えているのはペンタゴンとNASAです。日本ではそれに相当する官庁がなお参加してこないというのが現状です。ですから、中小企業が雇用をつくり出しているとか、中小企業にイノベーションを期待すると言っている割りには、実はそうではないという面もあるということです。
私の意見ですが、Ⅱ「構造改革の進め方」のところで、規制撤廃・緩和がなぜ遅れたのかということの1番目の理由に、激変緩和措置というものがあって、それが規制を繰り延べることになったとお書きになっていますが、私は、激変緩和措置というのは1つの知恵であって、これ自体は悪いことではないと考えています。問題は、それを隠れ蓑にして、決まった規制緩和をやらないということであって、こういうふうに書いてしまうと少し問題があるなと思いました。
進捗目標を示す、数値目標を示す、いつまでにはこれをやるということをはっきり示すと同時に、いつまでの経過措置については激変緩和措置が経過的にとられるということを明示すればいいことだろうと思っております。
それとちょっと関連するのですが、規制緩和がどのくらい進んだかというチェックをする客観性の話であります。資料の12ページに、各省庁の行われた評価の委員会の名前が挙がっていますけれども、実際にはこういうことではなかなか進んでいないだろうと私は思っています。これは、各省庁が各省庁の物差しでやっているのであって、私は、省庁横断的なそういう評価基準というものが必要だろうと思っています。
特に冒頭の話に関連するのですが、民間からいろいろな物資・サービスを調達する官庁というのが日本にもあるわけです。調達官庁と呼んでいますけれども、そういうところは、私は、共通の物差しがつくりやすいのだろうと思います。例えば、雇用創出するとか、そういうことを物差しとしてチェックしていくことにしないと、各省庁にお任せの形で進めていたのでは、なかなか進まないのではないかというのが2番目であります。
資料の3ページ目で、「グローバリゼーションに適合した制度の構築・人材の育成」というところがございます。私がここで申し上げたいのは、3ページの一番下で、「知的所有権制度を使いやすくかつ強力な保護を与えるものとするためにどのような方策が有効か」ということを問われているのですが、知的所有権というのは非常に大きな概念ですけれども、この中の非常に狭い概念として特許というのがございます。私は、それについてだけ今日は申し上げたいのです。日本の特許のあり方というのは非常に問題だということが指摘されています。つまり、ほとんどが防衛特許であって、使う気がない。人にある研究をさせないために、押さえ込むために特許を出す。いわゆる開発特許ではないのだ。特許がむしろ技術を規制するという形になってしまっています。私は、この点で、使わない特許に関しては、今みたいに10年とか、10何年とかという期間を認めないとか、いくつか開発型に向かう工夫をするべきだろうと思っております。
3点ばかり申し上げましたけれども、最後に、これは余計なことかもしれませんが、人材の育成ということになりますと、どうしても教育機関である我々のところに話がはね返ってきます。しかし、ここに書いてあるような人材を今日本の高等教育機関がすぐに養成するというのは非常に難しいことで、相当の体制を作らなければならないと考えています。
以上です。
〔 部会長 〕 相当の体制というのは、具体的に何かご提案がありますか。
〔 J委員 〕 まず、教えるには、それなりのエキスパートが教育側にいないといけないということです。そのエキスパートを日本の教育制度は生み出してこなかった。教える側がいないという問題です。ですから、時間がかかるということです、そこからつくっていくのは。
〔 部会長 〕 思い出します。去年の5月アメリカで会議をやっていましたとき、向こうの競争力委員会が何年かに一度イノベーションサミットというのをやる。これはゴア副大統領がやって、そのときは 150人ですから、政府、産業界、労働界、学界……。ヤングレポートの後ずっとやっている競争力委員会です。そこで、アメリカはこれからイノベーションをどうするかという結論は、タレントプールが一番不足だということで、短期的には外国人の能力を全部使用する、2、3年、今世紀中は。その間に、産・学・官が共同して人材育成をする。こういうのを出しているのです。
日本でも、ぜひそれが必要ではないかと思っています。現在の大学にいくら言っても、これはダメですか。
〔 委員 〕 ダメです。制度の方を改革しないと。
2003年に独立行政法人という話が出まして、これは実は相当なインパクトがあって、言ってみれば、期限を限られたわけです、2003年ということで。それで、表向きは各大学(国立大学ですけれども、)は、独立行政法人に反対すると思いますけれども、実際には、独立行政法人になったらどうするという準備は密かに始めているのです。こういうのは、期限を区切ったということの効果が出てきている。自分で自分の首を絞めるようなことを言っているようなものですけれども……。
だから、大学が変わらないかというと、そんなことはない、というふうに申し上げておきたい。
〔 部会長 〕 続けて、どうぞご意見を。
〔 B委員 〕 まず、1ページの「グローバルな競争に遅れをとる日本」というところの最初のパラグラフの半分まで、「諸外国に遅れをとっている」というところまでの書き方が、それは上の「グローバルスタンダード」と関係するのですけれども、もう少し積極的に書いた方がいいということです。
それと、ここで一端区切れるのかなと。つまり、「市場原理を最大限活用するような制度・慣行」と書いてあるのは、私は、内容はこれでいいと思うのです。市場原理だけですべてを決めるなどという人はどこにもいないので、そんな人は私は聞いたことがないです。ところが、誤解する人はいっぱいいるのです。大事な話というのは、市場原理を最大限活用するような制度・慣行という中に、公正な競争というルールも当然入ってくるわけであって、その中に、しかし、不必要な規制はやめていきましょうという話も入ってくる。ですから、まずは、ここが一番の目標であって、その次にそれをやっていく上での具体的な話として、その中の1つに不必要な規制は緩和していきましょうという話が出てくるのだと思いますし、それから、その次の「国際的な事業再編」……云々という税制の話も出てくるのだと思います。
ですから、1ページ目の2の1つ目のパラグラフの真ん中以降からが、いくつかの手段として並んでいく話になるのかなと思います。これは、書き方の問題だけです。
それから、その手段の中に、民営化という話が抜けているのですけれども、これも入れておくべきではないか。ただ、民営化の部会が別にあるようでありますけれども……。
それから、2ページ目の(2)「政策方針の論点」という中で、ほぼこれでいいのですが、実際には、先ほどからご意見があるように、これをどうやっていくか。透明性、アカウンタビリティ、経済社会情勢の変化への適合性、この具体的な中身をどうするかというのが、多分、問題になるだろうと思います。その中身の1つとして大事な話としては、規制情報の公開という話、どういう形で、どういう免許を与えようとしているのか、あるいはなぜ与えないのか。情報公開の話は、この部分では、規制情報の公開あるいは行政情報の公開という部分が重要になってくるかと思います。
もう一つは、俗な言い方ですが、駆け込み寺的な組織、機関が必要である。実際には、透明性とかアカウンタビリティというのは何のためにあるかというと、実際に規制に挑戦していろいろなことをやろうとする人が、それができないときにどのように戦っていくかということを応援するためです。具体的に、この第三者機関ができて、それが「あなたはこういう状態にありますから、こうしなさい」という話にはならなくて、その規制に挑戦する人がどんどん出てこないと、結局のところ、規制というのはなくなっていかないわけです。そのときに、いかにして行政手続法を使うか、行政手続法の使い方とか、情報公開法の使い方とか……。例えば、スカイマークの社長がちょっと免許制で批判したら、その夜のうちに、「もうおまえのところには免許をやらんよ」という電話がかかってくる。そのようなことがあったときには、どう対応したらいいか、そういう対応のやり方を教えてくれる駆け込み寺的な組織、ということがかなり有効な形になっていくのではないかと思います。
もう一点だけ、3ページの2「グローバリゼーションに適合した制度の構築・人材の育成」というところで、全体的にそういう人たちを育成しろと言っているわけです。さっき、J委員からお話があったように、教育制度の方を変えないと、これはなかなかうまくいく話ではないと思います。ですから、こういう人材がほしいと言ってても、そういう人たちが出てくるような制度にならないとダメだということです。弁護士、会計士、コンサルタント、金融アドバイザー、そういった人がほしい。市場でニーズがあれば、そういう人たちは当然に出てくるはずです。ところが、そういう人たちが出てきにくいような教育制度になっていれば、もっと言えば現在の大学の制度・高等教育の制度という話になるわけですけれども、それは出てきませんねという話です。
もう一つは、さっき、ちょっと部会長がおっしゃった話です。なぜ、もっと外人を活用しないのかという話であります。これは今では、日本語を話せる外国人もたくさんいて、かなり利用価値の高い人たちがいる。そういう人たちがどんどん入ってこないと、日本の弁護士制度とか会計士制度というのは変わらないと思うのです。そういう点での外国人の活用--日本の人材に競争力を与えるという観点からの外国人の活用--ということもぜひ考えてほしいと思います。
一番最後のところで気になったのは、「不利な条件を克服するため、サポート体制整備と費用負担を国が行うべきではないか」、ここだけが非常に短期的な具体的な話が出てきてしまっている。それは、私のように英会話があまり得意でない者は、出張から帰って来るたびに英会話を勉強しようと思って、そのたびにまた帰って来ると忘れてしまうのですけれども、そういう者にとってはいいけれども、しかし、そういう補助が出れば、私は英会話の勉強を一生しないと思うのです。ですから、私は、あまりこの考え方は……。
以上です。
〔 部会長 〕 続きまして、どうぞ。
〔 D委員 〕 今、人材育成の話が出ていますので、人材育成の関係のことで……。
タレントを国際的に集めてきてやるというようなことは、特に先進分野でどんどん必要だというのは、そのとおりだと思います。ただ、一方で、そういう世界を見てみますと、大学を中退しているような人が結構多いです。ビル・ゲイツとかなんかはみんなそういうことです。
そういう意味では、日本全体として考えた場合には、教育の基本的な部分の整備、あとはタレントの伸びというのがあるのでしょうけれども、そういった意味から、私は、この中に1つ盛り込んでおいた方がいいかと思いますのは、情報化との絡みで、人材の育成といったときに、言葉を含めて遅れている日本では、小・中・高という世界の中でインターネット教育の導入を強く打ち出した方がいいのではないか。早く日本の人材を育てていく、その基盤をつくっていくということ。現状は、大変お寒い形になっていますので、私は、それを提案させていただきたいと思っています。
もう一つは、これはI委員からもお話があったのですけれども、情報化絡みでいろいろなものを見直すというのはかなり進んできた中で、特に、その利用の制度、この見直しを積極的にやるべきではないかと思っています。近年の例で見ますと、例えば、民事訴訟法などは、遠隔地にあったものを映像を使った方式での証人調べをやる、そういう改革を積極的に、何十年ぶりか何百年ぶりかでやったということはありますけれども、その種たぐいがある。あるいは、医師法などを見ましても、直接診断しないと点数にならないというのを今度改正した。その種たぐいの、いわゆる利用の制度をどんどん見直していくということを盛り込んだらいかがかと思っております。
もう一点、まだちょっと違和感があるのですけれども、2ページの「推進体制」のところで、中核的な機関を設置してはどうかということを書いていますけれども、言ってみると、一番強いのは日本の国では閣議決定であり、総理の責任だと思いますが、そういうことで規制緩和推進計画を立て、そのチェックも毎年やっているという意味で、屋上屋の機関を作ってやるというのがどれだけ効果があるのか、また行革の趣旨に合うのかということで、ここは慎重に考えた方がいいのではないかと思います。
〔 部会長 〕 続きまして、ご自由にどうぞ。
〔 I委員 〕 いくつか、ちょっと断片的になるかと思いますけれども。まず、アカウンタビリティなり、透明性なりというのは非常に大事で、このとおりだと思いますが、評価について、これも費用対効果分析による政策評価を義務づけてはどうかということですけれども、例えば、評価をしようと思えば、今、国なり、地方自治体というのは、バランスシートというのはないわけです。評価をするのであれば、その前提として、きちっとした文書管理なり、国の資産・負債の全容、その資産がどう使われているかというものがわからないとできないのではないか。アメリカなり、ヨーロッパなりというのは戦前から企業会計的な手法は導入されているわけですから、それこそグローバルスタンダードに全然達していないわけです。ですから、やや細かい話になるかと思いますけれども、極めて重要な点ではないかと思います。
それと、これは全く違うことを言うようなのですが、その次のところに、経済効果の分析ということも入っています。これも1つの手法として、有力な手法だとは思いますけれども、ただ、例えば道路1つつくる、ダムを1つつくるというときに、それがいかに経済的効果として優れているか、あるいは治山治水上必要かというのは、現状において専門家たる人たちというのは山ほど数字を並べるわけですけれども、しかし、今、各地で問題になっている環境とか、文化とか、そういったものはこの中には出てこないわけです。ですから、これも、当たり前の話でここに書く必要もない、当然の前提だということかもわかりませんが、往々にして、こういうふうに言うとまさに経済的な意味での費用対効果というものしかなくなってくるような感じがする。そこのところは、これは限定的なのだということは認識しておく必要はあるのではないかと思います。
また別になりますけれども、どうやって規制を緩和していって、どうやってその執行を担保するかということに関わる話ですが、私は、行政改革、政府の改革というのはいろいろ言われていますけれども、業界団体改革というのがここに入るべきではないかと思います。今の現状では、業界団体というのは、ロビーストとしての側面と、行政の一端を担う役割としての側面と、両方あるのではないか。これはコンフリクト・オブ・インタレストを発生するわけで、そのどっちかに徹してもらった方がいいのではないか。ですから、業界団体というものを大いに変えていくことによって、それが行政の一端を担うということだって、私はありうるのではないかと思います。
それから最後、国際的なルールのところについてですけれども、「基準の整合化」云々、「APECの枠組を積極的に活用してはどうか」、あるいはその一番上の「世界のルールや基準の形成をリードしているのは欧州と米国」、このあたりに絡む話ですけれども、私は、ことさらにアメリカ、ヨーロッパに対して、アジアがどうだということを言う必要はないのかもわかりません、それはある意味では危険なことかもわかりませんが、ただ、透明性、アカウンタビリティといった中身、あるいは情報公開されたときにそれをどう納得するかという納得の仕方1つとってみても、企業行動1つとってみても、アメリカ人とヨーロッパの人たちとアジア--アジアといっても多様ではありますけれども、それぞれ違うのは当然で、そういう意味で、こういう世界的なルールに関して、アジアの中での議論をする協議の場、さっきフォーラムという言葉が出ましたが、そういうものは必要ではないかと思います。
〔 部会長 〕 続きまして、どうぞ。
〔 G委員 〕 先ほどのグローバリゼーションの議論の中で、私、既にこの部分について官公需法を例にして、私の申し上げたいことは大半述べました。先ほどのB委員のお話を聞いていて、そう言えば、行政改革委員会でこの問題を担当されたのはB委員だということを思い出したわけです。それは横に置いておきまして……。
ぜひ部会長に確認をさせていただきたい、それから事務局にも確認をさせていただきたいことが1つございます。それは、先ほど来申し上げていますように、規制緩和はなかなか進んできませんでした。その理由は何なのでしょうか。その部分について具体的に--具体的というか、個別の企業名とかいうことは別にして--どの程度書くおつもりがあるのでしょうか。たしか、1回目の議論のときに、私がそういう提起をして、何人かの委員の方々からサポートいただいたと思うのですけれども、今日出てきました素案を見ますと、そういう話は全然ない。つまり、理由、原因というところは全部素通りしていて、例えば、3ページ目の(1)「問題点」の2番目の○ですが、「規制緩和の不徹底による非効率とともに、グローバリゼーション」……「外国企業の対日進出を阻害している」と書いてありますけれども、知る人ぞ知るで、これを読めば玄人は「これとこれが問題なのだ」というふうにわかるかもしれないけれども、これもコンセンサスがあったと思いますけれども、この報告書を書く意味というのは、消費者であり、有権者であり、一般の国民だとすると、「何で同じようなことをまた書いてているのか。新規性はどこにあるの?」と。それから次の○のところでも、人材が決定的に不足しているのは一体何なのかというところ。ここのところは繰り返しになりますけれども、その点についてこれ以上のことをお書きになるつもりがあるのかどうかをお聞きしたい。
2番目は、今のこととも関係があるのですけれども、私、相模大野の近くに住んでいますけれども、ここの駅ビルに、小田急百貨店が入っていましたが、それが斜めになって、アメリカの量販店が進出してきました。その開店の祝いが去年の11月に行われたのですけれども、フォーリー駐日大使がいらっしゃったのです。地元の人はびっくりしたのです。これはジョージ・ソロスが関係している企業の進出だったわけです。何でそんなことを申し上げるかというと、なぜ相模大野になったのかという話です。これはずいぶん長い間かかって、もともとは茨城のあるところに進出しようとしたのですけれども、大店法の方はクリアしたけれども、農振法の方に抵触した結果、これが二転三転して、ここに落ち着いた。つまり、大規模店舗の進出にあたっては、大店法がなくなれば--これは一応廃止されたということになっているわけですけれども--、問題が解決するかということですが、そうではなくて、違うところにまだいっぱい規制があるという話。そこらあたりを踏まえた書きっぷりが……、構造的な問題なのだ、アンタッチャブルな部分があるのだ、というようなところはきちんと書いた方がいいかなと思います。どうも隔靴掻痒で仕方がない。
最後になりますけれども、I委員が先ほど言われました、文化とか環境の問題について踏まえていない、と。私もそう思いますけれども、同時に、別な観点から、公共の福祉とかいう話が……。例えば、日本の都市部での公共事業が進まない。環状道路の内側には渋滞箇所というのが 200箇所ありますけれども、そのうちのわずか1箇所、代々木の立体交差をつくるのに30年かかっているわけです。それは住民のエゴだったり、環境保護団体の活動だったりするわけですが、公共の福祉ということとグローバルスタンダードの進め方とどういう関係があるのかということについても、どこかで1行くらい触れておいた方がいいかなという感じがいたします。
ぜひ、第1点に関しては、部会長からお答えいただければと思います。
〔 部会長 〕 前々回でしたか、ご議論のときに、G委員、B委員から強烈に規制の問題についての話がありました。これは私自身も、従来の経済審議会でいろいろなことをやってきた流れから言っても、一般的には政府関係のやることは全部終わった、あとは民間の企業と個人の自己責任でやれよというニュアンスが非常に強くなってきているので、これはまた市場経済の行き過ぎとかアメリカンスタンダードとの絡みもあって、どうも右の方に振れ始めたなと。
これは私自身も、経済同友会でいろいろやっていまして、97年の正月に、私は市場主義宣言というのを出して、それに従ってのアクションプログラムを民間は全部やるということになってきたが、会員とかOBの中にも、「さて、それでいいのですか」という意見があって、僕は「まだ市場主義経済もできていないのに、皆さん何だ……」ということで、これは強力に今後も推進していくという立場になりますので……。
事務局の方々とも何回も議論を重ねまして、そして、規制撤廃・緩和という問題は政府の役割ということでも強く出そう、と。これは先日の企画部会でも、委員の中から、政府の役割というものは非常に重要であるという意見がありまして、方向はそういうことであろうと思います。
あと、書き方をどうするかという問題は、経済審議会でありますと、具体的な例を一つ一つ挙げていくということはなかなかなじまないと思います、それが全部を象徴しているかどうかはわかりませんので。ただ、それをあらわすような何か具体的なことは、ぜひ表現として出したいと思います。
そういう意味では、これは読み方によりますけれども、資料4の2ページのⅡ「構造改革の進め方」1.「規制撤廃・緩和の徹底」の(1)「問題点」で、従来の規制撤廃・緩和の推進策には次のような限界があるのではないか」ということでここに出してあることは、理由ははっきり出しております。したがって、理由はこうだけれども、具体的な問題についてはそれぞれ掘り下げて出していきたい、というふうに考えております。また、民間の経団連あたりからも、規制撤廃・緩和についてのフォロー・アップということはやっております。むしろ、政府の方の宮内委員会の方があれだけ--先ほどのお話のように、去年3月に出したけれども、なかなか壁が多くて大変だなという意見がわりあい強いものですから、これはどこまでやれるかという問題はこれからのプロセス、あるいは事実をどれだけ把握できるかということによりますけれども……。
政府、経済企画庁という立場もありますけれども、しかし、審議会でありますので、役所の立場とは別にはっきりとしたものを出していきたい、というのが私、部会長としての考えでございます。
これは、6分野の経済構造改革のときも、各分野について相当厳しいことをやりまして、特に物流の問題では海運の問題、特に海運の港の労働問題とか、内航海運の問題とか、相当厳しいことを出しまして、私のところにも相当の電話、手紙、その他を含めまして反響のあったことは事実でありますけれども、そのくらいのインパクトのあることをしないと、ここは乗り切っていけないのではないかというような意識は部会長としては強く持っております。
ほかに事務局から、今のご質問に対して説明することがありますか。
なければ、ほかにいかがでしょうか。
〔 E委員 〕 今、ここで非常に明確な規制撤廃がどうして進まないか、それはなぜかというご議論があったのですが、私は、もう一つ進めて、例えば、第三者のチェックが必要であるとか、透明性が必要であるとか、アカウンタビリティがあるとか、こういう議論も始まって久しいと思うのですが、どうして第三者のチェック組織ができないのか、どうして透明性やアカウンタビリティが生まれないかという、もうワンレベル下げたところで議論してもいいのではないかと思います。
それから、先ほどの人材の問題についてもそうですけれども、こういうところで我々が議論をしますと、与えるような感覚でモノを見るのですが、ニーズが本当にあるのか、モチベーションが十分にあるのかという視点から見ますと、ニーズあるいはモチベーション、そういったものが十分に形成されていないのが現状ではないかという気がいたしまして、そういった意味でも、なぜそうなのかというところを、むしろ突っ込んでいただければ、あるいはそういう議論がこの場でできればいいのではないかと思うのです。
〔 部会長 〕 それから、さっきG委員の言われた、あるいはI委員も言われた、文化とか、歴史とかのいろいろ問題については、審議会の中では、お手元の資料3にありますように、今、4つの部会と企画部会と5つありまして、その辺の問題は企画部会で取りまとめる。したがいまして、各部会の冒頭の総論の部分では、それは全部つくっていきたいなと思います。その上に、基本理念委員会が、各部会の部会長・副部会長によりできています。そこで全部統合してすり合わせをするという格好で、きちっとした体系のものにしていきたいと考えております。
ほかに、どうぞ。
〔 F委員 〕 私も、構造改革と規制緩和は大好きですけれども、ただ、それはそれで大賛成としても、なぜするかという視点、もちろん言わずもがなだと思うのですけれども、日本の国民の暮らし向きをよくしよう、生活水準を上げよう、そこのところは書かれていないわけですが、当然のこととしてそういうものが入っているのだろうと思いますけれども、もう少しそういうことを考えながらの文章があってもいいかなという感じが1ついたします。
もう一つ、これはやはり言わずもがなだと思うのですけれども、当然、規制緩和、構造改革を進めると、必ず勝者と敗者というのが出てまいりますが、特に日本の場合は敗者に冷たいといいますか、なかなか敗者復活がしにくいという状況だと思います。ですから、我々としては、そういうものを直せといってもなかなか直らないと思いますが、そういう風土があるのだということを前提にして、いろいろなものを考えることが必要かという、ちょっと漠然としたお話ですが、そんな感じがいたします。
もう一つ、規制撤廃・緩和とか、構造改革とかいうものが、ある1つのきれいな絵を書くという究極の目的があるという絵ができるということではなくて、常にその絵は揺れ動いているのだ、と。競争の世界を促進するということですから、それは固定的なものではなくて、いつも揺れ動いている。どんなに規制撤廃・緩和、それから構造改革があっても、いつも合併とかいろいろなことが起こっているわけですから、そういったものに対して容認するということをある程度言っていかないといけないかなという感じがいたします。
それから、大変余計なお話ですが、私どもの研究所で昨年、公共投資がやられていないのではないかという問題提起をいたしましたら、当局に呼ばれまして、撤回せよというお話でございました。予算と決算は違うのだから、予算と決算を比べるのはおかしいということでございました。やはり、そこには監視するといいますか、コストパーフォーマンスをよく見るという、費用対効果といいますか、そういったものが十分に図られていないという象徴的なことなのかなと。だから、どうだということではないですが……。別に謝りませんでしたけれども、そういうことがございました。
〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。
まだいろいろとご意見は尽きないと思いますけれども、時間の関係もでございますので、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。さらにご意見がございましたら、事務局までご連絡をいただきたいと存じます。
それでは、次回以降の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
〔 事務局 〕 資料5でお配りしておりますが、次回は、来週の金曜日の3月26日2時から、場所は本日と同じ会議室( 729号室) でございます。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
〔 部会長 〕 それでは、第3回の構造改革推進部会の審議は本日はこれで終わりたいと思います。非常に積極的に貴重なご意見をありがとうございました。
それでは、次回またよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
--以上--