経済審議会構造改革推進部会(第2回)

議事録

時: 平成11年3月9日

所: 共用第2特別会議室(407号室)

経済企画庁


経済審議会構造改革推進部会(第2回)議事次第

日時 平成11年3月9日(火)10:00~12:00

場所 共用第2特別会議室 (407号室)

  1. 1.開会
  2. 2.ヒアリング
    1)(社)経済団体連合会 経済本部本部長 角田博氏
    2)日本労働組合総連合会 総合政策局長 村上忠行氏
    3)在日米国商工会議所 副会頭 ホワイト&ケース 外国法事務弁護士事務所パートナーロバート F.グロンディン氏
  3. 3.その他
  4. 4.閉会

(配付資料)

  1. 資料1 委員名簿
  2. 資料2 検討スケジュール

経済審議会構造改革推進部会委員名簿 

部会長
水口 弘一 (株)野村総合研究所顧問
部会長代理
江口 克彦 (株)PHP総合研究所取締役副社長
五十嵐 三津雄 簡易保険福祉事業団理事長
岩田 一政 東京大学大学院総合文化研究科教授
加藤 秀樹 構想日本代表
リチャード・クー(株)野村総合研究所主席研究員
草野 厚  慶応義塾大学総合政策学部教授
草野 忠義 日本労働組合総連合会副会長
清水 秀雄 (株)セブンーイレブン・ジャパン取締役副会長
中条 潮  慶応義塾大学商学部教授
中村 靖彦 NHK解説委員
野中 郁次郎 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科長
長谷川 公敏 (株)第一生命経済研究所常務取締役
濱田 康行 北海道大学経済学部教授
村井 勝  コンパックコンピュータ(株)顧問


〔 部会長 〕 ただいまから、第2回構造改革推進部会を開催させていただきます。

 本日は委員の皆様には、ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、構造改革に関するヒアリングを行いたいと思います。本日ヒアリングをさせていただく団体は、経済団体連合会、日本労働組合総連合会及び在日米国商工会議所の3団体です。いずれの団体もまず最初に15分程度でご説明いただいた後、部会委員からの質疑応答に移らせていただきたいと思います。

  最初に、経済団体連合会のヒアリングを行いたいと思います。それでは、経済団体連合会経済本部本部長、角田博さんよろしくお願いいたします。

〔 角田経済本部本部長(経済団体連合会)  〕 経団連経済本部長の角田と申します。よろしくお願いいたします。

 経済審議会におきまして、新たな経済ビジョンを策定するために今後必要な構造改革は何か、産業界の意見を聞きたいということで本日、意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

 構造改革といっても非常に範囲が広いわけですけれども、本日は特に産業競争力の強化という観点から、ビジネスインフラの整備、特に金融システム、法制度、会計制度の3点に絞って、経団連の考え方を述べさせていただきたいと存じます。

 経団連では96年に、「魅力ある日本の創造、活力あるグローバル国家の構築」という長期ビジョン、いわゆる経団連ビジョンを打ち出しております。その後、景気が停滞局面に陥るなかで、国民の将来不安を払拭するためにも、将来ビジョンを明らかにする必要があるということをたびたび申し上げてまいりました。

 本日、お手元にご用意いたしました資料は、昨年、経済戦略会議が発足したときに、将来ビジョン策定にあたっての経済界の要望ということで、重点課題を列挙して提言したものでございます。この大部分につきましては、何らかの形で文言に盛り込まれているというふうに承知しております。

 本提言では、まず、我が国企業が国際競争力を維持・強化していくために、利便性の高いビジネスインフラストラクチャ-を構築する必要があるということを申し上げております。

 2番目の「日本の未来を切り拓く産業基盤の整備」という点では、規制緩和・撤廃を進めて、次代を担う新産業・新事業を創出する環境をつくり出すことを掲げております。

 規制緩和につきましては、従来から、経団連で積極的に推進を提言していまして、景気が大変厳しい状況に陥ったここ数年におきましても、雇用創出に役立つという観点から、政府自民党に積極的に働きかけを行ってまいりました。民間でできることは民間に任せ、民間企業が自由に活動できる範囲を拡大するという観点から、引き続き、規制緩和の推進をご検討願いたいと存じます。

 3番目は、少子・高齢化等の「社会環境の変化に柔軟に対応できる制度の再構築」ということでございます。

 本資料につきましては、後ほどお目通し願えれば幸いでございます。

 昨日、経団連のいわゆる最高意思決定機関である、会長副会長会議がございまして、近く発足予定の産業競争力会議で取り上げるべきテーマについて議論がありました。そこでの議論は、需要面の景気対策はもうほぼ打つべき手は打った。今後は、供給面の構造対策に手をつけるべきである、といった観点から4点を取り上げております。1番目が、企業の過剰設備廃棄。2番目が、企業構造の再編・多様化。3番目が、その結果吐き出される過剰雇用に対するセーフティネットの整備。4番目が、中小企業の活性化の対策ということであります。こうした点について議論されたわけですけれども、この中でも特に、企業構造の再編・多様化につきましては、後ほど触れさせていただきたいと思います。

 こうした議論を踏まえて、私としましては、ビジネスインフラの整備ということで以下詳しくお話ししたいと思います。

 第1点目に、経済活動の基礎的なインフラである金融システムについてでございます。金融システムは、より利便性、効率性、透明性に優れた体制を整備すること、ということを申し上げたいと思います。

 金融システム改革にあたっては、金融サービスの高度化を通じて利用者利便の向上を図ることが改革の本質と理解しております。効率的な資産運用ニーズや、ファイナンス手法の多様化ニーズに対応するためには、金融機関が相互に競争することで創意工夫を発揮してサービスの向上を図る必要がございます。この観点から、商品や業務、組織形態の思い切った自由化を進めて、早く本来のリスクテイク機能を果たしていただきたいと考えております。既に、2001年のビッグバン完了に向けて様々な規制緩和が進んでいますけれども、ぜひスケジュールどおりに改革を進めていただきたいと思います。

 第2点目に、金融サービス法の検討を挙げたいと存じます。現在の金融法制は、いわゆる業態別に規定される縦割り型の法体系となっています。日本の場合、金融に限られるわけではなく、ほかの産業についてもそのようになっているわけですけれども、特にこの点は金融面で顕著だと思います。今後、新たな金融商品・サービスの導入が進むことを考えますと、規制の適用範囲が不十分であったり、類似商品をどう取り扱うか曖昧になったりといった不都合が生じていまして、現在では、残念ながらパッチワーク的な対応に終始していると考えます。今後予想される多様な金融サービスに対応した横断的な法制度、いわゆる金融サービス法を早急に検討する必要があると考えます。また、これに対応して、金融所得課税も抜本的に見直すべきだと考えております。

 第3点目は、金融サービスの電子化に向けた環境整備でございます。情報通信技術の進展により、電子マネー、電子決済など、金融サービスの電子化が進められようとしていますけれども、よりよいサービスの普及のために、公正な取引ルールや利用者保護など、関連制度を整備していく必要があると思います。

 現在、私どものところで、CPのペーパーレス化について検討していますけれども、これまでも各種金融商品の個別に電子化についての議論、あるいは振替決済についての議論が行われましたけれども、最終的には整合的なシステムというのは構築されずに、日本の実態は諸外国に比べてかなり遅れていることが明らかであります。

 2番目の点は、以上申し上げました金融サービスの高度化に向けた環境整備に関連しまして、そのためには金融機関だけでなく、利用者にとっても、自らのリスク管理能力が問われるということを指摘したいと思います。金融システム安定の観点から、適切な利用者保護が必要ですけれども、一方で、利用者の自己責任をうやむやにしてはいけないと考えます。この観点から、ペイオフについては、当初のスケジュールどおり、2001年4月から実施する必要があると思います。もちろん、金融機関が正確にリスクを説明すること、さらに情報開示を徹底すべきことがその大前提であることは言うまでもありません。

 3番目の点は、証券市場の活性化でございます。間接金融偏重から直接金融へのシフトといった、企業の資金調達方法の多様化を踏まえ、証券市場の基盤整備と活性化も重要な課題であります。経団連では昨年9月に、「証券市場に活力を呼び戻す大胆な対策を求める」という意見書を取りまとめております。そこで挙げた要望のいくつかは既に具体化されました。

 まず、証券関連税制については、有価証券取引税、取引所税の撤廃、これは今年4月1日から施行の予定であります。あるいは、非居住者に対する国債利子の源泉徴収の撤廃の実現が決まっております。さらに加えて、社債利子の源徴の撤廃とか、配当に関わる二重課税の排除等をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。また、市場の活性化には、何より 1,200兆円を保有する個人投資家の回帰が必要でありまして、個人投資家拡大のための長期保有株式に関わる譲渡益課税の軽減等もご検討いただきたいと存じます。

 個人投資家の市場への積極的参加を促すには、税制のほかに、確定拠出型年金制度の導入、株式取引が萎縮しないようなインサイダー取引の一層の類型化が必要であります。既に東京証券取引所では、自己株取得に関わるガイドラインを発表しておりまして、政府レベルの対応をお願いしたいと存じます。

 なお、健全かつ安定的な市場運営という観点から、証券取引等監視委員会のきめ細かいモニタリング活動が不可欠で、引き続き、異常な株価や風説の流布等への迅速かつ厳しい処置をお願いしたいと存じます。

 昨年11月、借り株の空売り規制が議員立法によって前倒し実施されました。これは非常にありがたいことであります。

  以上が、金融システムの問題でございます。

  次に、企業法制について申し上げたいと存じます。グローバルな企業の活動展開により、海外の投資家から広く資金を調達する日本企業が増えております。その結果、外国人株主が急増し、そうした中で、従業員等いわゆるステークホルダーに加えて、株主重視の強化が一層求められています。これを背景として、バブル期もしくはバブル期以前の増資によって過剰となっている株式を償却し、株主の価値を上げようという企業が増えてまいりました。もちろん、これは株価対策としても有効なものでございます。こうした背景の中、経団連は、過去2年間に、自己株式償却の規制緩和に取り組んでまいりました。その結果、94年の商法改正で解禁となった自己株式償却ですけれども、機動的な償却を実現するために、償却特例法が97年6月に実現し、さらに、昨年3月には財源規制の緩和により、資本準備金を財源とすることができるようになりました。これらはいずれも議員立法によって実現したものでございます。

 商法の改正は従来、膨大な時間がかかって、その結果、実体経済に制度が追いつかないということが多々ございます。最近は、関係の審議会が迅速に検討を進め、かなりのスピードで立法作業が進んでいますけれども、それでも商法はじめ企業活動の基本を律する法令は、時代の流れに応じて迅速に見直しを進めなくてはならないと思います。さらに、新たに導入した法令も適宜点検を行う、それをまた見直すということに、躊躇してはならないと思います。経済審議会にあっても、そうした心構えをぜひ貫いていただきたいと希望しております。

 こうした企業法制という観点から、産業競争力の強化に関連して申し上げたい項目は、企業の事業組織形態の多様化を進めるための法制度の見直しという点でございます。企業は、競争力を維持するために、採算のある得意分野を伸ばし、そうでない分野を手放していくといった、組織を柔軟に改革していくことが常に求められています。それにもかかわらず、事業組織形態の多様化を進める制度が不十分でございます。そこで、昨日の会長・副会長会議の議論でも、まず株式交換、株式移転制度、2番目に会社分割制度、3番目に分社化法制、4番目に倒産法制といった点について、創設あるいは見直しについて強く働きかけていこうということになりました。

 まず、株式交換、株式移転制度の早期創設ですけれども、現行法では、既存会社を 100%子会社化したり、純粋持株会社を設立する手段はありません。そこで、一昨年から、迅速な審議が法制審議会で行われた結果、株式交換・移転制度を早期に実現できるような方向にあります。あわせて、税制上の手当てもぜひ行っていただきたいと考えます。

 2番目は、会社分割制度の創設という点であります。株式交換・移転制度は親会社を設立する方法でありまして、現物出資等の方法で、会社自ら持株会社となることは、検査役調査あるいは債権債務譲渡の事務の煩雑さという問題があり、非常に難しいのが実情であります。そこで、株式移転で設立した親会社の下で子会社となった事業会社が自らを分割して、例えば、総合電機メーカーが重電、弱電、家電、コンピュータといった水平に分割されるような形ですけれども、そうした簡易に純粋持株会社形態の経営を採用できるようにしてほしいということでございます。これは具体的に大手の総合電機メーカーがまさに検討しているところであります。

 3点目は、分社化法制の整備ということであります。営業譲渡などで 100%譲り受けを行う場合でも、譲り受け会社の規模に比して譲渡される側の規模が小さい場合には、総会の特別決議などの要件があります。こうした要件を緩和するということで、ぜひ簡易な手続きを導入していただきたいと思います。

 4点目は、倒産法制についてですけれども、現行法では中小企業に適したような再建型の倒産手続きというのはありません。現在検討されていますけれども、ぜひその実現を図っていただきたいということであります。

 金融、法制ときまして、最後は会計の問題でございます。会計の問題は、企業法制とは別に、制度の方が逆に実態を追い越してしまっているのではないかという感じも持っております。来年度の連結主体の開示制度の導入、税効果会計、金融商品の時価会計、退職給付会計等、順次導入を進める予定であります。しかし、受入れ側の企業にとりましては、まだ環境整備ができていませんで、その対策が急務になっております。例えば、時価会計の導入により、持ち合い株式の含み益や含み損が明確になることから、市場で持ち合い株の解消が進んでおります。それが昨今の株価市場の低迷の大きな要因となっております。また、退職給付会計の導入で企業が計上すべき年金の積み立て不足が各研究機関の試算によりますと、45兆円だとか、75兆円だとか、80兆円といったような試算も出ております。

  そこで経団連では、その対応策としまして、持ち合い株式の塩漬け機構の設置、あるいは年金制度への拠出などを提案しております。厚生年金への現物による拠出といった点は、厚生省で3月15日に法案を提出する予定と伺っています。ぜひ早期に実現をしてほしいということであります。

  さらに、退職給付に支払いを限定するような信託を設定して、株をそこの信託に預けるということで、会計上それを年金資産として認めてほしいという点も提案しておりまして、現在、日本公認会計士協会で検討が進められているところでございます。ぜひ皆様からの側面からのご支援をお願いしたいと存じます。

 現在のように、株式の持合い解消が進みますと安定株主が減少してきますことから、株主総会の定足数の確保が非常に困難となっております。合併や定款の変更は定足数を満たした上で、さらに2/3の特別決議が要件とされています。株式交換制度も特別決議が必要であります。こういった機動的な企業運営の意思決定には大きな障害になっています。そこで、総会のあり方、特に定足数の見直しといった点も、ぜひ検討の項目に加えていただければと考えております。

 以上、ビジネスインフラの整備について申し上げてきました。最近、ようやく改革を進めることの必要性が強く認識されて、それがまさに実行されつつあると考えます。経済戦略会議では、健全で創造的な競争社会の構築という点を述べておりますけれども、その土台としてのビジネスインフラの整備が着実に実行されるよう、この審議会を通じてコンセンサスを作るとともに、関係方面に対する強い働きかけをお願いしたいと考えます。

 以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。経団連では、時々に非常に適切な提言をいろいろとされておりますが、本日は、特にビジネスインフラの構築ということに絞っていろいろお話しいただき、短い時間でございましたけれども、集中的にお話しいただきましてありがとうございました。

 35分ごろに退出ということで時間があまりありませんけれども、質問はどうぞ要点を絞っていただいて、15分ぐらい質疑応答の時間をとりたいと思います。

〔 A委員 〕 質問になりますか、コメントになりますかわからないのですが。

  私がちょっと気にしていますのは、ビジネスインフラの構築ということが現状の傾向を問題点として指摘されているような気がするのですが、もっと本質的な形で、産業構造が変わることは間違いないわけです。その産業構造が一体どういうふうに変わるのかという視点からまず問題をとらえて、国民的コンセンサスを得ないと、現象的なことだけになってしまうのではないか。

  特に、ここで金融の問題をとらえていらっしゃいますけれども、金融の問題だけではなくて、物流の問題も非常に大きな問題が残されているわけです。卸売業をはじめ流通産業そのものがどういうふうに変わるかという大きな課題があると思うのですけれども、そういう観点から問題をとらえますと、問題のプライオリティも変わってくるのではないか、これは私の個人的な意見がちょっと入っておりますが、その辺について何かコメントがありましたら伺いたいと思います。

〔 角田経済本部本部長( 経済団体連合会)  〕 昨日の会長副会長会議でもこうした議論があったわけですが、特にアメリカの例を見ますと、非常にインダストリーの盛衰というのが激しく、新しい産業がどんどん勃興しているということです。では、それが今後どういうふうに変わっていくのかというのは、見極めが非常に難しくなっているというご指摘がありました。

  そういった点からして、基本は、要するに自己責任原則に基づいた市場での企業活動を行う。それがどういうふうに動いていくかというのは、そのときの環境によって変わってくるであろう。我々ができることは、そうした自由な企業活動をサポートすることによって、あるいはそれを可能にするような土台を整えることである。それがビジネスインフラということではないか。

  例えば、企業が合併したい、分社化したい、分割をしたいと思ったときに、法的な制約でできないということがあれば、それはできるようにしていただくのが基本ではないか。そうした意味のビジネスインフラの整備が必要ということが1つです。

 2番目は、市場、市場と言うけれども、市場の中では解決できない問題は、当然ながらあります。その側面のセーフティネットというか、そうした整備はまた別途考えていかなければいけないだろう。

 そうしたいわゆる周辺事項をまず、我々としては、使いやすいように、あるいは企業活動が容易にできるように整えていただきたいと考えております。

〔 B委員 〕 産業構造の促進税制というものが非常に重要だろうと思っていますが、今お話の中に入っているのか入っていないのか。

 日本の場合には、新しいビジネスを起こすというふうに言いますけれども、既存の企業が新しいビジネスに出て行ってどんどんチャレンジする、そういう産業構造促進的な税制というのは大いに意味があると思っているのですが、特段コンメントはなかったので、もし経団連としてありましたらお願いいたします。

〔 角田経済本部本部長(経済団体連合会)  〕 非常に時宜を得た質問だと思いますが、産業構造に関する税制として、我々は2つ考えております。1番目は、後ろ向きの税制で、これは現時点では特にないというか、一応あるけれども積極的なものではないのですけれども、いわゆる設備廃棄を支援するような税制をもうちょっと拡充してはどうかということで今、原案を考えているところでございます。これはまさに後ろ向きの税制です。

 2番目は、確かにおっしゃるとおり、事業転換を容易にするような税制としてどういうメニューが考えられるかということを一応羅列をして今、皆様のご意見を聞いているところでございます。

〔 部会長 〕 C委員、金融の問題が大分中心になりましたが、あなたの持論と若干違うところもあるかもしれないけれども、質問なり、あるいは短いコメントがありましからどうぞ。

〔 C委員 〕 今のお話の中で金融機関の情報開示ということを盛んに言われたわけですけれども、金融機関の情報開示というのは、企業の情報開示が大前提であって、今のように日本の企業がいろいろな臭いものを隠しているときに、金融機関の情報開示と言ってもこれは全く意味ないわけです。そういう意味では、皆さんが金融機関に情報開示を迫る前に、企業のいわゆるグローバルスタンダードにおいての情報開示がこれからどのくらい進むのか。それをベースに金融機関は金を貸していたわけですから、そこはどうなのかという点。

 株式持合いについていろいろ配慮していただきたいという指摘がありましたが、株式の持合いこそ、資本主義に対する暴挙です。国際的整合性もあったものではない。これがあるから、M&Aの問題とか、外資によるテイクオーバーができない。それがいろいろな意味で構造改革を遅らせているという部分もあるわけで、一方で経団連の皆さんには非常に都合のいいことがいろいろ要求があると思いますが、もう一方で、持合いというのは早くなくなるべきだと思いますが、それを政府に塩漬けにしてもらって、しばらく株主の声を聞かずに企業のコントロールができるのではないか、というような臭いも滲み出しているような気がするのです。

〔 角田経済本部本部長(経済団体連合会)  〕 いずれもごもっともなご指摘です。最初の、開示につきましては、企業のディスクロージャーという点につきましては、私も、制度の方が実態を追い越している例ではないかと申し上げましたが、と言いつつも、こうしたディスクロージャーは進めなくてはいけないという意識でおります。ですから、経団連として、遅らせろということばかりを言っているわけではなく、実態に合った形でディスクロージャーを進めていく必要がある。それは年金会計であり、時価会計であり、そうしたものを推進する必要があるということで、我々としては、メンバーの会社に対しても広報をしておりますし、これからもっとやっていかなければいけない。

 特に、年金会計等につきましては、実態が会社のトップの方々はわかっていないところがございますので、ぜひそうしたものを進めて、PR活動をやって、ディスクロージャーを進めなければいけない。おっしゃるとおり、そうしないと金融機関のディスクロージャーも進まないだろうというのは、よくわかります。両方が開示を進めるように努力をする必要があるのではないかということでございます。

 2番目の点、確かに株式の持合いは解消すべきものであり、現時点でその解消が進んでいるということは、その方向にあることの証拠だと思います。だから、それを阻止しようなどということは考えているわけではないです。ただ、そのための1つは、環境整備というのがあると思います。純粋持株会社とか、企業をグループとしてうまく扱うような制度を作るということが1つ。もう一つは、正直言って「塩漬け」という言葉は非常に響きが悪いのですけれども、激変緩和と考えていただきたいのですけれども。

 もし今、持合い株式がぼっと出てきた場合に、今日は幸い1万 5,000円を超えておりますけれども、一体どういう状態になるか。それが、一挙に1万円とかのところに下がっても、持合い解消のためにはそれでいいのだと言えるか。やはり、そこまでは言えないのではないか。激変緩和ということで少し時間をください、というのが我々の考え方です。

 特に、塩漬け機関として機構を作ろうという話を経団連で言いまして、よく新聞でも扱われたのですけれども、今のところ、新たな機構を作って塩漬けにするという考え方は後退しておりまして、先ほどちょっと申し上げましたように、企業の保有している株を信託に預けて、その信託を会計上年金資産として認めてもらって、年金負債と相殺をするというようなことをやろうとしております。

 これも、裏で言えば、若干株式が放出されるのを防ぎたいという意図は確かにあるのですけれども、激変緩和ということでご理解を賜りたいということでございます。

〔 部会長 〕 私はチェアマンですから自分の意見を言うのは何ですが、持合い株式の問題は、35年来の私の主要テーマでございます。

  これは産業構造論の上から、もう一つは証券市場論の上から、あるいは各ミクロの企業の上から、特に株式市場の面からといろいろな切り口はありますけれども、あまりテクニカルな問題ばかりやっても仕方がないという感じがします。ですから、ご承知のとおり、棚上げ期間大反対論は私が一番筆頭でございます。あとの問題は、本日はそのテーマでございませんので、それ以上は差し控えます。

  もう一問、どうぞ。

〔 D委員 〕 会社分割とか分社化についてお触れになりましたけれども、実は今、私も参加して、通産省でMBO研究会というのをやっています。MBOというのはマネージメント・バイ・アウトという分社化の1つの方法です。そのときに、日本の大企業が一体どの程度分社化とか会社分割をやる気があるのかということを、あるシンクタンクにヒアリングしていただいたのですが、そのときの結果では、案外少なかったのです。実際に分社化を考えているところはそんなに多くなかったという結果が出ました。

 それで私の質問は、経団連のメンバーの企業が、こういう法律変更ないしは特例を作るということを要求されているわけですが、実際にそういう法制を動かして事例は出てくるのかどうかというところが、私の関心であります。経団連としてどの程度メンバー企業がそういう意向をお持ちなのかということを把握されているのか、そのあたりを伺いたいと思います。

〔 角田経済本部本部長(経済団体連合会)  〕 明日、法制審がございますけれども、次の商法部会でどういった点を検討するかということで、我々としてはぜひこれを入れていただきたいと考えております。また、そのための打合せ会をやりました。その結果ですけれども、いわゆる分割とか分社化というニーズは最近になって特に急に高まっていると思います。ですから、例えば半年前の調査では、全然そんなことは考えていないというところが多かったのですけれども、ここへ来て非常に高まっているという気がします。

 数字として何社がどうというデータはまだ持ち合わせていないのですけれども、経団連の主要企業30社ぐらいに集まっていただいて、いろいろ打合せをしました。ですから、これは鶏と卵の関係で、容易になればやる企業も増える、容易にならなければやる企業もなかなか出てこないということですけれども、ぜひ法制度の整備をしてほしいうという皆さんのご意見が強いものですから、分割と分社化、両方についてぜひ検討していきたい。また、その過程でどんどんニーズが出てくると思います。

  あとは税制の問題もございますけれども、やはり、ある程度のメリットがないとやらないということはあると思います。

  これから、そうしたニーズは増えると思います。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。まだいろいろコメント、ご質問もおありかと思いますが、角田さんも次のご予定がおありですので、この問題はこれで終わりとしたいと思います。

  角田さんには、お忙しいところをどうもありがとうございました。

 続きまして、日本労働組合総連合会へのヒアリングを行いたいと思います。それでは、日本労働組合総連合会総合政策局長の村上忠行さんからご説明をお願いいたします。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 本日はお呼びいただきましてありがとうございます。

 お手元にあります私どものペーパーをご参照いただきたいと思います。

 今日、総論的にということでございますので、総論的に私どもの考え方を申し上げたいわけであります。

 「構造改革において目指すべき『あるべき姿』」ということでございますが、「あるべき姿」を論じる場合には、どういう視点で物事をみるかということから申し上げたいわけであります。

 現在の勤労国民の生活は、ご案内のとおり、90年代の経済の長期低迷、マイナス成長下の収入減、戦後最悪の失業率、社会保障に対する先行き不安感の増大など将来に期待が持てない状況に落ち込んでいます。今、求められている日本経済社会の再構築では、この間の国民生活を悪化させた原因、その政策責任を明確にし、その失敗を繰り返さないとの強い反省がなければ再び同じ過ちを繰り返すこととなるということを注意喚起し、強調したいわけであります。

 反省すべき第1は、経済社会政策の基本に「生活の安定」策を据えていただきたいということです。バブル経済とその破綻による土地・株価などの資産価格の高騰と暴落は国民生活に深刻な影響を与え、先行き不安を呼び、今日の長期不況に至っております。これは市場のバブルを放置し、生活の安定を忘れた結果でもあります。さらに現在の不況は、97年度の政府の国民負担増と緊縮財政が大きな原因となっており、これも生活の安定を忘れた均衡財政主義の失政によるものと考えております。

  第2の反省点は、この間の不透明な政策決定が、不況の長期化や官僚や企業の不祥事を引き起こしており、政策決定における透明性、公正さが、適切な政策の実行に不可欠であることを示しております。バブルを促進した超低金利政策の不透明さ、97年度緊縮財政政策をバックアップするための財政危機の宣伝など、誤った政策の遂行と政策転換の遅れが悪影響を長引かせていると思います。

  第3の反省点は、単なる「市場任せ」ではなくて、新たな公正・競争ルールの設定を絶えず意識すべきであると考えます。金融機関の自己破産やシステム不安、規制緩和による不安の高まりなどは、新たな公正競争ルールを意識的に構築せす、「市場任せ」にしたり、アメリカ中心のグローバルスタンダードに無責任に寄りかかろうとしていることから生まれていることを認識する必要があると考えます。

 特に申し上げたいことは、経済は、人のためにあることを強く自覚すべきであり、経済を自己目的化した場合の危険性を忘れてはならないと考えます。

 2番目、「あるべき姿」について申し上げます。日本の経済社会は、21世紀前半に向け高齢化が進むとともに、国際社会との相互依存関係の中に置かれ、また情報化などの技術革新が引き続き追求されると見込まれます。そのなかで国民の生活の安定を確保するためには、経済社会政策の中心に生活の質の向上策を中心に据えた国づくり・社会づくりを行う必要があると考えます。

 経済社会の「あるべき姿」でありますが、国民が、生きがい、働きがい、精神的ゆとり、環境との調和を持てる「ゆとり、豊かさ、公正」な社会であり、個人が、家族や組織、また地域社会と協力し、支え合うとともに、個人の創造性が発揮でき、選択ができ、文化が育つ「社会」を「あるべき姿」に据えるべきと考えております。それは個人と組織、地域社会が対立するのではなく、個人の努力が活き、組織が人を活かし、地域社会で協力しあえる、雇用・年金・医療・住宅などの公的セーフティネット、ナショナルミニマムが確立した「高度福祉社会」と言い換えることができると考えております。この社会では、だれもが健やかな老後生活が保障され、安心して子供を産み、子供が健康に育ち、だれもが人と尊厳され、国民参加のなかで政治・政策が行われ、文化を大事にし、すべての人々が諸制度を選択でき、個人が創造性と生きがいを生み出せる社会にすべきと考えます。

 同時に、この「高度福祉社会」は、環境との調和、地球の自然環境の保全を進めうる持続可能な安定成長を実現できる社会であり、国際協調が可能な開かれた社会でなければならないと考えます。

 言い換えれば、個人の自由な競争を基本とするアメリカ型ではなく、また社会連帯を中心にしたヨーロッパ型でもなく、個人・家族と組織と社会連帯を組み合わせた第3の道の新しい日本型社会を構築すべきと考えております。

 「産業・企業・市場のあるべき姿」でありますが、これからの産業・企業は、それぞれの活動を展開する中で持続可能な安定成長をつくり出し、生活と雇用の安定と向上を達成していく必要があります。

 産業のあり方としては、完全雇用を達成できる発展力を確保していかなくてはなりません。そのためには、情報通信など「技術革新をリードする新産業」「ものづくり産業」「

サービス・流通産業」の3つがバランスした産業構造を形成して発展すること、世界経済の安定的発展に寄与できる産業構造に意識的に改革することが必要であります。その構造改革策としては、新規産業、新技術開発などにより産業の付加価値と生産性を高める、人材と職業能力を計画的に育成する、世界経済の中で、我が国がリードできる情報通信を組み込んだ「ものづくり産業」や技術を開発・振興していくなどの対策が重要であると考えます。

 企業のあり方としては、企業に参加した人、技術、資本が活かされ発展することが基本と考えます。そのため、新規市場の開発、新技術の開発、技術革新など新たなチャレンジを常に行える経営体質を構築する。企業に参加した従業員、経営者がそれぞれの能力を発揮するとともに、その人的能力・職業能力が高めていける組織とするなどの改革が重要であります。特に人的能力育成については、個人責任に任せるのでは限界があり、個人と組織の協力のなかで中長期的に育成していく必要があり、特に「ものづくり」分野では、いわゆる日本的長期雇用における人的能力の育成システムのさらなる強化が必要と考えております。

 同時に、企業組織が、従業員の家庭生活、地域生活と調和するものでなければなりません。これら、利害関係者の意見を聞き、雇用と労働条件の改善、地域社会の環境、社会資本など地域社会の整備に貢献する社会的責任を果たさなければならないと考えております。

 市場のあり方としましては、公正競争のルールを確立し、取引行為において独占や大手企業による中小企業、消費者などへの不当なしわ寄せがなく、またルールが透明で、不当な侵害行為が生じない市場を構築する必要があると考えております。この透明、公正な市場ルールを維持・改善するためには、現在の独占禁止法を強化するとともに、下請代金支払遅延防止法の抜本強化、消費者契約法、個人情報保護法などのルール法の制定と検査体制を整備する必要があると考えております。

 最後に、「構造改革」の実施における重要課題について申し上げます。国民合意による経済社会・産業・企業・市場の構造改革を推進しなければならないと考えております。

 「あるべき姿」を実現する「構造改革」は、関係者の意見と創意を集め、国民合意により、国民の力が相互に活かされるものとする必要があります。そのために、以下の政策について、国民合意を形成し、その政策課題について、政府、企業、個人がそれぞれに意識的に実践する必要があります。

 政府は、国民生活の安定、安全に責任をもった雇用・年金・医療・介護などのナショナルミニマムを構築・改善するとともに、完全雇用を達成する安定成長、産業構造の高度化、技術革新の促進、人材・職業能力の開発、教育と文化の振興などを促す。また地方分権を進める。「小さな政府」を自己目的にするのではなく、政府の役割を具体的に論じて、公正で効率的な政府に改めることであります。

 企業は市場・消費者に対して公正競争ルールに則り質の高い供給を行うとともに従業員の雇用・労働の質を高め、地域社会、環境に対する責任をとり、技術革新、市場開拓など未来開拓型の経営を行うことであります。

 個人は、家庭において健康で文化的な生活を行うなかで育児・介護などの家庭生活に責任をもつとともに、職業能力の向上や地域社会等の諸課題に積極的に参加し、生きがいを持てる個人生活を育むことであります。

 世界各国との調和のとれた諸制度・慣行への改革もまた重要であります。

 企業制度、市場取引ルール、雇用制度などの諸制度の改革では、単純にアメリカモデルのグローバルスタンダードを適用するのではなく、我が国の国民の利益、ヨーロッパ諸国、途上国諸国、地球環境など関係者が合意でき、新たな公正かつ効率的で環境と調和した以下のような世界秩序、世界経済ルールの構築を目指すことが重要と考えます。

 ○ 人権、男女平等権、基本労働権が尊重される国際的公正社会労働ルールづくり

 ○ 環境保全を確保する国際環境基準、リサイクル基準ルールづくり

 ○ 多国籍企業についての公正企業行動ルールづくり

 ○ 国際金融取引における公正取引ルールづくり

 ○ 国連、ILO、WTOなど開かれた国際組織の強化策など

 以上でございます。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

 ただいまの村上さんのご説明に対しまして、ご質問等がございましたらどうぞお願いいたします。

〔 A委員 〕 先ほどの経団連でご質問しようかと思ったのですが、むしろこちらの方が適切かと思うのですが、今いろいろと述べられているように、経済環境の変化、経済構造の変化、情報産業が進んでいるわけで、今、経団連をはじめいろいろなところでベンチャー企業の育成ということが叫ばれています。私も、こういった分野でいろいろお手伝いさせていただいている者として申し上げますと、この分野で、いわゆる企業の長年の経験を積んだ人たちの、ビジネスを起こそうとしている人たちに対するアドバイザー的な役割を果たす方が、日本には皆無と言っていいほど、いらっしゃらないと思うのです。

 特に組合の立場からお考えいただきたいのですが、今60歳、65歳で大勢のサラリーマンが定年退職していくわけですけれども、こういう人たちを、今私が申し上げたような形でもっと有効利用するようなことをお考えでしょうか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 私どもは、もちろんそういうことはこれからの社会を考えるときに重要で、オイルショックの後だったと思いますが、アジアがいろいろ経済発展するときに、日本の中高年の方々が、日本では古くなった技術だけれども、アジアではちょうどいいということで、大分アジアの技術指導などに行かれたケースがございます。

 そういうことなど今後、あってもいいのだろうと思いますし、日本の国内でも、言われるようなことをやらなければ、今後の少子化等を考えても、日本の経済というものを維持していけなくる。特に、いろいろ世の中は変化しますけれども、先輩方の経験というのは大変重要でありますし、また活かせる道があるだろうと思っておりますが、なかなかそこがうまく機能しないのは、企業社会というのでしょうか、家族主義というのでしょうか、そういうところが今まで強過ぎた。そういうところをどうするかという問題はあろうかと思います。

〔 A委員 〕 今の背景説明が不十分だったと思うのですけれども、要するに、ベンチャー企業にお金を投入するプログラムはあまりにもたくさんあるのですが、ご承知のとおり、ベンチャー企業というのは数人の非常にクリエーティブな方がビジネスを展開されますが、そういう方たちが経営についての経験とか、過去のビジネスの経験は皆無です。こういう人材は、日本のベンチャービジネスを真剣に国全体が考えるならば、それを組織でやるのではないかもしれませんが、そういった個人個人をうまく活用する仕組みを作る必要があると思うのです。これは単なる経団連とか、組合とかということではなくて、関係される皆さん方がもう少し議論していただいていいテーマであるというふうに思うわけです。

 特に、私はそういう年齢に達していて、私の友人たちが、終わったとたんに皆さん遊んでいる。こういう無駄な人材の活用はないと思っているのですけれども、その辺について、もうちょっと強いご意見があってもいいのではないかと思っているのです。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 ご案内のように、定年というのは、先進国では日本だけです。定年と言うとカッコいいですけれども、年齢による強制解雇でございます。欧米では能力ある者は、また働きたい人は結構働けるということであります。特にアメリカでは、年齢による雇用差別禁止法などもあるわけです。日本型というのは、その辺のところも直さなければいけないと常々思っていますが、言われるようなことにつきましては、我々も積極的に考えてまいりいたと思っております。

〔 部会長 〕 この問題は、連合だけの問題ではなくて、経済全体の問題でございます。

 私も、ベンチャー・キャピタルとかベンチャー・ビジネスに非常に関心をもってずっとやってきている立場として、おっしゃるとおり、シリコンバレーなどで昔から言われているのは、一流の技術と二流の経営力の合体よりは一流の経営と二流の技術の方がビジネスが発展するということ。チームは必要ですから、これからも各方面で真剣に考えていく必要があると思います。

〔 E委員 〕 先ほどの経団連の方のお話にもあったのですけれども、産業構造を変えていかなければいけないというときに、今のベンチャーもそうですが、新しい情報産業とか、そういう方向へだんだん日本の構造が変わっていかなければいけないということを、何年も言われ続けてきながら、依然として公共事業優先という構造は変わらないわけです。そのことを一体どういうふうにしたら本当に変わっていくのだろうかというときに、今のお話の中で、そこがすれ違いになるのか、あるいはうまくくっつくのかわかりませんが、必ずしも組合の方々が、そういった公共事業優先の、しかも、どちらかと言えば「小さな政府」とはなかなか言い難いような方向に向かっている感じが、私は絶えずしているのですけれども、そういうところに大胆なご発言といいますか、ご提言といいますか、切り込んでいかれるようなお気持ちというのはどうなのでしょうか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 私ども労働組合というのは、行政改革に反対と皆さんは思われているかもしれませんが、連合はずっと行政改革を一生懸命やっていましたし、私などは二十何年間か行政改革に取り組んでまいりました。

 そのときに、なぜやったかといいますと、二十数年前から高齢化社会がやってくるのはわかっていたのです。高齢化社会には、どうしても政府のお金がいる。だから、行政の無駄は省くとともに、財政構造も高齢化社会に合ったように直さなければいけない、という思いがあって、第2次臨調などではどこも言ってないときに、労働組合が「作れ」と言って作っていただいた経過があるわけです。

 公共事業の問題につきましては、言われるとおりございまして、我々も今度の予算要求でも、特に従来型の公共事業については思い切ってカットして、いわゆる将来につながるような投資に変えてくれということを強く申し上げましたけれども、どうも政治の現状が票田開拓型の従来の公共投資を継続している。これについては、我々としても不満をもっております。

〔 F委員 〕 アメリカ中心のグローバルスタンダードということですけれども、これについてはアメリカ型のグローバルスタンダードでないスタンダードということで表現されていますが、私は、アメリカ型をグローバルスタンダードというふうにもとらえていないのですけれども、何か1つの具体的なスタンダードというものをお考えになって発言されておられるのか。

 もう一つは、今のお話を伺っていて、ここに書いてあるとおりで、一つ一つ反論の余地もないという感じはするわけです。しかし、今のお話とご質問と関連するかもしれませんけれども、高度福祉社会と財政のバランスというものをどのあたりでとろうと考えようとしておられるのかということが2点目です。

 最後ですけれども、官から民へという日本の経済構造の転換ということについては、労働組合として、組合の立場としては、これは当然のことながら前提にしているのだというお考えなのかということ。

 それは、今、モノ余り・ヒト余りということを言われていますけれども、実は、会社余りだと思うのです。自動車業界でも、電機業界でもそうですけれども、いわゆる生産能力が非常に向上したために、極端に言えば、今まで10社であったものが3社ですむというような時期になってしまっているという、この認識を持たなければいけない。そうすると、10社があったものが3社、要するに7社が合併するか倒産するかで消えていくということになる。そういうときに必要になってくるのは規制緩和だと思います。

 これは先ほどの経団連の方にもお尋ねしたかったのですけれども、規制緩和ということについて、産業界も労働組合側もどれほど取り組もうとしているのか。外に向けて--政府に向けて、官僚の方々に向けて--は要求をしている、働きかけをしているようですけれども、実は、産業界の内部に向かってとか、労働組合の内部の向かって、規制緩和あるいは撤廃というものを強力に推進されなければ実現しないのではないだろうか。

 一番痛みを伴うのは官僚の方々ではなくて、産業界、労働界の人たちです。それを、言っておられる割りには実際の行動がなかなか伴っていないように見受けられるのですけれども、それは私の認識不足でしょうか。そのあたりを教えていただきたいと思います。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 アメリカ型スタンダードの問題は、アメリカにもいろいろなスタンダードがあって、私どもはアメリカの組合といろいろお付き合いしていますが、いろいろなスタンダードがあると言われています。アメリカを勉強された日本の学者が言われるアメリカ型スタンダードというのは、市場主義みたいなことをおっしゃるわけです。我々アメリカを知っている人間としては、そうは思っていません。いろいろな意見があって、いろいろなものがある、と。しかし、日本で言われているアメリカ型スタンダードというのは、市場に任せればいいのだというものですので、こういうことではどうなのでしょういかということで申し上げているところです。

 我々は、アメリカAFL-CIOとの定期会談がありますけれども、スイーニー会長は、アメリカ社会の真似をするなということを常に我々に言い続けるというのは、ちゃんとアメリカの実態を勉強して、いい部分悪い部分を取捨選択してやってくれよという意味だろうと私は思っています。

〔 F委員 〕 それに対して、組合側のグローバルスタンダードというものは今、確立されておられるのか、もっておられるのか、考えておられるのか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 我々としては、今、トータル論としてどうかと言えばあれですが、一言で言えば、アメリカ型とヨーロッパ型の中間ぐらいのところの社会モデルを作るべきではないかというのが我々の考え方です。

 それから、高度福祉社会の問題ですが、特に高度社会福祉づくりで忘れてならないのは経済。経済なくして高度福祉社会はあり得ないと思っています。だから、経済というのがある程度きちっとしなければ福祉もない。

 それから、よく言われていることですけれども、連合としても、第2次臨調で出されました50%以内の国民負担率の中で高齢化社会をどうやっていくか、ということを考えなければいけないと思っています。

  ただ、申し上げておきたいことは、福祉というのは、今まではとにかく消費だけで無駄だと思われる論が強かったわけですが、私どもはそう考えておりません。福祉も経済の一部であり、また雇用を生む場でもある。経済にも貢献する。そういうことを我々としてはきちっと見なければいけないだろうと思っております。

  規制緩和の問題でございますが、日本の規制緩和は、日本らしいと言えばらしいのですが、私は「規制緩和」というよりは、規制改革というのがOECDでの標準語ですから規制改革と言わしていただきたいわけですが、どういうふうにルールを変えていくかということだろうと思うのです。日本の場合に特に視点が欠けていたと思いますのは、いわゆる戦略論なき規制改革、規制緩和をやってきているのではないか。

  私などの目から見れば、まず一番始めに規制緩和しなければいけなかったのは金融部門だったと思っています。そこでいろいろな問題が起きる。そうすると、雇用を生み出すような、これから発展するような産業、ここをまず追求する。そこは何だと言えば、情報産業だろう。こういうところを順序雁行的に、では次に何だと言えば、今ちょっと出ていましたけれども、建設がどうも変だ、建設関係の規制緩和。それから、国内産業の非効率はどうだ、交通・運輸とか、エネルギーとか、そういうところの順序を戦略的にきちっとした規制改革をやっていかなければいけないのが、どうも場当たり的にちょこちょこっと首を突っ込んではやって、規制緩和をやったつもりが、どこかにまた糸がからまって、結局は何も変わっていないという実態がいっぱいあるわけです。もうちょっと戦略をもって規制改革・緩和をやらなければいけないのが、日本のやり方というのはそうなっていないと思っています。

〔 F委員 〕 金融部門というものと、情報産業というものと、建設部門というものが密接に結びついているわけで、「雁行的」というふうにおっしゃいますけれども、その一つ一つ、部分部分、パーツパーツで、改革はできにいのではないかと思うのですけれども。

  最後に、先ほど、アメリカのグローバルスタンダードが市場主義だ、と。ヨーロッパのグローバルスタンダードについては、労働組合の立場としてはどういうふうなものだというふうにお考えになっていますか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 特にサッチャー以降いろいろありましたけれども、今のヨーロッパの政治の潮流は、「サッチャー・レーガンさようなら」ということで、ただ、それは全部が元に戻るかと言えばそうではなくて、社会的連帯というものを重要視した、ある意味で社会的市場経済論というのがドイツに昔からありますが、そういう方向に向かっているのだろうと思っております。

 社会的市場経済論というのは、社民党が言ったのではなくて、アデナウアー政権下で作られたことでして、市場任せでは市場は失敗する。そのためにセーフティネットをどう張るかということを、その当時の大蔵大臣を中心に作られたシステムです。そういうことになっていくのだろう。そこを我々も非常に勉強していかなければいけないと思います。

〔 部会長 〕 規制撤廃・緩和あるいは規制改革ということは、民間でも、当経済審議会でもずっとやってきている話ですけれども、今、F委員のご指摘の、縦割りになっているからなかなか波及効果がないという話も、この前の構造改革推進研究会でずいぶんやった話です。

 最後に、F委員の言われたご質問の中で、直接お答えにならなかった、民民規制という話。これはこの前の経済審議会でも取り上げて、経済団体でも一部、経済同友会が取り上げておりますけれども、要するに既得権益との関連で、そうなると産業界、経済界、個々の業界だけでなしに、今、F委員が言われたのは「組合にもあるのじゃないか」ということで、自らの規制改革はどうなっているのですか、そういうことだと思いますが、全くそういうことはないというお答えなのか、その辺はいかがですか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 組合ということになりますと、結局、組織づくりというのが商売なのです。今、労働組合は、私は、構造不況に入っていると思っています。組織率が20数パーセントですから、やはり、組織率を上げなければいけない。それが社会に対する影響を強めることになりますし、また、それができなければ、我々も食っていけないわけです。その営業というのは組織づくりだ。

  確かに、この業界は俺のところの縄張りよということがありました。これはもうだめだ。縄張りだと言っているけれども、全然営業しない。だから、切り取りご免にしようということで、連合は組織拡大に向けて、それぞれのところに手を挙げていただいて、手を挙げたところに組織化してもらうという営業方針に大転換をして、民民規制はやめました。

〔 部会長 〕 組合も競争原理を導入されてきているということですね。

〔 G委員 〕 組合からご覧になって、いわゆる企業は誰のものかということに関しては、どのようにお考えでしょうか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 これは端的に言うのは難しいですが、私などは、そこの従業員、株主、社会いろいろなものが複合的に……、誰のものかと言えば、そういうことで答えざるを得ないですけれども。

 今までは従業員中心だったと思います。家族主義的経営が大企業でも行われていた。しかし、そのいい部分というのは、日本の経営の力だったわけですから。

  先ほど、持合いという問題がありましたけれども、本当にお金を出したのか、各企業がお金を出して持合いをしたのか、と。

 安定株主というのは、私は、日本的経営を支えた重要な要素だろうと思います。というのは、中長期的なことを考えて経営ができる。安定株主があったからこそできたことかもしれません。

 だから、誰のものかと言われると、私は、従業員中心で、株主、それから社会、そういうものをどう考えていくかというのが組合の立場だろうと思っております。

〔 部会長 〕 組合の立場はステークホルダーズキャピタリズムのお立場、こういうことですね。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 はい。

〔 部会長 〕 時間もございませんが、あと一問ぐらい、いかがでございますか。

〔 B委員 〕 雇用の関係で、産業構造の転換を促進する意味では、労働のモビリナィなどということが当然のことだという前提になっていった場合に、日本の国で雇用問題というと中高年の雇用の確保ということがすぐ話題になったり、対策として打たれるのですけれども、ここ数年での産業構造の転換を促進するとか、当面の景気を促進するとなると、家庭的なこととか、小さな場で考えていくと、フレッシュマンといいますか、若手の人の採用あるいは就職がないというは非常に重要な問題だと思うのです。そういう意味では、若手の人の出番をつくっていくというのは、必ずしも連合の問題点ではなくて、一般論ですけれども、そういうことがもっと言われてもいいのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

〔 村上総合政策局長(日本労働組合総連合会) 〕 おっしゃるとおり、昨年卒業された方がまだ11万人未就職です。昨年4月段階では16万人いたのが、5万人が就職されて、11万人です。

  ヨーロッパなどは、大学を出たら、就職できないときは雇用保険がもらえるのですけれども、日本の場合は、学校を出て未就職は雇用保険適用ではないです。だから、何かやっているでしょう。

  ただ、問題は、この方々が、親の育て方の問題もあるのでしょうけれども、フリーターとか、パートとかに結構流れていて、これが日本の社会の将来にとっていいことか悪いことかという問題も出てくるのだろうと僕は思います。特に、パート・人材派遣を含めて 1,200 万人を超えました。これは、日本の雇用は流動化しないという学説がよく言われますけれども、私は、ずいぶんに流動化している、と。しかし、今のままで無秩序に流動化することがいいことか悪いことか。これは、何十年後かの日本を考えたときに、いろいろな問題を惹起するのではないのかと考えておりまして、中高年と同様、若い人たちの雇用という問題は、将来の日本にいろいろな悪い影響が出てくるということで、我々としてもいろいろ提言をし、政府に対策を求めています。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。まだいろいろご意見がおありかと思いますけれども、時間がまいりましたので、これで終わりたいと思います。

 村上さんには、本当にお忙しいところをどうもありがとうございました。

 続きまして、在日米国商工会議所のヒアリングを行いたいと思います。

 それでは、在日米国商工会議所 副会頭のロバート・グロンディンさんからご説明をお願いいたします。

〔 グロンディン副会頭(在日米国商工会議所) 〕 おはようございます。グロンディンと申します。よろしくお願いいたします。

 課題自体があまりにも広くて、こちらの委員会の目的が、いかにも日本社会に対して重要であるという認識のもとで出席させていただいていますが、ひとつ我々の方の言い分は何をすればいいかというのはなかなか難しいです。特に、いろいろなところから最近の日本の行動を見ている中で、改革、改革、改革、そればかり言われる。私の分野、私は外国法人弁護士ですが、日弁連も改革、改革ばかり言って変わらないです。だから、ある意味で、「改革」が題名の中にあるけれども、本当に改革をやるのか、と。その実際の将来の目的、また方法論だけでも、改革するのかしないのかによって全然違うのです。規制緩和で少しずつ一部分一部分是正していくか、または、激変的にビッグバンのようにやっていくのか、その根本的な考え方によって対応方法が全く異なってくるというものです。

 今のお2人の話の中で、非常におもしろい話だったと思いますが、改革と言いながら、激変はよくない、おそれるべきものであるというのが出ていました。連合の方も何回も「安定」と出てくる中で、やはり改革にならないのではないかという気が強くするのです。

 改革にならないと変わらないのではないか、という基本的な見方ではあります。

 今まで見ている中で、私は日本に通算で17年住んでいますけれども、ものすごく変わっている分野と、全く変わっていない分野といろいろあります。今まで変わっているというのは、ビッグバンがあったからこそ初めて金融界がずいぶん変わりつつあるということから言えば、日本で改革をやったというのは一番近いのはビッグバンでしょうから、その効果をみて、どうかというものをひとつ言わせていただきたいと思います。

 そこから、将来どういうふうに変わっていくかというものにおいては、我々は商工会議所ですから、商工関係に絞っていきたいと思います。

 経団連の方がおっしゃっていたような法制度等の関連、ベンチャー企業等の育成においては我々は非常に興味深いところです。なぜかというと、ベンチャー企業の新しい事業を展開していくというのは2つの面がありまして、全くゼロからスタートした日本国内の企業発生、自発的にどうやってそういうものを育成するかは1つの中心の柱でしょうけれども、もう一つは、対日直接投資。よそのものが入ってきて--既にできているよその技術、日本ではまだ育成していないもの--。本来は、社会に対する貢献度は両方あるのです。外から既にできているものを持ってきて、早く日本で新しい企業をつくって、新しい雇用を増やすという貢献度が非常に高いです。

 我々アメリカの80年代を見ると、そういうことから、アメリカに対する海外からの直接投資がアメリカの復活に大変貢献したという見方になっている中で、日本企業が大量にアメリカに投資したというのは大歓迎です。

  逆に、今度のこういう時期ですから、日本のいろいろな分野で、またビジネスチャンスが生まれていますので、これだけ不景気になるといい面も悪い面も必ずありますし、新規投資で是正して新しい企業が育っていく、今までの経営が不順なものを改善させていくという両方の見方がありますから、そういう相対的な整備が必要ではないかというのが我々の観点です。

  我々がいつも言うのは、どちらかというと外・中というものをあまり区別しないで、新規参入企業を育成すべきである。差別せずに、外から入ってくるものも歓迎すべきである。自発的に国内で発生する新しい企業も歓迎すべきである。両方が新規雇用の増になりますから、両方を大切にすべきである、というのが我々の立場です。

  今までの話の中で1つ指摘したい部分がありましたのは、金融機関の話、ビッグバンを例として挙げているのですけれども、まだ根本的に金融関係の考え方が変わっていないような気がするのです。銀行型、官僚主導型……。自己責任という話がしばしば出てきますけれども、資本市場に対する考え方がまだそんなに変わっていないような気がするのです。

 資本市場の考え方、活性化の仕方、ベンチャー企業の話を始めると必ずそっちの方に行くのです。5、6年前からも、いろいろな審議会で議論されて、いろいろ話を聞いていますけれども、ひとつも活性化されていないです。

 活性化するにあたって何が必要かというのは、株主を重要視しなければいけないです。株主を重要視しない資本市場などはないです。したがって、相対的に考える中に、法整備等の環境づくりというのは、そこからスタートするのではないかと思います。

 アメリカのベンチャー企業のお話が先ほど出たのですけれども、一流技術で二流経営、これも昔から言われている問題で、そこをどうやって補填するかというのは、インベストメントバンクがやるのです。ベンチャー・ビジネスに対して最初の時期から投資するにあたって、何を入れるのかというのは、お金を入れるのはもちろんです。人材も入れるのです。取締役なり、経営陣なりを入れる、株主の立場を確保するために入れるのです。したがって、経営に対する関与度が高い。それとともに、技術を育成していく。また、新規サービス等のいろいろな--技術だけの世界ではなくなっていますから--。

 ベンチャー・キャピタルというのは、ハイリスク・ハイリターンの世界です。自分の立場を確保していなければ、ハイリスクの投資はできません。株主重要視型の方向でないと、そういった投資自体ができないのです。

 今、知っている若い方の中に、日本で実業家の成功した人たちが集まって、友達同士でベンチャー・ファンドをつくったりという、なかなかおもしろい動きが出ていますけれども、普通の証券会社とか、非常に小さいレベルでやっているだけです。日本の証券会社、アメリカもそうですが、ベンチャー・キャピタルをやる投資銀行さんというのは専門的で、小さいのが普通です。単位も小さいですから、大証券会社が扱うような単位ではないです。企業を発生する段階ではそんなにお金を必要とする段階ではないですから、小さくて、専門的に経営陣も入れて、そういう法整備が整ったうえで、株主の役割として確保されているというのが第一歩です。

 先ほどの話の「安定」。ローリスク・ローリターンというのは、まさに今の日本の社会の見方として厳しいかもしれないですが、そこなのです。安定をおっしゃるのは、それがリスクなのです。リスクの分析の1つであって、ハイリスクとローリスクの両方でリスクであるという認識が、日本ではどうも足りないと思うのです。

 激変的なものはやりません。それを言うだけで、安定して、今が確保できるかというと、できないのです。世界が全部大体激変的になっていますから、日本だけがこういう立場--今の部分、それだけ守っていくという考え方--、それは1つの選択ではありますが、これはローリスク・ローリターンの選択なのか、また逆に、変わらないことによってはハイリスクなのか、それの分析が今、日本が本当に必要としているものではないかと思います。ただ、それがあまりにもマクロ的で、我々商工会議所としてはミクロをいつも見ていますから、どちらかというと、日本の資本市場をもっと効率よくしていくにはどうするかというのが我々の一番強い懸念をもっているところです。

 タイミング的には1日早過ぎたというか、我々が2年ごとに出す貿易白書が今日の午後発表するタイミングなのです。その中に、M&Aとか、法整備、インフラ整備に関しての項目がいくつか入っています、もうちょっと具体的なコメントがたくさん入っていますので、皆様にお配りしたいと思いますが、後でお送りいたします。

 次に、常にリスク分析して企業の経営をしなければいけない中で、我々がアメリカで見て、M&Aが重要な役割を果たしているというのは、その会社の資産をうまく運用していないものは追い出される危険性があるからこそ、将来の経営を是正しなければいけないという環境なのです。そのために浮動株がどうしても必要ですし、先ほどの持合いに関して、激変的なものになったらどうなるかということはなかなかおもしろいですが、東証が1万を下回った場合は買い手がたくさん出てくると思うのですが、それが資本市場であるということです。そこが経営陣に対するプレッシャーとして、新しく商品の開発をやらなければいけない、この会社をどうやって育成するか、どうやって成功するかというプレッシャーが必要であり、また新しいアイデア、新規投資が入ってこれるために、株主の立場としてその立場を確保しなければいけない。ですから、全体的に見て、持合いによって浮動株があまり流れないというのは、日本の今の現状がなかなか変わらないというふうに我々は見ております。

 その中で、まだ従業員に対してどうするかというのは、みんなそれぞれのインセンティブが必要であるというのは確かです。先ほどの連合の方の答え、誰が持ち主かというのは、法律的に言えば本来はっきりしているはずですが、共同でやっていかなければいけないという、それも当然なのです。従業員なしでは、どこの会社もできないです。それで、インセンティブを最もうまくつけるために何が必要かというのは、この2、3年で日本が一歩進んだものがストック・オプションの創設ですが、ただ、これが我々アメリカの方から見た場合に、特にベンチャー・キャピタルの考えている中に現状のストック・オプションのあり方は、とんでもないです。何の影響もないです。そんな狭く、堅苦しく、何株を付与するというのが、誰の行動に対しても影響しないです。これが狭く取締役に対する部分だけであるというのは、従業員の貢献に対するものにならないです。

 アメリカのベンチャー・ビジネスの会社を見ている中で、大体、会社の従業員も全員が対象になるのです。ある意味で、日本型資本主義、日本型経営は、従業員中心でボーナスを上げて、あまり配当をしない-というのは、逆に言えば、アメリカの方がその道では一番成功しているのではないかという見方もありうるのです、このストック・オプションによって。

 マイクロソフトとか、こういう会社を見ている中で、世界で一番お金持ちの人であるだけに、億万長者を発生した会社として、何百人・何千人も億万長者になった。なぜそうなったか、ストックオプションが全部ですから。それで、会社が成功すれば、大変に自分の貢献度があらわれる。

 したがって、うまくベンチャー・ビジネスを育成するにあたって、最もストックオプション制度に重要かつ柔軟性を付けたものでないと、その役割を果たせないというふうに我々は思います。

 その一環としては、税が整っていないと意味がないです。M&Aに関して、持株会社等の関連も全く同じです。ビジネスですから、コストがどこに何がいくらかかるかは、当然最初の質問です。持株会社をつくるにあたっても、NTTの例を上げれば、官僚サイドで、国税サイドでわかっているのです。新規で法人カンパニーをつくるにあたって、再編するコストが膨大なのです。資産譲渡等の関連、全部会社のものを動かして、新しく上に会社を建てたりするというのは、あまりメリットがないというだけではなくて、現状ではコストが高い。したがって、できない、話にもならないです。

 前々から、我々の提言の中にあったのですが、持株会社は経営構造を将来的に効率よく再編するにあたって必要な措置でしょうから、独禁法の強化等もありながら、移行するにあたって何が必要かというのは、税金がかからないような再編できる措置、株式交換制度等の措置が入っていなければできないです。アメリカは、M&Aが安易にできるために、そういった交換制度等の税務上の免税行為であるものが前からあります。

 そうすると、特に連合の方が気になると思いますが、単純に資本主義、自由という方向で動いていると、社会に対する悪影響が及ぶのではないか、これは当然の懸念です。どこの国でも同じような問題がありますから、アメリカの場合は、資本主義をコントロールするために何をするかというのは、独禁法の厳しいこととか、ほかの法整備がしっかりしていなければいけないのは当然ですし、その違法行為に対する処罰が厳しいです。賄賂を払ったりとか、そういうことをやった場合は、牢獄行きは決まりなのです。しかも、罰金も多大な罰金です。したがって、社会に対する悪影響が及ばないような措置も、同時に打たなければいけないことが出てきますが、これも相対的に流れの中で、コメントは、法整備全体の見直しが必要であると思います。

 したがって、冒頭で言ったような、部分毎の規制緩和という、見るだけではなかなかうまくいかないです。ストックオプションですと、商法のこの部分が妨害されるから、この部分だけを直したりする。そうすると、株主の立場確保にならないですし、どうも相対的な見直しが必要ではないか。

 それに対応するためのインフラの整備も必要です。特にサービスの産業の中で、先ほど、投資銀行さん、ベンチャー・キャピタルというのは1つですが、ほかにも幅広く……。今日本で一番そういう分野で欠けているのが、サービスできる提供者、弁護士をはじめ、会計士、税理士。

 今の日本でM&Aをするというのは、今月が本当にピークでピンチなのです。世界的な規模の投資銀行さんが先日訪れて、今月で3つやりたい取引があるのですが、これを手伝っていただけますかという。手が足りないのです。どこを回っても、それを受けていただけない状況で、世界で信じられない状況です。弁護士も足りない、会計士も足りない、普通のコンサルタントも足りない。経験をもっている投資銀行さんも足りない。こういう中で、インフラが全然整っていないまま何ができるかというのはなかなか難しいです。これを直すには、何年かはかかります。この全体を見て、ある意味でビッグバンの1つの大きなプログラムとして作って、3年後の目標としてこれがやりたいという運び方でないと、一気には直せないものではないかと思います。

 直接のコメントはそれでとどめて、質疑応答に入りたいと思います。

〔 部会長 〕 どうもありがとうございました。

 ただいまのグロンディンさんのご説明に対しまして、ご質問等をどうぞ。

〔 H委員 〕 先ほどの村上さんのご発言の中に、いわゆるアメリカ型のスタンダードとヨーロッパ型のスタンダードというご意見があったわけです。同時に、多少そこで矛盾しているかなと思うのは、片方は情報化社会だ。情報化社会になると、どちらにしても、瞬時に世界中のお金であるとか情報とかというのは動いてくる。そうすると、日本だけで孤立するというのは、日本型というのはどっちにしろ成立し得ないと私は思うのです。そういう意味で、日本の「あるべき姿」を構造改革推進部会で検討する場合に、1つの参考のご意見として、先ほどのアメリカ型スタンダードとヨーロッパ型スタンダード、その辺の違い、さらに、日本においてはどうあるべきかというご意見があったら教えていただきたい。

〔 グロンディン副会頭(在日米国商工会議所) 〕 グローバルスタンダードというのは、どうも日本がつくった言葉らしいです。

 ヨーロッパ型スタンダード、アメリカ型スタンダードというのは、先ほど連合の方がおっしゃったように、これという決まったプログラムというのはないです。いろいろな意見をもっている人、いろいろな違う見方をもっている者がたくさんおりまして、1つ決まった、これだけをすれば全部大丈夫だ、アメリカ型スタンダードを導入できるという、そういう本もないです。何もないです。

 日本型スタンダードを作るべきであるというのも、基本的な考え方としてはよくわかりますけれども、おっしゃるように、今は無国籍時代に向かっている中に、将来、国別段階において政策を作ってどうやるかというのは、我々の特別のスタンダード--我々はほかと違うようなものしかやりませんという--、これが成功できるものかと言えばできないはずです。どちらかというと、今、世界的な方向として、規格が統一された--製品も全部そうで、汎用性、互換性がなければ成功しないという--状況ですから、これから日本型のもの、別なものをつくっていきましょうという中で1つの問題としては、全部が合意できた上で、そこまでにならないうちは何も行動できないのか、という非常に大きな問題です。

 アメリカ型スタンダードといっても、あるならば、歴史をどこからスタートさせるかということもあるでしょうけれども、ドイツとかああいうグループか、昔のアメリカのニューヨーク市場がある喫茶店で始まったとか、何百年の歴史があった上で育ってきているものなのです。これから日本の新しいものをつくっていこうではないかといったら、それはどのくらい期間としてみるのか、それの創造ができ上がるまでは行動はこのまま安定させて変化しないのか、という問題が中心の課題にならないといけないと思うのです。

〔 A委員 〕 グロンディンさん、相当きれいに整理していただきましたけれども、実務者の立場から、私は、ご参加の委員の方々に情報をご提供したいと思うのです。

 ベンチャー・ビジネスのお話がございましたけれども、私はたまたま所属しているのは外資系の情報産業で、その社長連中が集まって91年に活動を始めたのですが、そのころの6社の従業員の数が 800人でございました。現在、2万人を超えております。ですから、5年間で30倍になっているわけです。これこそ、いわゆる労働市場の創出ということで、1つの案としてお考えいただくのにはいいのではないかと思います。

 それから、ストックオプションのお話がございました。コンパック社の場合は、1982年から91年まで全従業員にストックオプションを配っております。91年に株価が下がりまして、そうしたときに今度は従業員から、株価が下がったのは、私たちが一生懸命努力したにもかかわらず株価が下がっているので、従業員に公平さを欠くのではないかという意見が出まして、91年以降、別の方法でインセンティブプログラムというのができているのです。事実として申し上げたいと思うのです。

 3つ目の点は罰則ですが、私も企業の日本のカルチャーと米国のカルチャーの中にいまして一番強く感じますのは、嘘をつくということに対する米国企業なり米国社会での厳しさというのは、日本の社会とは全く違うものだと思うのです。いかにその問題が小さなテーマであっても、事実を事実として聞かれたときに、一度嘘をついたということになりますと、それに対する処罰というのは非常に大きい処罰になっている。だから、嘘をつくということには、経営者としても、従業員としてでもそうですが、この辺がアメリカの社会と日本の社会の大きな違いではないか。

 今、グロンディンさんのおっしゃったことを補足のような形で話させていただきました。

〔 グロンディン副会頭(在日米国商工会議所) 〕 今の観点、非常に重大だと思うのです。そこが会計基準に非常に響いてしまうのです。そういう信頼できるものが揃った上で、帳簿を作り、会計を行っていなければいけないものであり、現在、日本がある部分で世界的に非常に冷たい目で見られているのが、帳簿等の財務諸表が信頼できないのが一因です。もっと幅広く言いますと、現状の会計制度等の基準自体もちょっと低いですが、会計士に対する扱い方、費用の問題もありながら、結局、会計士を会社の中に入れて、ちゃんと監査できるような体制になっていない。会計士があがってきた資料だけをちょいちょい見て、いいだろうという世界では、ちょっと資本市場の確立はできないでしょう。

 もう一つ、今思い出したのですが、日本の国内市場で自己責任も言われるのですが、日本国内資本市場で弁護士が一切関わっていないというのは、世界で不思議なのです。したがって、警戒感があり、昔からあまり直っていないのではないかと思いますので、そこも全体的に資本市場を活性化するにあたっての国内整備の1つではないかと思います。

〔 I委員 〕 感想と、1つ質問をいたします。

 いろいろな面において、さっきおっしゃったように改革ばやりですが、グロンディンさんの話から、安定しているということはローリスクであるのか、変わらないということがハイリスクなのか、それはよく考えないといけない、と。これは大変に示唆的だと思います。これは感想です。

 今、社会制度であっても何であっても、10年単位でどんどん変わるわけですから、10年単位で変わるものを後から追いかけていっては、いつまでたっもダメなものばかりということで、これは特に変革ばやりの日本では考えないといけいな点ではないか、そう思いました。

  それから、ベンチャーの話が出ましたが、日米の企業家では、会社を起こすときに、感覚、あるいは会社というものについての思いが違うという話をある大学の先生から伺ったことがあります。日本の場合には、古典的なベンチャーで言えば、ソニーであり、ホンダでありということでしょうけれども、自分は技術を持っている、だから、経営はほかに誰か、あるいはお金は誰かということよりも、自分が持っているもので会社をつくって、会社を運営して、できれば一生ずっとそれをやっていきたいという感覚が日本人の場合には非常に強い。これはいい悪いではなくて、もしそうであれは、日米の違いというのでしょうか。これをベンチャー育成というときにも考えないといけないかなと、あるいは考えざるを得ないかな、と。どういう答えがあるのかはわかりませんが、そんな感じがしております。

  あわせて、これも先ほどのお話で大変示唆的だなと思いましたのは、アメリカでも、ビル・ゲイツは、やはり、1人しかいないから目立つわけだと思うのです。数、あるいは雇用の数でいけば、非常に小規模な、例えば飲食業というようなものが多いと聞きます。そうであれば、1人ビル・ゲイツをつくるよりは、従業員10人の会社を 1,000個つくった方が、雇用という意味でははるかに日本の経済に貢献するわけですから、そういう観点がもっとあってもいいのではないか。ハイテクの非常に大規模なもの、ベンチャーというとそういうものがすぐイメージに浮かんでくるわけですけれども、そこはもう少し考えた方がいいのではないか。

  そういう観点からすると、先ほどのお話の中の、とりあえずそういう人たちにとって会社を起こすために必要な金額というのは小さいものであって、大きい金融機関がリスクをとらない、覚悟がないという面もあるのでしょうけれども、それが対応しないところに対して、日本には地域的な金融機関というのが、この部分はむしろ充実しているわけですから、そういうものがどう使えるのかということをもう少し考えてもいいのではないのか、こんなふうに思いました。これは感想です。

  それから、1つだけ、非常にマクロ的なことになるのですが、質問です。先ほどM&Aという話が出ました。これはいわゆるグローバル・キャピタリズムという名前の下で、今、国際的な大規模な合併というのがどんどん進んでいるわけです。最も独禁法、競争政策が行き渡っているアメリカを中心にして、その寡占状態がどんどん進んでいるわけです。合併において、競争政策当局の審査をクリアしてからであるにしても、結果的には非常にその参入障壁は高くなっているわけです。こういうことに関して、これは非常にマクロ的で流れの話ですけれども、どうお思いなのかを伺いたいと思います。

〔 グロンディン副会頭(在日米国商工会議所) 〕 先ほどの感想に関して補填させていただきますと、1人、2人、3人という会社の起こし方というのは、アメリカでも数としては圧倒的に多いのです。それがベンチャー・キャピタルに入らない世界。これはサービス産業が非常に多いのですが、どうやってスタートするかというのは、自己の蓄えがあった場合でもありますけれども、かなりの数がクレジットカードでスタートするのです。自分のクレジットカードで2万ドルなりのお金まで借りられる、自由に分割払いでできるという形で、小さな会社がそれでスタートしている例がかなりあるのです。

 いろいろな面から、そういった自由度があるというか、1つは、その会社の起こし方という考えにおいて、本当に違うかどうかはよくわかりませんけれども、アメリカで創立者と会って、昨日、PSIネットの社長と会いましたけれども、本当に自分のものなのです。会社がこれだけ育ってかわいいものだという、日本とそんなに変わらないような気がするのです。ただ、日本は一応そこができたら、その箱の中で生きていかなければならないという、次の段階まで考えないのがちょっと印象的です。

 アメリカの場合、1つの法整備としてあるのは、特にベンチャー・ビジネスの中に、シリコンバレーでよくありますけれども、破産しても構わないのです、ある意味で。これは経営が失敗だったのか、技術が、お金が足りなかったのか、いろいろな例がありますけれども、破産したから次ができないということではないのです。破産した者、その後、その人にまた投資する投資銀行さんが出てくるのです。そのときのアイデアはよかった、もうちょっと違う角度から行けばよかったとか、いろいろなものを分析してみるものですから、破産してもそんなにこわいものではない。普通の商行為の中で成功する会社があれば、失敗する会社もある。ハイリスク・ハイリターンの世界では、失敗事例も当然にあり、そこから勉強していくということもよくあります。

 日本の破産法も、1920年にできからあまり改正されていないまま、現状の社会に対応できていないような問題もありますから、それもぜひ改正または全体的な見直しが必要だと思います、ベンチャー・キャピタル育成にあたって特に必要な措置ではないかと思います。

  ご質問については、今の大規模合併が進んでいる中でも、反対して拒否されている部分もあります。ただ、市場がどういうもの、また観点から変わっていくか、何が今ルールになっているのかというのははっきりしていない部分が当然あると思うのです。アメリカ的な考え方から言えば、法律は生きているものですから常に変わっていく。社会的に対応するものとしては、変わっていく必要がある。今まであまり見ていなかった大型合併は、アメリカだけでなく、ヨーロッパでもかなりのものもありますし、アメリカとヨーロッパの間の大規模合併をかなり相次いでやっています。それが一応、アメリカ国内に説明されているものとしては、グローバル化されていることによって、国単位で市場を見ることがもう許されない。これが将来失敗する例である。その観点から言えば、新規参入の難しさの程度を分析したり、海外からの新規参入がどれけ安易に入れるかとか、いろいろそういったものを見た上で、そういった合併案を評価して、反対するか、合意するかというものです。ですから、今までの考え方が、特にそういう観点から変わってきていると思います。

〔 部会長 〕 まだいろいろご意見もあろうかと思いますが、時間の都合もございますので、本日の審議につきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。

 グロンディンさんには、本当に明快な日本語でいろいろとお話しいただきましてありがとうございました。

 それでは、次回以降の日程について事務局から説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 お手元に資料2で「検討スケジュール」をお配りしておりますが、前回第1回目のときにお配りしたものと日にち、時間は変えておりません。一応確認させていただきます。

 次回は、第3回3月16日(火)午前10時~12時、場所は 729号室、この建物の7階でございます。

 なお、前回、「あるべき姿における我が国の国家像をどう考えるか」ということで文書で事務局の方にお出しいただきました。大変ありがとうございました。次回、他の部会のものとあわせ整理したものをご説明させていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

〔 部会長 〕 それでは、第2回の構造改革推進部会の審議は以上にいたしたいと存じます。

 本日は長時間のご審議、誠にありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。

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