第3回総合研究開発基本問題研究会議事概要
- 日時:
- 平成11年1月20日(水)14時~16時
- 場所:
- 官房特別会議室729号室
- 出席者:
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前田勝之助座長、荒巻禎一委員、竹内佐和子委員、月尾嘉男委員、土志田征一委員
船橋洋一委員、水口弘一委員、
中名生局長、牛嶋審議官、高橋審議官、大西計画課長、佐々木総合研究開発室長他
NIRA星野理事長、平野理事、赤松理事、永田理事、菅野監事他
- 議題:「今後における総合研究開発機構の活動および研究開発の進め方」報告書(案)
- 審議内容:
「今後における総合研究開発機構の活動および研究開発の進め方」報告書(案)について事務局より説明、その後討議。
委員からの主な意見は以下の通り。
- ●報告書ではNIRAのこれからの方向が出ておりこれからの出発点としては引き込まれるものがある。提言内容として一言いえば、多少遠慮しているところが見受けられる。基礎的研究の充実として、まさに、外交やヨーロッパの視点に置くべきである。政策やメディアの世界ではアメリカナイズされている。政策のモニタリングも非常に関心がある。研究開発の方法もこれからは、統合的な手法が重要になってきている。分野の垣根がなくなってきているので横断的な研究をNIRAの大きな柱として進めていって欲しい。また、政策の事後評価は重要である。海外のオピニオンリーダーのデータベースに注目し、日本のイメージについて注視する必要がある。日本のシンクタンクはもっと社会のニーズにこたえる政策研究をするべきだ。
- ●報告書のみだしでは内容がしぼりにくいが、委員の意見をフェアに取り上げてもらっている。欧米のシンクタンクのトップには女性が多い。日本とのギャップを感じるので、NIRAが率先してチャンスを与えることを考えてはどうか。事後評価は重要であるから独立した柱として扱う必要があるのではないか。政策評価についてはNIRAで直接実施するのが難しい場合には、NIRAがそうした研究を行うシンクタンクを支援するということを考えるべき。また、NIRAの特色を生かして環境や高齢化等の長期的な観測を行って欲しい。
- ●今後の課題、問題が的確に出ているので実現に向けて努力して欲しい。地方分権の時代であり地方政策形成にシンクタンクを活用するためにもNIRAの研究や場の支援に期待する。地方のシンクタンクも同様の課題があるので機会ある度に言っていきたい。NIRAの財政問題や政策についても若手の議員に働きかけることも必要ではないか。研究成果を一般にも広く普及させ、そこから出てくる意見をフィードバックすることも必要。
- ●NIRAの役割は、シンクタンクの研究水準の向上、地方シンクタンクへの啓蒙、研究を国の政策に反映させることである。特に、国の政策にどのように影響をおよぼしていくのかについての記述がまだ不十分である。また、国際的にも頻繁に使用されるような人文系のデータベースの作成が必要である。
- ●今後のNIRAの方向は、シンクタンク活動のための公共財の提供ということが重要。また、シンクタンクの過去の研究の分野別のデータベースを作り、情報をインターネットで提供することも考えたらどうか。NIRAとしては先駆性をもった研究分野、組織、雇用形態の導入に取り組んで欲しい。政策研究のアイデアを出し合う議論の場をつくり問題提起すれば政策に影響を与えるのではないか。研究内容の普及のためには、様々な公開方法を多元的に組み合わせて行うことが必要。
- ●シンクタンクの中心にある立場としてNIRAにとっては財政基盤の充実が重要な問題である。ゆとりを持った研究をするためにも財政基盤は重要。
- ●基金で事業を行ってるところはどこも行き詰まっているのが現状だろう。これから福祉や高齢化問題など多くの研究課題があるので、シンクタンクの必要性を積極的にうったえていく方向を考えて欲しい。
- ●委託を取りにくいNIRAの事業の財源確保はいろいろ難しい面がある。研究者の育成機関としての機能と研究者の研究機能とのバランスを考えるべき。
- ●シンクタンクの資金の充実のためには、政党などに働きかけ財源をとるなどの考えも必要かもしれない。
- ●シンクタンクは研究者が資源である。優秀な研究者がくるような組織であるべきであり、NIRAに在籍したことがキャリアになるようにすることが重要。例えば、名前のとおった研究者がNIRAにいれば、共同で研究したことが自分の研究の為にもなり外部での評価にもつながることになる。
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。
連絡先:経済企画庁総合計画局総合研究開発調査室
TEL03-3581-0790