経済審議会への諮問文(平成11年1月18日)

経審会第2号

平成11年1月18日

経済審議会会長

 豊田 章一郎 殿

内閣総理大臣 小渕 恵三

経済企画庁組織令第41条第2項第1号の規定に基づき、次のとおり諮問する。

諮問第15号

「内外の歴史的な大転換期にあたり、『新たなる時代』の我が国経済社会のあるべき姿と、その実現に向けての経済新生の政策方針いかん。」

説明資料

内外情勢の変化は大きくかつ速く、今や、歴史的発展段階の転換をも感じさせるものがある。近代日本は高度に完成した工業社会を実現したが、世界に目を向けると、さらに多様な知恵の時代へと進んでいる。この新しい人類文明において、我が国は積極的かつ創造的な役割を果たすべきである。

この時にあたって、従来の経済計画の発想を超えて、我が国のあるべき姿を探求する必要があると考える。

目下の我が国経済は深刻な不況下にあるが、これを克服して経済を再生し、少子・高齢化、人口減少などの課題を乗り越え、新しい時代においては繁栄と安寧を長期に実現することが求められる。

今後、これまで蓄積された労働・資本・土地等の生産要素を最適活用し、情報化を一層推進することにより、市場メカニズムを通じた効率性を最大限に発揮できるよう、構造改革を抜本的に前進させる必要がある。これを通じて、新しい経済社会のシステムに対する不透明感を払拭するために、個々人が自らの好みを選択でき、かつ、全体としては調和のとれた安心と安全が確保できるような経済社会の具体像とそれを実現可能とする政策的道筋を明確に示すことが求められている。

こうした時代認識を踏まえ、21世紀初頭の我が国経済社会のあるべき姿を描き、国民が自信と誇りを持って未来に臨めるよう、平成11年から21世紀初頭までの10年間程度にとるべき政策の基本方針の策定を求めるものである。

なお、策定にあたっては、全国規模で広く国民の生の声を聞くとともに、海外からも意見を求めるなど、内外に開かれた活発な議論が求められる。