経済審議会総会議事概要

1 日時

平成10年12月21日(月)14:00~16:00

2 場所

内閣総理大臣官邸ホール

3 出席者

(部会)豊田章一郎会長、長岡實会長代理、伊藤助成、角道謙一、香西泰、小長啓一、
小林陽太郎、佐々波楊子、得本輝人、那須翔、畠山襄、星野昌子、水口弘一、
村田良平、山口光秀、和田正江の各委員

(内閣)小渕内閣総理大臣、野中官房長官、鈴木官房副長官、上杉官房副長官、古川
官房副長官、江利川首席内閣参事官、上村内閣広報官

(経済企画庁)堺屋大臣、今井政務次官、井出経済企画審議官、塩谷事務次官、林官房長、中
名生総合計画局長、河出調整局長、高橋審議官、牛嶋審議官、金子国民生活
局長、小峰物価局長、新保調査局長、貞広経済研究所長

4 議題

  • 「緊急経済対策」、「平成11年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」について
  • 「『構造改革のための経済社会計画―活力ある経済・安心できるくらし―』の推進状況と今後の課題」について

5 議事内容

(1)堺屋大臣の挨拶の後、事務局より資料2「緊急経済対策」、資料3「平成11年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」について説明。その後、小林委員(企画部会長)より企画部会の審議内容について、事務局より資料4「『構造改革のための経済社会計画―活力ある経済・安心できるくらし―』の推進状況と今後の課題」について説明。その後、質疑応答。各委員からの主な意見は以下のとおり。

○平成8年度の経済成長率が、当初発表の3.2%から4.4%に改訂されたが、政策判断はその時その時の数字に基づいて行われる。内部的な記録としては、政策判断をした時の数値も残しておくべき。
○構造改革のこれまでの進捗状況は不十分。一つには、まだまだ多くの分野で市場メカニズムを有効に機能させるための改革が残されている。もう一つには、改革により個別の分野で成果がみられる場合でも、その成果が他の分野へ幅広く波及しておらず、結果としてわが国の経済全体の活性化につながっていない面がある。これから、こうした視点も念頭において取り組む必要がある。

○人々の将来不安については、生活設計に対する不安が大きなポイントである。医療、年金の不安が解決しないとどうなるのか不明であり、これでは、将来の不安が解消に進まない。

(2)報告書を総会として了承後、豊田会長から小渕総理に報告書が手交され、小渕総理より挨拶。その後、意見交換。各委員及び総理大臣、経済企画庁長官の主な意見・応答は以下のとおり。

(委員)
○日本の市場は閉鎖的であるという誤解がある。特に工業製品の市場は開放的であるので、その誤解を解く必要がある。
○フォローアップ報告でも指摘されているとおり、新しい計画を作る場合には「計画」という名称を含めて検討すべき。
○新しい計画の策定段階で、どのような目的で、どのような計画を作るのかを総理の口から国民にお話しいただく機会を作っていただきたい。
○ユーロの発足に伴い、国際的に新しい流れができているので、計画では、国際的な日本の立場を明確にしてほしい。
○11月の緊急経済対策に盛り込まれた雇用対策を一日も早く実施していただきたい。所得税減税についてもタイミングが重要で、早期に実施することが重要。

(小渕総理大臣)
○日本市場に対する誤解を解くことについては、今度の欧州訪問の際にも話をしたい。
○国民に、計画についての考えを訴えることについては、国民の皆さんの理解が得られるような形で努力したい。
雇用問題については、政府として約束したことが実現するよう、全力を尽くしたい。
税制については、今回思い切ったことをやったが、これによって将来世の中がよくなれば必ず理解してもらえると思う。

(堺屋経済企画庁長官)

○これまでは、構造改革や金融問題が指摘されてきたが、それにふさわしい成果があがっていないのではないか。高い視点から構造改革を考えると共に、どのような社会が今後出現するのか考える必要がある。今後、計画を作るとすれば、工業社会を脱した後、世界の中で人類文明に日本が貢献する未来が描けないか。飛躍した発想が必要。

以上

なお、本議事概要は、速報のため事後修正の可能性があります。

(連絡先)
経済企画庁総合計画局計画課
西岡、堂本、阿部
TEL03-3581-1041