第5回 国民生活研究会 議事概要
1.日時
平成10年12月9日(水)10:00~12:00
2.場所
共用第3特別会議室(第4合同庁舎4階)
3.出席者
(委員)八代尚宏座長、落合恵美子、河野真理子、小嶌典明、高畑敬一、前田正子の各委員
(事務局)高橋審議官、牛嶋審議官、佐々木計画官、塚原計画官、福島経済構造調整推進室長 他
4. 議題
国民生活研究会中間とりまとめについて
5. 審議内容
開会後、事務局より国民生活研究会中間取りまとめ(案)について説明の後、討議に入った。委員からの主な意見は以下のとおり。
〇 研究会の問題意識と分析を踏まえた上での政策対応の方向についてはメモで配布させて頂いたとおり。60歳を超えても働けることと、男女が共に働くことが当たり前になることができれば、決して暗い世の中にならない、ということがポイント。
〇 社会環境の変化及びそれを受けた家計の変化という部分と、特に保育について行った詳しい分析との二つの柱に分けてまとめる方がよい。
〇 高齢者の就業が進むためには、これまでのように年齢が高くなるとともに部下を多く持つようになることが当たり前といった固定的な意識を変えていくことも必要。
〇 保育所整備策は、社会全体としてはベネフィットがコストを上回るという結論になるとしても、自治体ベースでは親が支払う保育料を抑制したり、保育所ベースでは人件費のために所長の手当てを流用していたりと、個々のレベルではかなりの持ち出し等を行っている。そして、こうしたことが自治体の保育所の整備意欲を衰えさせていることを考える必要がある。真の総コストは、国全体について国の決めている最高単価を基に計算してみる必要があるのではないか。
〇 保育の整備に当たっては、公設民営方式、PFIを進めることは有効。土地は公的に用意し、施設の設計や運営について民間事業者に公募発注する。特に施設の内容は民間に任せた方がよいものができる。
〇 保育所が増えない最大の要因は、施設整備に係る膨大な固定費用。誰が土地建物を用意するのかの手筈なくして保育バウチャーを導入しても効果は疑問。単純にその費用を上乗せすると高額になってしまう。バウチャーには無認可保育所の参入を高める意味はあるが、認可保育所の整備改善には結びつかない。
〇 保育バウチャーを巡る議論のもう一つの問題点として、家庭で子供を育てている人への公的支援が抜け落ちる点がある。しかしこうしたものも含めてより広く育児自体に対する支援としてバウチャーを導入すると、全体の額が相当高くなってしまう。
〇 以上を考えると、バウチャーの導入によりどういう具体的メリットがあるかが見えない。
〇 円滑な親子関係について、同居・近居・別居のどれがよいかとなると、親子とも元気なうちは別居が最も望ましいという調査結果がある。三世代同居は、育児等を妻や母親に頼るあまり、若い父親が自立できないという問題もある。
〇 今の40~50歳代は、老後は子供の世話にはならず、死ぬまで夫婦のみあるいは1人で自立して生きていくという意識が強い点で、今の60~70歳代とは明らかに異なる。高齢者が加齢に見合った仕事や、過去のキャリアを生かした仕事を開拓しながら働き続けていくということを、もっと強調するとよいのではないか。
〇 有給休暇の完全取得や、資格取得に係る意識などは、近年大分変わってきており、もっと強調してもよい。
〇 高齢者の就労意欲は高くても、意識と技能習得の面で改革が求められることをもっとクローズアップしてよい。
〇 円滑な親子関係のためには、隣居という方法もある。
〇 退職金を企業年金で受け取る場合、大半のところでは10年が上限ではないか。
〇 片働きと共働きの所得と貯蓄の大小関係を説明する考え方については、片働きが将来に備えて貯蓄を多く積む傾向があるためというコスト説や、共働きが色々な消費を積極的に行うためという目的説などいくつかある。そういったところはどう考えているのか。
委員からの発言が一巡したところで定刻を迎え、閉会に当たり、まず研究会中間とりまとめの公表に係るスケジュールについて事務局より説明。委員指摘事項等必要な修正を行った上でとりまとめを座長に一任し、12月17日(木)13時30分より座長が記者会見を行って中間とりまとめを公表することについて了解された。
最後に高橋審議官より、「将来の社会環境の変化及びそれを踏まえた家計の展望、並びに少子化問題や女性の就業と関わりの深い保育の問題について、分析と議論を行いできる限りのものをまとめて頂いたと思う。来年初頭より新しい中長期の経済の展望をまとめていくための大きな材料として、この中間とりまとめを継承・発展させていきたい。先生方に改めて御礼申し上げると共に、今後の検討に当たっても引き続き御助言を頂きたい」旨挨拶があった。
以上
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性がある。
(連絡先)
経済企画庁総合計画局経済構造調整推進室
(担当)福島、押田
TEL 03-3581-0783(直通)