第1回総合研究開発基本問題研究会議事要旨

日時:

平成10年10月28日 10時~11時45分

場所:

官房特別会議室729号室

出席者:

前田勝之助座長、荒巻禎一委員、田中明彦委員、月尾嘉男委員、船橋洋一委員、水口弘一委員、保田博委員、
中名生局長、牛嶋審議官、大西課長、他
NIRA 星野理事長、平野理事、赤松理事、永田理事、菅野監事他

1.議題

  1. 今後の総合研究開発の方向と総合研究開発機構(NIRA)に期待される役割
  2. 総合研究開発機構(NIRA)の活動状況

2.審議内容:

〇「我が国におけるシンクタンクの現状と今後の方向及び、総合研究開発機構に期待される今後の役割」と「総合研究開発機構の活動状況」について事務局、NIRAから説明の後討議。

委員からの主な意見は以下の通り。

  • ●シンクタンクの規模は零細でもいいのではないか、むしろ一芸に秀でるような方向で進むべきではないか。巨艦主義はどうかと思う。
    シンクタンクはプランナーとしての機能が必要で、そのためには、人材育成が必要。縦型機能社会ではなかなか育ちにくいが、非営利・独立のシンクタンクの充実推進とあわせて、人材育成を図るべき。
  • ●日本のシンクタンクは活動分野が偏り過ぎている。湾岸戦争の時から痛感していたが、テーマとして、外交・安保・危機管理がほとんど取り上げられていない、こうしたテーマをもっと意識的に推進するシンクタンクが必要ではないか。
  • ●NIRAそのものが、研究主体としてパワーアップするより、他のシンクタンクへの支援へ力を入れるべき。例えば、政府の文書等を一元的に扱い、NIRAにアクセスすれば入手が可能なようにすれば他のシンクタンクは助かるのではないか。
  • ●シンクタンクは組織として研究するものという思い込みがみられるが、個人がその責任で研究するのでなければいいものはできない。共同研究、特に社会科学系の共同研究は概ねものにならない。研究の実施者としてシンクタンクの組織名だけで、誰がやったのかを出さないようではだめだ 。組織よりも個人が重要であり、組織よりもスターをつくることが必要。特定の個人をNIRAのスターに育て、そのスターにスタッフがつくという形がいいのではないか。
  • ●組織を中心とした海外との共同研究はうまくいかない。向こうのスターとこちらのスターとの対決という形がより有益だと思う。
  • ●最大のシンクタンクは政府であると思う。NIRAの活動が政府の政策にどう反映されるのかを議論すべき。NIRAの報告のタイミングが遅く参考にならなかった経験があるが、成果が政策にどうしたら反映できるかということを検討してほしい。軍事中心の従来の安全保障ではない、環境や情報などの面での安全保障の研究が必要。
  • ●シンクタンクの育成に関しては、各地域のシンクタンクの育成が重要。各地域の研究は全国カバーの総合的な研究所がやるより、地域シンクタンクがやった方が良い場合もある。NIRAはここに力をそそぐべき。
    シンクタンクのあり方に関して、アメリカのブルッキングスのようなものは日本にはできないと思う。現状では税制上の問題や人事交流(政府とシンクタンク)の問題がある。アメリカは政府とシンクタンクの間で常に人事交流している。
  • ●NIRAは研究助成に重点を置くべき。入札で助成してもいい。
  • ●NIRAと他のシンクタンクの考え方の議論は分けてやるべき。人材育成のためにNIRAが地方から人を受け入れることや、NIRAから地方に派遣できるようにしてほしい。地方分権が進むと政策・企画能力が必要となってくるので、そのためにも地方のシンクタンクも、政策提言でき、かつ企画能力を高めることが必要。
  • ●NIRAのホームページにシンクタンクのサーチエンジンをもってほしい。内外のシンクタンクの研究成果などが見られるようにしてほしい。
  • ●シンクタンクの政党に対する知的支援のあり方を考えるべき。今度の金融問題に関しては、いくつかのシンクタンクが手伝っていた。もっと、政治家や、パブリックポリシーの形成に影響を与えることを目標とするべき。シンクタンクがこうした活動を行うためのインフラづくりにNIRAが重要な役割を果たすことができると思う。
  • ●日本の場合、一民間シンクタンクの提言ではアメリカのブルッキングスのようには影響を与えることが難しいということがある。民間では経団連をとおして、そして政府に対してはNIRAをとおしてやるということが考えられないか。
  • ●NIRAは現行法では相当広いことができるはず。できるだけフレキシブルなテーマの設定を考えることが望ましい。中立という解釈は活動全体として行うべき。個々のプロジェクトが中立であっては面白くないし、役に立たない。ある種の知的リーダーをつくり、やった活動のレビューをしっかりすることで、中立という立場を守りつつ大胆にやって行けるのではないか。

3.今後のスケジュール

次回は、11月20日(金)に開催する予定。

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があります。

連絡先:経済企画庁総合計画局総合研究開発調査室

TEL 03-3581-0790