第1回構造改革推進研究会 10/10/1
議事録
平成10年10月1日(木)
経済企画庁
第1回 構造改革推進研究会 議事次第
平成10年10月1日(木)14:00~16:00
共用第2特別会議室(407号室)
- 開会
- 総合計画局長 挨拶
- 議事の公開方法について
- 構造改革推進研究会の趣旨及び主要テーマについて
- ワーキンググループの設置について
- 各検討テーマにおける構造改革の推進に向けた論点について
- 研究会の検討スケジュールについて
- 閉会
(資料)
- 資料1 構造改革推進研究会委員名簿
- 資料2 構造改革推進研究会の議事の公開方法について(案)
- 資料3 構造改革推進研究会の趣旨及び主要テーマについて
- 資料4 ワーキンググループの設置について(案)
- 資料5 検討テーマに関する論点補足メモ
- 資料6 構造改革推進研究会の検討スケジュール
(参考資料)
- 参考資料1 高コスト構造是正の進捗状況と一層の推進に関する参考資料
- 参考資料2 医療・福祉、教育分野の構造改革に関する参考資料
- 参考資料3 土地有効利用のための構造改革に関する参考資料
- 参考資料4 リサイクル社会の実現に向けた構造改革に関する参考資料
構造改革推進研究会委員名簿
座長 水口 弘一 (株)野村総合研究所顧問
委員 浅見 泰司 東京大学工学部助教授
〃 荒木 襄 (社)日本損害保険協会専務理事
〃 池本 美香 (株)さくら総合研究所主任研究員
〃 岩田 一政 東京大学大学院総合文化研究科教授
〃 植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授
〃 大熊 由紀子 (株)朝日新聞社論説委員
〃 小椋 正立 法政大学経済学部教授
〃 滝上 宗次郎 (株)グリーン東京社長
〃 出島 敬久 上智大学経済学部講師
〃 中島 隆信 慶應義塾大学商学部助教授
〃 橋爪 大三郎 東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
〃 林 克彦 流通科学大学商学部助教授
〃 村井 勝 コンパックコンピュータ(株)顧問
〃 寄本 勝美 早稲田大学政治経済学部教授
(座長) ただいまから第1回の構造改革推進研究会を開催させていただきます。
この研究会の座長を務めさせていただきますことになりました水口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は委員の皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。まだ二、三おくれる方もいらっしゃいますが、定刻でございますので始めたいと思います。
この推進研究会の趣旨につきましては、後ほど総合計画局長及び事務局の方からいろいろご紹介があると思いますが、私自身も行動計画部会の部会長をさせていただきまして、かなり大胆に構造改革推進ということをこの経済審議会の場で委員としてやってまいったわけでございますが、昨今の状況を見ますと、一極集中、金融システム問題に集中していまして、これがすべてであるような感じ、しかもその内容たるや極めてお粗末な話で、全くスピードがないし、しかも中身においては問題が多いという感じはしておりますが、こういうときこそ経済の構造改革という王道をきっちり歩んでいくということが一番重要であろうと思いますので、経済審議会の今後のこういう計画につきまして全面的に賛成して、ぜひ成果を上げていきたいと、このように考えておりますので、皆様のご理解とご協力を得まして、この研究会を円滑に運営するように努力をしてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
委員にご就任いただくことになりました皆様は、お手元にお配りしてあります資料1、委員名簿のとおりでございますが、初めての会合でございますので、事務局から本日ご出席の委員の皆様を紹介していただきたいと思います。お願いいたします。
(事務局) それでは、紹介させていただきます。
あいうえお順でございますが、池本美香委員、岩田一政委員、小椋正立委員、滝上宗次郎委員、出島敬久委員、中島隆信委員、林克彦委員、あと先ほどおくれるというご連絡ございました、村井勝委員でございます。
以上でございます。
(座長) どうもありがとうございました。
それでは、中名生総合計画局長からごあいさつをいただきたいと思います。
(総合計画局長) 総合計画局長の中名生でございます。一言ごあいさつを申し上げます。
委員の皆様には、大変お忙しい中をこの研究会にご参画を賜りまして、心からお礼を申し上げます。
現在、経済の状況、大変厳しい状況でございますので、政府といたしましては、一両年のうちにこの経済を回復軌道へ持っていくということを政権の最大の課題にいたしております。
しかしながら、先ほど座長からもお話がございましたように、バブルが発生し、その崩壊の過程で、大変苦しい状況にある経済、立ち直った先というのは、その以前の経済とはまた違っている姿になっているはずでありまして、本来の意味の回復軌道へ乗せるというためには、どうしても構造改革ということは不可欠なことだろうというふうに思っております。構造改革につきましては、これも水口先生に座長をやっていただきましたいわゆる6分野の構造改革ということで大変大胆な方針を出していただきまして、その後の政府の構造改革というのがそうした路線に沿って進んでいるところがございますが、今の時点でさらにまたどういうことが必要かというのは、ご議論をいただく必要があると考えております。
それから、この研究会は、直接、経済審議会の研究会ということではございませんが、現在の経済計画を考えてみますと、策定されましてから、もう3年近くがたっております。構造改革のための経済社会計画ということで、構造改革の重要性というのはいささかも薄れておりませんが、その後の経済のパフォーマンスを見てまいりますと、計画で想定をしたものから、かなり大きく乖離をしてきているという状況になっておりまして、ある段階で、新しい中長期のビジョン、政策体系というのが策定される必要が出てくるというふうに考えられます。
そういうことに資するためにも、ぜひこの研究会で構造改革の問題を検討いただきたいということでございます。
そういう意味で、この研究会では、私ども事務局が考えておりますのは、一つには、現の経済計画の中で言われております高コスト構造の是正ということについて、どこまで進捗しているのか、どこが遅れているのかということをレビューしていただきますとともに、国民の関心が大変高い、しかしながら、片方で市場メカニズムの導入が十分ではない、利用者のニーズに十分こたえられていないという問題を含んでおります、医療、福祉の分野、さらに教育の分野ということについての構造改革の指針をご議論いただく、それからあわせまして土地利用の問題、それからさらに環境問題等に対応するためのリサイクル社会の構築、こういう問題を重点分野としてご議論をいただければというふうに考えております。
後ほど申し上げますように、年末までにある程度の中間的なまとめということを考えますと、ちょっときついスケジュールではございますが、何とぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
(座長) どうもありがとうございました。
それでは初めに、この研究会の議事の公開方法についてお諮りしたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) 資料2をごらんいただきたいと思います。「構造改革推進研究会の議事等の公開について(案)」でございますが、3点ございます。1点目が構造改革推進研究会については、原則として議事要旨を会議終了後2日以内に作成し、公開するものとする。また、議事録を会議終了後1カ月以内に作成し、公開するものとすると、ただし、議事要旨、議事録ともに発言者名の公開は行わないものとする。
2点目でございますが、会議の日程は事前に公表する。
3点目、配付資料は原則として議事録とあわせて公開するものとするという、この3点でございます。
(座長) ありがとうございました。
ただいまご説明のありました議事の公開方法につきまして、ご意見等ございますでしょうか。いかがでございましょうか。
発言者名の公開は行わないものとするということ、ここはこれでよろしゅうございますね。もしご意見ございませんでしたら、本研究会の議事の公開につきましては、この会合の冒頭にさかのぼりまして、そのようにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは次に、この研究会の趣旨及び主要テーマとそれぞれの論点並びにワーキンググループの設置につきまして事務局から説明をお願いいたします。
(事務局) それでは、資料によりまして本研究会の主要テーマ等について説明をさせていただきます。
まず、資料3をごらんいただきたいと思います。
当研究会の趣旨でございますが、一言で言えば、我が国の構造改革を一層進めるための重要な政策課題について分析提言を行うということでございます。
検討テーマといたしましては、高コスト構造是正の一層の推進という構造改革の基本的なテーマに加えまして、先ほども局長のあいさつございましたが、国民の関心が高い一方で、市場メカニズムの導入がまだ不十分であって、消費者のニーズにこたえる多様な選択肢がまだ十分に用意されていないという分野であると考えられます医療、福祉、教育、土地利用、リサイクルを取り上げて検討を行いたいということでございます。
それぞれの主要テーマ及びその論点でございますがまず、第1が高コスト構造是正の進捗状況と一層の推進ということでございます。
このテーマの検討対象となります分野につきましては、お手元の参考資料1を見ていただきたいわけでありますが、平成7年12月に決定されました現行の経済計画、構造改革のための経済社会計画、その中で、高コスト構造是正・活性化のための行動計画というのが定められております。この行動計画は対象分野が10分野ございます。その真ん中ごろにまとめて書いてありますが、物流、エネルギー、流通、電気通信、金融サービス、旅客運送サービス、農業生産等々の10分野でございます。
ここでの検討の対象は、この10分野を中心といたしまして、例えば企業向け価格サービス指数あるいは卸売物価指数等の指標等を見ながら、どの分野に高コスト構造是正の遅れが見られるのかといったことで分析を行いまして、また、それぞれの分野の直近の政策的対応の進展状況もあわせて点検するということをまず行いたいと思っております。
また、別の観点で、最近非常に進展が見られますグローバリゼーション、これによってさらなるコスト引き下げ等の新たな課題に直面している分野というのがどういうものがあるかということも検討してみたいと考えております。
そういう視点に立ちまして対象分野を幾つか絞り込んだ上で、それぞれの分野の生産性なり、構造的問題あるいはグローバルスタンダードとの比較ないし外資系企業の参入度といった点で分析を行いまして、なぜ高コスト構造が解消されないのかといった点、また、今後進めていくためにはどの政策的対応が必要かといった点について提言を行ってはどうかと考えております。
第2のテーマ、医療、福祉、それから教育分野の構造改革でございます。
この両分野ともにこれから21世紀にかけての経済社会の中で重要な分野であるということは論をまたないわけでありますが、医療福祉につきましては、高齢化ということもありまして、民間部門の自由な発達というのが望まれているところでございます。また、教育に関しましては、いろいろなご意見ございますが、新しい社会のさらなる人材の育成に現在の教育のシステムというのは十分に成功していないのではないかという意見もございます。
この2つの分野、ともに国民の関心は非常に高いわけであります。しかしながら、その一方で、市場メカニズムの導入がいまだに不十分、また、消費者のニーズに答える多様な選択肢が十分に用意されていないといった点で、典型的な供給者優位の分野であるというふうに考えられるわけでございます。
これらの分野では、これまでにもいろいろな検討提案がなされてきておりますが、そういったものを踏まえた上で、効率的で消費者のニーズにこたえる多様なサービスの提供といった観点から、さらなる構造改革ということを考えてみたいということであります。
この分野につきまして、補足的な論点を用意しております。
資料5をごらんいただきたいと思います。
資料5で、まず医療・福祉の分野でございます。
医療・福祉につきましては、私ども経済企画庁が事務局をやっております経済審議会の場でも水口座長等を中心にいたしまして、いろいろな提言、検討、提言がなされてきておりまして、おおむねそういった方向に進んでいるというふうに見られるわけでありますが、市場原理の活用による民間部門の活動の拡大、あるいはニーズに応じた、多様で効率的なサービスの提供といった観点からは、まだまだ多くの課題が残っているのではないかというのが我々の認識でございます。
こうした観点に立ちまして、例えば民間企業による病院経営等の民間の参入を促進するための規制緩和あるいは医療・福祉の分野で大きな問題であります情報の非対称性の問題、そういった問題を解決するためのサービスの質の評価に関するシステムの構築、また最近ISO9000といった経営の仕組みの中に国際規格を取り入れていくという動きも見られますが、経営効率の改善に向けた内外での先進的な事例を検討いたしまして、それをこれから全般的な医療福祉の分野でどのように活用していくかといった点、そういうことについて検討をしてはどうかというふうに考えております。
また、教育の分野でございますが、この分野に関しましては、教育に関する各種の審議会等において検討、提言が行われ、それに基づいて、いわゆる教育改革というものが進められております。しかしながら、この分野におきましても、市場原理の活用によって、社会の人材需要の変化に柔軟に対応していくという観点からの改革は十分に進んでいるとは言えない状況にございます。
こうした観点に立ちまして、経済社会のニーズにより直接的に答えていく必要のある高等教育、初等・中等という分野ではなくて高等教育の分野における改革を進めるという観点で、例えば民間企業による学校運営のための規制緩和、あるいは学校の設置運営の自由化、弾力化といった点、またこの教育の分野においても、情報の不完全性なり非対称性といった問題がございます。学生がみずからの判断で学校を自由に適切に選択できるようにするための学校を客観的に評価するシステムの確立といった点について検討を深めてみたいというふうに考えております。
恐縮でございますが、また資料3に戻っていただきまして、資料3の2ページでありますが、3番目のテーマとして、土地の有効利用のための構造改革ということを考えております。
土地利用に関しましては、我が国では依然として「高遠狭」でありますとか通勤地獄といった生活上の大きな問題を抱えております。
また、それに加えて、快適なレジャー、余暇生活へのニーズとか価値観、ライフスタイルの多様化でありますとか、少子高齢化の到来といった新しい状況に的確に対応して幅広い選択肢を示すといったことも求められている状況であります。
一方で、バブルの崩壊後に土地市場には構造的な変化が生じておりまして、地価が引き続き下落をしておりますし、また土地取引も低調なままにとどまっております。こうした結果、市街地における低未利用地の増加あるいは商店街中心市街地の衰退といった現象も見られております。
それから現在、大きな問題となっておりますが、土地を担保とした債権が、不良債権化して、この不良債権処理という問題が我が国の経済の再生にとって喫緊の課題になっているという状況であります。こうした状況の中で、最近の経済対策におきましては、担保不動産の流動化を始めといたします土地の有効利用促進策が講じられてきたところであります。しかしながら、これについてはまだ十分にその成果が上がっているとは言えない状況にございます。土地の流動化を図って、土地を資源として有効利用していくということは、生活の質の向上あるいは経済の回復あるいは成長というものを図っていく上で引き続き重要な構造改革の課題として残されております。
ここでは、これまでこの土地有効利用の問題につきましても、さまざまな方面で検討、提案が行われておりますので、それを踏まえた上で、市場メカニズムを通じた土地取引の活性化という視点に立って検討を深めたいと考えております。これについても補足論点を用意しておりますので、また恐縮ですが、資料5をごらんいただきたいと思います。
資料5の2ページ目に土地有効利用の論点について若干まとめてございます。ここでは幾つかの点に絞って検討をしていきたいと思います。
まずは、不動産の証券化の促進ということであります。不動産の証券化につきましては、新たな投資市場の創出を通じて、事業者にとっては資金調達の多様化、それからオフバランス化によりまして財務の改善というのが図られるわけでありますし、投資家にとりましては、投資対象の多様化というメリットがあります。こうした観点からSPC法も制定されたところであります。ただし、現実にはなかなか不動産の証券化というものがどんどん進んでいくという状況にはございません。この証券化を促進するために具体的にこれからどのような施策をとっていったらいいのかということについて検討し、提言をしていきたいというふうに考えております。
また、不動産市場においては、情報の非対称性という問題がやはり非常に大きな問題でありまして、消費者に的確な情報提供を行うということで市場メカニズムをより効果的に発揮させる必要があるわけでありますが、そのための情報インフラの整備に関して、どのような施策が必要かといった点も重要かと思います。
さらには、不動産所有者の供給意欲向上といった観点から、借地借家法制度、慣行について、どういった点をより一層改善していけばいいのかということについても大きな問題だろうと思っております。
また、需要喚起あるいは供給促進の観点から、税制あるいは都市計画、建築規制ということで、いろいろな提言も行われておるわけでありますが、現在、特に求められている施策はこの分野で何だろうかとうことについても取り上げてはどうかというふうに考えております。
それから、また恐縮ですが、資料3でリサイクルの問題でございます。
4番目のテーマとして、リサイクル社会の実現に向けた構造改革というのを取り上げたいと考えております。
ご承知のように、大量生産、大量消費型の経済社会活動、ライフスタイルということで大量の廃棄物が排出され続けておりまして、最終処分場の残容量というのはもう非常に限られたものになっております。また、それ以外の面でも環境負荷の高まりという問題が見られております。一方で、資源の問題につきましても長期的には資源の枯渇あるいはエネルギー需給の逼迫といったものについての不安が現実に見られるわけであります。
そういうことで、経済社会システムにおける物質循環、すなわちリサイクルといったことについても非常に社会的な関心が高まっておりまして、例えば家電の分野でありますとか、自動車の分野でありますとか、それぞれの分野で個別的にリサイクルを進めるということで動きが始まっております。
また、個別の企業をとりましても、幾つかの先進的な企業ではゼロエミッション等の目標を掲げて取り組みが始まっているという状況にございます。
ただし、経済社会全体の観点から統一的にリサイクルの問題を考え、施策や政策体系を全体として整合性のある形で提示するというところにまではまだ至っておりませんので、今この時点で、このリサイクルの問題というものを構造改革の問題として取り上げるというのは非常に意義の大きいことであろうというふうに考えております。
ここでの検討では、リサイクル社会の実現に向けた構造改革ということで、いろいろな施策的な検討を行うとともに、改革を進めることによって、マクロ経済的にどのような効果があるのかということを定性的、できれば定量的に明らかにして、リサイクル社会の実現に向けたはずみにしたいと考えております。
以上が主要なテーマ及びその論点でございます。
それから、資料4でございますが、以上のようなテーマを検討するに当たりまして、2つのワーキンググループを設けてはどうかと考えております。
1つは土地のワーキンググループでございまして、岩田委員に座長をお願いしたいと考えております。
それからもう1点はリサイクルのワーキンググループでございまして、本日ご欠席でございますが、寄本委員に座長をお願いをしたいと考えております。
後ほど、スケジュールについてはまたご説明いたしますが、以上のようなテーマについて、少し集中的にご議論をいただいて、できるだけポイントを絞った形で社会的に物を申していきたいと考えております。
以上でございます。
(座長) どうもありがとうございました。
それでは、ただいま説明のありましたこの研究会での検討テーマとその論点等につきましてご議論をいただきたいと思います。
高コスト構造是正の一層の推進という観点から、どのような問題を取り上げるべきか、医療・福祉、教育の構造改革として何が重要なのか、土地の有効利用に関しまして、これまでにもさまざまな議論がされておりますが、特に何が必要なのか、リサイクルの真の論点は何かというような問題点は数多くございますし、また、余りにも総花的になってもいけない、といって絞り込みが必要だと思いますが、といって今の説明の中で、論点の中で足りない点はあるのか、あるいは、余計なものがあるのか、その辺も含めまして、本日はまだ時間は相当、初会合でございますので、これで議論が進むといつも時間がとれなくなりますが、きょうは割合とまだ時間が十分あると思いますので、どうぞ自由に、今までの説明にとらわれずに、ご議論をいただきたいと思います。
スタートはA委員、お願いします。
(A委員) 高コストということのとらえ方なんですが、具体的に、この高コストというのは何を意味するわけですか。つまり、何か比べるものがあって高いとか、低いとかという話が出てくると思うんですが、物によっては独占的にやっているものは比べようがないわけですし、そういうものをどういうように高いとか低いを評価するのかということについて、まず。
(事務局) まず、高コスト構造是正ということが非常に強く言われた時期は、円高の時期とも重なっておりまして、そのときにあわせて内外価格差ということが言われておりました。それで、一番わかりやすい指標は、同じものなりサービスなりが外国と比べて高いのか低いのか、当時は、例えば一番高いときは80円ぐらいまで行きましたから、ものすごく高いと、一目瞭然にいろいろなものが高いじゃないかと、それで我が国は高コストであるという話であったわけです。
基本的には、もちろんその内外価格差ということもありますが、私どもの認識としては、むしろ生産性の高いところと低いところの生産性格差の問題であろうと。我が国は、ご承知のように、製造業の生産性というのはもう世界に冠たるものでありますが、製造業以外のところでは、それぞれ分野比較したときに、非常に低い生産性になっておりまして、結局、そのことがいわば内外価格差という観点から我が国の価格を他の国と比べて総体的に上げているという状況をつくり出しておりますし、また今、円が安くなってきて、内外価格差という観点だけで見れば随分、もう機械的にこれは改善されたという形になるわけですが、その内外価格差という点から離れて、相対的な、いわば内々価格差といいますか、相対的な生産性格差、ほかの国の生産性の比較構造と比べて、我が国の場合に非常に非製造業のいろいろな分野で生産性が極端に低いというのは依然として残されているわけでありまして、そういう低い生産性のところは上げていこうというのが高コスト構造是正ということの基本的な考え方だというふうに認識しています。
それで、先ほど言いました10分野、1つ、基準にしようというのは若干切り口が違うところがございますが、物流等々の10分野で、いわば生産性を向上させるためにうどういう構造改革をやったらいいのかという観点で行動計画をつくって今施策を進めているという状況であります。
(A委員) 生産性の話、確かおっしゃったと思うんですが、生産性の高い、低いというのは業種間ではやっぱり直接には比較できないわけですよね。生産構造が違うわけですから。だから、同じ業種の中で相互に比較するか、あるいは生産性の伸び率みたいなもので比較するしかないと思うんですね。だから、その点をどのように、これから先の課題なんでしょうが、ただ生産性を比較して、低いところ、高いところということでそれを抜き出していって見るということは、それほど簡単なことではないというふうに思います。
(事務局) いろいろな分野で、直接の比較というのができるものもあって、ある程度直接的な生産性の比較というのができるものもありますが、おっしゃるように、非常に難しいものもあります。
そこは、もう少し広げていえば、経済活動を行う際に、いろいろな障害があって、その障害を取り払うことによってその産業の効率が非常に向上すると見込まれるもの、そういう場合には、ほかと比べて高い、低いという観点とは別にどんどんその障害を取り除いたほうがいいわけですから、そういう観点からも目立った障害というのはどんどん取り除いていくという観点も、全体ひっくるめて高コスト構造是正といっておりますが、その高コスト構造是正の中にはいろいろなものが入っていまして、私が先ほど言いました観点もありますし、そもそも規制を緩和して自由にさせるということによって、今相対的に安い、高いは別にして、もっともっとコストが下がると、そういうこともあわせて入っているというふうに理解をしております。
(座長) どうぞご自由に、この順番じゃなくても何でも結構でございます。
(B委員) 高コストの問題で、個々の各論へ入る前に、私は一つ大きく言って、今審議官のご指摘の形で見ますと、情報の伝達というのが国の中で余りうまくいっていない気がするんですね。普通、戦略を立てますと、できるだけシンプルで、国民全般にわかりやすい方向提示みたいなものがないと、やはり効率的な情報伝達ができませんし、実際に国民がこぞって同じような方向へ動くというようなことはできないと思うんですね。実は、このテーマ、一つ一つ取り上げてみますと、いろいろな委員会が開かれていて、もう過去にいろいろ出ているにもかかわらず、我々一般国民から見ると、メッセージが伝わってこないというきらいが昨今非常にあるんじゃないかと思います。
ですから、お願いしたいのは、この議論でまとめる上で、やはり余り複雑でない、非常にシンプルなわかりやすいメッセージが伝わるような形でまとめていただきたいと、私ももちろんメンバーですから当然それに協力いたしますが、そういう感覚で物事をとらえていかないとまずいんじゃないのかなというのが一つありますね。
それからもう一つは、先ほどこの土地の問題でご指摘になりましたが、せっかく制度をつくってもなかなかついてこないというのは、一般大衆から見て、あるいは参加しようという企業の人たち個人に対して、意欲がわかないようなところがあるような気がするんですね。ですから、発想の原点としては、要するに、何か施策を出すときには、必ずその施策が、やろうという意欲が出るような、そういう視点でプログラムをまとめないとまずいのではないかなと、とにかく「こういうことをやらなきゃいけない」「ああいうことをやらなきゃいけない」と言うのではなくて、もう一歩踏み込んで、じゃあそれをやるためには、どういうふうにすれば意欲が出てくるのか、魅力が出てくるのか、そこのところがやはり一般的に今までのいろいろな委員会で出されているテーマの中に欠けている点があるんじゃないかなというのが私の率直な見解なんです。
今回、いろいろなテーマがありますが、総合的に言うと、そういう視点で何かもし皆さんのご賛同を得られるんだったらまとめていただきたいなという気がするんです。
(座長) 非常に重要な点で、これは今、きょう配付資料の中でも参考資料の3というところに土地有効利用のための構造改革に関する参考資料というのがあって、コンパクトに1枚にまとまっているものがありますが、経済戦略会議のときにもトヨタの奥田社長が、もう問題点は全部出ているんだと、何をやるかということだということを言ったという新聞記事の紹介がありましたが、私としてもこれは事務局ともよく相談しながら、きちんとできるだけ重複した議論はしないと、あとおっしゃるとおり実践的な、現実的に施策ができるという内容に絞っていきたいなと、こう考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。何か追加ありますか。
(B委員) いや、おっしゃるとおりです。
(座長) じゃあC委員どうぞ。
(C委員) 同じ、高コスト構造のところなんですが、今、高コスト構造是正のところで、10分野の中には2番目で上げております教育とか福祉・医療が含まれていないんですが、今回この中で、教育、医療、福祉の分野は高コスト構造の是正という観点で議論する範囲には入っていないということで理解してよろしいんですか。それとも別個取り出してその辺も議論していくという方向なのか、その辺をお伺いします。
(事務局) ここでの仕分けといたしましては、1番の高コスト構造是正の進捗状況とその推進というテーマとしては、医療・福祉、それから教育というのはとりあえず取り上げていないというふうに我々としては整理をしておりまして、むしろ別の切り口で、市場原理の導入あるいは消費者のニーズにこたえるための多様な選択肢の提供といった観点から、まだ十分でないということで医療・福祉、教育を特に取り上げてみたいと、もちろん効率化という観点からは、コストというものは当然関係してきますが、多様な選択肢の提供といったようなところ、あるいは市場原理の導入といったようなところに切り口の重点を置いて考えたいと考えております。
(D委員) 今、医療・福祉、教育のお話が出たので、ちょっとその関連で少し述べさせていただきます。医療・福祉、教育というのは人的資源の問題で、非常に長期に経済に影響を与える問題だと思うんですが、こう見ていますと、医療・福祉の方は主に高齢化に対応した長寿の部分でどうするかという部分、それから教育の分野というのは高等教育の部分で、義務教育を終わった段階の人をどうするかという問題だと思うんですが、ここで抜け落ちているのが直接少子化に関連します保育サービス等をどう供給するかという問題、これがどうも医療・福祉と教育分野のところで抜けているんじゃないかと感じたわけです。
現在は、保育園とか保育所というのは、社会福祉法人がやっていますから福祉分野に入るんでしょうが、どうもこの参考資料を見ていますと、医療・福祉の方は介護であるとか医療の方に重点が置かれていて、少子化に対応する保育サービスの供給というのが余り出てきていない、そこのところも分析が一つ必要なんじゃないかなと思っております。
(事務局) あまり私も専門ではありませんが、もしその保育サービスという分野で民間がなかなか入りにくいという状況があったり、あるいはニーズにこたえる供給側の反応が鈍いといいますか、なかなか多様な選択肢が準備されていないという状況があるとすれば、まさに我々のテーマの対象になるだろうと思います。そういうことがあれば、ちょっと当方でも調べてみます。
(座長) この辺は何か統計数字というのはあるんですか。管轄は、役所はどこになるのですか。
(事務局)ちょっと今手元に保育の話は準備しておりませんが、いろいろ調べれば当然状況は分かると思います。
(E委員) 過去の経済審議会の分科会の中で、保育サービスは議論はされているんですよね。なぜ活字にならなかったのかといいますと、極めて政治的な問題にぶち当たったからです。要するに自治労の問題なんですよね。要するに、朝の9時から夕方の5時で保育を打ち切ってしまう、要するに働いてくれないわけです。早朝サービスだとか夜間まで保育してくれるとか、24時間保育してくれるというようなサービスがないんですね。こういったサービスはどちらかというと認可保育所じゃなくて無認可でやっているわけですね。無認可の方には補助金がいっていないと。認可されている方は労働組合が強くて、きめ細かなサービスというんですか、働く女性のためのサービスができていないと、こういった問題がありますね。ですから、努めてこれは自治労さんの問題というようなことで、過去、壁にぶち当たったということでございます。
(座長) その後は何も変化はなしという。
(E委員) これは行政改革委員会の方の規制緩和小委員会の中でも、私はあちらの方のメンバーやっていましたが、あちらで取り上げたんですが、結局テーマにはならなかったですね。
(座長) 問題点の一つとして留意してやるようにいたしましょう。
(F委員) 高コスト構造というところに、社会的な費用というか、そういうものは入っているんでしょうか。単に価格が高い、安いということだけではなくて、例えば騒音だとか廃棄ガスだとか、そういったような社会的な費用というのは考慮に入れて検討ということなんでしょうか。
(事務局) 私どもの理解では、そこは基本的に入っていない、現実の市場で評価された実際の価格なりコストなりであって、いわばそういう騒音とか社会的な外部効果についての評価まで入れ込んだ形については、少なくとも1番のところは考えておりません。リサイクルの問題を検討するときに当然、今度は逆にその問題が非常に重要な問題になってくるわけですが、この1番の高コスト構造是正のところでは、そこのところは考えていないということです。
(F委員) 後でご説明があるのかもしれませんが、参考資料の1の方で、各分野の主な目標という中で例えば物流なんかを見ますと、一貫輸送の促進などが上げられていまして、こういうのを見ると、単に例えば最も重要な輸送機関であるトラックの価格を下げるみたいなことは特に上げられていなくて、むしろ環境面ですぐれているような、一貫輸送ということは全面に出していられるので、その暗黙のうちに社会的規制ということも考慮に入れて考えておられるのかなと思ったんです。
(事務局) 実際に、物流とかのことが議論されて、こういう計画がまとめられる中で、おっしゃるような、配送で非常に排ガスが多いとかということはもちろん定性的に議論はされておりますが、定量的にきちんと中に入れて、例えばコストを半分にするという目標を立てたときのコストの中に、明示的に社会的な費用というのが組み入れられているわけではないという意味で、モニターできる形で具体的に指標化されていないという意味で申し上げたわけですが、検討する際の一つの要素として、物によっては入っているところもあると思います。
(座長) 何かF委員の方から提案ございますか。こうすべきだとか。
(F委員) 物流の分野以外で、先ほどリサイクルが今回取り上げられるということで、すべて高コストということで、実際に払う価格ということだけで割り切ってしまうと、実際の豊かな生活といいますか、そういう面と齟齬を来すようなところが出てくる可能性もあるかもしれないということで、どこかでそういう観点も入れておかないといけないのかなと思っています。具体的にどうということはよくわかりませんが。
(座長) その場合は、社会的コストをだれが負担するかという問題を含めての話なんですか。
例えば、経済界の立場からいうと、常に言われているのは、国際競争力という面から、必ず高コストを言ってくるわけですね。そうなると、例えば今回は年金負担の問題なんかはありませんが、年金の負担であるとか、あるいは法人税の問題であるとかということが非常にコストにはね返るというような問題があります。これはむしろ産業構造審議会の方でいろいろやっておりますので、そちらの成果はこちらに取り入れていきたいなと思っているんですが。
(F委員) 恐らく効率化でコスト削減するということは、言ってみればエネルギー効率も高まるということなので、一般的に言えば、おっしゃっているような社会的なコストという観点から考えてもマイナスということはないんだと思うんですが、その結果、需要が大きく膨らんで、需要構造なり供給構造が変わって、そのトータルとしてどうなるんだという、あるいは、そこまで明示的に高コスト構造是正という目標をつくるときに、そこのところまで明示的には数字の問題として中には入っていない。個々の施策を検討するときに、そういう社会的なコストの目ということも部分的に中に入っているものはあるという、そういうことだというふうに理解をしています。
おっしゃった点は、リサイクルの問題を検討する際にはもっと正面に主要な論点として入ってくることになるだろうと思っています。
(座長) G委員、いかがですか。ずっといろいろやってきていただきまして。
(G委員) 高コストということなんですが、先ほどご説明がありましたが、円高で日本の経済がコスト高だというのが非常に目立っていた時期というのがあったわけですが、それが 130円とか 140円とかになって、そこの部分というのはかなりはげ落ちつつあるんじゃないかと思うんです。
それで、今のマクロ的な経済状況からいうと、むしろ非常にデフレ的になっていて、消費者物価も卸売物価もマイナスで、名目賃金もマイナスだというのは、明らかにマクロ的には非常にデフレ的な状況で、世界的に見ても多分そういうことで、アジア危機についても、もしかすると全般的な供給過剰といいますか、そういうものがどこかにあって、それが金融面ではもちろんバブルの問題であると思うんですが、実物面ではそういう供給過剰によるデフレ圧力の強まりというんですか、つまり、今もうデフレがスパイラルになっているという議論もあるんですが、まだそこまでスパイラルというのは、定義にもよりけりなんですが、デフレが非常に深化していると、日本でまさにそういうことが起こっているということだと思うんですね。
そういう事態のもとで、高コスト是正を言うというのはどういう意味を持っているのかという問題は、やはり新たにあるんじゃないかというふうな気がいたします。といいますのは、高コスト構造是正というのは、基本的には供給力を改善する、生産性を上げるということですから、供給力全体としてはむしろ増やすと、つまり物価の方でいうともっと物価を下げるという、ですから、もちろん量も増えているのですが、物価の面ではむしろ価格を下げるような方向に働くという問題があるんじゃないかと思うんですね。
それで、高コスト構造というのはどうして問題なのかという、もう1回元の方に戻って考えますと、元の問題は、これは家計も企業も将来の日本経済についての見通しというのは非常に暗くなっていて、期待成長率、多分企業は1%を切ってしまっているんじゃないかと思うんですが、非常に暗いと思っていると。家計も同じで暗いと思っている。それから特に日本の経済の問題は、新しく事業を起こそうという方が非常に少なくなってしまって、起業率というのが落ちているという、それは日本で何か新たなビジネスを展開するのは難しいんじゃないかという、高コストというのはもともとはやはりある程度一時空洞化という議論があったわけですね。
これは、為替レートと関連して、日本でつくるとコストが高いから、外で、労賃もそうだし土地もそうだし、場合によると税や社会保障もそうだということで、そういうのは具合悪いので直しましょうということが元にあるんじゃないかと思うんですね。ですから、この研究会の趣旨も、もう少し元気が出るといいますか、日本でもっと新たな事業を起こしやすいような環境をつくっていくと、個人ももうちょっと元気が出てきて将来にもう少し安心できるというような、何かそういう要素が必要なんじゃないかという気がするんです。
ですから、重点の置き方の問題なのかもしれませんが、単純にコストだけ下げればいいというよりは、広い意味ではもうちょっと経済を活性化するといいますか、そういう視点が多分今はより重要な点ではないかという気がするんです。個々見てみると、基本的には市場メカニズムといいますか、医療でも教育でも、もっと民間の活力を引き出すようなことをやりましょうというような、あるいは土地でももっと有効に使って、その土地の市場をもっと活性化するということなんじゃないかと思うんです。
(座長) どうもありがとうございました。
先生のおっしゃる点、非常に重要な点だと思いますが、事実、このフォローアップも参考資料1にありますように、高コスト構造是正かつ活性化のための行動計画とありまして、これは3年前の12月、平成7年12月の閣議決定ですから、その状況の変化というのはすさまじいものがあるというのは事実そのとおりですが、高コスト構造是正・活性化という観点から検討してフォローアップしていくと、これは非常に重要な点だろうと思います。
どうぞほかの方も、何も高コスト構造是正だけじゃなくて全部含めてご自由にお願いいたします。
(A委員) さっき教育の話が出ましたが、それは主に高等教育なんでしょうか。というのは、私ども大学にいて学生を見ていると、大学では手遅れじゃないかという感じがしていまして、それ以前に問題が大いにあるような感じもするんですが、今回は特に高等教育に限ってということなんでしょうか。
(事務局) 1つは、今回、割と検討する時間が限られている中で検討テーマが非常に多いということもありまして、それぞれでかなり重点を絞って検討したいなと思っております。そういうこともあって、高等教育というところを中心にして、民間の活力をより導入していくというための方策について検討し、提言していったらどうかと考えたわけですが、いわば社会のニーズに応じた人材を提供していくという観点から、やはりそれだけでは片手落ちで、もっと初等・中等教育の方についても同じ視点から、民間の活動を拡大させていくという視点から言うべきことがあり、かつそれは重要だということであれば、別にそこを排除するというつもりはございませんので、あわせて議論して、必要であれば提言をしていってもいんじゃないかと思います。
(座長) 大学では間に合わないというのは、具体的にどういうことで……
(A委員) それは、先ほどG委員の方からもお話あったように、起業家が非常に少ないということで、それは社会のメカニズムがなかなか整っていないという面もありますが、大学生のいろいろな考え方を見ていると、自分から何か事業を起こしていく希望を持っている学生が、私の周りを見ていても非常に少ないと、だからつまり創造性というか、そういうものが既に大学に入るまでの間にそぎ落ちてしまっている。何か自分で新しいものという発想がないわけですね。だから大学で非常に高度な知識をいろいろ与えても、それを何か使って自分の事業なり何なり創造性を伸ばしていくという形には使われない。
だから、授業に出ろと大学で厳しくやっても、結局それは単なるテストの点をとるための知識の習得に終わってしまって、自分のさらなる飛躍のためにはなかなか使われにくいという面が確かにありまして、だから、そういう学問なりそういうものを創造力を高めるために使っていくという発想を高める必要があると感じました。
(事務局) あまり教育プロパーの教育のあり方そもそものところに入り込んでしまいますとなかなか出口が見つからないということにもなりますので、切り口で、簡単に言えば市場原理の活用をより多様な選択肢の提供という観点の中で、大学以外の、初等・中等の分野についても言えることがあれば、それを取り入れていきたいと思いますが、そもそも論に入りますと、この研究会の中でなかなか本格的に取り組むのは難しいかなと思っています。
(A委員) そして社会の出口が最終的には大学なり、高等学校の場合もあるでしょうが、そういうことで直接かかわっているという面があるんでしょうが、ただどっちが先なのかということがちょっとあるものですから。結構です。
(座長) 創造性を持つ者は学生の中で2割ぐらいはいませんか。 100%では社会は壊れてしまいますので。これは民間の立場からいきますと、B委員ご承知のとおり、やはりリーダーシップをとってやっていくのは1割5分から2割、全員が参謀将校になったらこれは会社がつぶれてしまいますから。それも全くないということになると、これは由々しき大問題ですが。
(A委員) 2割はちょっとない……
(座長) ないですか、……その辺の扱いは、今事務局が申し上げたような形で、あるいは最終的に提言の中で、それ以前の教育の重要性ということを強くアピールするということはいろいろ考えて、あとはご相談して、また意見をいろいろ述べていただきたいと思います。
どうぞ、H委員、いかがでございますか。
(H委員) まだ初めてでよくわからないんですが、高コストということでさっきから考えておりましたのが、ここにもガソリンのことが書いてありますが、炭素税なんかの関係で、各国のガソリン価格を調べていて、そうすると日本というのはガソリン価格は非常に高かったんですが、結局、よく訳の分からないといいますか、余り説明のできないところが非常に……、原油価格というのはそんなに高いわけではないですから、結局、流通経路が非常に複雑であるというところがあって、最終的には結構高い価格で……、税金もアメリカなんかよりずっと高いわけですが、ヨーロッパに比べるとむしろ低いとか、そういうことにもかかわらず、何か最終的な価格は高いというようなところで、日本経済というのはこうやって目に見えない格好で、いろいろなところにあまり効率的でないところというのがあるんだなという具合に昔思ったことがあるんです。
ガソリンの分野というのは、いろいろな意味で最近特に規制緩和が進んでいて、またそれから流通経路とか、そういうところもかなり効率化されつつあるように思いますが、直接的に我々の目に触れにくいようなところで、いろいろな規制とか、あるいは慣行とかいうのが複雑に絡み合ってきて、それが結果的には我々が支出する際の効率はあまり高くないというのは、私は実感のような気がするんですね。
ただ、そうはいってもこの時点で高コスト構造の是正というのがいいのかどうかというのはちょっとわかりませんが、やっぱり本当のことを言えば、高コスト構造の是正というのはやっぱり経済がもう1回元気を出すといいますか、それから恐らく最初に座長の方からお話がありましたが、やっぱりこの構造調整が終わったら、やはりある意味で言うと今までと全く違う形で経済成長が起こるとか、あるいは経済活動も拡大が起こるというんですか、そういうものを我々は待っているわけですね。そのためにできるだけの準備とか、いろいろなところを整理しましょうということなんだろうと思うのですが、このお話の中でいいますと、最近私は、特に医療とか、あるいは教育のお話をやっているんですが、両方とも規制が非常に厳しいところでして、まだまだそういうところではかなりいろいろなことをやっていかないといけないわけですね。
それから特に、教育なんかについていいますと、今までも教育に関する審議会というのはたくさんあるわけですが、教育問題あるいは大学教育についていろいろな答申を出したというのは、臨調以外いっぱいあるんですが、非常に不思議なことに、どれひとつとして今の大学に関する規制を完全にやめろと言ったのはないんですね。審議会に大学の先生が必ず入っていらっしゃるというのがその一つの理由かもしれませんが、どうもマーケットメカニズムとか規制緩和とか、いろいろ言う割には自分のところからはあまり始めてらっしゃらないという気がして。
ただ、日本経済が今みたいにある種の活力を失ってきたというのは長期的にはやはり教育に関するいろいろな規制がボディブローで効いてきたんだという気も最近はしているわけであります。やはり教育の問題を少し議論される際は、最近ちょっとやっているような技術教育とか、特に工学部のいろいろな教育ですが、それに関する規制というのがどれぐらいある意味で市場メカニズムから外れているのかと、そういうものと全然無関係なところで展開されてきたのかということをできれば紹介させていただきたいと思いますが、いずれにしても、教育についても随分いろいろ、まだやらないといけないことがあるようですね。
(座長) どうもありがとうございました。
どうぞご自由に。
(E委員) 教育について、これは長期的な問題で、まさに構造改革の根本のところが教育問題だと思うんですが、一つは少子化という世の中の流れに対して、教育構造が合っていないですよね。私の住んでいる市でもそうですが、全国的に見ましても、どこの小学校でも中学校でも空き教室がいっぱいあります。空き教室がいっぱいありますが、なくなったのは分校だけですね。分校は確かになくなったがもとの小学校は残っている。私の住んでいるところも8つ小学校がありますが、8つそのままです。とにかく適正規模を下回ってしまっているんだが、合併ということが考えられないんですね。これは、義務教育というんですか、公的に教育サービスというものが提供されていながら、コストは高まるばかりですね。
例えば、給食なんていう制度がありますね。あれはちょっと調べてみたんですが、子供の数が半分になったにもかかわらず、給食センターというものが相変わらずでかいままであって、従来の職員が雇われていると。そうすると、1食当たり昼食が 3,000円しているんですね。弁当屋あたりから買ってくれば 500円で済むのを 3,000円も1食当たりのコストがかかっていると。給食をつくっている人たちは、要するに朝食も夕食もつくらないし、夏休み、冬休み、春休みは休みだと。極めて少子化というものが、新しい世の中の人口構造とすごく大きい流れに対して供給構造が全く古いままで直らない、こういう少子化に合わせていないといういうことはありますね。
それから、どこの市町村でも高齢化対策をたくさんやっているわけですが、在宅支援センターをつくろうとか、特別養護老人ホームをつくろうというときに、小学校をつぶしてそこにつくろうという発想がないんですよね。新しく土地の取得から入ってくると、これはもうコストを高めていくだけですよね。これだけ税金下げなきゃもうやっていけないんだとか言われている時代に、歳出の方はちっとも抑えようということがない。まず少子化に合っていないというのが1つですね。
それからもう一つは、世の中も抜本的に産業構造が変わらなければ生きていけないんじゃないかというときは、やはり大学のあり方が問題になると思います。1つは文科系にしてみれば、一流の人材が金融機関に集まり過ぎていた。最近そうでもなくなってきたんですが、金融不安という大きい問題はありますが、金融問題のプラスの面は、優秀な学生がようやくちらばり始めたなというのがありますね。それから、大学と企業とのあり方で、結びつきが流動化してもいいんじゃないかと思いますね。私は、大学の構造よりも就職のあり方とか、大学と企業の結びつき方というところにもっとメスも入れていってもいいんじゃないかと。そういうふうに考えると、国立大学の民営化といった問題というのはテーマですよね。国立大学には多くの優秀な教官が集まっていながら、それが教育の中だけに埋もれているという、アメリカのシリコンバレーに見られるものが日本にないということですね。
それからもう一つは、これから少子高齢化を見て年金の改正なんかを見ていますと、やはり70歳まで人間が働かなければ国がもたないですね。そうしますと人材を流動化させなきゃいけないと。人材の流動化というのは、一つには終身雇用が終わったとか、年功序列制度が終わってくるということもあるんでしょうが、そこにこそやはり教育だと思うんですね。人材が流動化するということは、優秀な人間がヘッドハンティングされてくるだけではとてももたないわけで、大量の人材が流動化しなきゃいけない。そのところに職業教育のようなものが入ってくるわけなんですね。そういうふうにやるんだったら、少子化によって今までの学校は要らなくなるんですから、そういった学校産業とか学校資本というものが産業教育の方に移っていくべきであると。そういうときに、今の規制ではうまく教育という資源がシフトしないんじゃないかと。そんなことを私は思います。
学校をつくろうというと、本当に文部省のいろいろな規制があると、校庭を持っていなきゃいけないとか、いろいろなことがありますよね。ですから、ニーズのあるところに学校がつくれないというんですか、そんな問題があろうかと思います。
以上です。
(座長) どうもありがとうございました。
文部省の規制が相当問題だというのは、私は科学技術会議の特別委員をやって、おっしゃることは痛感しました。
ただ大学と経済界との接点をやっていくというのは、今は冠講座とかあるいは共同研究とかありますが、さらに具体的に何かアメリカなんかと比べて相当遅れているとは思うんですが、こういうのは何かアイデアはありますか。
というのは、私はこの5月にアメリカのニューヨークである会議をやっていますときに、そこにこの競争力委員会の今のジョン・ヤングさんはチェアマンですが、その理事長をしている人が出てきて、あそこはイノベーションサミットというのを必ず2年に1度か3年に1度やっているんですね。これはゴア副大統領以下、学会、経済界、労働界、政府の代表が 150人集まってやるんですね。そのときのアメリカ経済の競争力の現状分析と将来というのがテーマになって、最大の問題は何かといったら、タレントプールということなんですね。要するに人材不足であると。従って、現在この一、二年は外国人の有力タレント、才能を全部使うと、その間に産学政府協力して、アメリカ人を養成していくんだと、こういうのが一番最大の問題として出てきておりまして、私はそれを見ていて、一番進んでいると思っていたアメリカでこれかと思って非常に愕然としたこともあります。日本でもいろいろ協調ということで言われるんですが、具体的に何かというとなかなか難しいものですから、規制があるのか、あるいは両方に責任があるのか、よくわからないんですが、その辺はB委員なんか一番お詳しいんですが、どうですか。
(B委員) 特に詳しくはないですが、私自身も昨年体験したんですが、よく言う、もう既にいろいろと検討されて議論されてテーマにはなっているんですが、米国の州立大学の場合、授業料とそれから税金で州税で賄っているのが3割か4割ですね。あと6割は企業からの金を集めてやっているわけですね。ところが同じことを私は日本の大学でお話ししようと思うとまず国立大学は全然……。この辺も今メスが入りつつありますが、議論する余地もない状況がつい数年前まで続いておりましたし、州立大学と国立大学と、基本的な考え方は同じだと思うんですが、それから、総長さんの立場がやはり州立大学の総長さん、カリフォルニア大学の場合ビリー・ヤングさんですか、おやめになりましたけれども。あの方なんかはマインドが経営者なんですね。
ですから、そういうことがもっとできる環境をまず1つつくる必要性があるんじゃないかと。そのためにはそれこそ各大学の総長さんの考え方も変えていただかなきゃいかんわけですが、そういう社会的なコンセンサスをつくる必要がある。
それからもう一つは、やはりこの効率化の中で出てくる問題というのは、今までの日本国内だけの問題じゃなくて、グローバルな視点でこれから物を考えていかなきゃいかんと思うんですが、そうした場合に、教育の制度の中に、今おっしゃった外国の大学だとか、外国との接点というものを、単なる友好関係だとか、学生を交換するとか、そういうレベルではなくて、一緒にプログラムをつくるぐらいのことをおやりになったらどうかなと。 実は、私ある日本の私大の方々に今お勧めしていますのは、ピーター・ドラッカーさんが持っていらっしゃる大学がカリフォルニアにありますが、そちらと一緒に講座を開けないかというご提案を今、企業の方をターゲットにできたらと、ご提案を申し上げているんですが、それぐらいドラスティックなことを今から考えていかないといけないんじゃないかなというふうに思うんです。
特に、先ほどちょっと申し上げましたように、日本の社会全体を考えた場合の効率化ということでは、やはり私は非常に大ざっぱな言い方すると、物を受け渡しするところが非常に効率が悪いんじゃないかと。要するに、物だとかお金だとか情報ですね。この3つの点が非常に欠けている気がするんですね。ですから、物流の問題もそうですし、それから金融の問題もそうですし、それから先ほど私がご指摘しました情報ですね。国民全体に社会人全体に伝えるメッセージの伝え方、あるいは国民から上がってくるメッセージの受け方、こういった情報の伝達の仕方、こういったところが非常に悪いんじゃないかと。だからこういった視点で、テーマがいろいろありますので多分1つずつのテーマで議論しますと私もいろいろあるんですが、そうではなしに、この限られた時間内でやるとすれば、そういうふうな視点で全てくし刺しにできる議論をしてみたらいかがかなと。
例えば教育の問題についていいますと、これからの国際化で、残念ながら、日本人がいろいろな標準化委員会に出ましても、何に出てもリーダーシップをとれないという問題がありますね。これはもう完全にコミュニケーションの問題ですね。
それからもう一つは、若い時分にディベートをする訓練を受けていない。例えば米国の例でいいますと、もう小学校から世界中の子供が集まって、英語のしゃべれない生徒まで入った中で議論をしていく訓練を受けているわけですから、当然自分の考え方をきっちり伝える訓練というのは小学校からなされている。それが日本の場合は、よく言われるモノカルチャーの中で、日本の教育制度に今アメリカ人を連れてきて入れるというのはこれは大変なことなんですが、アメリカ人はそれがごく当たり前のように行われている、こういう社会に変わりつつあるわけですから、そういった視点で考えていかないといけないんじゃないかと。
グローバリゼーションの中で、やはり英語が効率化の要素として非常に大きな問題もあると思うんですね。今私が申し上げているようなことは、一つ一つはいろいろな審議会でご議論されておりますし、テーマとして取り上げられているんですが、何かそれをうまくくし刺しして、もう少しわかりやすいメッセージが外に出ないものかなと私は今考えているんですが。
(H委員) ちょっと補足させてください。
教育の問題、余り個別の議論は今後ということでしょうが、教育の問題も医療の問題もそうなんですが、やはり国がもう一番の前線というんですか、現業的な部分に立って、いろいろなことをやるという時代が終わったという認識を持つことが私は非常に大事だと思うんですね。国がコントロールするということは、ほかの産業の部分ですと、もちろん明治のときに日本が近代化する過程で官営のいろいろなものをつくったわけですが、産業の部分では非常に早く撤退したわけですね。
ところが、いろいろな中で教育というのは最後まで残って、今でもまだ残っているわけです。それから、医療についても国民皆保険ということを通じて、いろいろなことをやっているわけですが、規制を今ごらんになるとわかりますが、価格を書いた本だけでこんなにあるわけですね。それから薬の本だけでこんなにある。私は薬の指数をつくるとか、薬価指数をつくるとか、あるいは医療のサービスの価格指数をつくるとかいう仕事をしておりますが、薬の指数をつくるので実際にデータを見ると 3,000幾つぐらいデータが出てくるわけですが、実際に薬として認可されているのはその数倍あるわけですね。それを全部国が決めている。もちろん、そうやるためには、いろいろマーケットの調査もするわけですが、マーケットの調査をしても、やはりそれを規制として出す間にタイムラグがあったり、あるいは市場の変化についていかないためにいろいろな変なインセンティブが出てきているわけですね。それから、個々の医療行為についてもやはりそういうことがあるわけです。ですから、ある意味でいうと何らかのもっとある種の規制というのが必要だという考え方は強くあるのでしょうが、しかし、有体にいえば、もう社会主義みたいなことはやめて、できるだけマーケットのいわば自然な力の中で、それから消費者と生産者の間の自然の市場の秩序のところに任せないと、規制ではちょっと手がつけられないというところまで本当は私はもう来つつあるんだと思うんですね。それをまた医療コストがどうも下がらないとか、あるいは医療コストがどうこうというと、またそこを何か規制を複雑にしようとするということがあって、もう少し市場メカニズムを活用する方に今の医療というのも動かしていかないと解決の出口が見えないというところが私はあると思います。
例えば、保険医療というところでいうと、我々もう保険医療というのは一つだというぐらいにみんな信じ込んでいるわけですね。つまり、本人の負担が10%で、被扶養者の負担が30%で、それからお医者さんが何かやった場合におけるサービスというのは幾らと決まっていて当然だとみんな思っているわけですが、必ずしもそれが効率的ではないということはもうわかりきっているわけです。もう少し、例えば予防的なものを入れるとか、あるいはもう少しエキスパートオピニオンみたいなものを入れていくことによって医療全体がもっと効率化できるとか、あるいは保険者が自分の医療についてもっとコントロールできるとか、そういう局面というのはもうたくさんあるわけですから、いかに政府が今の現業的な仕事から撤退していくかという筋道もできれば、それは少し大きな問題ですが、そういう時代の流れみたいなものを少し考えながら議論していただければいいと思います。
それから、国立大学というのは、日本の大学の中で、圧倒的に日本の大学を代表する大学というのはほとんどが国立大学であるわけですね。特に、技術の分野ではそういうところが強いわけでありますが、しかし、それだって例えばさっき話がありましたアメリカの今、バイオとかあるいはエレクトロニクスのところで非常に技術開発を前線でやっているところに比べれば非常に乏しい、あるいは日本の中でも民間の超一流の研究所なんかに比べると、持っているもの、あるいは研究者の層というのも非常に乏しいわけです。
何が問題かというと、それは、国の財政で超一流の研究をやっていく、それから不断にそういうものの間で資源の再配分をやっていくというところを国の機能として持つことがそもそも私は無理だと思うんですね。やはり、国というのは予算の制約がありますし、それから、そういう専門的な知見というのは規制の側にほとんどないわけですから、そういうところについても少し、できるだけそういうことについて詳しいというのはやはり大学が主体であるわけですから、大学にもっとその経営の主体性を持たせていくと。
今の大学では、例えば国立大学というのは、独自の法人格を持っていないわけです。皆さんご承知だと思いますが、国立大学の教授というのは、文部大臣が任命するわけですね。学長が任命するわけではないわけですね。それは何を意味しているかというと、大学では勝手にいろいろな人を雇えないということを意味しているわけですね。例えば、今、バイオのリサーチが大事だからと思って勝手にバイオの人を任命するわけにはいかない。アメリカの州立大学ですらそういうことは学長の判断でできる。あるいは私立大学だったらどうかというと、日本は私立大学でもそれはだめなんですね。私立大学でさえ文部省で規制されて、いろいろなところでがんじがらめに規制されている。そういうところはやっぱり少しもう一回規制というのは限られた時間でしょうが、洗い出していただいて、本当に何が必要なのかと、ほとんど必要ないと思うんですが、そういうことをもう1回検討していただければと思います。
(座長) どうもありがとうございました。
(G委員) 国立大学で、少し言わなきゃいけないというふうに思いますが。
おっしゃったようなこと、みんなそうだと思うんですが、1つは民間との競争みたいなことでいうと、今度文部大臣になった前の東大の総長おいでになりますが、大学院化というか、部局化と呼んでいるんですが、大学院に重点を置いた大学になるということで、東大とか京大とかそういうところがある種の大学改革をやったんですが、一番先頭に立ったのは、東大ですと理学部でありまして、理学部はどちらかといえば基礎的な理系の研究をするところなんですが、そこが今までのやり方では基礎研究の分野でも民間に太刀打ちできなくなってしまうと。それで、大学院に重点を移したようなものでないと、もうできませんとおっしゃって、理学部が最初におやりになって、それで全体が大学院中心の組織に変わったわけなんですが、そういう競争の圧力というのが動かしているところがある、現実に動かしているところがあると思います。
それから、例えば医療の方でいうと医学部の方は東大病院という病院の経営が実はすごく余りうまくいっていない。いろいろな問題が起こっていますが、それは役所の方のシステムでビジネス事業体を運営するということ自体に恐らく無理があって、事務局長とか、そういう方は2年ぐらいでかわってしまって、主な方はみんなかわってしまうと、その事業の形態としての国立病院の運営ができないと、医学部の場合は。ですから、行政独立法人というのは国立大学全体としては反対で、総長はもちろん反対だという、東大も現在いるんですが、医学部だけは教授会で独立行政法人にしてほしいと決議をしたことがありまして、そういうむしろ経営に近いところは今みたいなやり方は余り合理性を持っていなんじゃないかと思います。
それで、もう少し大きい目で見てみると、日本の国立大学というのはもともとどういうふうにできていたかというと、歴史的にはやっぱり大陸ヨーロッパといいますか、ドイツ型のシステムを入れたわけですね。講座制というのがあって、そこで教授が一番偉くて、あとは下に助教授と助手がくっついて、また院生がくっついてという、そういうやり方をやっていたわけですが、それがどうも合わなくなっているという点で、私の印象は大学だけでなくて、実は社会保障の分野も全般的にそうだというふうに思っているんですが、明治以降、戦後も、ある意味では厚生省の社会保障に対する考え方というのは、大陸ヨーロッパ型で、ドイツ型、あるいは部分的にはスウェーデンというところをモデルとしてやってきて、それがそのままでやっていけますかという問いを突きつけられているんだろうと思っているんですね。ですから、スウェーデンもある意味で一種の展開を、これまでのものから180度ひっくり返ったことをやり始めているんですが、それと共通の問題を日本も、医療・教育とまとめてあるんですが、全体としてはそういう問題を抱えているんじゃないかと。
日本の大学は総合大学なんですが、アメリカと一番違うところはプロフェッショナルなスクールというのが少ないということですね。部分的には私立は今、ビジネススクールなんかつくっているところありますが、国立ではほとんどない。夜間でちょっとやるとか、そういうところはありますが、つまり、プロフェッショナルズを育てるという、そこの層が多分アメリカと比べると、アメリカにはシンボリックアナリストとか何かとライスさんがおっしゃっていますが、シンボリックアナリストばかり増えて、必ずしもいいことばかりじゃないと思うのですが、シンボルばかりがアナリストをしても困るのですが、もう少しプロフェッショナルを育てるという、これまで総合大学で、研究者を育てると、大学院までいくと、そういう構成でやってきたわけですが、今の教育のスタンダードか何かというものが世界的に言えば非常に高いものになっていて、そういうものと比べると、今の日本の全体の大学の制度全体があまりうまく合っていないということがもう一つあるのではないでしょうか。
大学の内部の運営については、私はあまり詳しくは知りませんが、予算のところが一番、先ほど私立大学もみんな縛られているとおっしゃったんですが、どうして文部省に縛られてしまうかというと、助成金をもらおうと思うと、そうすると細かいカリキュラムから微に入り細に入り全部報告したり何かしないとだめだと、多分国立大学の大部分、そういうことなんじゃないかという気がいたします。
以上です。
(座長) どうもありがとうございました。
B委員、どうぞ。
(B委員) 質問させてください。
先ほどご指摘のありましたように、この規制緩和というのは間違いなく生産性の問題とか、強く絡んでいると思うんですが、私が教育の問題で少し不思議に思いましたのは、例えば今インターネットを学校で使わせるということに関して、これは小中高なんですが、余りにも通信回線が少ないという事実がわかったんですが、それよりもひどいのは、何と交換機を入れる予算の項目がないということまでお話に聞いたんですね。
私がご質問したいのは、規制緩和というのを、一般的に政府が取り除くとか何とかというのもあるでしょうが、経済界から見ますと、その当事者がもっと大きくこういう問題をエスカレーションしてもいいんじゃないかと。例えば今国立大学の話が出ていますが、国立大学でそういう当事者に当たる方たちが1人2人ではなくて、本当に組織として不自然なことは十分に議論できないものなのかなという気がするんですが、その辺は先生方、たくさんいらっしゃるので、お答えがあるかと思うんですが、いかがなものでしょうか。
そういうふうなボトムアップの努力がないと、この規制緩和という問題はなかなか解決しないと思うんです。確かに1人2人、一部の方はもちろんご熱心にやっていらっしゃると思うんですが、組織的にそういうことをもっともっと大きな声にならないものだろうかという気がするんですが、いかがなものでしょうか。
(座長) どなたか、委員の先生……
(H委員) 私は国立大学ではないですが、やはり思いますのは、今の文部省の規制というのは大学に関する限りは非常に学科単位で規制されているわけですね。それで例えば東大の工学部に幾つ学科があるかというと二十幾つあるわけです。1つの学科というのは一番小さいところでは40人ぐらい、大きくても60人とか70人くらい、それぞれについて非常に事細かな規制がされているわけですね。事細かに規制がされているというのは、ある意味でいうと規制の受益者は必ずいるわけです。それは例えば、例を出しますと、経済学部では、経済学科という学科が1つしかないわけです。それが何でないかというと、お金がないからないわけです。もう1つ何か別の学科をつくろうという話がずっとあるんですが、それをやるのにはかなりのお金がかかる、何億という単位のお金が必要だと。それは新たな規制に合致する。逆に言いますと、 1,000人ぐらいの学部で二十幾つ学科を持っているということはそれだけ非常に恵まれた環境にあるということですね。だけどそのことが、工学部全体として見ると、資源の弾力的な再配分とか、あるいは時代に合った資源の再配分とか、そういうことを非常に難しくしているんですね。ですから、非常に細かく規制するということは、そういうことに関してコンセンサスをつくることを極めて難しくしている。例えば、今、技術開発がどんどん進んでいて、世の中に対して遅れないためにはこういうところの研究者をもっと欲しい、あるいはこういうところにもっとリサーチのお金がほしいと思う人たちはいても、その人たちは現実にいないわけですね。
つまり、今の規制というのは、今ある人しか保護しませんから。ですから、要するに全体としてみると、新しいところへの再配分とか、新しい産業の芽を摘むとか、新しい技術開発の芽を摘むということはわかっていても、今いる人たちの権益あるいは経済的な権利というのは保護しているのがこういう規制だろうと私は思います。
(座長) どうもありがとうございました。
どうぞ。
(C委員) ちょっと気がついたことで、今、規制のお話がありまして、この教育の部分につきましては、効率的で消費者のニーズに応える多様なサービスを提供するということで進めていくということなんですが、そもそも規制をするというのは、単に不要な規制もたくさんあるわけですが、国の責任というか、医療とか教育というのは外の部門と比べて公的なものであって、国がある程度のところまでは保障するというか、そういった意味で規制を行ってきた部分もあるわけで、単に消費者主権にして、さっきお話があったように保育者のサービスを全部24時間できるように規制をとっぱらってしまえばいいという方向になると、それで本当に市場メカニズムだけでうまくいくのかというのはちょっと私は個人的には疑問を持っているところで、前、ニュージーランドのいろいろ教育改革ですとか調べたときに、お金を配分するのはそういう規制ではなく、一定の基準を満たしていれば払うということで、ある程度のガイドラインをつくった上で、多様なサービスという方向にするということに考慮しておく必要があるのかなということを感じております。
それからもう一つ、高コスト構造のところで、先ほどG委員の方からは、一般の価格を下げるということが、デフレの中でちょっと状況が変わってきているのではないかというお話でしたが、医療・福祉、教育分野というのは、税金の部分での効率化を進めるということで、むしろ高コスト構造の是正というのは、ここで個別にやっていくということでしたが、そういった公的資金で行われている分野についてむしろ議論すべきなんではないかなということをちょっと感じていますので、一応感想だけです。
(座長) どうもありがとうございます。
規制とルールという問題は永遠のテーマでありますが、1つの例では、行動計画委員会のときも、社会的規制に名をかりた経済的規制は全部廃止しろといって、初めは、労働省なんか労働法規は全部社会的規制であるというのでつっぱって、それは違うよということで、今の格好になってきているということがありますので、その辺の問題をよくわきまえて、これから取り扱っていきたいと思っております。
それで、今までご意見いただきまして、1と2のテーマを中心にやっていただきましたが、あと途中でB委員からもお話ありまして、私、一つ、現在構造改革という場合、抜けているのは、今、最大のテーマになっております金融システムの問題でありますので、ワーキンググループは土地ワーキングとリサイクルワーキングという2つを本日ご提示したわけでありますが、もう一つ、金融関連のワーキンググループを設置して、このフォームを具体的な問題として検討をしていきたいと考えておりますので、その辺の運びは私の方にご一任いただきたいと思います。
あと、残された時間、土地、それからリサイクルというもので、これはワーキンググループをつくってやるということになっておりますが、これらにつきましても何かご意見ございましたら、ぜひいただきたいと思います。
(G委員) それでは土地の関係について、私見といいますか、感じていることを少し申し上げたいと思います。
この実施状況というのは参考資料の3にうまくまとめられておりまして、今これまでどういうことをやっているか、近い将来どういうことをやろうとしているかということはほとんどこれで出ているんじゃないかと私も思うんですが、全般的な私の印象は、すべて少しずつ足らないんじゃないかと。問題点は出ているんですが、もう一歩踏み込めばもう少し何とかなるんだが、その一歩手前でやめてしまっていると、これはマクロの経済政策もそう思っているんですが、つまり、恒久減税と言っていたのが、どうして限りなく一時的減税になってしまうのか私にはどうも理解できないんですが、そういう問題点とか方向性は非常に正しいと思うんですが、もう一歩踏み込めばもっと元気になるのに、どうしてそういうのをみんな抑えるのだろうというのが全般的な印象です。
例えば、債権管理、回収業というのはこれも非常に結構なサービスだと、新しいビジネス、特化してそういうところでやるということ自体非常に結構なんですが、アメリカにおけるサービスというものと比べると、非常に限定された、ビジネスとすればおいしいところから余りおいしくないところまで幅があると、何か一番おいしくないところだけどうぞと言われていると、それから実はSPCで証券化すると流動化するというところも同じで、不良債権の証券化というのは多分一番難しいですね。リスクの評価にしても、何でも。一番難しいところだけをともかくやりましょうと言われても、多分うまく動かない。
つまり、もっと民間の元気が出てくるような、今のSPCは使途が限定されていまして、新たに借り入れとか出資とか、例えば担保の土地を引き受けたとして、そこでインプルーブしてもう少しいい値で売るとか、そういうことはできないわけですね。それから、アメリカの場合もREITというのがありますが、日本のは非常に使途が限定されていて、一番やりにくく、あまりおいしくないところだけやりなさいというんだと、多分動かないんじゃないかと。
それから、資産担保証券も同じで、具体的にはこれは中身が何なのか、今のところよくわかりませんが、アメリカの歴史を見る限りは、証券化は住宅ローンから始まって、しかもその公的な政府支援機関が中心で、実は証券化を住宅ローンを中心にしてやったので、商業の部分は今も2割ぐらいしかないわけですね。ですから、本体のところをあまりやらないで、それでちょっとはじっこの方だけやりましょうといってもそれは多分結果的にはやっぱりうまくいかない。減税をやったが一時的だったのでやっぱりうまくいかないというのと、どうも同じことをやるのではないか、同じ結果になるのではないかということを少し心配いたしております。
それから、税制の面でも、取引税をやっぱりもっと下げるという観点も必要でしょうし、それから今出ているのも、住宅ローンというのも、せっかく総理が言ったんだから、もうちょっと総理を大事にしてやったらいいじゃないかと、私は必ずしも所得控除制が 100点満点でいいと必ずしも思っていませんが、ただ、総理が何か言ってそれを何か後で後退させてしまうというのは結果的には一番悪くて、みんな何かやってくれるかなと思ったら、そのうち何割引きかになって、効果は結局ないとすると、多分総理もご不満でしょうし、ほかの方もみんな不満でだれも最後はハッピーでないという、どうもこれは政策のやり方全般ですが、どうも日本が低成長のわなに、3年ぐらい前から私はわなに落ちますよと言っていたんですが、本当に落ちてしまったと。1つはそういう対応の悪さというのがあったんじゃないかと思っております。
あと、土地の価格が下がっていること自体は、ある意味では本当のファンダメンタルズといいますか、これまで戦後ずっと土地神話みたいなものに支えられて異常に高かったということが、それを一生懸命壊そうとして、バブルの終わりごろ一生懸命壊そうとして、いろいろなことをやったら本当に壊れたということですから、全部悪いわけではないだろうというふうに思います。収益価格でもって、上物と合わせて評価するふうにならない限りは、本当の意味での、今土地市場というのは死んでしまったとグリーンスパンさんがおっしゃったそうですが、日本の土地市場は死んでしまったのを生き返らせる上でやるべきことは多いんじゃないかと思っております。
(座長) どうもありがとうございました。
今、お話のとおり、やはり土地の場合も不良債権とか担保不動産の処理というもので、その証券化という問題はまさに金融の問題と直結する話でありますので、その辺も含めまして金融ワーキングというような問題で取り上げていきたいと思いますし、また、私は金融問題に対する個人的な認識としたら、経済審議会、ビッグバンというのを打ち出したわけでありますが、それが現在のフィナンシャル、金融システム問題とまさにちょうどドッキングしてきたと、一挙に解決すべき時期に来たという認識を持っておりまして、G委員流の表現を借りれば、タイタニック号の乗客は、いよいよ荒波で、これは船は沈んでいくんだなと、どうにかせにゃいかんということに気がついてきたという状況であろうと思いますので、それだけに冷静に金融関係ワーキンググループはきちんとした格好でこれから勉強していきたいと、このように考えております。
あと、リサイクルも含めまして、どうぞいろいろご意見ございましたら。
(E委員) 土地の値段なんですが、僕は、まだ下がっていけばどこかで均衡点があって経済が回復するというふうにはちょっと思っていないんですね。というのは、例えば、日本では個人の金融資産が 1,200兆円あるということですが、ということは逆に 1,200兆円借りている人がいるわけですよね。日本は直接金融市場が発展していませんから、やはり銀行を通じて借りていると、やはり日本の企業というのは借り入れ過多ですよね。要するに銀行の貸し付けがいけないんじゃないかという議論がよくありますが、現在、だったら個人の金融資産が 1,200兆円あるということ自体を勘案した方がいいのであって、私はやはりもう現在の日本の経済、中堅中小企業ですか、そこはもう借り入れ過多でずっと動いているんですね。
やはり日本の金融機関に顕著にあるのは何かというとやっぱり経常単名というものです。要するに、銀行から借りたものは返らない。要するに、銀行から借りたものは収益出して返していくというのが普通の姿ですが、日本の企業はそうじゃないですよね。要するに、経常単名というのは、要するに貸し付け手形というのものがずっと6カ月じゃなくて書きかえだけで、ジャンプ、ジャンプしながらこれを経常化していくと、こういったものがすごくあるわけですね。日本の中堅中小企業というのは、銀行借り入れというものが自己資本化していますよ。自己資本化していて、そして、どうして銀行が返してくれと言わなかったのかというと、やはりそこに土地の担保というものがあったわけですよね。
現在の土地が幾らでも下がっていけばいいんだと。それからもう一つは、そうすると銀行から見て担保価値がどんどん落ちていくと。中堅中小企業というのは、本当に90%ぐらいが生産性がないのかもしれない。そこから、今みたいな貸し渋りみたいな状況下でいれば、企業の大半ははっきりいってちゃんとした事業ができない。要するに、もう本当に借金返して事業やめたいぐらいなことを企業経営者というのは考えているんじゃないかと思いますね。
私、昔銀行員だったんですが、たくさんの中堅中小企業とつき合っていましたが、ほとんどの企業が借り入れ過多。そこに対して貸し渋りみたいなことをやったら経済が上向くわけがない。どこの経営者だって、今の事業をいかに撤退するかしか考えていないと思います。そこは根本はどこにあるかといったら、土地というものがあって、土地本位制があった。確かに上がり過ぎたということは問題かもしれないが、今みたいに冷えきった企業のほとんどが肺炎になっている状況下で、さらに土地が下がって行けば、均衡点がどこかであるんだなどと言ったんだったら、銀行から借りている企業ですか、ほとんどが倒産しますよ。そういう状況にあるんだったら、貸し渋りは直らないですよね。一つの企業というのは大体5つか10の銀行から借りているわけですが、どこの銀行だって疑心暗鬼で、どこの銀行が手を引くかということを見ているわけです。そういう形の中で、私は土地が底値を打たないというのはちょっとおっかないなと思っています。
確かに土地を持っているものが資産があって裕福であるという、社会的な不平等はありますが、じゃあ日本の経済を壊していいのかという議論にまで私は行き着くと思います。
以上です。
(座長) ありがとうございました。
他に何かご意見いかがでしょうか。
(F委員) 私は、物流が専門でリサイクルとかは詳しくはありませんが、例えばリサイクルということを含め、物流の分野からでも従来は物を調達して、生産・販売などの方向からしか考えなかったんですが、最近は廃棄まで考えたリバース・ロジスティクスという考え方が大分取り入れられるようになった。その中では、最初から廃棄物を出さないとか、あるいはリサイクルを前提とした物づくりをするという考え方が取り入れられまして、ここで言うリサイクル社会に合致するかわかりませんが、そういうリバース・ロジスティクスな考え方が特にアメリカの方で出てきまして、それを規制を緩めて、一般の企業が事業として、リバース・ロジスティックに還元できるというような仕組みについては、これもアメリカの業者の中ではリバース・ロジスティクスに取り組んでいくといった効率化も考えられるということです。
そういうことで、リバース・ロジスティクスとかグリーン・ロジスティクスとか、そういう、単なる一つの企業で二つのということじゃなくて、その企業のサプライケアの中で、リサイクルを全体としてやっていくという考え方もあるのかなと思います。
(座長) どうもありがとうございました。
他にいかがでございましょうか。
D委員、何かご意見ございますか。
(D委員) 土地の有効な利用ということなんですが、借地借家制度というのが参考資料の方にあるんですが、持ち家志向を人々が続けているのには、買った家の土地の値段が必ず上がるキャピタルゲインの期待というものが根底にあるということで、うまく借地借家の方に流れていかないということがあったと思います。それで、必要でもない人がかなり大きな家を持っていて、それが有効に利用の方にうまくいかないというのがあったと思います。
それは、借地借家が無期契約な形態をとっていて、一旦貸してしまうともう相手の言うがままになってしまって、借り手の方が非常に強い地位を保ってしまうというところがあったと思います。これは、先ほどの議論にあった教育とかで柔軟にその供給ができないというのと同じことでして、雇用面についても同じことが言えるわけでして、一旦雇った人をもう次に首を切ることができない、有期的な契約ができないというところに問題点があると思います。
土地と人間の雇用というのは似たところがあって、有期的な契約がうまくできなかったところ、あるいは無期的な契約に非常に流れてしまったところに一つの利用のまずさ、機能的な利用のまずさがあったんではないかと思っていますが、そこのところの分析ができればと思っております。
(座長) どうもありがとうございました。
C委員、ほかに何かご意見いかがですか。
(C委員) 土地とかリサイクルというのは詳しくないんですが、この間ちょっと読んだものの中に、これもニュージーランドだったと思うんですが、有効活用ということでどんどん値段、価格等で市場メカニズムに任せるという方向と逆に、ニュージーランドはある一定の広さまでしか土地を分割してはいけないという法律があって、その広さがものすごい庭つきの一戸建てで、日本では持っていないような広さ以下には分割できないというものがあるというのを読んで、先ほどの教育と同じなんですが、本当にメカニズムというのはとても重要なことだと思うんですが、やはり私なんかは海外に行っていい町並みだなと、例えばイギリスとか見ると、やはり都市計画だとか、あと住宅政策というものがかなりしっかりしたものがあるという感覚を持っていまして、ここの研究会では、市場メカニズムということだと思うんですが、その辺の住宅政策的なことも少し考慮できたらいいなというふうに思っております。
(A委員) 簡単に申し上げますと、リサイクル社会の実現ということなんですが、広く環境問題ということを視野に置いてという話だと思うんですが、その点はいかがですか。リサイクルというのはその中の一部ではあるんでしょうが。
(事務局) 広く環境問題というよりも、リサイクルということに今回焦点を当ててというふうに考えています。
(A委員) そうすると、例えばその過程で、炭酸ガスの排出がどうなるかと、リサイクルを活発に行うと、むしろ流通部門から炭酸ガスがいっぱい出るという話もありますので、だから、その点、非常に環境問題は多元的なものですから、その点はどういうふうにお考えですか。
(事務局) そこはもちろんリサイクルを評価するときには、例えばその全体の効果がどうなのかと、全体としてCO2 の排出減になるのか、増になるのか、あと環境容量は、目的としてはもちろん環境容量を緩和させる、その制約を緩和させるということなわけですが、トータルでの評価ということはやっていきたいというふうに思っています。
(座長) どうもありがとうございました。
時間がたっぷりあるかと思ったらだんだんとなくなってまいりまして、まだいろいろとご意見もあるかと思いますが、時間の都合もございますので、本日の研究会はこの辺で終わりにしたいと思います。さらにいろいろご意見ございましたら、どうぞ事務局までご連絡をいただきたいと思います。
それから、最後に研究会の検討スケジュールについて事務局からご説明をお願いいたします。
(事務局) 資料の6をごらんいただきたいと思いますが、第2回目以降でございますが、第2回目が、本日一番最初の項目でありました高コスト構造是正の第1回目をやりたいと思っております。プラス医療・福祉分野の構造改革。第3回目、11月中旬となっておりますが、高コスト構造の2回目と教育分野の構造改革ということです。4回目がワーキンググループが並行して走っておりますが、これからの報告ということ、最後、第5回目、12月の上旬でありますが、審議経過報告(仮称)でありますが、中間的な取りまとめ、あるいは今後の進め方についての討議をしたいと思っております。
ちなみに第2回目ですが、11月2日にお願いしたいと思います。14時30分から16時30分であります。
それから3回目以降もできるだけ皆さんご出席いただけますよう至急調整いたしまして、できるだけ早くご連絡させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
(座長) どうもありがとうございました。
それでは、以上で第1回の構造改革推進研究会は閉会したいと思います。本日は、皆様本当にお忙しいところ、まことにありがとうございました。
次回以降もどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
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