第1回経済審議会・企画部会議事概要

1 日時

平成10年9月24日(木) 15:30~17:00

2 場所

経済企画庁特別会議室(436号室)(第4合同庁舎4階)

3 出席者

(部 会) 小林陽太郎部会長

荒木襄、伊藤進一郎、小島明、小長啓一、嶌信彦、長岡實、星野進保、松井孝典、水口弘一、村田良平、八代尚宏、吉井毅、吉川洋、の各委員

(事務局) 堺屋大臣、今井政務次官、塩谷事務次官、林官房長、梅村企画課長、中名生総合計画局長、高橋審議官、牛嶋審議官、大西計画課長、染川計画官、塚原計画官、青木計画官、安井計画官、佐々木計画官、林部計画官、佐久間計画官、荒井計画官、渡辺電源開発官、福島推進室長、岩瀬計画企画官

4 議題

(1) 議事の公開方法について

(2) 企画部会の検討テーマと審議スケジュールについて

5 審議内容

(1) 冒頭、堺屋大臣より挨拶

(2) 続いて今井政務次官より挨拶

(3) 企画部会の審議の公開について

高橋審議官より、資料2「経済審議会企画部会の議事内容の公開について(案)」について説明。委員からの意見は特になく、本案は了承された。

(4) 企画部会の検討テーマと審議スケジュールについて

中名生総合計画局長より、資料3「経済審議会・企画部会の趣旨及び主要テーマについて」、資料4「企画部会の審議スケジュール」について説明、その後討議。委員からの主な意見は以下の通り。

  • 経済戦略会議との関係としては、当審議会は、中長期、構造的なテーマを扱うということになる。その際の方向性は、「透明で公正な市場経済」ということであり、市場のグローバル化、情報化を踏まえることが大切。また、マレーシアの市場閉鎖、香港での政府の市場介入等、市場と政府との関係についての問題も重要である。
  • 現在の状況は危機的。その要因としては、金融問題処理、消費税引き上げ等、政策の誤りによるものが大きいのではないか。どういう判断をしてどうなったかを整理するという本来のフォローアップが重要。ビジョンで一番大切なのは、世界経済のシステムがどうなるかという点。センシティブな機関投資家の莫大な金額が動いているときに、IMFのやり方が今のままでいいのか、世界的な仕組みから我が国の経済の仕組みに逆に投影することが必要ではないか。世界の金融システム、ブレトン・ウッズ体制の新しいヴァージョンはどうあるのか、それに対応するためには日本はどうあるべきかという観点も重要。
  • モノ・サービス経済中心のIMF・ブレトンウッズ体制から金融中心に変化しており、それが世界経済に大きな影響を与えている。旧来型のシステムで生きていけるのか、新しいマネー経済のシステムをどう作るのかが重要。
  • 日本は介護や年金等の問題についてお金ですべて考えようとする。お金をかけず、システムを変えることでお金の問題も解決する発想があってもいいのではないか。構造改革は、お金の問題ではなく、どうやって居心地のよい世の中を創るかであり、そこで問題をあぶりだしてシステムを変えようとする視点が重要ではないか。
  • 政策はタイミングの問題がカギ。市場は、グローバル化等でスピードが早まっているのに、日本はポリティカル・プロセスに時間がかかり過ぎる。政策の拙速さも必要。
  • フォローアップでは、なぜ実態が計画の想定からこれほど離れたのか、日本の内的要因としてどこが悪いのかを点検する必要がある。それがないと、次に計画を作っても誰も信用しない。計画の機能そのものが失われ、参考にならない計画になってしまう。計画の破綻を認める必要がある。
  • 計画からの乖離については、事態の変化が想定より激しかったからではないか。フォローアップの結果、これほど実体が変わっているのだから、新しい計画の作成に取り組むべきという結論になってもかまわない、むしろそうあるべきかもしれない。
  • 中長期の観点で当面大切なのは、雇用政策・新雇用機会創出とそのための新産業創出。 過去のように政府全体として整合性のある政策がとられているのか点検しつつ、産業創出のスキームをフォローアップすることが必要。
  • 今後は、NPOが雇用機会創出に果たす役割は大変大きいと思われるので、ある種の政策支援も考慮していいのではないか。また、創造的な人材輩出のために教育環境の整備にどう取り組むか、労働の流動化の一貫として、エンプロイアビリティについても政策強化が必要。住宅環境の整備、関連住宅産業の充実、インフラの支援システムも重要。
  • 将来展望には足元の評価が重要。成長率の低さは何が原因か、需要面か、供給面の制約なのか。景気回復としては何%の成長を考えるのか。景気対策はデフレスパイラル防止だけでいいという考え方もある。中長期的な政策については、どこまでの期間で将来を考えるか留意すべき。2005年頃を境に、制約要因としては需要面から供給面に重点が変わり、期間を分けて議論しないと混乱する。
  • 過去の政策を変えた時の将来の成長予測(ヒストリカルシミュレーション)を行うべき。その際、変数をできる限り内生化することが重要。
  • 雇用政策については、雇用機会の創造は、新産業育成による正規社員の雇用を増やすのか、非正規社員の増加を促進するのかを考える必要がある。
  • 足元での計画との乖離は需要不足に尽きると思うが、ただ需要を増加すればよいわけではないところに問題があり、構造改革と密接に関係している。経済成長は生活を変えることに他ならない。過去、石炭から石油へのエネルギー源の転換のように、具体的な構造改革により経済も成長するもの。現在のニーズは住宅、医療システムが目玉になる。
  • 経営者の現在の最大の問題は、先が見えないこと。世界一高い人件費、税制、インフラコストの中で、成長が止まり、収益が上がらなくなっている。人のリストラの必要性にもかかわらずリストラができない中で、どうやって経営していくのか等制限項目を抱えて、経営者は悩んでいる。経済審議会は中長期的なビジョン、その問題点と制限項目を出し、各省庁に指示を出してほしい。
  • 日本は市場経済の国であり、経済計画という言葉が適切かとの問題がある。また、市場経済においてはもともと数字が当たらないことは仕方がないとの見方もある。経済計画をどう考えるかが根底にあり、そのなかで予測に対する信頼性をどう考えるかが重要。結局、経済計画は政策中心に考えていくしかないだろう。
  • 経済審議会では、6月に展望部会の報告としてビジョンを出したが、世間はあまりそれに目を向けず、ビジョンがないと常に言っている。そうなると、こうしたビジョンを作ること自体に意味があるのかが議論になる。これまで出した報告書でも様々なことを取り上げている。
  • 国際経済が今後数年間どの様に展開するのかを事務局にまとめてもらいたい。東南アジアに始まった問題が、ロシア、中南米に広がっており、これは米国経済の成長の終わりの始まりのようにも思える。これをどう考えるか無しには、議論できないと思う。

なお、本議事概要は速報のため事後修正される可能性があります。

(本議事概要に関する問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局計画課

西岡、阿部

Tel:03-3581-1041