第3回情報通信及び交通関連社会資本の整備に関する研究会議事概要
1.日時:
平成10年6月12日(金)10:00~12:00
2.場所:
経済企画庁会議室(732号室)
3.出席者:
月尾嘉男座長、柴田潤、浜野保樹、林紘一郎、山内弘隆の各委員。
中名生総合計画局長、安井計画官 他。
4.議題:
情報通信関連社会資本の整備に関する議論
5.議事内容:
安井計画官より、情報通信関連社会資本に関する論点について資料に沿って説明。
情報通信関連社会資本に関する以下の論点を中心に討議。
(1)官民の役割分担と情報通信関連社会資本の範囲について。
(2)グローバルスタンダードに対する今後の戦略について。
(3)競争時代のユニバーサルサービスについて。
各委員からの主な意見は以下のとおり。
【情報関連社会資本の官民の役割分担について】
- ○ 情報を持っていることが、国家安全保障上重要である。そのことに対し国民のコンセンサスが得られていない。身近な道路などの方がもっと重要であると思っているようだ。
- ○ 情報を何らかの形で社会資本としてとらえるには、情報を流通させるためのインフラが必要になってくるととらえればわかりやすい。また、情報通信の社会資本には、なるべく官の関与をなくしていくほうが望ましい。官が関与すべき事は、ユニバーサルサービスであると思うが、何がユニバーサルサービスかのコンセンサスを国民に対し得ることが必要である。
- ○ 電話とかインターネットとかの通信が果たす役割は、情報(コンテント)を社会の中で公開して、より多く共有することである。そのために必要な手段を、民間の競争だけでやってできれば良いが、そうでないとすると、官が関与することになる。
- ○ 情報に関連してはアメリカのように戦略的にやる部分と民間で不十分であるから官が関与する部分の2つある。従来は後者のみで良かったが、情報に関しては戦略性の部分があり、どうやって具現化するかが問題。
- ○ 我が国の情報について戦略的にやってうまくいかなかったのは、戦略を多様にしなかったからである。戦略の多様性を維持する方策に官が関与すべき。
- ○情報技術は軍事技術からの転用という観点があり、アメリカと日本の違いをそういった視点で見ることも必要ではないか。
- 【グローバルスタンダードについて】
- ○ グローバルスタンダードは一つではなくいくつもある。複数形である。さらに、グローバルスタンダードにも階層(レイヤ)があるとともに、相互に認識したり、一方に合わせたりすることがある。
- ○ 米国(デファクトスタンダード)とEU・日本(国が関与していくケース)が争っている。複数併存させるようなことができれば良い。
- ○ 多様性の存在がグローバルスタンダードである。規格の多様性が最大の戦略である。
- ○ グローバルスタンダードに追従すべきか、自らリーダーシップを取っていくべきか検討の必要あり。
- 【ユニバーサルサービスについて】
- ○ 独占、準独占でなければ、この問題は議論しなくて良いと言う問題でなく、日本のように、地理的な面で完全自由市場であっても、ある地域には事業者がいないか事業者があっても非常に限界的である。そういう場合にもユニバーサルサービスを議論しなくてはならない。
- ○ 日常生活に不可欠な財の場合は、地理的差別の他に、所得階層差別を禁止して、供給義務を課すことはよくある。日本のように所得水準のギャップが少ない国では問題は少ない。
- ○ ユニバーサルサービスファンドなどのシステムを導入した場合、どこまで補助をするか、どこまでを対象とするのかが問題。基本的なものとしては電話の音声サービス、離島地方、公衆電話などが出てきているがインターネットなどは入っていない。
- ○ アメリカでは、インターネットなどの高度サービスは、あまねくやるのではなく学校などを対象に割引を行っている。電話のファンドに税金を投入して、割引した事業者に返還している。
- ○ ユニバーサルサービスの種類は、予見的に将来普及しそうなサービスまで対象にはしないだろう。インターネットなども国民の80%以上普及してきた場合に、ユニバーサルサービスと見るかどうか検討の余地があるということだろう。
- ○通信で考えた場合、電話が対象になるだろう。日本に関していえば、地域差別は考慮しても、所得階層別は考慮する必要はないのではないか。
- ○ 地域を考慮した料金オプションサービスには差があっても良いのではないか。
6.今後のスケジュール
次回第4回研究会は8月末または9月末に開催する予定。日程は別途連絡する。
以上
なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があり得ます。
(連絡先)
経済企画庁総合計画局計社会資本班
(担当)田中
TEL 03-3581-0764(内5544)