第8回経済審議会経済主体役割部会議事概要

1.日時

平成10年3月24日(火)14:00~16:00

2.場所

経済企画庁特別会議室(1230号室)(第4合同庁舎12階)

3.出席者 

(部会)
水口弘一部会長、金井務部会長代理、荒木襄、河村幹夫、ポール・シェアード、鶴田卓彦、得本輝人、豊島格、那須翔、樋口美雄、グレン・S・フクシマ、星野昌子、森地茂、諸井虔、吉野直行、和田正江、の各委員

(事務局)
糠谷事務次官、林官房長、藤島日銀政策委員、中名生総合計画局長、 高橋審議官、貞広審議官、高橋企画課長、大西計画課長、染川計画官、 涌野計画官、塚原計画官、大森計画官、田坂計画官、赤井計画官、 小島計画官、荒井計画官、道上計画企画官

4.議題

(1)ワーキング・グループ報告書(案)について

(2)公的金融について

(3)経済主体役割部会報告書スケルトン(案)について

5.審議内容

(1)ワーキング・グループ報告書(案)について

〇雇用・労働ワーキンググループ座長の樋口委員より資料2-1(雇用・労働ワーキンググループ報告書(案))に基づき説明。続いて民民規制ワーキンググループ座長の荒木委員より資料2ー2(民民規制ワーキンググループ報告書(案))に基づき説明。

○主な意見は次のとおり。

  • 報告書の「経済環境の変化と労働面への影響」の箇所では、グローバル化は製造業だけでなく金融業や情報通信業にも影響が及ぶものであることと、規制緩和によって企業に競争力がつけば雇用も所得も増えるという面もあることに留意していただきたい。
  • 派遣労働など就業形態の多様化についての評価や問題点などについては今後検討したい。
  • 人事管理の個別化が進む中で、経営側に対して弱い立場の労働者個人を支援する具体的な方策について雇用・労働WGではどのような議論があったのかお伺いしたい。また、現行の労働法は組織された労働者を前提とした規定が多いが、個別化する労使関係に対応する新たな仕組の具体的なイメージについてもお尋ねしたい。
  • 企業内の人事査定・評価から生じる諸問題は基本的に労使の自治により解決すべきものであるが、就業形態の多様化などを背景に企業内では処理できない問題が増加するとみられる。企業外における個別的な苦情・紛争を処理するシステムについては、現行のシステムでは必ずしも十分ではないため、政府等により整備する必要がある。ただ、具体的にどのような権限を備えた処理機関が最も適当であるのかについては、雇用・労働WGでは意見の一致をみていない。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除制度等が労働供給抑制的であるため見直すべきであるという指摘の必要性は理解できる。この問題を検討するに当たっては、我が国の各種社会システムを世帯単位から個人単位に切り換えていくという観点が重要である。
  • 業界団体が、民民規制の温床という側面もあるが、業界団体への官僚の天下りの多さをみても分かるとおり、官が民を統治するための手段として業界団体が存在していた面も強い。業界団体だけが悪の温床との書きぶりは気になる。
  • 独占禁止法違反があった場合に業界団体が関係するケースがあるかもしれないが、本来的には、企業は各々独立して競争をするもの。電気事業の場合、電気事業連合会で相談をして行うことは到底考えられず、仮にあるとすれば、官が民を統制しようとした場合だけだろう。
  • 現在、業界団体の大半は公益法人であるが、同連合会では、公益法人になれば、天下りを受入れ、官僚統制をうけることとなることから、絶対に公益法人になりたくないと考えている。
  • エッセンシャル・ファシリティの開放について、電力各社毎で対応が異なっているのは事実。官が電気事業連合会を指導した結果、全社同じルールになる方が問題。民民規制の議論は官で行うよりも、むしろ、民で行うのが適当ではないか。
  • 民民規制については業界によって経緯・事情が大きく異なることもあり、難しい問題であるが、独占禁止法との関係等は非常に重要な問題であろう。

(2)公的金融について

○事務局より資料3-1(公的金融について(論点整理))および資料3-2(公的金融について(説明資料))に基づき説明。

○主な意見は次のとおり。

  • 海外の公的金融は、米国のように郵便貯金のような原資がない国と、ドイツ、フランスのように郵便貯金に似た原資がある国がある。原資のあるドイツ、フランス、日本は直接融資の割合が多く、民間との競合が問題となる。我が国は、今後、郵貯という原資と切り離された形での公的金融のあり方を考える必要があり、マーケットから調達する資金により民間金融の補完に徹することが求められる。また、手法的には債務保証や住宅債権の流動化のように民間の融資のイニシアティブを公的金融が補完するというやり方が望まれる。
  • 公的金融の改革が今後の日本を考える上で最も重要な問題であると認識している。公的金融の問題点としてはまず、公的金融が肥大化していることに加え、公的金融のシステム自体が時代に合わなくなってきている点があげられる。市場の失敗があるから公的金融が正当化されるということであるが、政府の失敗も考慮すべきである。また、郵貯の自主運用等にも、官製のジャイアントファンドマネージャーができてしまう等の問題がある。
  • 日本の産業の未来を考えると、ベンチャー企業への融資についても考える必要がある。民間金融機関ではなかなか対応できないが、公的金融も手続が煩わしいとのことである。リスキーだが、将来有望なベンチャー企業はあり、このような分野についても公的金融の面から配慮すべきである。

(3)経済主体役割部会報告書スケルトン(案)について

○事務局より資料4(経済主体役割部会報告書スケルトン(案))に基づき説明。

○主な意見は次のとおり。

  • 4ページの「個人」のところで、消費者と投資家としての役割しか記述していないが、(例えば環境問題や漁業補償問題等において)意思決定を行う住民としての役割を付け加えるべき。
  • バブル期において露呈した日本のコーポレート・ガバナンスの問題点については、金融当局が金融機関を監督できなかった点を付け加えるべき。
  • 'Globally Acceptable Society'や'Role-playable'など英語が使われているが、よく意味がわからない。日本語を用いた方がいい。
  • 7ページのところで「起業がしやすく退出しやすい~」とあるが、退出を容易にすることは、一方で無責任経営につながり、債権者の不利益になりかねない。したがって、同時に債権者保護策の強化も必要になる。
  • コーポレート・ガバナンスのところだが、経営者のあり方等については触れる必要はないのでは。

(速報のため、事後修正の可能性あり)

連絡先:経済企画庁総合計画局物価班

03-3581-1538