経済審議会第8回経済社会展望部会議事概要

1.日時:

平成10年3月19日(木)12:15~14:30

2.場所:

経済企画庁特別会議室(1230号室)

3.出席者:

香西泰部会長代理、井原哲夫、井堀利宏、岩田一政、角道謙一、黒田晁生、小林佳子、下村満子、鶴田俊正、中井検裕、奈良久彌、長岡貞男、成瀬健生、濱田康行、樋口美雄、深海博明、師岡愛美の各委員。
高橋企画課長、中名生総合計画局長、貞広審議官、高橋審議官、大西計画課長、大森計画官、田坂計画官、涌野計画官、染川計画官、安井計画官、塚原計画官、赤井計画官、荒井計画官、小島計画官、渡辺電源開発官、道上計画企画官、福島推進室長 他。

4.議題:

各ワーキンググループ(以下WG)報告(ライフスタイル、技術革新、産業構造)

5.審議内容:

ライフスタイル、技術革新及び産業構造WGの座長より各WGについて報告。これに対して委員からの主な意見は以下のとおり。

【ライフスタイルWG報告に関連して】

○地球環境WGに関連する事項として、環境に配慮した行動が顕在化していくといった形でライフスタイルの変化が指摘されているが、もう少し特定化されると地球環境WGの議論に具体的に結びつけることができるのではないか。

○女性の就業率が高まるというようなことをポジティブに出すのはよいことと思うが、少子化問題への対応として、女性は家庭にいて子供を産むべきといった議論が堂々となされる現実もある。こうした中で、新たなライフスタイルがどう実現されるかに関心がある。

○少子化というものを与件として捉えるのではなく、それをできるだけ防ぐということが重要である。例えば、教育に対する母親のストレスや住居が狭い等の基本的問題を解決しない限り少子化は防止できないのではないか。女性が自然に子どもを産める環境づくりをしなければならないということにもう少し踏み込むべきである。

【産業構造WG及び技術革新WG報告に関連して】

(産業構造WG報告に関連して)

○今後目指すべき「柔軟・創造・挑戦型産業構造」において市場メカニズムの下での移動をより円滑化すべき人材として、「ものづくり基盤技術」の面の熟練技術・技能を有する人材を挙げている。雇用・労働WGの中でも職業能力開発と人の移動の問題に関連していろいろ議論しているが、最終的に職業能力開発には、職業訓練による能力の向上だけでなく、技術・技能の適正な評価の為に人材移動の円滑化を必要とする面と、ものづくり基盤技術のように技術・技能の伝承の観点からも長期雇用を必要とする面との両面があるのではないかというように明確に答えを出していない。産業構造WGでは、その点どのように考えているのか。

○人材仲介機能の強化に向けての政策対応として、「職業紹介事業や労働者派遣事業において未だ存在している規制を速やかに撤廃する」と書いてあるが、これらの関係の法律については、昨年の4月1日からいろいろな方面でかなり規制緩和が進んでおり、職業紹介事業についてもネガティブリスト化という形で多くの職業について既に有料職業紹介がスタートしている。こうした中、なお「撤廃」すべきという「未だ存在している規制」とは具体的に何を指しているのか。

○これからの新しい産業を考える場合、福祉領域に関わる産業をいかにつくり出していくかが重要。併せて、産業廃棄物・リサイクル等の課題への対応の必要性も議論すべき。

○報告書で使用している「機能」という言葉に関して、従来の産業構造の中では機能という観点がある意味で欠けていた。機能というのは、人材や技術のマーケット、又は、情報ネットワークや人材派遣会社の活動等を指し、いろいろな形の機能の発揮の仕方があるだろうと思うが、従来そうした「機能」ということが考えられていなかった為、十分議論されていないのではないか。その辺、ワーキンググループでぜひ検討すべき。

(産業構造WG、技術革新WG報告に関連して)

○人材育成に関連して、現在の大学の受験制度に問題があるのではないか。大学は基本的に入口管理である為、受験生は受験テクニックのみが非常に優れてきて、大学受験そのものが目標になっている。

○技術・技能の評価・処遇の問題に関連して、企業の研究所内で研究者が新しい発明等を行った場合、それに対する報酬というものは必ずしも十分に行われていないのではないか。例えば、新しい特許を取った場合、会社の施設を使って取ったのだから、当然そのメリットは会社に帰属し、当該研究者のメリットにはならないという話を聞いたことがある。やはり技術者に対するメリットシステムが必要ではないか。

○教育の問題に関連して、職業に対する尊厳を尊重することが日本の教育に欠けているのではないか。昔から職業には貴賤の別がないと言うが、今の家庭を含めた教育制度においては、職業の貴賤が支配しているのでないか。教育制度において、職業は尊いということを教え込む仕組みが必要ではないか。

6.今後のスケジュール

次回第9回経済社会展望部会は4月16日の10時30分から開催する予定。

以上

なお、本議事概要は、速報のため、事後修正の可能性があり得ます。

(本議事概要に関するお問い合わせ先)

経済企画庁総合計画局計画企画官付

(担当)道上、丹野 電話03-3581-0977