経済審議会総会議事概要
1.日時:
平成12年12月18日(月)10:00~11:00
2.場所:
内閣総理大臣官邸ホール
3.出席者(敬称略):
(委員)
豊田章一郎会長、長岡實会長代理、稲葉興作、角道謙一、金井務、香西泰、小長啓一、小林陽太郎、佐々波楊子、下村満子、末松謙一、鶴田卓彦、畠山襄、星野進保、星野昌子、水口弘一、村田良平、諸井虔、師岡愛美、山口光秀、鷲尾悦也、和田正江
(内閣官房)
森総理大臣、福田官房長官、安倍官房副長官、上野官房副長官、古川官房副長官、江利川首席内閣参事官
(経済企画庁)
額賀経済企画庁長官、坂井総括政務次官、中名生事務次官、新保経済企画審議官、坂官房長、牛嶋総合計画局長、池田国民生活局長、鹿島物価局長、小峰調査局長、加藤経済研究所長事務代理 他
4.議題:
- 「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)について
5.議事内容:
(1)経済企画庁長官あいさつ
21世紀に向かって、「官から民」、「官僚主導から政治主導」、「護送船団から競争社会」という理念に基づいて行政改革を行ってきた。民間の力を活用して経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本等の調査審議を行い、総理大臣のリーダーシップを生かしていくことが私の仕事だと思っている。本日取りまとめいただく報告書は、経済財政諮問会議等を通じて新しい時代にふさわしい政策運営を行っていく上で、貴重な拠り所にして参りたいと思っている。
(2)「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)について
「経済審議会活動の総括的評価と新しい体制での経済政策運営への期待」(案)について、香西部会長及び事務局からの説明の後、経済審議会の報告として承認され、豊田会長から森総理に手交された。なお、委員から以下のような意見が出された。
- 今後、経済審議会に似た機能を持つ審議機関を、何らかの形で引き続き活用することは考えられないのか。
- 「経済審議会が十分に機能しなかった背景」が挙げられているが、それは日本全体でもどうしようもなかったという不可抗力によるものと考えるのか、それとも経済審議会の運営方法等の問題によるものと考えているのか。
- バブルが崩壊した後、従来型の景気対策を行ったが経済はなかなか上向かなかった。後で振り返ると、やはり95年の「構造改革のための経済社会計画」で示した「構造改革」というコンセプトをもう一つ前の計画で出すべきであった。成長型から成熟型の経済社会への変化の認識が遅れていたのではないか。
- 経済社会環境の変化に迅速に対応するためにリーダーシップが必要であることは理解できるが、現場とのコンセンサスの確保もやはり重要。
- スピーディーな決断とコンセンサスの形成は時に相反するが、経済財政諮問会議の議員のうち、民間から選出される4人の議員が現場の意見を把握するとともに、コンセンサス形成の役割を担うことが必要。
- 「構造改革」という言葉の中身がわかるように、国内におけるPRの仕方を工夫すべき。
- 英語版の速やかな作成や、外国報道の記者会見等により、日本が行っていることが大きく取り上げられるような対外的なアピールが必要。
- 各省庁の調整が全てできるまで物事が決まらないのが、これまでの一つの問題点ではなかったか。経済財政諮問会議では、総理大臣だけでなく内閣がリーダーシップをとって調整し、決断していただきたい。
- 経済財政諮問会議については、ビジョン・政策がはっきりと打ち出される政治色の強いものを期待しているが、そのためにも政策をきちんと審議、評価すべき。
(3)森総理大臣あいさつ
21世紀を迎えようとするいま、国民が未来に向かって「安心して夢を持って暮らせる」国づくりを目指し、国政の舵取りを進めていく。中央省庁改革により、内閣府に経済財政諮問会議が設置され、我が国の経済政策運営の基本方針の策定等に当たって重要な役割を担っていくこととなる。本日の報告書は、経済審議会の半世紀にわたる経験を踏まえた大変貴重なものであり、今後の新しい時代にふさわしい経済政策運営を行っていく際に、十分尊重して参りたいと考えている。
(4)森総理大臣と各委員の意見交換
森総理大臣のあいさつの後、総理と委員の意見交換が行われた。概要は以下のとおり。
(委員)
- 日本のGDP確報の公表はアメリカよりも遅い。政府関係統計をIT化し、早期公表に努めるべきである。
- 海外では日本経済の先行きに対して悲観的な見通しが多い。在外公館が日本経済の実態を分かり易く広める広報活動を行うとともに、各国の日本経済に対する見方を収集することが必要。
- 景気対策と財政再建のいずれをとるかという考え方はおかしい。経済が良くなってはじめて財政が良くなるのであり、経済と財政を共に改善する事は当然である。経済財政諮問会議では経済の見通しと財政再建の方向を明確に出していくべきではないか。
(総理)
- 電子政府を目指す政府として、統計についても、予算の関係等もあるが、どう改善していくかについては問題意識を持っている。
- 私どものいま取るべき態度としては、景気回復優先の軸足は変えないでおきたいと考えている。ただ、今後、財政改革の道筋等を明確にすることが重要であると考えている。
本議事概要は、速報のため事務局の責任において作成したものであり、事後修正の可能性があります。
(連絡先)
経済企画庁総合計画局国際経済班
Tel 03-3581-0464