第7回経済審議会政策推進部会議事概要


1.日時

 平成12年5月25日(木) 10:00~12:10

2.場所

 経済企画庁特別会議室

3.出席者(敬称略)

 (委員)

水口 弘一 部会長、伊藤 進一郎、江口 克彦、角道 謙一、清家 篤、高橋 貞巳、高橋 進、畠山 襄、濱田 康行、原 早苗、村田 良平、森尾 稔、森地 茂

 (経済企画庁)

牛嶋総合計画局長、永谷総合計画局審議官、塚田総合計画局審議官、仁坂企画課長、藤塚計画課長 他

 (経済企画庁総合計画局研究会座長)

盛岡 通 循環型経済社会推進研究会座長、伊藤 元重 世界における知的活動拠点研究会座長

4.議題

・経済企画庁総合計画局研究会の報告

・政策推進部会報告案について

5.議事内容

(1)経済企画庁総合計画局研究会の報告

  循環型経済社会推進研究会について

   盛岡座長、岩本計画企画官からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 循環型経済社会について、環境会計やISO等、ミクロの企業活動との関係はどのように考えるのか。
  • 循環型経済社会が構築されない場合にはGDP成長率はマイナスになり、循環型経済社会が構築されるとGDP成長率がプラスになるということだが、どのような要因でプラス成長になるのか。また、どのような試算を行っているのか。
  • 循環型経済社会の構築に当たっては、国民の意識啓発が重要である。国民の理解がなければこのような社会形成は難しいのではないか。
  • 分解のしやすさを製品の組立段階で考慮する等、静脈産業の生産性を考える場合に動脈側で決定づけられるファクターについてどう考えるのか。
  • 循環型経済社会が構築された場合、動脈産業の生産施設の最適立地がどの程度変わると考えているのか。また、静脈産業にけるストックヤードをどこに置くのか。それに対して政策手段はどのように考えているのか。
  • 循環型経済社会を構築するとコストが上がると考えられるが、このモデルでは価格はどう考慮されているのか。
  • 廃棄物処理施設やリサイクル施設等の設置については、市町村や都道府県では、外へ持って行けということになるのではないか。広域行政を通じた施設の配置が必要ではないか。

  (循環型経済社会推進研究会)

   ・国民教育に関しては、小・中学校、だけではなく大学も含め教育上の施策を考える必要がある。

  • 個々の経済主体の努力が循環型経済社会の構築に役立つようなプラットホームを作る必要がある。循環型経済社会の構築に努力している企業を社会的に評価していく必要がある。
  • 生産段階において、分解しやすさに配慮するようにする必要がある。静脈と動脈は切りはなすべきではなく、一体化を図るべきである。
  • 再利用先、再資源化先、現状の動脈の流通の拠点になっているところも考慮してストックヤードを建設すべきである。そのための政策誘導は、国土全体の物流の計画とリンクして図られるべきである。
  • 広域的な観点から施設立地を推進していく必要がある。市町村に対しては、施設立地に関する取扱いを適正化する方向の指導がなされている。情報の提供等を通じて、コンセンサスを得ていくことが必要であると考えている。
  • このシミュレーションで用いられたモデルは一般均衡モデルであるが、費用として廃棄物の最終処分に係る費用が内部化されている。将来的には廃棄物の埋め立て量を減らしていくという政府の方針があり、これが企業にとっての制約要因、つまり価格上昇要因となる。そのため、このモデルにおいては、資源リサイクルを行ったり、再生された資源を購入するほうが有利であるというように働く。また、循環型経済社会形成のための投資が出てくるので、それがGDPを増加させる側面もある。

  世界における知的活動拠点研究会について

   伊藤座長、林部計画官からの説明に続き、以下のような質疑応答があった。

  (委員)

  • 知的活動にとって人材育成は重要である。エリート養成システムが日本には十分にない。
  • 諸外国と比べて遅れているのは、しっかりした研究所・シンクタンクがないということである。国・民間ともその設立に取り組んでいく必要があるのではないか。
  • 英語が理解できる日本人ばかりでなく、日本語が理解できる外国人も養成していく必要がある。
  • 国際的安全保障は、この議論の中では必要ないのではないか。
  • 知的な生産を活性化するということは、人的資本投資を活性化するということであり、インセンティブスキームに関しては、人間に対する投資への収益率が他のものに比べてどれくらいになるのか整理するとよいのではないか。
  • 市場性が小さく公共財として評価されるものを作るインセンティブスキームを用意することが必要ではないか。
  • IT革命が進むということと日本国有の文化はどのように調和するのか。アメリカの場合はIT革命が進んでもアメリカの文化にマッチしているが、日本の場合はどうなっていくのか。
  • 発信内容に日本文化を入れるということと、IT革命が日本で展開していった時に日本文化とどう融合するのか、ということは分けて考える必要があるのではないか。
  • NPOが知的活動に果たす役割も大きい。
  • 英語力の強化も重要だが、文字翻訳ソフトの開発はできないのか。
  • 日本の伝統文化の発信に関しては、デジタルアーカイブを念頭に置くべきではないか。
  • 大学に企業が入りこめないのか。フレキシブルな対応が魅力的な研究開発環境の1つになるのではないか。
  • コンテンツに関して、エンゼル税制の拡充の問題など企業活動に関連した様々な制度上の問題もあり、そのあたりが明確になればいいのではないか。
  • 特許のハーモナイゼーションなど世界での調和が重要ではないか。
  • 日本人は国際的な共通概念で語る能力がない。国際的な共通概念を教えるべきである。
  • 世界から企業が集まるように日本でインキュべーターを作ることが必要ではないか。

  (世界における知的活動拠点研究会)

  • 御指摘の点については、研究会の中間とりまとめにおいてより明確になるよう工夫していきたい。

(2)政策推進部会報告案について

   以下のような質疑が委員からあった。

  (委員)

  • ITのセキュリティーについて、アメリカ等はクレジットカードの請求がくると小切手を切って払う一方、日本では自動引き落としになる等、アメリカでは日本とは異なりセキュリティーの部分は非IT的となっている。このような状況の中で、日本はいきなりeコマース、B to Cに変わると言ってよいのか。
  • 循環型経済社会の構築により、GDP成長率が上昇するという試算は、前提をはっきりさせた上で報告書に盛り込んではどうか。
  • 循環型経済社会において、自国で発生したものは自国で処理したほうがよいという議論があるが、国際的側面から見てどのように考えているか。
  • 外国人労働者を単なる労働者としてだけなく、社会保障の費用の負担者という観点からも見てはどうか。
  • 首都機能移転について、推進しようと考えているのか。
  • 地方分権や地方の自立においては、NPOが今後重要になると考えられる。もう少し触れた方がよいのではないか。
  • ベンチャー企業に対して、誰が資金を供給するのか、また、どのように新興企業に資金を供給していくのか。その場合、間接金融機関はどのように関与することができるのか、政府系金融機関はいかに先導的な役割を果たせるのかが重要。
  • 今後は既に構築されたベンチャー支援施策をいかに実施するか、いかに総合化するかが課題である。
  • 様々なベンチャー企業の支援システムができたが、ベンチャー企業とそれを支援する側の間に入る機関がないのが問題。
  • 介護保険については、ケアプラン、ケアサービス等について契約関係が不充分である。契約について改善していくべきではないか。
  • 静脈産業について、政府、産業界、消費者の果たす役割が議論になっているが、地方自治体の果たす役割も重要。
  • 少子高齢・人口減少社会における高齢者と女性の能力発揮システムの構築という言いかたは、労働力としての女性ということが意識され過ぎていて、違和感がある。
  • 知的所有権の問題については、まだ解決される兆しがないのではないか。WTOのような場で特許の知的所有権の保護のような議論をするならば、本来の特許法というものが果たすべき役割にたちかえった議論をすべき。
  • 教育訓練給付制度等の能力開発は、人的資本投資と捉えたほうがよいのではないか。
  • 年金改革は今後も継続してことをやる必要があることを明確にすべき。
  • 経済への悪影響を避けるために少子化対策を行うという観点が強調されすぎている。子供を生み育てたい人が生み育てることができる環境を整備することが必要。
  • 政府と市場の関係がいかにあるべきかということが必要ではないか。基本的に政府がルールを定め、その下で資源配分は市場に任せるということが望ましいのではないか。
  • 連結納税制度を早期に導入して欲しい。また、その導入が必要とされる背景や考え方についてふれて欲しい。
  • 企業の側は時価会計を導入するなどボーダレスエコノミーに対応できるようにしているが、年金は制度上まだ問題がある。
  • 都道府県の広域化は重要かつ緊急な問題であるので、前向きに取り組んでいくべきではないか。
  • 東京都で導入されたような法人事業税の外形標準課税を容認しているような印象を受けるが、政府税調等の議論では各都道府県、国と調和した形で公平にやることが前提となっている。このようなことにも配慮にしたほうがいいのではないか。
  • 景気は回復の方向に向かっている。財政再建について今の時点で今後どうするのかということを検討しておくことが必要ではないか。
  • 少子高齢化、人口減少社会の対応においては、市町村の役割分担をして連携させる広域的な観点が必要ではないか。
  • 地方の自立については、道州制・地域主権まで踏み込んだほうがよいのではいか。
  • 地方自治に関しては、地方の自主財源の確保が重要であり、首長が積極的にそれに取組むように促していくことが必要ではないか。

以上

 本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

(連絡先)経済企画庁総合計画局計画課
宮原、阿部
 電話 03-3581-1041